ヒルクライムのためのロードバイクのコツ?

こんにちは、じてんしゃライターふくだです。

「ロードバイクのヒルクライムを速くしたり、楽にするコツってないの?!」
そんなことを不意に聞かれたりしました。

「いや、そんなコツ、僕に聞かれても。知ってれば今頃優勝し放題だよ」

「優勝までしなくてもいいから、コツだよ、コツ!お前の方が長く乗ってるだろ?」

まあ、そんなわけで、ヒルクライムのためのロードバイクのコツを考えてみましょう。

そもそものロードバイクのコツ①

ヒルクライムに限らずロードバイクという乗り物は、乗るのにちょっとしたコツがあります。

簡単に言ってしまえば、『疲れないように楽して走る乗り方』と、『少し疲れるけれど速く走る乗り方』と、『その中間くらいの乗り方』みたいなのがあります。

まずは平地で、その3つを覚えましょう。
『疲れないように楽して走る乗り方』

速度がある程度乗れば、脱力して楽な態勢で惰性でペダルを回します。
『少し疲れるけれど速く走る乗り方』

簡単に言えば、信号から走り始めるときには、ちょっと疲れるけれど、早く速度を乗せてしまった方が楽な場合も多いので、ぐいぐいっとダンシングを少し入れます。
『その中間くらいの乗り方』

速度が落ちるようであれば、また少しダンシングを入れることもありますし、そのまま落とした速度で楽な辺りでクルクルとペダルを惰性で回して、『楽して乗る』に入れます。

ヒルクライムの場合、これに後方への力・重力が掛かるから、しんどいというだけのことですので、まずはこの3つの乗り方を覚えます。

そもそものロードバイクのコツ②

平地でもヒルクライムでも、初心者の方がまず苦手なのが、『疲れないように楽して走る乗り方』ですね。

これはコツというより、ロードバイクのための体の内側の筋肉、体幹がまだできていないので、車体の上でリラックスできないわけです。

また、ロードバイクにまだ馴染み切れていないので、重心をどこに置けば良いか分からないということもあるかと思います。

これを解決する分かりやすい練習方法は、『腕と肩を脱力して、手はハンドルに添えるだけ』を意識して乗ることです。
速く走らなくて良いです。

いきなりは少し難しいかもしれません。

でも、上手に走れる人を見てください。
多分、上半身がすごくリラックスしてると思います。

逆に下手な人を見てみると、上半身に無駄な力が入っているのが分かるでしょう。

日本人でツール・ド・フランスを走る新城選手は、独特の背中が反るフォームですが、腕周りはしっかりリラックスしているのが分かると思います。

著作権の関係で新城選手の写真は貼れませんので、「新城 幸也 フォーム」などで画像検索してもらうと分かると思います。

骨盤は立っていようが立っていまいが良いですが、平地を集団で巡行するときの上半身の脱力は、どの選手にも必ず共通しています。

脱力と手は添えるだけを意識して乗っていると、腕で支えないぶん、段々と体幹も強くなってきます。
また、上半身をリラックスさせるための自転車の上での重心の取り方が、感じれるようになると思います。

そもそものロードバイクのコツ③

次に『少し疲れるけれど速く走る乗り方』、つまりダンシングですね。

ヒルクライムでも使うダンシングのコツは、さっきの『ロードバイクの重心の感覚と体幹の延長』です。

まずは右足を下にした状態にします。
立つというより、少し腰を浮かせます。

そして、車体を軽く右に倒すようにします。

重心の感覚が理解できていれば、「自転車をこの程度右に倒せば、左足に体重を移さないと倒れてしまうな」というのが分かると思います。

このとき、左足にぐいーっと体重がかかるので、この力でペダルがぐいーっと下に回ってくれるわけです。

左足が一番下に来たら、今度は逆に車体を左側に傾けますと、さっきと逆の方に重心を移す必要があるので、右足に体重がかかります。

右足が上から下に来るように、ぐいーっとペダルが回ってくれますね。

最初は、それぞれの動きをバラバラにします。
つなげなくて良いです。

車体を傾けて、バランスを取るために重心を移して、体重でペダルがぐいーっと動く感じを覚えます。

そのコツを覚えられたら、ちょっとずつで良いので、つなげていきます。

言葉で言うと分かりにくいですかね。
まあ、頑張ってみてください。

カクカクせずにスムーズに繋げることができるようになったら、それがダンシングです。

パタパタとロードバイクが左右にダンスしてると思います。
これが、ダンシングの基本的な原理です。

『立ち漕ぎ』ではなく『ダンシング』です。

立ち漕ぎは人間が上下に動きますが、ダンシングはロードバイクが左右に動きます。
人間はあまり動きません。

あとの細かいところは実際にやりながら、前傾の具合とか自分がやりやすいところを探してみてください。
原理さえ合っていれば、とりあえずの細かい点は大丈夫です。

ヒルクライムでのコツ①

さて、平地で楽するロードバイクの乗り方とダンシングのコツを、何となく習得できましたか?

