自転車の日頃のメンテナンスはどうしていますか。自転車も車と同じ車両の乗り物ですから、日頃のメンテナンスがとても重要となってきます。自転車の数あるパーツの中でも、今回は、ハブにスポットをあてて、見て行きたいと思います。要となる部分ですから、ハブについての知識はしっかりと身につけておきたいポイントですよね。そして、できるだけ長く付き合っていけるように、ハブの寿命についても確認して行きましょう。
自転車のハブの役割
まずは、役割を把握して寿命を長くすることにつなげてみましょう。自転車のハブとは、車輪の中心部にある回転軸部分です。自転車の車輪の中心にあって、数十本に渡るスポークと呼ばれる細長い金属棒で車輪の外周と繋がっています。ハブには中心にハブシャフトという軸が通っていて、その周りに円状に小さな金属の球、すなわちベアリングボールが配置されていて、回転するハブの本体とその軸が擦れる抵抗を軽減しています。
更に複数の変速機構を持つ自転車の場合、後輪にはハブに加えてフリーハブが装着されています。フリーハブはラチェット機構を持っており、ペダルを前方向へ回しているときのみ、チェーンの駆動をフリーボディへ伝達します。走行中にペダルを止めている場合、あるいはペダルを逆回転させているときは、ラチェット機構によりその駆動は全てロスになるような仕組みになっています。このラチェット機構とは正反対の仕組みが、フリーハブを持たないシングルギアのバイクです。ピストなどはペダルを逆回転させると、後輪にも逆回転の動力が伝達されます。ペダルを漕ぐことを止めることでブレーキになるのはこういった機構によるものなんですね。
自転車のハブの交換目安
自転車のハブが壊れる、ということは殆どありません。フレームやコンポーネント類と同様で、走行に支障は出ないが不具合が徐々に表出してくるというようなことは稀で、不具合が顕在化したとき、それは殆ど致命的なトラブルに発展しているケースが多いのです。そして、ごく普通の乗り方をしていればハブの寿命よりも先にホイールの他の部分が寿命に達してしまう事がほとんどでしょう。
さて、それではハブに起こり得るトラブルを考えてみましょう。まずはハブシャフトに歪みが出る、あるいは折れてしまう事が挙げられます。車輪の回転に妙な振動を感じた場合、タイヤトラブル、リムのフレ、スポークの歪み、ハブシャフトの歪みなどが可能性として考えられます。折れてしまうかクラックが入ってしまうと、走行が可能であってもかなりの異音や振動が出ます。こうなったら直ちに交換です。そのまま走行しているとハブがロックされて大事故に繋がることも考えられます。
続いてベアリングボール、または玉受け、玉押しの虫食いです。グリスが切れたり玉アタリがよくない場合、この3箇所のどこかあるいは全てが互いに削り合い虫食いが発生します。これも発展するとガタつきが出てきます。
どちらにしても体感できるレベルになったら直ちに交換が必要です。
自転車のハブの交換方法
自転車のホイールのハブは、寿命が来る前に交換をしたいところではございますが、それのみを単品で交換するのが少々割に合いにくいパーツであると言えます。ホイールは外周側からリム、スポーク、ハブの順に組み合わせて構成されていますが、ハブを交換するとなるとこれらの組み上げをしなければなりません。つまりハブを交換するということは、ホイールの組み上げを意味するわけです。ホイールの組み上げは多くの経験と手間、そして専用の道具が必要になります。初心者が手を出せるものとは言い難い作業なんですね。ではホイールの組み上げ作業を依頼すると工賃は如何程か、といえば最低でも片輪だけで5,000円前後といったところです。ここにパーツ代が乗っかってきますので、それなら低グレードの完組ホイールを前後2万円でお釣りがくるレベルで買ってしまったほうがコストパフォーマンスの観点から見れば良い、ということにもなってしまうのです。
