世界一の販売台数を誇る自転車メーカーといえば、台湾に本拠を置く「giant」です。
多くの欧米メーカーのOEM生産も手掛けており、名実共に世界のトップに君臨しています。
そんなgiantはコスパの高さでも有名で、特にクロスバイクは5~6万円台で良品が手に入ります。
2017年に登場した【ESCAPE rx4】もそんな1台でしたが、1シーズンで姿を消すことになりました。
一体何があったのか?
検証してみましょう。
giantのクロスバイク「ESCAPE rx4」は1シーズンのみの展開だった
giantのクロスバイク【ESCAPE rx4】は、2018年モデルのラインナップからは外れましたので、現在も(2018年1月)販売を継続しているかは不明です。
【ESCAPE R3】がほぼ同じグレードなので、そちらに集約されたと考えられます。
フレームのアルミの素材は違いますが、rxシリーズとR3ではほぼ重量も変わりませんので、大きくグレードダウンしているわけでもありません。
ただし、rx4は2017年にリリースされたモデルですから、僅か1シーズンで姿を消すことになります。
リリースのときの触れ込みでは、R3とrx3の間のグレードということで、価格もR3より7,000円高い5.7万円でした。
しかし、R3はgiantのみならず、クロスバイク全体のベンチマークモデルとまで称される良品です。
そのため、rx4ならほぼスペックの変わらないRS3を選ぶユーザーが多く、1シーズンで販売終了となったのでしょう。
R3は2018年モデルも早々に発表され、新しいカラーバリエーションも増えたため、相変わらずの人気と聞いています。
giantのクロスバイク「ESCAPE rx4」振り返り
giantのクロスバイク「ESCAPE rx4」は、rxシリーズの最廉価版として2017年にリリースされました。
rxシリーズはR3をもう一段スポーティな仕様にしており、ロードバイクにも採用されている製法で作られています。
そのため、高剛性でシャキッとした硬めのフレームになり、よりスピードが楽しめるようになっています。
rx4はシマノのMTB用コンポ「アルタス」をドライブトレインに据え、フロント3速、リア8速のモデルです。
ところどころにはコストダウンの跡が見られますが、クロスバイクとしての基本性能は十分です。
ケーブルがチューブ内蔵式であったり、乗り心地を向上させた半円型のシートポスト「D-Fuse」を採用するなど上位モデルの技術を踏襲しています。
このような廉価版にも上位モデルと変わらない技術を投入するところが、「コスパのジャイアント」と言われる所以です。
しかし、せっかくフレームがスポーティーな仕様になっているので、リア8速では物足りないという声も聞かれました。
また、クランクが少し残念なレベルのため、それほど人気が出なかったと推測します。
クロスバイクに必要な条件とは
giantのクロスバイク「ESCAPE rx4」は上記のように、個人的には若干コスパに疑問アリという感覚でした。
これはもちろんgiant内で比較した場合であり、他のメーカーとの比較ではありません。
私は初めてスポーツ自転車に乗る人に「何が良い」と聞かれた際は、大抵giantのクロスバイクを勧めます。
私はクロスバイクに大切なのは、「手ごろさ」と「スポーツ自転車らしさ」と考えています。
スポーツ自転車初心者の方が乗ることが多いクロスバイクには、ママチャリとは全く違うという感動を味わってもらいたいです。
ママチャリとの一番の違いは走りの軽さとスピードなので、その基本性能を有していれば申し分ありません。
また、街乗り車として開発されているクロスバイクは、手が出しやすい価格で、無理のない姿勢で違和感なく運転できる「手ごろさ」が必要です。
giantのクロスバイクは、これらの要素が実にバランス良く組み合わされているので、自信を持っておすすめしています。
ただし、giantは世界一の販売台数を誇るスポーツ自転車メーカーなので、街には多くのgiantの自転車が走っています。
そのため、人と同じことを嫌う人は、避けた方が良いかもしれませんね。
giantのクロスバイク不動の1位はこれ!
giantのクロスバイク「ESCAPE rx4」は、先述通り2017年の1シーズンのみで販売を終了することになりました。
それはやはり「ESCAPE R3」の存在を抜きにしては語れないでしょう。
詳しい販売台数を調査したわけではありませんが、ランキング上位に入っていることは確実です。
スペックを見ても特筆することはありませんが、このバイクが最も良いのは全てがクロスバイクの必要十分な範囲で揃っているということです。
スポーツ自転車としてのスピードや快適さがある一方で、扱いのしやすさや価格面での手ごろさがあります。
フロント3速×リア8速の24段を、不服とするインプレもありますが、内装3段や外装6段のママチャリからの乗り換えなら十分ではないでしょうか。
ホイールやタイヤにはカスタマイズの余地がありますが、初期から即交換の必要があるほど低レベルなわけではありません。
しかも、R3はエンド幅が130mmなので、ロードバイク用のホイールに交換が可能です。
ホイールの選択肢が少ないクロスバイクにとって、後のカスタマイズを考えるとこれはとても大きなことです。
「ESCAPE rx」シリーズ~rx4以外はどうなのか?
giantの「ESCAPE R3」が必要十分なクロスバイクで、最初の1台に最適だとすると、rxシリーズはロードバイクへのステップ的な位置付けです。
実際に、2017年のrx4販売当初に試乗をした知人に聞いたことがありますが、反応が良くペダルの漕ぎごたえがあると言っていました。
また、ジオメトリの数値はクロスバイクの域を出ませんが、特にrx1は組み合わされているパーツがほぼロードバイクです。
カーボンフォークに、フロント2速のコンパクトクランク、コンポはチェーン以外全てロードバイク用のシマノ「ティアグラ」です。
スペックだけなら「フラットバーロード」といっても差し支えなく、ドロップハンドルにしたくなるような仕様です。
そして、こちらもエンド幅が130mmですので、ロードバイク用のホイールが換装できます。
ただし、10万円という価格は少し微妙に感じます。
10万円ならリア9速のロードバイクや、エントリーグレードですがMTBに手が届きます。
であるならば、コンポのレベルは多少下がりますが、同じフレームであるrx2(7.6万円)の方がコスパが高いように感じます。
giant「ESCAPE rx4」の後継機的存在
giantの「ESCAPE rx4」は5万円台でスポーツライクな走りを求めるには、最適だったかもしれません。
その意味ではR3では少し物足りなさがあるので、もう1台rx4の後継に成り得るクロスバイクを紹介します。
【CROSTAR(クロスター)】はフレームの素材のランクはrxシリーズよりも少し下がり、R3と同等になります。
しかし、Sサイズで9.9kgはrx1と同じですから、軽い走りが期待できます。
組み合わされているパーツを見るとコンポがR3よりワンランク上ですが、あとはほぼ同じです。
それでいてジオメトリが少し前傾姿勢になるスポーティさがあるので、rx4の後継と言って差し支えないかと思います。
スタイルに遊びがないと言いますか、かっちりとした角ばった自転車という感じなので好き嫌いはハッキリ出るかもしれません。
5.4万円という金額にしては大幅なコストダウンも見られないので、5万円台でスピード重視なら良い選択になります。
「ESCAPE rx4」以外にもgiantのクロスバイクには良品が多い
今回は「ESCAPE rx4」を振り返りました。
結果的には2017年ワンシーズンの限定販売の形になりましたので、惜しまれつつ市場を去った感じです。
ただ、giantには5万円台のクロスバイクがまだありますし、rxシリーズも販売は継続されています。
giantのクロスバイクは基本性能が高いですから、パーツをカスタマイズして自分なりの1台に仕上げていくベース機に最適ではないでしょうか。