自転車のホイールの寿命は?

こんにちは、じてんしゃライターふくだです。

先日、「自転車のホイールって寿命あるの?」と友人に聞かれましたので、もちろんあるよと答えましたところ
「どうやって判断するの?」
と、なかなか際どい質問を喰らい、
「えっと、見た目と手触りとか、そんなもんで見るしかないよ」
と、なんともタジタジの答えをしました。

実際、明確な判断が難しい部品なのですが、今回はそのはなしです。

自転車のホイールの寿命①

自転車のホイールには寿命があります。
「どうなったら寿命なの?」
明確なところをいくつかご紹介します。

<リムがブレーキで削れてしまっている>
リムというと外周部分、輪っかの部分ですね。
ブレーキが当たる部分って、どうしても削れていっちゃうんです。

金属がゴムで削られていくって考えると、驚く人もいるかもしませんが、どんどん痩せ細っていきます。
まあ、かなりの力と熱が掛かっていますからね。

いつもブレーキのゴムが当たるところと、当たっていないところに手で触って分かるレベルの段差があれば、間違いなく寿命寸前、あるいは寿命を迎えています。
シマノなどの場合、溝が切ってあって、それがなくなったら終了ですね。

寿命を越えて使い続けていると割れます。
危険ですので、怪しいと思ったら交換してあげてください。
ホイールって高いので、正直つらいですけどね。

一説によると2万キロという人もいますが、メーカーや使用状況によっても大きく違いますので、一概には言えません。
こまめなブレーキシュー交換をして、できるだけリムにダメージが溜まらないようにしてあげると、長持ちしやすいです。

物凄く距離を乗るという場合、決戦ホイールと練習ホイールとを使い分ける人もいます。

自転車のホイールの寿命②

<スポークが折れる場合>
自転車のスポークというのは、中心から外周をつないでいる針金みたいな細い金属です。
これは「折れた=寿命」とは限りません。
スポーク交換で修理して、また使えるという場合もあります。

ただし、昨今の完組軽量ホイールの場合、スポークが折れることによって、リムが変形してしまう場合があります。
軽量ホイールでは、リム自体も軽量化していますし、スポーク本数も少なくなっています。

スポーク本数が少ないということは、1本のスポークで支えている力が大きいということでもありますので、これが1本だけ折れると、非常にアンバランスな状態でリムが固定されます。

結果、リムが変形してしまうという場合があります。
スポークが折れた場合は、安全のためホイールごと交換する方が無難です。

自転車のホイールの寿命③

というのが建前です。
スポークが折れただけでも、もしもの時のために新品を買い直してくださいね、と。
スポーク1本で買い直しは正直つらいです。

スポーク交換で、修理できる場合もあります。
ただし、メーカーとホイールのグレードによります。

MAVICなどは、スポークの補修部品を用意している製品が多いです。
補修部品を用意しているということは、スポーク交換、張り直しによる修理を前提として製品を造っていると考えても構わないでしょう。

MAVICは少し値段は割高ですが、とにかくロードレースの現場を考えてホイールを造るメーカーです。
メカニックが整備しやすいということを一番に考えていると言っても過言ではありませんので、ホイールも補修が可能なものを用意してくれています。

シマノの場合は、スポークの単品販売はしたがりません。
ただ、一般的に流通しているのと同じ形状のスポークを使っている場合、下位グレードのホイールには、自転車屋さんによってはスポーク交換で修理する場合もあるようです。

下位グレードのものは過度な軽量化はしていないので、強度的にある程度問題ないだろうという判断のようです。

それでも、さすがはアフターサポートで有名なシマノ。
ホイールセンターというものを設置し、販売店にホイールを送らせて、メーカー側で修理するというサービスを展開しています。

フルカーボンホイールの場合は、スポークが折れたら諦めるというのが基本です。
あくまでプロが使うレース機材、修理してまで使うという考え方は薄いようです。

実際はカーボンは、疲労に強く耐久性も高い素材なんですけどね。

自転車のホイールの寿命④

<外的要因によるリムの破損>
自転車事故などの外的要因で、リムが変形した場合は終了です。
リム単品の販売は、恐らくMAVICくらいしかしていません。

シマノは、ホイールセンターでリム交換は受けています。
それ以外のメーカーでは、あまり聞きません。

元々リムを単品販売するといえばエンヴィが有名です。
バラで買って手組するホイールというのは、そういうメンテナンス面では非常に強いです。

<ハブの消耗>
ハブとはホイールの中心ですね。
ベアリングが入っています。

このベアリングの受けが死んでしまうとシマノの場合、寿命です。
カンパニョーロは、受けが変えられる構造になっています。

それ以外のメーカーはシールドベアリングと言って、ベアリングと受けが一体になったドーナツみたいなものを着脱する方式です。
なので、シールドベアリングごと交換してしまえば何とかなります。
ただし、シールドベアリングを支えている接点が錆びたり、摩耗したら寿命です。

