シマノのクラリスといえば、6万円から10万円のレンジのロードバイク完成車に付属しているコンポーネントですが、果たしてクラリスの性能や使い心地はどうなのでしょうか。
エントリーモデルではあるものの、使い心地やシフトフィーリングを良くしていくコツをお伝えします。
シマノ・クラリスとは
シマノ・クラリスは2013年3月に発売された、シマノのロードバイク用エントリークラスのコンポーネントです。
変速段数は、前2段・後ろ8段のものが、一般的に流通しています。
下のグレードには、7段のターニーがあります。
上のグレードには、9段のソラ・10段のティアグラ・11段の105・アルテグラ・デュラエースがあります。
変速の方法は、ソラ以上のモデルと同じ方法になり、下ハンドルでの変速がしやすくなりました。
シフトケーブルは外装式で、ソラが今年モデルチェンジしたことにより、外装式シフトケーブルを採用するモデルは、クラリスとターニーだけになりました。
クランクは、ソラ以上に採用されているホロ―テックⅡではなく、オクタリンクを採用しています。
クラリスは、一般的にエントリーモデルの完成車に付属しているコンポーネントであり、ほとんどの人は、上のグレードに取り換えてしまうことでしょう。
しかし、大幅なアップグレードをせずに、クラリス自体の性能をあげることはできないのでしょうか?
また、クラリスの良いところとは何でしょうか?
丈夫なシマノのクラリス
シマノのクラリスは丈夫です。
今でも、ツーリングバイクにクラリスを装備される方は多いです。
性能面では上のグレードに敵わないはずなのですが、なぜでしょうか?
その理由を探っていくことにしましょう。
クラリスは、後ろ8段変速ですが、使用するチェーンは、6段・7段用のものと共通です。
9段・10段・11段用のチェーンと比べると、使われているプレートが肉厚で、チェーン切れを起こしにくい構造になっています。
もし、チェーンが切れてしまったときでも、一般的な自転車店にかけこめば、6段から8段用のチェーンに交換してくれます。
なぜなら8段のチェーンは、変速機付きシティサイクルのチェーンと互換性があるからです。
しかし、9段以上となると、スポーツ自転車専門店でしか在庫していない場合が多いです。
チェーンが切れると、全く走れなくなります。
そのためにも、クラリスを装備するのはアリです。
チェーンが肉厚なのに伴い、スプロケットも肉厚です。
スプロケットも削れていくと変速できなくなったり、歯飛びがおこったりします。
肉厚なスプロケットは削れにくく、変速性能も長持ちします。
丈夫さとは関係ないのですが、変速が乱れたとしても変速調整が簡単です。
なぜなら変速段数が少なく、アバウトな変速調整でも、きちんと変速するようになるからです。
このように、なるべく変速系統のトラブルを少なくしたい方、とくにロングライドやツーリングをたしなむ方には、シマノ・クラリスはとてもちょうど良い塩梅のコンポーネントと言えるでしょう。
シマノ・クラリスの性能のウィークポイント
シマノ・クラリスそのもののウィークポイントというよりも、クラリスを搭載しているロードバイクのネガティブな面になってしまいますが、クラリスのネガティブな面にも目を向けてみましょう。
まずは、ブレーキの性能です。
ティアグラ以下のキャリパーブレーキの性能は、激しいライドには向かないことで有名です。
クラリスのブレーキもその例にもれず、タッチが柔らかくて、強く握らないといけません。
そのため、スピードコントロールが難しく、ブレーキングで余計に疲れてしまうことにもなるでしょう。
クラリス搭載のロードバイクには、クラリスのブレーキではなく、ノーブランドのブレーキが装備されていることも多くあります。
その場合は、クラリスのブレーキよりも、さらにスピードコントロールが難しくなります。
コストを下げるために仕方がないとはいえ、何とかしたいところです。
次に、使用されているシフトケーブルとブレーキケーブルについて述べたいと思います。
クラリス搭載のロードバイクには、コストカットのために、安いシフトケーブルやブレーキケーブルが使用されています。
安いケーブルは、高いケーブルとどう違うのでしょうか?
