台湾のメリダは世界最高峰のロードレースツアーである「ワールドツアー」に参戦を果たしたこともあり、ロードバイクが目覚ましい進化を遂げています。
中でもメリダが機材を提供しているチームがメインバイクとしているのが、オールラウンダーの「スクルトゥーラ」です。
一般市場でも多くのモデルがラインナップされており人気がありますので、今回はメリダのロードバイク・スクルトゥーラをご紹介します。
メリダのロードバイクの歴史
メリダは台湾に本拠を置く総合自転車メーカーで、販売台数は同じ台湾の「ジャイアント」に次ぐ世界第2位の自転車生産量を誇ります。
間もなく創業から50年を迎えますが、ロードバイクが脚光を浴びることになったのは、メリダのキャリアの中ではここ最近のことです。
なぜならメリダはアメリカメーカーの委託を受け、自社の名前を出さずに依頼を受けた先のメーカーの自転車を生産する「OEM」で発展をしてきたからです。
その中で自社ブランドも着々と実力を上げていきますが、OEM先がMTBの本場であるアメリカメーカーが多かったということもあり、自社ブランドもMTB中心の展開が長らく続きました。
スクルトゥーラを始めとするロードバイクは性能面では評価を受けていたものの、デザイン面が本場ヨーロッパのサイクリストに今一つ受け入れられず、MTBに及ばない評価が続きました。
しかし、1998年に今も開発拠点を置くドイツで自転車の設計を行うようになってから、デザインの評価も上がりロードバイクの販売数も伸びていきます。
そして冒頭でもお伝えしましたが、2013年よりツール・ド・フランスなども含まれる「UCIワールドツアー」に参戦を果たし、2018年シーズンにはツール・ド・フランスでチーム総合2位に入るなど、素晴らしい成績を残しています。
メリダの主力ロードバイク
それではスクルトゥーラの詳細をお伝えするする前に、まずはメリダのロードバイクのシリーズをご紹介します。
《SCULTURA(スクルトゥーラ)》
メリダのエース的存在で、最軽量のロードバイクでもあります。
バランスのよいオールラウンドモデルで、プロ仕様の技術をアマチュア用モデルにも落とし込んだコスパの高さも高い評価を受けています。
《REACTO(リアクト)》
今や各メーカーが主力としてラインナップすることが多いエアロロードで、メリダではスクルトゥーラと双璧を成す人気モデルです。
太いヘッドチューブにカムテール形状のダウンチューブ、扁平型のシートポストなど、エアロロードの王道をシンプルに表現したデザインをしており、派手さはありませんが空力性能は確かなものがあります。
リアクトもプロチームに供給されていますが、アマチュア向けモデルにはアルミフレームもあり、手ごろな価格でスピード走行が楽しめます。
メリダのロードバイクラインナップの脇を固めるシリーズたち
前項に引き続きメリダのロードバイクのシリーズをご紹介します。
《SILEX(サイレックス)》
MTBのジオメトリを採用したフレームに、太めのタイヤとディスクブレーキが標準装備された、荒れ地や未舗装路もこなすグラベルロードのカテゴリーに近いモデルです。
自転車にバッグを取り付けて旅行やキャンプに出掛けるバイクパッキングに対応するため頑丈でやや重量がかさみますので、スピードというよりは長距離をマイペースで楽しんで走るというコンセプトで作られています。
《RIDE(ライド)》
かつてはツール・ド・フランスを走ったこともあるモデルですが、現在は初心者向けのエントリーモデルになっています。
上体を起こし気味にして乗れますし、衝撃吸収性が高く乗り心地が良いため、初心者でもスムーズに入っていけるモデルです。
《MISSION J.ROAD(ミッションJ.ロード)》
適正身長140~155cmの子供用ロードバイクですが、メリダが得意とするハイドロフォーミングの技術で作られたフレームに、シマノのロードバイク用コンポとディスクブレーキが組み合わされています。
スクルトゥーラやリアクトなど世界で戦うモデルのノウハウが詰まった本格的モデルですので、将来も見据えたジュニアライダーにおすすめです。
メリダ・スクルトゥーラの特徴
それではメリダの主力ロードバイク、スクルトゥーラについて詳しくお話しします。
スクルトゥーラは機材を提供するワールドチームのエース的存在ということもあり、地形や路面状態を問わずに走破することができるオールラウンドモデルです。
