イタリアの老舗自転車メーカーであるチネリのカーボンハンドルと言えば「ネオモルフェ」です。
特徴的な造形や手のひらへのフィット感が人気で、長い間トップクラスの人気を誇っています。
しかし、シマノのSTIとの相性が少々良くないとのインプレを見かけます。
今回は、そんなチネリ・ネオモルフェのお話をします。
ロードバイクのパーツ交換メリット①~ハンドルは?
ロードバイクに慣れてくると、色々なパーツをカスタマイズしてみたくなってくると思います。
もちろん、個人の好みが最優先なんですが、自分の自転車をどうしたいのかという目的で、カスタマイズすべきパーツが変わってきます。
もっと速く走りたいと思えば、最も即効性があるのは『ホイール』と『タイヤ』です。
自転車のパーツの中で最も空気抵抗の影響を受けやすい部分のため、ここを軽量化したり高性能な物に交換すると、スピードの変化をより大きく実感できます。
長時間走ることが多いので、乗り心地を改善したいと思えば、コンポーネントやサドル周りということになります。
安全面を考慮するなら、まずブレーキですね。
ロードバイクのブレーキは、スピードをコントロールする役割も大きいので、より重要です。
ヒルクライムなどを頻繁に行う人は、サドルやシートポストを軽量化すると効果が実感できます。
と、ここまでお話を進めていると、そろそろ「今回はハンドルの話だろ?」となりますよね。
個人的な意見かもしれませんが、ハンドルは交換による効果の実感が、他のパーツに比べて少ないと思います。
今回のテーマでもあるチネリのネオモルフェなどは2~3万円はする代物ですから、もし同じ費用を掛けるなら、他のパーツを優先した方が良いかもしれません。
ロードバイクのパーツ交換メリット②~ハンドルの優先順位
ハンドルはロードバイクの乗車姿勢を決める大きな要素であるのは間違いないので、いずれ交換は必要と思いますが、よほど重大な故障でもない限り、正直最後の最後で良いくらいだと思います。
ロードバイクは、確かに軽ければ軽い方が良いです。
しかし、これは単なる重量の話ではありません。
自転車は手で持つものでは無く、走らせる物なので「走りの軽さ」が重要ということです。
ハンドルも、アルミやスチールからチネリ・ネオモルフェのようなカーボンハンドルに交換すれば、100g程度の軽量化は図れます。
しかし走りの軽さには、ほぼ無関係なので、やはり足回りを交換するのとは、効果が段違いと言わざるを得ません。
ここまで少し否定的な意見を並べてしまいましたが、あくまでも最初のカスタマイズをする際の優先順位の話です。
ロードバイクのドロップハンドルは持つ位置によって乗車姿勢を変えることができたり、持ち場所が多いことで、体へのダメージを分散できるメリットがあります。
ですから、こういったメリットを享受したいと思ったら、交換を考えてみてください。
チネリ・ネオモルフェの実力
ではここからは、チネリ・ネオモルフェの話をしていきたいと思います。
ネオモルフェの特徴は、何と言っても独特な形状にあるでしょう。
自由に造形しやすいカーボン素材の特徴を生かし、随所に持ちやすさや握り心地の良さを感じられる作りになっています。
まず、ドロップハンドルで最も握ることの多いブラケット部分ですが、微妙にくびれさせることで指を3本添えられる設計になっています。
上ハン部分は真っ平らではなく、絶妙にウェーブが掛かっていて角が立っていないので、大変握り心地が良くなっています。
また、絶賛している人が多いのがドロップ部分で、まず単純に他のハンドルよりも長いので、手の小さな人にはありがたいです。
そして、付け根が「ここを握ってくれ」とアピールしているかのように、グイッと持ち上がっているので、非常に持ちやすいです。
あとはブレーキやシフターのケーブルを内蔵できるようになっているので、わずらわしいケーブル処理に一役買ってくれそうです。
チネリ・ネオモルフェとシマノSTIレバー
