アルミロードの逆襲!トレック・エモンダALR5の実力に迫る

トレックのアルミロードバイク「Emonda(エモンダ) ALR5」はアルミシリーズの最上位モデルであり、トレック史上最軽量のアルミフレームがとなっています。

全てのグレードでクラス最軽量を目指すというエモンダのコンセプトはもちろんアルミのALR5にも継承されており、方向性がハッキリしている上に安価ということで注目を集めています。

今回はそんなトレックのエモンダ・ALR5の魅力に迫っていきます。

トレック・エモンダALR5にも見えるアルミフレームロードバイクの再興!

ロードバイクはメジャープロレースのトレンドが市場にも反映されるため、ここ10年来のレースでのカーボンフレーム一択の影響を受け、各メーカーともカーボンフレーム中心のラインナップになっています。

一方アルミは2000年代後半まではメインの素材としてプロレースで活躍をしていましたが、カーボンの台頭によって劣勢は否めず、ツール・ド・フランスなどのメジャーレースからは完全に退いています。

現在はカーボンよりも安価という特性を活かし、プロ仕様のレプリカモデルや、入門モデルとしての位置づけが多くなっています。

しかし近年トレックも含むアメリカメーカーやアジアのメーカーが、アルミフレームのロードバイクに力を入れ始めています。

「アルミのキャノンデール」とまで称されるキャノンデールの「CAAD」シリーズの高性能さはあまりにも有名ですが、他のメーカーも負けず劣らず素晴らしいアルミフレームを送り出しています。

台湾の「メリダ」はエースバイクの「スクルトゥーラ」において、今までは考えられないようなセミエアロ形状をアルミで見事に表現しています。

また、日本の「ブリヂストン・アンカー」は「RLR6」という機種で、上位モデルのカーボンバイクの乗り味に限りなく近づけたアルミフレームを実現しており、ブラインドテストでは多くのテストドライバーがその乗り心地を称賛したという話があります。

そういった流れの中で2019年に完全モデルチェンジを果たしたのがトレックの「エモンダ・ALR5」であり、これもアルミフレームの再興に間違いなく一役買う存在になっています。

トレック・エモンダALR5のフレーム概要

トレックのロードバイク・エモンダALR5は、エモンダのアルミフレーム最上位グレードになります。

リムブレーキモデルとディスクブレーキモデルが用意されており、2020年モデルの完成車の価格はリムブレーキモデルが196,900円(税込)、ディスクブレーキモデルが240,900円(税込)となっています。

フレームはトレック独自の高品質なアルミ素材である「300alphaアルミニウム」を、ハイドロフォーミングという成形技術を用いて加工されています。

力の掛かる部分は厚く、それ以外は薄くするという技術で軽量さと剛性のバランスを図り、強度を落とすことなく軽量化を実現しています。

ALR5はエモンダ全体で見ればグレードは下位になりますが、上位グレードのカーボンフレームと同じジオメトリが採用されており、走りの質に関しては決して下位グレードというものではありません。

また、何よりもこの価格帯のアルミロードバイクでカーボンフレーム並みの走りと評価を受けるのは中々ないことであり、究極のコスパの高さと言っても過言ではないでしょう。

トレック・エモンダ・ALRの見た目の評価

トレックのエモンダ・ALR5は優れた素材とトレックの高い加工技術でカーボンフレーム並みの走りが実現されていますが、見た目の素晴らしさも特筆ものです。

アルミフレームの泣き所であるチューブ同士のつなぎ目の粗さですが、「インビジブル・ウェルドテクノロジー」により少ない材料で溶接されているため、溶接痕が目立たず非常に美しい見た目になっています。

また、2019年のモデルチェンジにおいて、ワイヤー類がケーブル内蔵になり、スッキリとした見た目になったのも高級感が出たと評判になりました。

パッと見はカーボンフレームとそん色がないという評価もあるくらいで、走りと共に見た目もカーボンに近づいており、このバイクの人気に大きく貢献しています。

そしてトレックに今まで無かったボディーカラーである、新色のパープルが加わったのも特筆ものです。

見る角度によって印象が変わる色であり、美しい表面加工によってきれいな光沢を放つ注目のカラーになっています。

トレック・エモンダALR5を支えるメインコンポ

ここではトレックのエモンダALR5のスペックをご紹介します。

メインコンポはシマノ・105の最新モデルR7000系で、コストカットの対象になりがちなクランクも105で統一されているのがポイントが高いところです。

また、2019年に105はR7000系になったタイミングで油圧式ディスクブレーキが加わりましたが、ALR5のディスクブレーキモデルにももちろんそのまま採用されています。

