こんにちは、じてんしゃライターふくだです。
「自転車のホイールって結構高いじゃないですか。あれって修理とかって必要なんですか?」
そんな質問を頂きました。
本当にモノによっては、ほとんどノーメンテナンスでも長く乗り続けられるものもありますし、こまめにメンテしないと厳しいというものまであります。
今回はそんなホイールのお話です。
自転車のホイールの構成部品
どういう修理が必要かという前に、自転車のホイールの構成部品について見ておきましょう。
自転車のホイールは大きく分けると3つのパーツで構成されます。
・ハブ…車輪の真ん中の回転軸の部分。
・リム…外側の輪っか。
・スポーク…ハブとリムもつなぐスポーク。
このいずれかの部品が悪くなるか、部品同士の組み合わせが乱れるかによって走行に支障をきたします。
また、原因としては以下の3つです。
・事故による外的要因。
・走行を重ねることでのダメージの蓄積。
・内部のグリスなどの経年劣化。
自転車のホイールの修理、メンテナンス編①
自転車の整備は、大きく分けてメンテナンスと修理にわかれます。
・メンテナンス…完全に壊れてしまう前に、走行や経年劣化によるダメージを修復してやる作業です。
・修理…壊れてしまった部品を交換や再調整によって直します。
お店や人によって、言葉が違う場合もあります。基本的にはメンテナンスをこまめにしていれば修理の回数は減るでしょう。
まずは、ホイールのメンテナンスの代表的なものから順番に見ていきます。
<ホイールハブのグリスアップ>
店にもよりますが、工賃はホイール一本につき2000~5000円程度でしょうか。
ハブを分解して、中を掃除します。古いグリスを洗い流し、新品のグリスを充填します。
メーカーによってハブの構造が違うので、メンテナンス頻度が変わります。
シマノ、カンパニョーロのホイールハブは昔ながらの丸いベアリングがそのまま入っているカップアンドコーンという方式です。カップとコーンでベアリングを支えているということですね。
カップアンドコーンのメリットは分解しての洗浄がしやすいことと、玉押しの調整(どの程度の力加減でベアリングを押さえつけるかの微調整)がしやすいという点です。英語ではAdjustable Type(アジャスタブルタイプ)とも呼ばれます。
メンテナンスがしやすいため、定期的なメンテナンスが推奨されます。
カップアンドコーンでないものはシールドベアリングと呼ばれるものです。
シマノ、カンパ以外はほぼ全てシールドベアリングだと思って頂いて大丈夫です。
シールドベアリングでは、ドーナツみたいな形の金属部品でベアリングが包まれて、一つの部品になっています。ですので、ベアリングはバラバラになりません。このドーナツのように一つになっている部品をシールドベアリングと言います。ベアリングがシールドされているわけですね。
ですから、隅々までの洗浄というのは少々苦手です。カップアンドコーンのようにバラバラにして洗うということは出来ません。
劣化してきて交換が必要な場合には、シールドベアリングごと交換になります。
自転車のホイールの修理、メンテナンス編②
<リムの掃除>
リムは時々掃除してあげましょう。汚れたままだとブレーキの効きが悪くなります。効きの悪いブレーキは強く握りこまないといけないので、リムに優しくありません。
<フレ取り>
フレ取りの工賃は自転車店によって違いますが1000円から3000円程度でしょうか。フルカーボンホイールの場合はもう少しアップチャージがかかる場合もあります。どの程度まで精度を出すかというのも、店によって違います。
フレ取りとはリムが曲がっているのを調整します。ホイールを回して上から見た時にウネウネしていることってありませんか?それがリムが曲がっている状態です。
自転車のホイールはスポークでリムを引っ張ることで強度を作っています。スポークは金属ですので、温度変化や外力によっていくらか伸び縮みがあります。こうなると引っ張る力(スポークテンション)がスポーク毎にちょっとずつズレてきます。
スポークは右に引っ張るものと左に引っ張るものがあります。このパワーバランスが崩れるとリムが曲がって真っ直ぐ回転しないというわけです。