ただ、シマノのハブの受けや他メーカーのシールドベアリングの接点が駄目になるのは、正確には寿命というより、メンテナンス不良の場合が多いです。
特にシマノ、カンパニョーロハブは分解整備が1~2年毎に必要な部品です。

分解して、清掃、新しいグリスの補充という作業が必要不可欠です。
これをしないと錆びます。

他のメーカーでも、シールドベアリングを全く打ち変えずに放置し続けると、接点部分が錆びて駄目になります。
シールドベアリングのホイールは劣化が少ないですが、長くても3年に一度くらいの交換はした方が良いです。

自転車のホイールの寿命⑤

<スポークを支えている部分の破損>
ハブ、リムのスポークを支えている部分が破損した場合も、やはり寿命です。
手組ホイールじゃない限り、原則としてリムのみ、ハブのみの交換というのはありません。

ちなみに、手組ホイールとは先ほども少し出ましたが、ハブ・リム・スポークをバラで買って、自転車屋さんが手で組むホイールです。

完組ホイールとは、工場出荷時点で組み付けてあるホイールです。
完組はメーカーが完全にハブ・リム・スポークの組み合わせを研究して、そのモデルのためだけに専用でハブ・リム・スポークを造っているため、非常に性能が良いです。
(ハブだけ、リムだけ、別のメーカーに造ってもらうという完組も多いですが)

MAVICが完組ホイールの第一人者と言って構わないでしょう。
完組第一人者のMAVICは、当時、手組が普通で、修理できるのが当たり前という中で完組ホイールを造りました。
そのMAVICだからこそ、完組ホイールでも修理ができるというコンセプトを今でも継続し、補修部品を持っているのかもしれません。

話が逸れましたが。
落車などでスポークを支えている部分が破損することもあります。
力が集中している点ですからね。
この場合は、基本的に諦めるしかありません。

ホイールの寿命の前兆は?①

寿命の症状については、上に挙げたあたりでしょう。
ただ、問題はその前兆です。

スポークが折れる前兆なんて、まず分かりません。
非破壊検査などにでも出せば分かるかもしれませんが、ほぼ間違いなく新品のホイールを買うくらい費用が掛かります。

スポークの折れは、疲労の蓄積です。
金属だって疲労するんです。

疲労が溜まると、ある日突然、ぽきんと折れます。
針金で同じところを、何回も曲げ伸ばしを繰り返してみると分かると思います。
熱を持ちはじめ、最後には、ぽろっと折れてしまいます。

特にアルミは疲労に弱い材質ですので、自転車がアルミスポークのモデルの場合は注意が必要です。

カーボンスポークについては、金属と比べると疲労に強いですが、カーボンにも疲労はありますので、やはり、ある程度の距離を乗ると交換が必要になります。
ただ、乗り方にもよるので、一概に何kmとは言えません。

最初の状態でスポークテンションを均一に取れると、スポークテンションの測定で疲労の予測に役立つこともあります。

ホイールの寿命の前兆は?②

チェーンと同じで、車体に負荷を掛けない乗り方ができる人は寿命を長くし、使えます。
また、負荷を掛けない乗り方というのは、力を推進力へとロスなく変えれているという意味でもありますので、速く走ることもできます。

リムの方はいくらかは手で触るなどで確認もできますが、シマノのように溝が切ってあったりすれば良いですが、目安の分かりにくいホイールメーカーもあります。

ただ、メーカー側も正常な使用と言える範囲での疲労などでの破損については、かなり気を遣っています。
壊れる場合でも、できるだけ事故にならないように造ってはいます。

スポークが折れても、とりあえずはいくらかは走れます。
リムの破損については、いきなり破断するということは少なく、小さい割れから起きる場合が多いです。

自転車の走行距離が長くなってきて怪しいと思う場合は、こまめにホイールを外して、小さな割れなどがないか確認するのは大事です。
一番は、怪しいと思ったら買い替えです。

まとめ「ホイールの寿命は難しい」

ホイールの寿命について見てきました。
正直、フレームの寿命とホイールの寿命は難しいです。

その他のパーツの場合、買い替えても、たかが知れた値段ですが、ホイール・フレームは結構いい値段します。
下手すると、1ヶ月の給料くらいの値段です。

それでも、怪しいときには、できるだけ早めの交換をおすすめします。

一括での支払いが厳しい場合には、昨今は自転車ローンなどもありますから、分割での支払いにするのもありかもしれません。
事故のことを考えると、できるだけ壊れる前に交換したいところです。