さて、ハンドルと言えばブレーキとシフターのレバーを取り付けなければいけません。
現在のロードバイク用のレバーは、ほとんどがブレーキにシフターが付いた一体型の物で、ハンドルのブラケット部に1本だけ装着すれば済むようになっています。
中でもシマノのSTI(シマノ・トータル・インテグレーション)が変速性能に優れており、最も多く利用されているレバーです。
ところがチネリ・ネオモルフェには、このSTIの取り付けに関して、少々問題があります。
ネオモルフェには「この部分にレバーを取り付けてくれ」という目安の部分が少しザラザラになっています。
しかし、それを参考にシマノのSTIを取り付けると、かなり下に付いてしまいます。
これはネットで検索すると分かりますが、本当に多くのユーザーさん達が悪戦苦闘しながら最適なポジションを探しているのです。
もちろん、多くの人が少し上目に取り付けていますし、機能的に大きな問題はなさそうですが、せっかく指を3本添えられる設計になっているのに、ブラケット部分が窮屈な感じになるのは残念ですね。
ハンドルの交換は手間が掛かる
さて、チネリ・ネオモルフェの話をしてきましたが、ハンドルの交換に興味を持たれたでしょうか?
ここまでのお話の中でも、ちらほらと出てきていますが、ハンドル交換は思いのほか手間が掛かります。
まず、一旦すべてのケーブル類を外すことから始まり、バーテープやSTIを外して、ようやく古いハンドルが外せます。
そして新しいハンドルを取りつけるのですが、このときにハンドルとフロントフォークを繋ぐ「ステム」も交換する可能性があります。
ステムはハンドルの高さと前後の距離を決定するので、今までのハンドルでは最適であっても、新しいハンドルとの相性は保証できませんので、事前に確認しておく必要があります。
そして、STIレバーの取り付けとブレーキ、シフターのケーブル調整があります。
STIレバーを仮止めして、適正なケーブル長を決め、ブレーキと変速機に接続します。
もちろん、ここでブレーキの効き具合や変速がスムーズにいくかどうかを確認して、調整もしなくてはなりません。
あとは新しいバーテープを巻いて終了ですが、ネオモルフェはハンドル表面に結構起伏があるので、バーテープ巻きに苦労するかもしれません。
途中少し端折った部分もありながら、ざっとこのくらいの作業が必要になりますので、自転車のカスタマイズに慣れている人でも、手間が掛かります。
チネリ・ネオモルフェと同じ価格帯のパーツ
さて、チネリ・ネオモルフェですが、良いハンドルであることは間違いないと思います。
しかし、ネックになるのは、その価格ではないでしょうか。
ネットショップでも25,000円くらいですから、決して安い買い物ではありません。
ここで考えたいのが、冒頭の方でもお話したカスタマイズの優先順位です。
ネオモルフェの価格に1万円ちょっと頑張れば、カンパニョーロの人気ホイール「ゾンダ」が手に入ります。
他のメーカーの同価格帯であれば、フルクラムの「レーシング3」、シマノなら「アルテグラ」なども人気があります。
もちろん、個人の趣味・趣向に口を挟むつもりはありませんので、参考程度として頂ければ幸いですが。
また、これからヒルクライムなどを本格的に始めようとしている人であれば、ホイールの次にサドルという手もあります。
ネオモルフェと同価格程度でカーボンの上位グレードまで手が届くと思いますし、シートポスト込みで交換できるかもしれません。
ハンドルよりも、軽さが実感できるのでおすすめです。
ハンドル交換はロードバイクに精通してからが良い!
チネリのネオモルフェは、ハンドルとしては、かなり高級で高性能な部類に入ると思います。
しかも、今回お話したようにハンドル交換は、手軽なカスタマイズではありません。
それだけにロードバイクに慣れて、胸を張って「自転車が趣味です」と言えるレベルになってからでも、遅くないのではないでしょうか。