こんにちは、じてんしゃライターふくだです。
ある日のことです。
にょんべた君が言いました。
「にょらえもーん!クロスバイクのホイールが壊れたよー」
にょらえもんという青いダルマの形のロボットは答えました。
「にょんべた君、これはもう寿命だよ」
「えー、何とかしてよー、にょらえもーん」
今回は、そんなにょんべた君と、にょらえもんのクロスバイクのホイール交換のお話です。
にょんべたとクロスバイクのホイールの交換①
にょんべた君「にょらえもーん、僕の大事なクロスバイクのホイールが変になっちゃったよー。見ておくれよー。直しておくれよー」
(仕方なさそうにホイールを見るにょらえもん)
にょらえもん「・・・残念だけど、にょんべた君、このホイールはもうダメだよ」
にょんべた「そんなー、タイ○風呂敷出して直してよー。交換してよー」
にょらえもん「残念だけど、僕にはタイ○風呂敷は持ってないんだ。僕が持っているのは星スポークとニップル回しだけ。愛車はタイムだけれど、にょんべた君のクロスバイクのホイールとはあまり関係がないんだ」
にょんべた「そんなー?何とかならないのー?何とかしてよー!どうして駄目なのー?!」
にょらえもん「どうして駄目って?良いかい、このリムを良く見るんだ。長年のブレーキングですっかり削れてしまって、どうにもならないよね。ハブだって見てくれ。もう分解しなくても分かるだろうけれど、水が入って錆びてしまって、ベアリングの受けが……(ぺらぺら)」
にょんべた「にょらえもんの分からず屋ー!」
竹取りコプターで、どこかへにょんべた君は飛んでいきました。
にょんべたとクロスバイクのホイールの交換②
にょらえもん「ごめんよ、にょんべた君。でも、君が大事にしていた、このクロスバイクのホイールはもうダメなんだよ。確かににょんべた君もたまに気が向いたときには、メンテナンスしていたのは知っているけれど、形あるすべてのものに寿命はあるんだ」
ホイールを眺めるにょらえもん。
にょらえもん「残念だけれど直せないんだ。いや、直すとすれば、ハブ、スポーク、リムと全交換になるから、結局、一から新品で組むことになるんだ。むしろ、これまで折れたスポークをこっそり交換してあげていた工賃を払って欲しいくらいだよ。このホイールは長持ちした方なんだよ」
ジャイアントン「おーい、にょんべたー、野球、じゃなくてロードレースしようぜー!」
にょらえもん「ごめんよ、にょんべた君は裏山にインターバルトレーニングに出掛けてるんだ」
ジャイアントン「そっかー。じゃあ、仕方ねぇなー。使わなくなったロードバイクのホイール持って来てやったんだけどな。ここに置いていくよー」
にょんべたとクロスバイクのホイールの交換③
その頃、裏山にて。
にょんべた「困ったなぁ、クロスバイクがないと学校に遅刻しちゃうよ。ロードバイク乗っていくと盗まれちゃうしなぁ。スネイオンに頼めばロードのホイールはもらえるかもしれないけれど、僕のクロスバイクだと幅がちょっと違うから交換できないんだよなぁ。最近はシマノはクロスバイク用の135mm幅の700cホイールは作ってないしなぁ」
(筆者注釈:ほとんどのクロスバイクの後輪の幅は135mmで、ロードバイクは130mmとほんの少しだけ幅が違うので互換性がないのです)
その頃、にょらえもん。
にょらえもん「困ったなぁ。にょんべた君はクロスバイクがないと、学校なんか辞めてフランスに行くとか言い出すもんなぁ。にょんべた君なら向こうでも通じるかもしれないけれど、義務教育くらいは受けないと何かと勿体ないからなぁ」
にょらみちゃん「おにいちゃん、どうしたの?」
にょらえもん「実は…かくかくしかじかで」
にょらみ「なるほど。それなら、135mmのハブで一本ホイールを組めば良いじゃない。」
にょらえもん「完組ホイール全盛の今の時代に、クロスバイクのホイールを手組みしてくれる自転車屋さんなんて滅多にないよ」
(筆者注釈:完組ホイールとは工場出荷時点でホイールの形に組まれているもの。手組ホイールとは自転車屋さんで、ハブ、ホイール、スポークを組み上げるもの。ほんの数十年前までは全て手組だったんです)
にょんべたとクロスバイクのホイールの交換④
にょらみ「じゃあ、おにいちゃんが組んであげれば良いじゃない?」
にょらえもん「いや、にょんべた君にはこの前、エンヴィのリムとtuneのハブで決戦ホイールを組んであげたばかりだから嫌だよ。ジャイアントンから練習用にアルミリムチューブラの依頼も入っているしね」
にょらみ「じゃあ、アラヤのリムにDeoreのハブの完組ホイールを取り寄せるしかないわね。あれならだいたいの自転車屋さんで取り寄せられるわ」
にょらえもん「まあ、そうなるだろうね。でも、にょんべた君はまだ例のエンヴィの支払いがまだだから、多分、お金持ってないんだよ。それに、あいつケチだからなぁ」
にょらみ「もう、おにいちゃんの分からず屋!」
竹取りコプターで裏山に飛んでいくにょらみちゃん。
にょんべたとクロスバイクのホイールの交換⑤
その頃、裏山にて。
