機種が減っても存在感は変わらない!ピナレロ「GAN」の評価

高級なロードバイクを多く扱うイメージがあるイタリアンブランドの中でも、とりわけピナレロの「DOGMA(ドグマ)」シリーズは性能も価格も飛び抜けており、別格の存在ではないでしょうか。

そのため、ピナレロでは裾野を広げるためのセカンドグレードの存在が必要不可欠となり、その役目を担ってきたのが「GAN(ガン)」です。

今回はその「GAN」について、インプレッション情報や評価なども参考にしながらご紹介していきます。

ピナレロはレースに勝ち続け評価されてきたブランド

ピナレロをひと言で表すのであれば「レース屋」です。

近30年くらいのロードレースの歴史においては、ピナレロ抜きで語ることはできないと言っても過言ではないほど、とにかくレースに勝っています。

ピナレロは、レースに勝ち続けることで評価を上げてきたわけなので、もの作りもレース優先となるのは必定です。

そして、今のピナレロはその答えを「エアロロード」としているようです。

エアロロードは、空気抵抗の低減を最優先にしたフレーム形状とパーツの組み合わせで、ピナレロのみならず今のロードバイクでは、完全に一つのカテゴリーして認知されています。

ピナレロはそのエアロ形状のバイクが非常に多く、フラッグシップモデルの「ドグマF10」を始め、2019年モデルとしてモデルチェンジを果たした「PRINCE (プリンス)」、そしてグランフォンド(長距離走行向け)の「ドグマK10」ですら完全なエアロ形状です。

そして、今回の主役「GAN」は、ドグマが完全にエアロ形状となった「F8」のセカンドグレードとして誕生していますので、もちろんエアロロードになります。

レースモデルを扱うメーカー(ブランド)の品ぞろえ

前項でピナレロは「レース屋」であると述べましたが、ロードバイクを扱うメーカーは情熱の傾け方や規模の大小の違いはあっても、レースを前提にしていることに変わりはありません。

世界のビッグレースを戦うチームにバイクを提供する、そして勝利することで評価を上げていく、これがスポーツバイクメーカーに課せられた宿命なのです。

世界のビッグチームに供給されるモデルは、極上の素材を使用し、最高の技術をもって製造されますので、目が飛び出るほどの高額になります。

しかも、「レースで使用する機材は基本的に市販されているもの」とされているので、そういった最高級品も市場に並びます。

そのため、ピナレロもそうですが、「トレック」や「スペシャライズド」、最近では「キャニオン」や「サーヴェロ」など、ツール・ド・フランスを走るようなブランドのハイエンドモデルは、いずれも100万円を軽く超えるようなものばかりです。

しかし、それだけで商売ができるはずもなく、もう少し一般のホビーユーザーに寄り添った機種が必要なので、セカンド、サードグレードのものが重要になってきます。

「GAN」は正にそのセカンドグレードとして誕生したモデルであり、上位グレードのコンセプトを引き継ぎながら、素材やパーツを考慮して価格が抑えられています。

ピナレロ「GAN」に与えらえた使命は?

今回はピナレロの「GAN」をご紹介するのですが、既に発表されている2019年モデルでは前年に比べ大幅にラインナップが減少しました。

先ほども触れましたが「GAN」は、「ドグマF8」のセカンドグレードという評価でした。

ドグマは2018年に「F10」が登場し、2019年モデルからは「F10」に一本化されますので、「F8」は市場を去ることになります。

さらに、モデルチェンジを果たした「プリンス」が、「ドグマF10」を継承したセカンドグレードに収まるため、「GAN」は縮小される流れになったようです。

これは筆者の推測も入りますが、2019年モデルの「GAN」に与えられた使命は、ピナレロのユーザーの裾野を広げることではないかと思われます。

セカンドグレードとなった「プリンス」の完成車で、コンポに「シマノ・105」を搭載した機種は約42万円します。

しかし、「GAN」はコンポを「シマノ・105」にしたモデルでは約32万円です。

32万円を高いと見るか安いと見るかは個人の価値感によっても違うとは思いますが、同じエアロロードとして10万円安いのですから、ユーザー層が広がってもおかしくないはずです。

