今ロードバイク界では、世界的にアルミフレームの評価が高まっています。
さすがにプロレースでの使用は難しいと思いますが、プロの選手がプライベートで乗るのはアルミが多いという話もあります。
そこで今回は、アンカーのアルミフレーム車「RS6」を特集します。
アンカーは世界のブリヂストンが手掛けるブランド
今回はアンカーのアルミロード「RS6」についてお話ししますが、アンカーは国産ロードバイクブランドとしては、知名度が高いですが、世界的に見るとまだ知名度が高いとは言えないでしょう。
そこで、まずはどんなブランドなのかご紹介します。
世界的なタイヤメーカーである「ブリヂストン」には自転車部門がありましたが、これが独立して「ブリヂストンサイクル」が創業されます。
そのブリヂストンサイクルのスポーツバイクブランドが「アンカー」です。
街中でブリヂストンの看板を掲げている自転車屋さんを見かけることもあると思いますが、ブリヂストンの自転車は昔からママチャリが主流です。
ただでさえ日本ではママチャリのシェアが大きく、スポーツバイクのイメージは薄いので、ブランド化することで存在感をアピールする狙いもあったかと思います。
しかし、取り扱っている機種はロードバイクを始め、MTB、シクロクロス、トラックレーサーなど、欧米の有名メーカー顔負けのラインナップです。
日本ブランドらしく「日本人のためのもの作り」をコンセプトにしており、小さなサイズはもちろんのこと、設計段階から日本人の体型に合った形状が意識されています。
海外に輸出はしていませんので、世界的に評価されることは難しいですが、東京オリンピックに向けての活動もしていますので、今後アピールするチャンスはありそうです。
アンカー「RS6」のようなアルミフレーム車が再評価されてきた理由とは?
冒頭でアルミフレームのロードバイクの評価が高まっているというお話をしましたが、正確には再評価されてきていると言うべきでしょうか。
ロードバイクのフレームの主流は、鉄(クロモリなど)→アルミ→カーボンと移り変わってきました。
これは世界のロードレースのトレンドに沿って動いてきたわけですが、今の主流であるカーボンも全盛になったのは2000年代に入ってからです。
その前までは長くアルミの時代が続いていたわけですから、一般市場もアルミ中心の時代があったわけです。
プロレースでの使用は物理的な重量の問題でこの先も厳しいかとは思いますが、一般市場では確実に盛り返してきている傾向が見られます。
アンカーのRS6もそうですが、アルミフレーム車が再興してきたのは、成形技術の向上に他なりません。
アルミは金属ですから、繊維であるカーボンとは違い、チューブを自由な形にするのが難しいとされてきました。
実際に、カーボンフレームが世に出る前までの金属チューブはほぼ丸形のみの状態で、今の複雑な形状はまず見られませんでした。
しかし、カーボンが世に出始め、成形に自由が利くことから重量や剛性面でアルミを圧倒的に上回り、主役の座に就くことになります。
そして、これを近年アルミでも可能にしてきたことで、アルミが再評価されています。
アンカーの成形技術は高評価され続ける「ネオコット」がルーツか
近年のロードバイク、特にレースモデルは、空気抵抗を低減するという「空力性能」を重視したものが目立ちます。
偏平形のトップチューブや大胆に曲げ加工がされているシートステイ、飛行機の翼のようなカムテール形状のダウンチューブなどは、空力性能を高めるために他なりません。
前項でもお話ししましたが、このような複雑な形状を作れるのがカーボンであったということなのですが、最近はこれをアルミでも行うメーカ―が増えています。
のちほどアンカーの「RS6」の個別の機種のご紹介をしますが、ブリヂストンはカーボン全盛の前から、この技術があったと思われます。
アルミにはその記録が残っていませんが、アンカーの代表的なバイクであるクロモリの「ネオコット」フレームにそのルーツがあります。
ネオコットは「新形状最適化理論」という名前でも呼ばれており、「この部分はこの形」、「あそこはまた違う形」というような、従来の丸形オンリーから、違った形のチューブを使用することを考えた理論です。
これをブリヂストンは1980年代の後半、世界初のカーボンフレームが出るか出ないかのタイミングで、しかもクロモリでそれをやってのけているのです。