ダンシングと楽をする『中間くらいの乗り方』については、適度に2つを混ぜるというだけです。
ほんのり腰を動かしてダンシングっぽく漕いだり、人によって感覚は違うと思います。

この適度というのが、ヒルクライムでは重要です。

ヒルクライムの傾斜にもよりますが、きつい角度だと『楽して走る』は、ほとんどできません。
でも、考え方は同じです。

ダンシングで頑張るところと、シッティング・座り漕ぎで比較的リラックスして登るところと、その中間と。
この3つを組み合わせます。

正確に言うと、これは疲労度じゃなく、使う筋肉の箇所を微妙に変えているんです。

筋肉の動かし方を3種類作ることで、ひとつが頑張ってる間は2つが休めるというわけです。
そして、バテる前に切り替えていくわけです。

筋肉の専門家じゃないので、どのときにどこの筋肉が動いているとも言えないのですが。
だいたいに、そういう感じで登ると何とかやっていけます。

基本的には、ダンシングは1番疲れてしまいますので、あまり長くしてはいけません。
この適度な切り替えポイントは、実際に坂を上ることを繰り返して、自分の体と対話して覚えていくしかないです。

どの辺まで自分の体は耐えられるかは、あなた自身にしか分かりません。
5回ダンシング、15回シッティングを機械的に繰り返し続ける、という風にルールを決める人もいますね。

ヒルクライムでのコツ②

さらに話を進めていきますと、ダンシングにも何種類かあります。

思い切りハンドルを手前に引くように背筋を使って、全身の力で頑張ったり、落ちてきた速度を調整するために、軽く立つくらいだったり。

ダンシング時の腰の前後の位置を変えるのも有効です。

一般的にはバテてくると腰が前に出て、ダンシングじゃなくて立ち漕ぎみたいになってしまいますが、これは体が楽しようとして、使う筋肉を別のところにしようとしているわけです。

意図的に、これを時々入れて、休むためのダンシングとするのもアリです。

ロードバイクのハンドルの握る位置を変えるのも、ヒルクライムでのコツです。

下ハン・ブラケットポジション・手前。
あとは最近のシマノのSTIはブレーキの握るところが長くなったので、そこを握るのも使えます。

前傾が変わると、筋肉の動く方向の角度が変わります。

シッティングの際には、ギアを軽くしてケイデンスを上げるのも良いかもしれません。

しかし、意外とヒルクライムが得意な人でもケイデンス低めの人もいるので、どちらが良いかは試してみるしかないでしょう。

ヒルクライムに楽な方法はない

言葉だけなので、少々分かりにくかったかもしれません。

でも、とにかくコツとしては、ロードバイクを漕ぐときに使う筋肉を変えていくということです。
同じ筋肉を使い続けていると、筋肉はへたります。

一度へたってしまった筋肉は、10分そこらでは回復しません。
へたらないように、バラしていくわけですね。

「言葉の上では分かったけど、そんなに都合良くいくの?」
そりゃ、そんなに都合良くいきませんよ。
だから、僕も勝ててませんし。

でも、まあ、何も知らないよりは知っていた方が良いでしょう。

ただ、繰り返しますが、実際には僕自身は、さほどヒルクライムは得意じゃないです。
苦手ということもないですが、坂が得意な人たちの前では軽く蹴散らされてしまいます。

そういう人間の言う方法なので、話半分程度で試してみてくださいませ。

ただ、ヒルクライムがすごく得意な人にヒルクライムのコツを聞いても、
「え、登るだけだよ。登ってれば登っていくでしょ」
みたいにしか答えてくれません。

もちろん、彼らに悪意はありません。

昔からヒルクライムが得意な人って、そういう感じなんです。

逆を言えば、理屈抜きで最初から登れてしまうタイプの人のことを、ヒルクライムが得意な人って呼ぶわけです。

あるいは練習してヒルクライムを克服した人も、いっぱい登って克服したという人が多いので、やはり「登るだけだよ」となってしまうのです。

まとめ『コツっていう程のコツはないのだけれど』

何だか結局、楽して登れるコツには、たどり着けませんでしたね。
すみません。

でも、プロの選手のレースなどを改めて見てみると分かりますが、今回話した内容のように、ほとんどの選手が途中でダンシングをしたり、シッティングをしたりします。

ダンシングでも、よく見ると何となく、さっきとフォームが違う別のダンシングを使っていたりします。
何種類か漕ぎ方を持っておくと良いわけです。

まあ、そんなに深く気にしなくても、自転車が好きでちょくちょく峠にも行っていれば、いつの日か気付いたら、ある程度は登れるようになっています。

それ以上はトレーニングが必要ですけど、それは、またその時に考えましょう。
まずは楽しく行きましょ。