自転車の逆走は重大な違反です!取締りが強化されたわけとは

2015年の道路交通法改定により、自転車の違反に対する取締りが厳しくなりました。

その理由としては、自動車の青切符に当たる警告制度ができたからですが、これによって逆走や一時停止不履行など、厳重注意くらいしかできなかった違反に対する取締りが強化されたのです。

今回は、そんな取締りの厳しくなった、自転車の交通ルール違反について考えてみたいと思います。

なぜ自転車は逆走してしまうのか?

まず、いきなり結論ですが、なぜ自転車の交通違反の取締りが強化されたのかと言うと、自転車関連の事故が一向に減らないからです。

では、なぜ事故が減らないのかを考えてみると、「ルールを知らない」「車両であることの意識が低い」主にこの2点が原因ではないかと思います。

逆走を例にして考えますと、自動車が逆走することは、まずあり得ません。

物理的にあり得ない訳ではありませんし、うっかり一方通行の道路に反対側から入ってしまうことなどはあるかもしれません。

また、高齢者が高速道路を逆走したニュースも見たことがあります。

しかし、私たちは自動車を運転するときには誰に言われるまでもなく、進行方向を守って走行することが潜在意識として頭に入っています。

ところが自転車の場合、絶対に道路の左側しか走ってはいけないという、【キープレフト】の原則を万人が知っているでしょうか?

また、自転車が法律上軽車両であることを知っているでしょうか?

意外と知られていないんですよ、これが…

大多数の人が知っているのであれば、逆走などは起こらず、今回のテーマにもなることは無いですからね。

自転車の逆走は本当に危険!

自転車の逆走とは、どういうことでしょうか?

道幅の狭い道路を、自動車で通っているシーンを想像してください。

自転車が正面からあなたの運転する車に迫ってきます。
これが自転車の逆走です。

交差点などでの自動車と自転車の出会いがしら事故も、自転車の逆走が原因であることが多いです。

また、このような形で事故が起こった場合は、正面衝突の可能性が高くなるので、大惨事になりやすいんですね。

そのため、自動車のドライバーからは、自転車の逆走への取締りの強化は、昔から叫ばれていたのです。

最近になって警察も、やっと重い腰を上げた格好ですが、体験談などを見ていると、本当に厳しく取締るようになってきているのが分かります。

しかし、そもそも自転車が自動車やバイクと同じ車両として扱われていることを知っていれば、「右側でも良いから走っちゃえ」という感覚にはならないはずです。

この辺の意識を家庭や学校で、小さい頃から植え付けておくことが大切なんだと思いますし、警察も取締りだけではなく、指導していただくとありがたいですね。

自転車の逆走も取締りの対象になる

2015年6月に改定された道路交通法には、逆走などの自転車の違反に対する取締りの強化が盛り込まれました。

その一環として、3年以内に2回以上の交通違反で警告を受けた者に、講習会に参加する義務を課すということになりました。

講習会は受講料として5,700円を支払いますが、これが自動車でいう反則金です。

また、講習会への参加命令を受けてから3ヶ月以内に受講しなければ、罰金刑に問われることになります。

自転車には免許がないので点数を引かれませんから、自動車の青切符に相当するものが無く、取締るなら一発で赤切符になってしまいます。

ただ、赤切符は刑事上の責任を問うことが前提ですから、裁判を行い有罪となれば罰金以上の刑が科せられ、前科者になってしまいます。

そのため、これまでは自転車の違反に対する取締りがおいそれとはできず、よほどの重大事故でもない限り、厳重注意くらいで済まされていました。

しかし、この警告制度により、軽度の違反でも取締りが可能になったのです。

取締りの有無は関係ない?逆走の大きな危険性

ここでは逆走の危険性を、もう少し知っていただきたいと思いますので、実際にあった交通事故の判例をご紹介します。

2009年に岡山県で起こった交通事故ですが、6m幅の車道の右側を中学生が友達と並走していたところ、そこに前からトラックがやってきます。

トラックは自転車を避けようと右にハンドルを切りましたが、すれ違いざまに自転車がふらつき、トラックに接触してしまい、そのまま数メートル引きずられてしまいます。

その結果、中学生は足に後遺症が残るほどの重傷を負ってしまいました。

裁判では「見通しが良かったことで自転車がふらつくことを予見できたはず、その時点で徐行しなくてはならなかったが、徐行した形跡がないこと」をトラック側の過失としました。

一方、自転車側の過失は「道路の右側を逆走していたこと、並走していたことが事故を招いた大きな原因である」としています。

この結果、自動車対自転車の事故では異例ともいえる、自動車4:自転車6の過失割合となり、トラック側の賠償金が減額されて結審しました。

取締りされたくないから違反しないという発想もあるかもしれませんが、こんなにも危険な事故が起こるから、逆走してはいけないんだと思ってほしいのです。

自転車で歩道を走っていると取締りされる

自転車は車道の左端に沿って走るのが原則なので、例外を除き、歩道を走っている場合は取締りの対象になります。

例外とは、自転車通行可の標識がある歩道、13歳未満の子供と70歳以上の高齢者は、どんな場合も歩道通行が可能です。

また、車道を通行するのが著しく危険と判断される場合も、歩道を通行して良いことになっています。

ただ、歩道通行の場合、厄介なのは走行する場所が「車道寄り」と定められている点です。

そのため、車道の進行方向に向かって左側に歩道がある場合、車道寄りは真ん中から右側ということになります。

ですので、自転車が歩道を走るときは、キープレフトの原則は通用しないことになります。

また、車道の進行方向に向かって左右どちらに歩道があっても、自転車は通行できると定められているので、車道寄りさえ走っていれば歩道通行に関しては、逆走も可能と言う判断になってしまうのです。

この曖昧さが、大きな事故を招く原因のひとつと思うのですが、ルールはルールですから致し方ありません。

自転車で歩道は走るものではない

自転車が歩道を走る場合は、歩行者の安全を最優先にしなければいけません。

車道寄りを徐行するのが原則で、危険がありそうな場合には、一時停止しなければいけません。

ルール上、逆走ができてしまい、歩行者と正面から対峙することもありますので、十分に注意して走行してください。

また、自転車は降りて押し歩きをする分には歩行者扱いになるので、どんな歩道でも通行可能になります。

日本は他の国と比べても、自転車専用道が圧倒的に少ないです。

そのため、車道を走れば自動車に邪魔にされ、歩道を走れば歩行者に疎まれる、何とも中途半端で行き場のない乗り物です。

しかし、だからと言って傍若無人な振る舞いばかりしていれば、取締りが強化されるだけで、いつまでも市民権を得ることはできません。

ルールを守り、マナーを重んじて、初めて言いたいことも言えるようになるのです。

自転車は原則車道の左端を走り、絶対に右側を走ってはダメなのです。

逆走の危険性をもっと広めなくてはいけません

今回は、自転車の逆走について考えてみました。

逆走の危険性は、これまで何度も指摘され大きな事故も起きています。

取締りも強化されていますが、まだ劇的な変化が無いのも事実です。

警察や学校などでの指導も行われていますので、それをもっと広めることも考えなければいけませんね。