しかし、拘りや実用性の面からどうしても好みのハブを使いたい、というケースもあるでしょう。既にこだわりのリムとスポークを使用しているのでもなければ、専門店で使いたいパーツを告げ、組み上げて貰うのが最も手軽でしょう。
自転車のハブの寿命
冒頭でご説明した通り、自転車のハブの寿命については一概に言えません。主に壊れてしまう原因は衝撃によるダメージでしょう。ですから、重さがあればあるほど、衝撃を受ければ受けるほどダメージを蓄積して壊れやすくなっていく、と言えます。
とは言え、乗り手が平均身長・平均体重であり、ノンブランドではなくシマノ製品の低グレード程度のホイールを使っていれば、恐らく数万キロ単位で乗っても壊れてしまう心配は殆どしなくて良いでしょう。むしろそれよりも、リムかスポークが先に寿命を迎えてしまうことになるでしょう。
ハブが壊れてしまうほどのダメージを受けるような乗り方としては、強烈な衝撃を受け続ける要因として、乗り手が極めて重い、あるいは荷物をたくさん積んで走るような事が考えられます。普段から大量の荷物を運んでいるような方は少々気にしても良いかもしれませんが、それでもやはりスポークかリムが先に寿命を迎えることになるでしょう。
従って、ハブの寿命よりもあるいはスポークやリムを気にかけた方がよりリスクヘッジになるかも知れません。
寿命が長い?お勧めの自転車ハブ
前項でご説明した通り、自転車ハブそのものの寿命についてはあまり神経質になる必要は無いでしょう。また、ハブ単体として人気のあるものは耐久性も高いものが多いので、それらを選ぶことは必然的に寿命の長いハブを選ぶことにも繋がります。
さて、定番というところから見てみることにしましょう。アメリカンクラシックと言えばオススメのハブによく登場します。少々複雑な構造をしており、他のハブに比べてこまめにグリスアップしてやる必要はありますが、非常によく回ると評判です。
続いてご紹介するのはクリスキング。高い精度と特徴的な構造、そしてハブを構成するパーツの殆どを自ら生産していることでも有名で、「いつかは一度クリスキングのハブでホイールを組んでみたい」と考えるユーザも少なくありません。
ご紹介した2つのメーカーが展開する高級ハブ以外でも、シマノのDEOREなどを使うのも悪くありません。高級、高性能ハブではありませんが、普段使いとして突出したコストパフォーマンスを誇り、走りも街乗り程度なら十二分に軽くなることでしょう。
日頃のメンテナンス
カップアンドコーン仕様のハブであれば、たまには回転調整のアタリを取る事をしても良いでしょう。ただ、慣れない人が手をだすのは少々難しい側面もあります。手で触った感じのアタリと、実際の走行時の感触は全く違います。これはホイールに負荷が掛かった状態で回転するのと、負荷が無い状態で回転するのでは全く結果が異なるためで、手で調整しているときに実走行同様の負荷を掛けることは出来ませんから、手で調整した感じが良さそうでも走ってみるとそうでもなかった、というような事が起こり得るからです。初心者は自転車の納品直後にホイールを外してハブの回転する手応えを覚えておくと良いでしょう。
それ以外では、グリスアップが必要なメンテナンスとなります。通常の走行でもグリスは僅かずつ抜けていってしまいますが、雨中の走行などではかなりの勢いでグリスが抜けてしまうこともあります。定期的にグリスを補充してやるように心がけておくだけでも、ハブの寿命を縮めるリスクを大きく軽減することが出来ます。
ハブ交換の効果は回転効率だけに留まらない
ハブは回転効率を上げるために良いものを、と考える人は多いですが、レースが関わらなければ実用性を考えて交換する人も少なくありません。ハブを交換することでリムブレーキからディスクブレーキに換装したり、ハブダイナモを導入することが出来ます。そういう実用性の観点からハブを考えてみるのもまた面白さのひとつかもしれませんね!