自転車は道交法上、車両になるのでクルマやオートバイと同じ車道を走るように。
以前は歩道を走るように指導していたはずなのに、最近は人と自転車の事故の多発や高額の損害賠償問題などからか、お上の方針が一転。自転車は、車道を走るように呼びかけています。
まぁ確かに法律上はそうだし、遡ることさらに昔は車道を走るようにとのお達しでした。
しか~し、お年寄りのママチャリまでがそれでいいのか。それは思いやりでなんとか例外規定があるらしい。
問題は、一部のママチャリライダーの無軌道ぶり。このままで本当にいいのだろうか。
ママチャリも順守、自転車の車道通行の原則とは
まずは、自転車の車道通行に関する正しい情報を確認しましょう。
「政府広報オンライン ▶ 暮らしのお役立ち情報」から引用して紹介します。
●自転車は車道が原則
私たちの周りでは、車道を走っている自転車もあれば、歩道を走っている自転車もあります。どちらが正しいのでしょうか。実は、道路交通法上、自転車は「車両」と位置づけられていますので、歩道と車道の区別があるところでは車道を通行するのが原則です。
【罰則】3か月以下の懲役または5万円以下の罰金
道路交通法に則り、このようなお達しが出ています。懲罰規定もしっかりあるんですねぇ。かなり厳しいです。
ただし、これには例外規定も併せて掲載してありますので、こちらも紹介しておきましょう。
●自転車が歩道を通行できるのは?
例外として、次のような場合は、自転車が歩道を通行できることになっています。
(1)道路標識や道路標示で指定された場合
(2)運転者が13歳未満の子ども、70歳以上の高齢者、 身体の不自由な方の場合
(3)車道や交通の状況からみてもやむを得ない場合
なるほど、歩道を走行する指示がある時や、弱者保護の観点から例外規定が設けられているわけですね。
問題は、(3)の状況判断によって歩道を走るとする例外規定、どう見ても客観的ではないですよね。誰が判断するのかなぁ。ママチャリライダーとお巡りさんの見解が違ったらどうするのだろう?その時、ジャッジは誰が…。
自転車は車道か歩道か?ママチャリが悩む原因の元は
実はママチャリが歩道を走るようになったのは、もともとはお上の指導があったから。
昭和35年に施行された道交法では、自転車は車両として位置付けられ車道を走るように明記されていました。それが、昭和45年の改正で「第17条の3 二輪の自転車は、第17条第1項の規定にかかわらず、公安委員会が歩道又は交通の状況により支障がないと認めて指定した区間の歩道を通行することができる」という曖昧な条件付きの歩道通行を許可する規定が追加されたことがそもそもの原因です。(ちなみにこの条文の第1項とは、自転車の車道通行の規定です)
この改正規定は、当時、高度経済成長の時代において都市部を中心に全国で道路整備が追いつかず、交通戦争という言葉が生まれるほど急速に進展したモータリゼーション化に伴う道路状況の混乱を回避しようとした結果、生まれたものでした。
都市部で歩道の整備ができ始めた当時、場当たり的に自転車を歩道に上げて現状を回避しようとした暫定的なものでしたが、いつしか自転車は歩道を走って良いという認識が定着してしまいました。
これが一転、平成19年の改正道交法では、自転車の車道通行の厳格化を打ち出したがために、ママチャリライダーの迷走が始まったわけです。
自転車にも厳しい罰則ルールがあるのになぜ?