ピナレロ「GAN」2019年モデルの評価①

それでは、ここからピナレロ「GAN」の2019年モデルを詳しくご紹介します。

「ドグマF8」は2015、2016年のツール・ド・フランスを連覇した機種であり、その技術やコンセプトを受け継いでいるのが「GAN」です。

2019年モデルは完成車1機種となり、「シマノ・105」が新モデルになっていますが、「GAN」の機体自体は、2018年からの大きな変更点はありません。

良い意味でドグマよりも剛性が抑えられている「T600」カーボンを使用したフレームは、エアロロードではスピードと相反する、乗り心地の良さや扱いやすさなどを加味してくれます。

そこが「GAN」の最も大きな特徴であり、「長距離を乗りたくなる」「坂も登れるエアロ」などという評価もあります。

筆者も以前のモデルに試乗したことがありますが、その際に一緒に試させてもらった「ドグマF8」とは明らかにフレームへの味付けが違うことを実感しました。

F8は踏んだら踏んだだけ前に進む感じで、一瞬の加速力は怖さすら感じさせました。

一方「GAN」は、徐々に加速していく感じで、適度にタメが効いているので、非常に安定感があり、快適性を重視しているのが分かる乗り味でした。

ピナレロ「GAN」2019年モデルの評価②

前項に引き続き、ピナレロ「GAN」の評価についてお話しします。

前項では乗り心地や扱いやすさに関する評価でしたが、ツールを制したモデルの直系ですから、レースモデルらしさももちろん損なわれてはいません。

ピナレロ独自のカムテール形状である「フラットバック」や、狙ったところに車体を持って行ける「ピナレロハンドリング」といった部分は、F8から忠実に受け継いでいます。

そのため、本格的エアロロードとしての空力性能や、スピードのキレなどは損なわれておらず、そのままでもレースに参戦できるレベルと評価する声もあります。

また、2019年モデルは、ボディカラーが発表当初から高い評価を受けています。

2018年モデルは、艶消しのカーボンブラックを基調としたものが多かったのですが、2019年モデルは発色の良いブルーやレッドが採用されており、存在感を十分にアピールしています。

ピナレロ「GAN」は新・105搭載によりさらに評価が上がるはず!

ピナレロ「GAN」の2019年モデルは、付属コンポを2種類から選択できます。

2017年にリア11速として復活をしたカンパニョーロの「Centaur(ケンタウル)」、そして2018年にR7000系にフルモデルチェンジを果たした、シマノの「105(イチマルゴ)」です。

いずれも旬なコンポで甲乙つけがたいところですが、ケンタウル搭載モデルの方が10万円ほど高額になります。

筆者はケンタウルを使用したことが無いので評価は出来ませんが、割と多くのインプレッション情報で、使用感が105と同レベルという評価が目立ちます。

仮にそうであるならば、筆者は断然105モデルの方を推したいですね。

新・105は完成車としては2019年モデルがデビューですので、本当の意味での旬になります。

空力性能を意識したスリムなデザインに、剛性がアップしたクランクやブレーキは、エアロロードの「GAN」にはベストマッチなコンポになったかと思います。

STIレバーもブレーキに手が届きやすくなったという評価がありますし、ワイヤーのテンションを自動で調整するアジャスター機能が内蔵されたフロントディレイラーも高評価されています。

まだまだ十分に存在感がある!

今回は、ピナレロのエアロロード「GAN」をご紹介しました。

2019年モデルは機種を減らしての展開になりますが、ツールを制したモデルの直系としての存在感は変わりません。

新・105との相性も抜群と思われますので、2019年モデルからも引き続き目が離せません。