自転車は道路交通法上では、軽車両に分類されています。
さすがに車と同じ扱いとまではいきませんが、車道を走らなければなりませんし、一時停止の義務もあるので、少なくとも歩行者と同じではありません。
2015年には法律の改定も行われ、自転車に対する取り締まりが強化されました。
そこで今回は、自転車にまつわる交通ルールを確認してみましょう。
自転車は軽車両です!
自転車が軽車両扱いという認識は今回覚えていただくとして、原則、車道を走るということは意外と知られていませんね。
あまり大きな声で言うことではありませんが、車道を走っている自転車の方が珍しいくらいです。
法律には例外があって、自転車通行可能の標識がある歩道は通行できますし、13歳未満と70歳以上の人はどんな場合でも歩道を通行することができます。
そして「車道を通るのが著しく危険と判断される場合」も歩道通行が可能です。
この場合、一体誰が危険と判断するのかと言えば、もちろん自分です。
第三者が危険と判断してくれる訳もないですし、その都度、誰かに判断を仰ぐことはできません。
ですから、いつでも自分が危険だと思えば、自転車は歩道を走って良いことになってしまうのです。
これはもちろん拡大解釈しすぎですし、重箱の隅を突くようなことですが、そういった判断をされても致し方無いのです。
車道を通っていれば、一時停止線で止まるのは当たり前ですが、歩道を走っていれば、そんな認識はないでしょう。
何を言いたいかというと、こういったあいまいな部分がありながら、罰則だけを強化したところで、根本的な改善にはならないということです。
自転車の一時停止の話①~交通ルールを確認しましょう
では、自転車の主だった交通ルールを確認してみましょう。
★歩道を走行する場合
前項でお話しましたので詳細は割愛しますが、原則、自転車は車道通行です。
ただし、自転車を下りて押し歩きをする場合は、歩行者とみなされます。
★車道の通行する場所
これは例外なく左側通行で、しかも左端に寄って走行しなければなりません。
道路の右側を走ると、逆走とみなされ罰せられます。
右側を通っていると、前方から走ってくる車やバイクと正面衝突の危険があるからです。
したがって、交差点を右折する場合も、車のように斜めに交差点を横切ってはならず、二段階右折となります。
また、一方通行の標識がある道路でも逆走は違反の対象ですが、標識に「自転車は除く」とあれば、右側通行でも罰せられることはありません。
★一時停止
車と同じく、一時停止の標識がある場所では停止線の前で停止して、安全確認を行わなければいけません。
また、信号機のない交差点では優先関係が発生するので、優先道路に進入する手前で一時停止の必要があります。
踏切の手前でも一時停止の義務があります。
自転車の一時停止の話②~違反行為も確認しましょう!
上記の交通ルールを破れば、処罰の対象になりますが、違反行為も多数あるので確認しておきましょう。
★2人乗り
16歳以上の人が、チャイルドシートに6歳未満の幼児を乗せることは可能ですが、それ以外の2人乗りは禁止されています。
★携帯電話使用運転
自転車関係の事故で、最も多いのがこれです。
スマホの普及で、かなり増えています。
★傘さし運転
これも携帯電話同様、片手で運転することになるので、違反に当たります。
また関西に多いようですが、傘スタンドをハンドルに付けている場合、地面から傘の上端までが2mを超えると違反となり、傘の幅が30cmを超えても違反になります。
★イヤホンの使用
音楽を聴いたり、スマホの地図アプリの音声ガイダンスだったり、イヤホンをしながら運転している場合も違反になります。
耳に集中してしまって、一時停止や通行止めの標識を見逃すことも多いと言いますし、周りの状況が分からなくなりますから、当然でしょうね。
自転車と一時停止の話③~まだまだあります違反行為
★並進走行
複数の自転車が横に広がって走行していると違反です。
実際の事故の判例に、並走時に車との接触事故に遭い、一旦は車側の過失の方が大きいと判断されたものの、並走していたことを重く見られて、大幅に賠償額を減らされたケースがあります。
★夜間無灯火運転
ごく当たり前のことだと思うのですが、意外と徹底されていないようです。
特にスポーツ自転車はライトが標準装備では無いので、自分で取り付ける必要があります。
★酒気帯び運転
明らかに酔っぱらっている人が、自転車を運転しているのを見かけます。
自転車であっても「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」を徹底しなければならないのです。
しかも罰則は大変重く、5年以下の懲役か100万円以下の罰金となります。
★歩道での歩行者妨害
例外に限り、歩道を通行できますが、車道寄りを徐行しなければなりません。
また、歩行者の通行を妨げる可能性があるときは、一時停止しなければいけません。
知らなきゃ危険!交差点の渡り方
ここまで自転車にまつわる交通ルールを見てきましたが、自転車事故の約7割が交差点で発生しています。
例えば、左折時の巻き込み事故は、車側が自転車の接近に気付かずに起きるケースと、まだ追いつかれないだろうと思っていたら、意外と速くてタイミングが合ってしまうケースなどがあります。
また、自転車はどんな場合も車道では左側通行なので、左折専用レーンであっても直進することがありますが、このときも巻き込み事故が多いです。
ですから、このような場合は、交差点に差し掛かる前に歩道に上がるのが一番安全でしょう。
また、右折をするときは信号機の有無に関わらず、二段階右折をしなくてはいけません。
直進方向の左端に沿って対岸まで行き一時停止、90度方向を転換して、また左端に沿って直進します。
信号がある場合は、直進方向の車用の信号に従いますが、間違っても車のように斜め横断をしてはいけません。
自転車にもっと市民権を!
歩行者には歩道、車には車道があり、少し大げさに言えば、それぞれの聖域を持っています。
しかし、自転車はどうでしょうか?
残念ながら、日本には自転車専用道路は、ほとんどありません。
そのため、基本は車道を走るものだとしても、例外で歩道を通ったりもするわけですね。
良く言えばオールマイティにどこでも通れて便利、しかし悪く言えば中途半端ということになります。
自転車専用レーンの設置を進める自治体なども出てきてはいますので、インフラ整備は緩やかではありながらも進んでいます。
しかし、まだまだ理解を得られるには遠い道のりと言わざるを得ず、車道を走れば車に邪魔にされ、歩道を走れば厄介者扱いされる状態です。
自転車の過失で起こる事故も、年々増えつつあります。
近年、特に増えているのは、車との事故と言います。
2015年の道路交通法改正により、自転車の車道通行に対する徹底が叫ばれ、取り締まりも厳しくなりました。
しかし相互理解のされぬまま、ただルールに従えと自転車を車道に追いやった結果、事故の多発を招いたという見方もできるのではないでしょうか?
車側からすれば、見通しの悪いところで一時停止もせずに飛び出してくる自転車がいます。
一方、自転車側からすれば、ルールを守って車道を走っているのに幅寄せしたり、パッシングしてくる車がいます。
お互いの理解を深めるところから始めなければ、いつまでも事故は無くならないと思います。
意見を言うためにも交通ルールを守りましょう
今回は、自転車にまつわる交通ルールを確認しました。
理不尽だったり、時代にそぐわないようなルールもあると思いますが、だからと言ってルールを守らないのは、また別の話です。
正すべきところを正してもらうには、まずルールを守ってからでなければ始まらないということですね。