クロスバイクは、ロードバイクとMTBの特徴を併せ持つ中間的な存在と言われます。
ただし、ハッキリとした定義が存在するわけでもないので、その線引きは割と曖昧です。
ビアンキのクロスバイクにもMTB寄りもあれば、ロードバイクに近いものもあります。
そこで今回は、ビアンキのクロスバイクをタイプ別に比較してみましょう。
ビアンキのクロスバイクは比較的スピード志向が強い
クロスバイクはMTBから派生した自転車なので、フラットバーハンドルに太いタイヤが基本です。
街乗り車として考えられているので、視界を開く必要があり、アップライドな姿勢で乗車出来るフレーム形状になっています。
また、全体的に安価なものが多くフレームも扱いやすいアルミが大半のため、スポーツ自転車初心者の方に向くとされています。
近年のクロスバイクは、少しスピード志向になってきています。
現在ほとんどのクロスバイクはロードバイクと同じ700cのホイールですし、タイヤも25cが珍しくなくなってきました。
ドロップハンドルに交換すれば、一般的なロードバイクと何ら変わらない「フラットバーロード」も各メーカーのトレンドになっています。
イタリアの老舗ブランドであるビアンキのクロスバイクにも、明らかにロードバイク寄りの波が来ています。
のちほど比較してみますが、MTB寄りであった【CAMALEONTE(カメレオンテ】シリーズは、2018年わずか1モデルのみになってしまいました。
ビアンキは、MTBカテゴリーに街乗り車として使用できそうなバイクがあるので、その影響もあるとは思います。
いずれにしても、クロスバイクもスピードを求める時代になってきたということです。
ビアンキのクロスバイクのシリーズ別比較
それでは、ビアンキのクロスバイクを確認していきましょう。
ビアンキのクロスバイクは、カタログ、ホームページでは「SPORT」のカテゴリーになっています。
【CAMALEONTE(カメレオンテ)】と【ROMA(ローマ)】の2シリーズがあり、計5機種あります。
そこに、電動アシスト機能付きが1台加わりますが、ノーマルなクロスバイクは5種類です。
先述したように、カメレオンテは1種類のみの展開で、他4機種がローマになります。
同じクロスバイクではありますが、比較すると両者にははっきりと違う特徴があります。
カメレオンテはMTB寄りの性格なので、チューブが太く肉圧でがっちりとしています。
MTB用のコンポに32c(32mm)という、ママチャリにもあるような太さのタイヤを採用しています。
とにかく、安定感と乗り心地を重視したモデルになっています。
一方のローマは、ロードバイク寄りなので、チューブが細身で洗練されたフォルムになります。
しかも、ローマの上位モデルは、シマノのロードバイク用コンポのフルセットを装備しています。
将来的にはロードバイクに乗りたいという人は、ローマの方が適しています。
ビアンキのクロスバイクで安定感を重視するなら
前項では簡単な比較でしたので、ここからはビアンキのクロスバイクを詳しく見ていきます。
まずは、「カメレオンテ」からです。
2018年は【CAMALEONTE 1】の1機種のみの展開で、価格は69,000円になります。
先ほども触れましたが、チューブが太くフレーム全体ががっちりとした骨太な見た目になっています。
そのため、フレームが衝撃を吸収して地面からの振動を除去してくれるので、安定感があり乗り心地が良くなっています。
フロント3速リア8速の標準的なクロスバイクのギア構成で、リアがワイドレシオなので漕ぎ出しや坂の上りが楽になります。
平坦な舗装路を中心に走るような用途には向きませんが、砂利や泥道などの悪路や、道中に坂が多いような場合は、カメレオンテをおすすめします。
なお、電動アシスト付きの【CAMALEONTE E】は他と比較できるものではないので、今回は対象から外します。
ビアンキのクロスバイクの象徴
次にローマシリーズを紹介します。
ローマシリーズはディスクブレーキ搭載が3種類、一般的なVブレーキ仕様が1種類となります。
カメレオンテの種類が減ったので、純粋に比較できるのはVブレーキ仕様の【ROMA 4】になります。
ローマ4はフレームこそ細身ですが、フロント3速リア8速はカメレオンテと同じですし、リアのスプロケットの歯数構成も同じです。
コンポもMTB用で、タイヤもクロスバイクの主流の28cです。
カメレオンテのフレームチューブは従来のものと比較してもかなり太めなので、少し異質な感じもあります。
そのため、ビアンキの中で「THE・クロスバイク」ともいえる象徴は、「ローマ4」になります。
価格も7万円と手ごろな方なので、スポーツ自転車としてのスピードと街乗り自転車の安定感のバランスを求めるなら最適の1台です。
【ローマ4】と比較してその他のローマシリーズはどうか?
「ローマ4」は非常にノーマルなクロスバイクですが、比較するとその他のローマシリーズは特筆事項がいくつかあります。
シマノのロードバイク用コンポのグレード別に、3機種がラインナップされています。
リア10速ティアグラ搭載の【ROMA】、リア9速の【ROMA 2】、リア8速の【ROMA 3】になります。
ほぼフルセットで、全てディスクブレーキを搭載しています。
個人的には、このバランスに少し違和感を覚えることもあり、ローマシリーズなら4をおすすめしています。
街乗り車であるクロスバイクに、ディスクブレーキほどの強い制動力が必要なのかどうかです。
用途が多様化しているとはいえ、クロスバイクはロードバイクのスピードを物理的に出せません。
また、ディスクブレーキは天候や路面状態に左右されない安定した制動力があるのは確かですが、MTBのように泥んこ道を走ることも少ないでしょう。
これも私の経験則ですが、雨の日や多少の悪路でも、Vブレーキの制動力に不安を感じたことはほとんどありません。
そのため、ディスクブレーキの分だけ重量が嵩み価格も上がっているのなら、私はローマ4に乗りたいと思う次第です。
ただし、将来的にクロスバイクをロードバイク仕様にカスタマイズしたい人は、ビアンキの上位モデルを選んでも良いと思います。
ビアンキはロードバイクとMTB中心と考えるべきなのか
ビアンキはクロスバイクと比較した場合、ロードバイクとMTBのコスパが非常に高いと言えます。
そのため、クロスバイクの印象が薄れてしまいがちです。
ただ実際に、MTBにはローマ4以外のローマシリーズよりも安価なものが多数あります。
もちろんディスクブレーキ搭載ですし、MTBですからサスペンション付きです。
本来のオフロードに加え、街乗りにも何の支障もありませんのでお得感があります。
また、ローマに1~2万円上乗せするだけで、手が届くカーボンフレームのロードバイクがあります。
これは2018年モデルのビアンキの革命と言われている1台なので、極端な例ではありますが、そのくらいコスパが高いのです。
クロスバイクの欲しい方に、MTBやロードバイクを推奨するのは違うかもしれませんが、自分の用途に合うようであれば選択肢に入れていいはずです。
少なくとも、ビアンキはMTBやロードバイクに特化したメーカーであることは、覚えておいていただきたいと思います。
ビアンキのクロスバイクはエントリーモデルに見どころあり!
今回はビアンキのクロスバイクについてお話しました。
特徴の違う2シリーズがあるので比較してみましたが、共にエントリグレードに妙味があると感じました。
しかし、少し残念なのが、ロードバイクやMTBに比べるとコスパが低い点です。
同じような価格なら、ロードやMTBに魅力あふれるものがあるだけに、致し方ないというところです。