まずは、錆びやすさです。
高級ケーブルは、ステンレスを使用していたり、コーティング技術を使用していたりして、錆びにくくなっています。
しかし、安い完成車には普通の鉄ケーブルが使われていることが多く、少しメンテナンスを怠るとすぐ錆びて、ブレーキ性能やシフト性能に影響が出ます。
シマノ・クラリスの性能を上げよう
シマノ・クラリスの性能を上げていくには、先ほど述べたネガティブな面を消していけばいいわけです。
まずは、ブレーキに関して述べていきましょう。
ブレーキ自体を交換するのが、一番根本的な解決策です。
シマノ・105のBR-5700やBR-5800といったブレーキと交換すると、一気にスピードコントロールがしやすくなります。
もっと予算を節約したい方には、シフトケーブルとブレーキケーブルを高級品に交換してもらいたいと思います。
アルテグラやデュラエースのケーブルに交換していくと、シフトが一気に軽くなります。
ブレーキケーブルも高級品にしていくと、ブレーキ本体とブレーキレバーとのダイレクト感が増します。
ブレーキ本体を交換しなくても、ブレーキそのものの性能を引き出すことができます。
以前、SCSナノテフロンコーティングシフトインナー・ブレーキインナーという、非常に高級なケーブルを購入してみました。
後ろブレーキとリアディレイラーに使用してみました。
リアディレイラーの反応がとても早くなり、シフトも軽々になりました。
それ以上に驚いたのが、後ろブレーキの引きの軽さでした。
一般的には、前ブレーキのほうがケーブル長が短いため、後ろブレーキよりも引きが軽いのです。
しかし、この製品を装着した後ブレーキのほうが、一般的なステンレスケーブルを使用している前ブレーキよりも、引きが軽かったのです。
それほどケーブルというのは、コンポーネントの性能を左右するものです。
シマノ・クラリスのスプロケットを交換して変速性能を上げよう
スプロケットを変更せずに走り続ける方は多いです。
しかし、以前のツール・ド・フランスなどでは、コースプロフィールに合わせて、スプロケットを1枚1枚考えて組み合わせるのが普通でした。
スプロケットを変更することで、さらにシフトフィーリングを上げることができます。
シマノのクラリス搭載のロードバイクには、ほとんどの場合、ワイドレシオのスプロケットが付いています。
ワイドレシオとは、一番小さなギアと一番大きなギアのギア比の差が大きいスプロケットのことです。
なぜ安い完成車には、ワイドレシオのスプロケットが搭載されているのでしょうか。
それは初心者の脚力に合わせて、軽いギアもカバーしてあげよう、という意図があるからです。
しかし、ワイドレシオのスプロケットは、ひとつひとつのギア歯数の差が大きく、シフトアップするたびに足に衝撃が来てしまいます。
シフトダウンの際も、なかなかチェーンが上がってくれなかったりします。
それを解決するために、クロースレシオのスプロケットに交換しましょう。
ひとつひとつの歯数の差が少なく、シフト性能が上がります。
クラリスのスプロケットの場合、一番ワイドなものは11T-32Tで、一番クロースレシオなものは13-26Tです。
32Tは、よほどの激坂でしか使わないでしょうから、クロースレシオのスプロケットに交換して、シフト性能を向上させていきましょう。
クロースレシオにすることによって、シフト性能も上がりますし、使わない・使えないギアをなくしてしまうことによって、軽量化にもなります。
11段のコンポーネントを使っている方も、すべてのギアを使っているわけではなく、ほとんどの場合は、8段ぐらいしか使っていません。
クラリスのスプロケットのギアを、すべて使えるギア比のものに変更してしまえば、わざわざ10段や11段のコンポーネントにする必要もないでしょう。
まとめ:コンポーネントの性能の限界を引き出そう
シマノ・クラリス自体をアップグレードせずに、性能、特にブレーキフィーリングとシフトフィーリングを上げていく方法を述べていきました。
このアップグレードをしたからといって、ソラやティアグラになるわけではないのですが、もともとシマノのコンポーネントは、廉価版でもしっかり作られています。
あなた自身の手で、もしくは自転車店の店員さんにお願いして、シマノ・クラリスの性能の限界を体験してみてください。
他のグレードが気になる人はこちらをどうぞ!⇒『シマノのコンポ。soraと105の違いはどれくらいあるのか』
いかがでしたでしょうか?
クラリスでいいや、と思っていただければ幸いです。