一般には浸透していませんが、自転車にもクルマと同じように厳しい罰則ルールがあります。最も重いものでは〈酒酔い/麻薬等運転で5年以下の懲役または100万円以下の罰金〉です。その他にも、50項目以上の危険な運転が違反行為として定められ罰則や罰金などが定められています。
ちなみに、歩道通行の指示のない場所で歩道を走ったり、またその逆の場合の〈通行区分違反は3か月以下の懲役または5万円以下の罰金〉となっています。
こんなに厳しいルールがあるのになぜ世の中に浸透せず、また守られることもないのでしょうか。それは適用されることが滅多にないからです。皆さんの周りで、自転車の交通違反で懲役刑を受けたとか、罰金を取られたという人がいるでしょうか。滅多にいないと思います。
そういうわけで、2015年6月1日に道交法がまた新たに改正され、14項目の違反行為につき罰則を強化。クルマやオートバイと同様に悪質な運転者には違反切符を切り、〈3年以内に2回以上違反切符を切られた場合は講習会(約3時間、有料5,700円)の受講〉が義務付けられました。受講の命令を〈無視した場合は5万円以下の罰金〉となっています。当然ですが、通行区分違反もこの14項目にしっかりと入っています。
この道交法改正の当時、テレビのニュースやワイドショーでも大きく扱われていたのは皆さんもご存知でしょう。
それからもう1年が過ぎようとしていますが、現状はあまり変わったようには見えません。改正当初は見せしめ効果を狙ってか、違反切符を切られたというようなことがワイドショーなどで報道されていたように思いますが、それ以降は聞きません。私の周りでも違反切符を切られたという人は見かけません。
相変わらず、自転車に違反切符を切るということは滅多にないようです。
自転車は車道か歩道か?ママチャリに徹底を
結局、道交法や取り締まりに期待をしても、ママチャリが勝手に歩道を走り、いきなり車道に飛び出してくるような状況は変わらないのが現状のようです。
では、どうしたらいいのか。ママチャリライダーの何が変わればいいのでしょう?
はっきり言ってママチャリライダーは、徹底していないことが怖いのです。歩道なら歩道、車道なら車道、ママチャリだって徹底していれば、その対応もできるというもの。ところが、あっちに行き、こっちに行き、果ては右側通行まで、どこを走るか分からない。それがママチャリライダーの恐怖を招く原因になっています。
でも、ママチャリライダーの頭の中は、「自転車は車道でも歩道でも、どっちを走ってもかまわない。歩道なら右側通行だってOK。クルマやオートバイは、弱者保護で自転車をよけて走るのが当然よ」という具合。
自転車の車道通行を徹底するなら、やはり免許制度の導入と罰金・減点制の適用をクルマ並みにすべきではないでしょうか。
大変でも、そうでもしないと最早どうにもならないというのが現状です。
とはいえ、自転車は車道通行と言われても、走る場所がない
でも、本当にいいのだろうか?ママチャリの車道通行。皆さんは、どう思います?
ママチャリの平均速度は時速10㎞~15㎞。ロードバイクやクロスバイクなどのスポーツバイクと比べると半分くらいの速度です。そうでなくても走る場所がないといわれている自転車。道路の端の狭いスキマでここまで違う速度の乗り物が混在しては危険極まりないというのが実感です。その上、ここにはさらに速いスクーターやミニバイクたちも一緒に走るのです。どう見ても無理でしょう。
かと言って、ママチャリはすべて歩道を走ればいいのか、といえばそういうわけにもいきません。
歩行者の歩く速度は時速4㎞前後、この速度差も混在するには危険です。特に歩行者は、基本的に身を守るものを付けてはいません。
歩行者は右側通行、自転車は左側通行の対面通行を徹底しても、狭い歩道の中ではよけられないような事態が発生することも十分に考えられます。
結局は、その昔の昭和45年、道交法改正時から問題だった自転車の通行区分を安全に確保するという根本的な解決策を放置してきた結果、未だに自転車はどっちつかずのまま現在の状態に至るしかなかったのです。
まとめ、自転車専用レーンで、ママチャリも安全な道路に
本来なら、昭和45年の道交法改正とともに整備されなければならなかった自転車専用レーンの設置。
ですが、「狭いニッポン、そんなに急いでどこへ行く」と、高度経済成長期の標語にもあるように、日本は狭い。道も狭い。建物も、人も、ひしめき合ったこの国では、なかなか自転車専用レーンの整備は進みそうにありません。
ならば、ママチャリライダー、一部の無軌道な走りだけでも何とかしなければ、とすぐにそっちの方向に行ってしまいがちですが、それはやはり本末転倒。もともとその人たちに罪はないのです。
「自転車の車道通行、ママチャリはこのままでいいのか?」という問題提起の今回のテーマ。本当の問題はママチャリではなく、これまでの日本の道路行政にあるのです。
政治家やお役人の皆さん、ママチャリライダーも安全に走れる道、何とかならないんですかねぇ。