にょんべた「なんとかロードのホイールがクロスバイクに入ればなぁ。シマノのロード用ホイールなら1万円以内で買える上に、平地ならそこそこ速いのになぁ。市販の鉄下駄みたいな重くて1万円以上するクロスバイク用のホイールは嫌だしなぁ。にょらえもんはエンヴィの支払いが終わるまで、クロスバイク用にホイールは組んでくれないだろうしなぁ」
にょらみ「話は聞いたわ、にょんべたさん」
にょんべた「はっ、にょらみちゃん?!」
にょらみ「ロードバイクのホイールに無理やり交換して、履いてしまえばいいのよ!!」
にょんべた「そんなことしたら、僕の大事なクロスバイクが壊れちゃうよ!」
にょらみ「そうね。その可能性もあるわ。それなら、ちょっとお金を出して、アラヤのリムにDEOREハブの完組ホイールを買うべきだわ。だいたいの自転車屋さんで取り寄せ可能のはずよ」
にょんべた「でも、シマノのR-500が安くて軽いんだもん。。。」
にょらみ「じゃあ、それを無理やり履かせるしかないわ!シクロクロスバイクの中には132.5mmっていう、130mmのロードホイールと135mmのMTBホイール両方使えるように作っているものもあるわ。2.5mmの幅が許されるなら5mmもきっと大丈夫よ。それに、古いクロモリフレームで125mmエンド幅のものに130mmのホイールを入れて使っている人もいるくらいよ。レースに使うのは難しいにしても、通学くらいなら大丈夫よ!!」
にょんびた「でも、そんなことしたらにょらえもんに叱らるよ、でも、魅力的だよー!あー、どうしよう?!にょらえもーん!!」
にょんべたとクロスバイクのホイールの交換⑥
にょらえもん「待てー、にょらみ!!そんなことはさせないぞ!」
にょらみ「あ、お金をくれないからって、ホイールの手組を断固として断ったおにいちゃん!」
にょらえもん「僕も自転車屋っていう商売上、無料でホイールを組んであげるわけにはいかないんだ。どこかの無償で主人公を助け続けてあげる未来のロボットとは違うんだ。原子力エネルギーとかじゃなくて、古いディーゼルで動いてるから、燃料代も馬鹿にならないんだ!」
にょんべた「でも、シマノのWH-R500が使えれば、僕はとっても助かるんだ」
にょらえもん「確かにそれも使えないことはないよ。でも、君の豪脚の場合、危険の可能性があるんだ」
にょらみ「ゆっくり漕げば良いのよ」
にょらえもん「そういうことを、公の場で大きい声で言ってはいけないんだ!!」
そこへジャイアントン走ってくる。
ジャイアントン「おーい、心の友よー!話は聞かせてもらったぞー!うちの会社で作っているクロスバイクを使えよー!!」
にょんべた「君の家は八百屋じゃなかったっけ?」
ジャイアントン「そうだった。うちの会社じゃなくて、ジャイアントの作っているクロスバイク、エスケープを使えよ!」
にょらえもん(馬鹿なジャイアントンめ、どこのメーカーだって、クロスバイクは135mmエンド幅さ)
ジャイアントン「エスケープはホイール交換しやすいように、130mmエンド幅で作ってるんだ!」
にょらえもん「なんだとぉー?!!」
にょんべたとクロスバイクのホイールの交換⑦
にょんべた「みんな、ありがとう。でも、やっぱり僕アラヤのリムにDEOREハブの完組ホイールを買うよ」
ジャイアントン「なんでだよ?!エスケープは良いクロスバイクだぞ?!」
にょんべた「エスケープを新車で買うお金がないんだ、ごめんよ、ジャイアントン。今度のレースのスプリント賞は3,000円しかもらえないんだ」
にょらみ「じゃあ、シマノのR500に交換で良いじゃない」
にょんべた「それも考えたけれど、やっぱり安全策で行くよ」
にょらえもん「ごめんよ、にょんべた君。僕も冬で自転車が売れないから、ツケでホイールを組んであげるのはツライんだ」
にょんべた「知ってるよ、にょらえもん。それに、僕、思い出したんだ。アラヤのリムは頑丈だし、スポークも太い。DEOREハブは元々マウンテンバイク用だから、通学でラフに使うには最高だっていうことをね」
ジャイアントン「おー!心の友よー!」
にょらみ「にょんべたさん、素敵!!」
にょらえもん(早くエンヴィのお金支払ってくれないかな。まあ、良いか)
エンディングテーマ流れる。
まとめ「クロスバイクのホイールはちょっと大変」
いかがだったでしょうか。
にょらえもんのストーリー仕立てで簡単に説明してみました。
現在、日本では、どうしてもクロスバイクの135mmエンド幅に合うホイールというのは、あまり作っていません。
途中でも出てきたように、アラヤのリムにシマノのMTBハブでの完組ホイールくらいしか、選択肢がないというのが実情です。
中には、ロードの130mm幅のホイールを無理にはめて使う人もいますが、決して大手を振ってオススメはできません。
エスケープは130mmのロードホイールが使えるように作っているのは、さすがジャイアント、目の付け所が鋭いなと思わざるを得ません。
選択肢が少なく、ちょっと難しい問題ですが、やはりにょんべた君が、最終的に選んだ選択が一番間違いないでしょう。
絶滅危惧種ですが、ホイールの手組が生き甲斐という昔ながらの自転車屋さんもいるので、駄目もとで頼んでみるのもありですが、あまり期待はできません。
なお、坂道でのインターバルは小学生の成長段階での体には、負荷が大きいので真似しないでくださいね。