スポーツ自転車のタイヤは、種類によって使用されているタイヤが違います。
ロードバイクとMTBの中間的な存在のクロスバイクは、両者の特徴を受け継いでいます。
となると、現在の主流のタイヤサイズ700x28cとは、両者のバランスを取ったものなんでしょうか?
そんなタイヤのサイズの疑問を、クロスバイクの特徴も含めて説明したいと思います。
タイヤサイズ700x28cとは
まず、タイヤのサイズについてですが、700x28cとは700(ミリ)がタイヤの外径、28がタイヤの幅、cはタイヤに合わせたホイールのリム幅です。
リム幅についてはロードバイクの場合、現在、c以外は使用されているのを見たことがないので、cしかないと思ってもらって構いません。
そのため、700x28cとは700cというリム径の規格に、28mm幅のタイヤがはまっているという意味になります。
しかし、タイヤのサイズ表記は複雑です。
例えば、ママチャリやMTBでは外径も幅もインチで表記されますし、幅に関しては、小数点や分数で表示されているものが混在します。
そのため、ETRTO(エトルト)という統一規格が設けられ、タイヤの幅とビード(タイヤがリムにはまる部分)径をミリで表記することになりました。
ちなみに、700x28cはETRTO表記になると28-622となりますので、ビード径622mmのタイヤが700cなんだと覚えてもらえば良いと思います。
現在のタイヤには、従来のサイズ表記とETRTO表記が両方とも刻印されていますので、互換性は分かりやすくなっています。
タイヤ幅の主流は細い→太いへ
スポーツ自転車は、それぞれに主流のタイヤサイズがあります。
現在はロードバイクが700x25c、クロスバイクが700x28c、そしてMTBが650b(27.5インチ)1.75~2.2です。
MTBやクロスバイクは元々太いタイヤが装備されていましたが、ロードバイクも最近は23cから25cに主流が移り変わっています。
これは科学的な根拠もあり、今まではタイヤは細いほど地面との接地面が少なく、摩擦が減るのでスピードが出るとされてきました。
ところが最近の研究の結果では、23c程度の細さだと地面との接地面が変形して、かえって接地面が広くなるので、変形の小さい25cの方が摩擦が少ないことが分かっています。
そのため、ロードバイクでも25cを使用する人が増えてきたので、自転車メーカーもこぞって25c流れたという経緯があります。
また、タイヤが太くなれば中に入る空気の量が多くなるぶん、クッション性が発揮されるので、乗り心地が良くなるメリットもあります。
では、クロスバイクの700x28cとは、どんなタイヤなのか次項で検証してみたいと思います。
700x28cとはクロスバイクの用途に最適なサイズ
上記のように、ロードバイクのタイヤがワンサイズ太くなりつつありますが、クロスバイクはどちらかというと、スペックがMTBに近いのでタイヤは元来太めです。
しかし最近は、クロスバイクもどんどんとロードバイク化してきているので、大口径である700cのタイヤが多く採用されています。
クロスバイクは基本的に街乗りをメインとして想定しているので、本来であればストップ&ゴーに対応するためにも、漕ぎ出しの軽い小径のホイールが向きます。
しかし、それではスポーツ自転車としてのスピードの面で物足りなさが残るということから、ロードバイクと同じ700c規格のタイヤが、多く用いられているのだと思います。
そのため、現在のタイヤの主流である700x28cとは、太さで快適な乗り心地を確保しつつ、スピードにも対応する大口径のタイヤと言えるのではないでしょうか。
また、28cくらいの太さになってくると、段差や砂利道もあまり気にせず走っていけるので、街乗り想定のクロスバイクには最適なんですね。
ロードバイクに700x28cとはどんな意味がある?
700x28cとは、スピードと乗り心地のバランスに優れているタイヤだと言いましたが、それならばロードバイクに700x28cを装備しても良いのではと思いませんか?
ツーリングをしていて、ちょっと不整地の林道なんかに入ったときに、もう少しタイヤが太かったらと思うことは個人的に結構あります。
最近はグラベルロードという、ドロップハンドルとロード用コンポ搭載ながら、32cとか中には40cなんて太いタイヤを装着したモデルなんかもあるので、間違いなくロードの用途も多様化しています。
そのため、レーシング仕様車は別としても、ロードに700x28cは全然アリだと思います。
特に、ロードで通勤・通学しているなんて人は、すぐにでも700x28cにして良いくらいです。
ただ、ロードバイクのキャリパーブレーキは構造上、タイヤとの隙間を取りにくくなっています。
また、あまり太いタイヤだと干渉してしまいますし、フレームによっては28cでも入らない可能性があるので、交換は十分に確認してから行ってください。
個々のタイヤのコンパウンドなどで乗り心地は違いますが、23cや25cからの履き替えであれば、なめらかさや乗り心地の優しさが伝わってくると思います。
28cなら重い部類ではない
タイヤの幅を広げると、重量が重くなることをデメリットとする話がありますが、本当でしょうか?
例えば、25cと28cでは、物理的な重量だけなら20~30gの違いです。
プロのレーサーは数十グラム単位で軽量化を図るものですから、大きな違いかもしれませんが、ホビーユーザーレベルで2~30gの違いが分かるのかと言われれば、個人的には分かりませんでした。
タイヤが太くなれば地面との接地面が広がって転がり抵抗が増すので、走りが重くなったり、巡航速度が落ちる可能性があるのは、理論的には理解できます。
しかし、これも体感してみると漕ぎ出しが若干もっさりしたかなという程度で、その他にデメリットと感じるような変化があるとは思わなかったです。
まして、エントリーモデルの完成車に最初から装備されているようなものを、少しグレードの高いタイヤに交換するのであれば、25c→28cへのサイズアップしたとしても、逆に軽くなることもあります。
そのため、700x28cとは、やはりスピードと安定感のバランスを取る上で、スポーツ自転車の理想と言えるサイズなのです。
おすすめの700x28cタイヤ
今回は『700x28cとは』をテーマに色々とお話しましたが、最後にスポーツ自転車におすすめのタイヤをご紹介します。
【Panaracer(パナレーサー):PASELA BLACKS(パセラ ブラックス)《W/O 700x28C》】
参考価格:¥2,700
廉価モデルの完成車からの履き替えが目立ちますが、評判が良いです。
全てではないですが、やはり名のあるメーカーのタイヤは、乗り心地やグリップ力に大きな差が出ます。
このタイヤは街乗りを意識しているので、通勤・通学などに最適と言えます。
【SERFAS(サーファス):セカ レーシング RS】
参考価格:¥3,800
28cで230gなので、軽量タイヤの部類に入ります。
耐パンク性に優れており、耐久力を称賛する声が多いです。
また、グリップ力に優れたコンパウンドを使用しているので、クイックなコーナリングが可能になります。
【MAXXIS(マキシス):DETONATOR(デトネイター)フォルダブル】
参考価格:¥4,000
100~110psiの空気圧まで上げて使用すると、転がり抵抗の少なさが実感できると思います。
見た目が28cとは思えないほどスリムで、重量(300g)以上に軽さを感じるモデルです。
また、タイヤの脱着がやりやすくなっているのも、おすすめのポイントです。
700x28cはバランスが取れています
今回は、700x28cのタイヤについて考えてみました。
クロスバイクがスピードと安定性のバランスを取っている自転車なので、正にうってつけのタイヤサイズだと思いました。
最近は全体的にタイヤが太くなる傾向にありますので、28cが主流になる日が来るかもしれませんね。