今でも高い評価を受け続けているネオコットフレームですが、これをアルミに応用したのはほぼ間違いないと思われます。
アンカーRS6のフレーム成形技術
それではここから、アンカーの「RS6」についてお話ししていきます。
アンカーのロードバイクは、レースモデルの「RS」シリーズと、ロングライド向きの「RL」、そしてクロモリの「RNC」になります。
そのため、RS6はレースモデルであり、RSシリーズのフラッグシップモデル「RS9」と同水準の走りをアルミフレームで実現するというコンセプトで開発されています。
アンカー独自の「人の感覚を数値化する」という「PROFORMAT」システムによって、カーボンのRS9によく似たフレーム形状になっています。
それにより、従来のアルミフレーム「RA6」よりも一回り細身のチューブとなり、200g以上の軽量化が図られています。
それは、前項でお話ししたクロモリの「ネオコット」に用いられた、自由な成形を可能にする「ハイドロフォーミング」、そして、チェーンステイに見られる同一チューブ内でも部分的に厚さが異なる「バテッド」などの技術が結集されたたまものです。
それと同時に、アルミの欠点でもある硬さを和らげることにも成功しています。
今はアメリカメーカーを中心にアルミも軽量化合戦が激しく、RS6は軽量とまでは言えませんが、試乗インプレの評価などでは「走りに重さを感じさせない」という報告も上がっています。
アンカーRS6シリーズの詳細
ここでは、アンカー「RS6」の2019年モデルをご紹介します。
【RS6 フレームセット】
参考価格:¥102,600
完成車のフレームは全て同じで、フレームセット(本体+カーボンフォーク)も用意されています。
【RS6 EQUIPE】
参考価格:¥199,800
完成車のハイエンドモデルで、売りは「シマノ・105」の新型R7000のフルコンポでしょうか。
アンカーには「セレクトパーツ」という、完成車の付属品をいくつかの種類から選べるシステムがあります。
このモデルは、標準装備のホイール「シマノ・WH-RS100」を、フルクラムの「レーシング・3」にすることができます。
プラス6.5万円になりますので予算との兼ね合いですが、筆者個人的にはフレームのレベルを考えるとこれくらいのホイールは履きたいと考えます。
【RS6 SPORT】
参考価格:¥172,800
コンポが、リアの変速数が105よりも1速少ない10速の「ティアグラ」になります。
必要十分でそれなりに高評価もあるコンポなので、普通に走る分には何の支障もありません。
ただ、この価格差であればもう少し頑張って「EQUIPE」にしておいた方が、将来的にはよいかもしれません。
【RS6 EX】
参考価格:¥140,400
リア9速の「ソラ」がメインコンポとなり、ホイールも少しグレードが下がります。
変速段数はレースでない限り10速も9速も大差はないので、価格がここまで下がれば、こちらを選択する意味はあるかと思います。
アンカーRS6のインプレ評価
最後にアンカー「RS6」の、試乗インプレの情報をまとめておきます。
アルミのレースモデルは硬い印象になることが多いのですが、RS6は衝撃吸収性を絶賛する声が目立ち、乗り心地がよいという評価も見られます。
この辺りはバテッドさせているチューブにより、適度にしなりが生まれ、上手く振動を丸めているからでしょう。
上位モデルはリムが柔らかめのシマノのホイールという点も乗り心地には関係していると思われますが、それにしてもアルミフレームで乗り心地の評価が高いというのは特筆ものです。
また、漕ぎ出しの軽さや巡航性の高さも、さすがRS9を基にしているだけあり、快適に加速していく感じがインプレ情報から伝わって来ます。
これならば、本来のレースの用途に加え、ツーリングなどのロングライドにも十分対応してくれますね。
扱いやすく乗り心地のよいアルミロード!
今回はアンカーのアルミロード「RS6」のお話をしました。
フラッグシップモデルRS9と同じコンセプトで作られているレースモデルですが、乗り心地や扱いやすさも加味され、用途や人を問わないモデルになっています。
アンカーにはセレクトパーツもありますので、自分なりの一台に仕上げて頂ければと思います。