また軽量フレームというのが謳い文句になっているように、最上位モデルの「SCULTURA 10K-E」などは、フレーム重量が790g、完成車で6.4kg、そのままではUCIワールドツアーの重量規定6.8kgを下回ってしまうほどです。
しかも、この重量を維持しながら、セミエアロ形状を採用しているのもメリダの技術の高さが存分に表れており、レースからツーリングまで幅広く対応するロードバイクです。
カーボンフレームはプロ仕様の上位モデルでは硬めで剛性の高い「CF4」フレーム、アマチュアモデルとなるミドルグレードには硬さを抑え乗り心地も重視する「CF2」フレームを採用し、価格だけでは語れないテイストの違いを実現しています。
また、メリダの真骨頂とも言えるアルミフレームも2020モデルで5種類用意されており、カーボン全盛時代にまだまだ力を注いでいることがうかがえます。
さらにディスクブレーキ採用モデルも6機種となり、キャリパーブレーキモデル(8機種)と数の上ではほぼ双璧になっており、しっかりトレンドも捉えられています。
メリダ・スクルトゥーラのカーボンフレームの代表モデル
ここからはメリダ・スクルトゥーラの代表機種をご紹介していきます。
【SCULTURA DISC 10K-E】
・参考価格:¥1320,000(税込)
メリダのディスクブレーキロードの最高峰モデルであり、CF4カーボンフレームに「シマノ・デュラエース」の電動式変速コンポDi2を組み合わせ、プロレーサからも高い評価を受ける「DT Swiss PRC 1400ホイール」が装備されたプロ仕様です。
【SCULTURA LIMITED】
・参考価格:¥439,900(税込)
チームが使用するCF4カーボンフレームを採用していながら約40万円というコスパの高いモデルです。
チームの要望に応える形でリアブレーキがダイレクトマウントからシートステイ上に戻されており、アマチュアライダーにはうれしいメンテナンス性も向上しています。
【SCULTURA 4000】
・参考価格:¥219,900(税込)
スクルトゥーラのカーボンフレームモデルでは最廉価になりますが、CF2カーボンフレームと「シマノ・105」の組み合わせは、扱いやすさと使い勝手においては群を抜く存在であり、レースにツーリングに通勤にと存分に乗り回すことができます。
メリダ・スクルトゥーラのアルミフレームの代表モデル
引き続きメリダ・スクルトゥーラの代表機種をご紹介します。
【SCULTURA 700】
・参考価格:¥197,890(税込)
スクルトゥーラのアルミフレーム最上位グレードになります。
1本のチューブ内に3か所厚みが違う部分を設けることで軽量と剛性のバランスを図る「トリプルバテッド」と、油圧でパイプを内側から押し出すようにして加工する「ハイドロフォーミング」の技術で製造されています。
それにより、カーボンフレームに迫る性能と、アルミでの表現が難しいセミエアロ形状を見事に表現しています。
【SCULTURA DISC 400】
・参考価格:¥218,900(税込)
こちらもトリプルバテッド・ハイドロフォーミングのアルミフレームに、シマノ・105の油圧式ディスクブレーキが組み合わされています。
アルミ最上位モデルと同じフレームに、油圧式ディスクブレーキ搭載でこの価格ですから、コスパの高さはさすがメリダというところです。
【SCULTURA 100】
参考価格:¥108,900(税込)
スクルトゥーラシリーズの最廉価モデルですが、上位グレードの技術が多数盛り込まれた1台になっています。
セミエアロな形状はしっかり踏襲されていますし、フルカーボンフォークにシマノ製のコンポの組み合わせでこの価格は、やはりこのモデルもコスパの高さは特筆ものです。
また、重くなりがちなエントリーモデルながら重量は10kgを切っており、軽量オールラウンダーと謳うだけのことはあります。
どのグレードにおいても「軽量オールラウンダー」を感じ取れる
今が旬とも言えるメリダのロードバイクの中で、プロチームでもエースバイクとして活躍しているのがスクルトゥーラです。
軽量オールラウンダーという謳い文句は、プロ仕様から初心者モデルまで全てのユーザーに体感してもらうという気概が感じられ、どのモデルでもそのグレードで最高レベルを感じ取ることができます。
また、ディスクブレーキ車の急速な普及に迅速に対応していますし、金属フレームに造詣が深いメリダらしくアルミフレームも充実しており、エースバイクの名に恥じないラインナップです。