そして、ALR5リムブレーキはボルト2本でフレームに固定するダイレクトマウントブレーキとなり、アームの振動が少なく強い制動力が得られます。

105はシマノの位置づけではレース用のコンポですが、汎用性が高く扱いやすさも重視されています。

特にR7000へのモデルチェンジではシフト・ブレーキ一体型レバーがコンパクトになり、ラバーの形状も変わり握りやすくなっています。

また、リアディレイラーが上位モデルと同じ横への張り出しを抑えることでトラブルを減らすシャドー形状になるなど、ALR5にとってさらに大きな味方となるコンポになっています。

トレック・エモンダALR5の特筆すべきスペック

前項に引き続き、トレックのエモンダALR5のスペックをご紹介します。

ホイールはトレックのパーツブランド「ボントレガー」のチューブレスリムを採用していますので、将来的なカスタムとしてチューブレスタイヤを履くことも可能です。

そしてトレックが近年力を注いでいる、ステムに直接サイクルコンピューターやライトなどのアクセサリーを取り付けられる「Blendr(ブレンダー)」も搭載されています。

ALR5にはボントレガーのライトやサイクルコンピューターの取り付けマウントが付属してきますので、ブレンダーをフル活用することができます。

さらに、ボントレガーの「デュオトラップSセンサー」をフレームに内蔵できる仕様になっています。

デュオトラップSセンサーはケイデンスとスピードを測ることが可能で、その読み取った数値はボントレガーはもちろん、「ガーミン」のサイクルコンピューターやスマホのアプリと連動して確認することができます。

従来であればセンサーは結束バンドでフレームに括り付けていましたが、フレームに内蔵されることにより見た目がスッキリし、走行中にずれるリスクも減少しています。

トレック・エモンダALR5のインプレ情報

それでは最後に、トレックのエモンダALR5のユーザーや試乗をした方のインプレ情報を確認しておきましょう。

やはり多くのライダーが感じているのは走りの軽さの部分であり、代々カーボンフレームのエモンダに乗ってきた方の比較でも、ホイールの重さを差し引けばかなり近い評価もできるようです。

特にペダル周りの剛性が高めなことから、踏み込んだだけの力がそのまま推進力になる感じを伝えていたインプレ情報に筆者は共感を覚えました。

また、衝撃吸収性の高さを伝えるインプレも多く見られ、100km程度のロングライドを毎週こなしているライダーの情報では、脚に負担の掛かるポイントで絶妙なしなりがあるため、ライドの終盤まで脚が残せるとのことです。

そして筆者が確認したほぼ全てのインプレ情報で共通していたのは、アルミとはとても思えない高級感のある仕上がりと溶接痕の目立たなさからくるデザインの美しさを称賛する声です。

特に新色のパープルは所有欲を満たしてくれるという意見が複数見られ、部屋に飾って眺めておきたいという意見がそれを端的に表しているかと思います。

ただしマイナス面も指摘されており、特にホイールの重さを残念と思っている意見は目立ちますので、この価格帯のロードバイクの宿命であるホイールの交換は早いうちに検討したほうがよいでしょう。

実際に見て、乗って良さを体感すべし!

近年世界的にアルミフレームのロードバイクが進化している印象がありますが、トレックのエモンダALR5も間違いなくその進化している中の1台に数えられるレベルです。

性能と見た目の美しさはカーボンフレームとの差が確実に縮まっていることを感じますし、組み合わされているパーツやシステムも必要十分以上のものがありコスパも高いので、所有欲を満たしてくれるモデルと言えます。

実際に自分の目で見て、乗ってみるともっと実感できるはずですので、ぜひお店に足を運んでみてください。