フレ取りはこのズレたスポークテンションを調整してやることでリムが曲がっているのを修正してやるわけです。
リムが曲がっているように見える状態を、「ホイールがフレている」「フレが出ている」などと呼びます。
フレが出た状態でも、フレの小さい内は問題なく走行出来ます。しかし、フレはあまり大きくなりすぎるとリムに悪いクセがついてしまい、修理が難しくなってしまいますので、フレに気付いたら早めに自転車屋さんで見てもらうようにすると良いですね。
自転車のホイールの修理。手組み、完組み。
自転車のホイールには、完組みと手組みがあります。
・完組み…工場でハブ、スポーク、リムを用意して、機械で組み上げてから出荷します。(メーカーによっては職人さんが手で組むところもあります)
・手組み…自転車屋さんが、ハブ、スポーク、リムを別々に取り寄せて、お店で組み上げます。
手組みと完組みでは、手組みの方が修理しやすいです。というのも、手組みの場合、リム、ハブ、スポークはバラバラでも購入できるので、悪くなっている部品のみ取り寄せて交換が可能です。
しかし、完組みの場合はセットでの販売になることも多いです。マビックなど一部のメーカーはバラバラでも販売してくれますが、メーカーによってはセットで完組み状態でしか販売しないというところも多いです。ですので、完組みの場合は修理が難しいという場合があります。
また、完組みはスポーク本数を減らすことで軽量化を狙うので、一本のスポークが受けるテンションが大きく、それが折れるなどするとホイール全体で大きくバランスが崩れてしまいます。
「じゃあ、手組みの方が良いじゃん!」
修理しやすいという意味では手組みの方が優秀です。
しかし、完組みの方が、ホイールメーカーが研究室であれこれ実験した結果最適だという組み合わせのリム、ハブ、スポークで作るので、性能面では完組みの方が優秀な場合が多いです。
フルカーボンホイールの修理
ホイールの中にはフルカーボンのホイールもあります。
フルカーボンのホイールはレース機材としては非常に優秀です。しかし、修理に関しては厄介です。
フルカーボンホイールの修理、特にフレ取りはメカニックによっても考え方が違います。
「慎重にやらないといけないけれど、基本的にはアルミの普通のホイールと同じ方法で出来る」
「フルカーボンホイールはフレが出たら基本的に修理不可能」
プロの自転車屋さんでも考え方が違います。
どちらにせよ、アルミのホイールと比較すると修理が難しいということは共通しています。
ホイールメーカーによってカーボンは性格が全く違います。カーボンと一口に言っても、飛行機のウイングなんかに使われるようなものもあれば、手で押すだけで凹むような軽量で薄いカーボンまであります。どういうカーボンを使うかはメーカーノの狙いによって変わります。
全てのカーボンホイールが修理可能か不可能かというのは判断できません。フレの大きさにもよります。
怪しいフルカーボンホイールの場合、フレ取りに失敗すると割れてしまう可能性もあるので、自転車店によっては修理を断る場合もあります。特に他の店で買ったフルカーボンホイールについては断られることも少なくありません。
フルカーボンホイールを買う場合には、軽さ、剛性などの性能面だけでなく、そういう強度、耐久性、メンテナンス性、購入後も修理してくれるかなども確認してから購入するのが間違いないです。
中には使い捨てと割り切って買ってしまう人もいますが、やはり安い買い物ではないのでできるだけ長く使えるものを買えると良いですね。
まとめ「ホイールの基本はフレ取り、ハブグリスアップ」
自転車のホイールの修理について見てきました。
基本はハブのグリスアップとフレ取り、あとはリムを掃除することですね。
もちろん、そういうメンテナンスをしていても、どうしても壊れてしまうことはあります。リムはブレーキを掛けていればどんどん痩せてきます。スポークとの接点部分も徐々にダメージが蓄積します。いずれは壊れてしまいます。
それでも、メンテナンスをすれば長持ちします。ハブのグリスアップやフレ取りが必要かどうかは自転車屋さんで相談してみると答えてもらえると思います。