ホイールバランスという言葉を聞いたことはありますか?
自動車やバイクに乗る上で重要とされるホイールバランスですが、自転車やロードバイクに乗る上でも調整が必要なのです。
では、ロードバイクにとって、ホイールバランスはなぜ重要なのでしょう。
ここでは、自分でできるホイールバランスの取り方と共にご紹介します。
ホイールバランスとは
車やバイクのタイヤのホイールが回転した時に掛かる遠心力のバランスを「ホイールバランス」と呼び、これが上手く釣り合っているのかという点は、とても大事なことなのです。
タイヤやホイールは、綺麗な円を描いているように見えますが、実はそうではありません。
そのため、バランスが崩れてしまうことがよくあります。
そこで、重りを取り付けて、バランスをコントロールしてあげるのです。
バイクの製造工場などでは、ホイールバランサーという機械を使うことで歪んでいる箇所をなくし、ウェイトという重りを付けます。
この調整をしなければ、真円の状態でタイヤが回転しなくなります。
すると乗っている最中に感じる揺れが増します。
スピードを上げていると発生しやすいようです。
この揺れは、ハンドルに伝わってくるため、場合によってはハンドルが効かず、事故へと繋がってしまう可能性があります。
また左右のうち、どちらか一方のタイヤに負荷が掛かるため、片方だけがやたらとすり減るという事態に陥ります。
これではタイヤが長持ちしません。
長い距離を走れば走るほど、サスペンションやベアリングなど、あらゆるパーツに悪影響を及ぼします。
ホイールに求めること
バイクのホイールは、ペダルを漕ぐことで発生するエネルギーを、無駄が出ないように地面へと伝達するためのものです。
また、ブレーキを掛けた時、きちんと停止出来るようにする役目も担っています。
備わっている機能が発揮出来るように、なるべく真円に近い形を目指し、ハブの周辺の抵抗を減らし、どんな時でも止まれるようなホイールでなければいけません。
脚力に自信があったとしても、ホイールの強度がなければ、ひたすら歪むだけで、前に進むことはありません。
しかし、一部を除いて大抵のホイールはリム、ハブ、スポークの3つが組み合わさっているため、いつでも真円を維持出来るホイールというものは、ほとんど見かけないのです。
ハブとリムを繋いでいるのがスポークですが、どんなにメンテナンスをしても、ここはそのうち撓んできます。
そのせいでホイールが歪みます。
この歪みが少ないほど、回転数が増えるホイールと見なされています。
車なら重りを付けることでバランスが取れます。
最近では、バイクにも同じように、重りを付けるサービスが見られるようになってきましたが、最も重要なのは、どれだけ真円に近いかどうかという点です。
これを実現させるためには、スポークの本数を増やした上で強度を上げ、出来るだけ短いものにすることです。
ホイールバランスの調整は毎回必要?
車やバイクのホイールバランスを調整しなければ上手く動いてくれなくなります。
それでは、どれくらいの頻度で行えば良いのでしょうか。
まずは、一連の流れを確認するところから始めましょう。
新品を買った時は、ホイールからタイヤを外して、別のタイヤと付け替えてから、車やバイクに取り付けます。
この場合は必ず調整して下さい。
タイヤがホイールにセットされている状態でバランスを取るので、一度ホイールから外してしまうと上手くいきません。
一方、夏用と冬用それぞれのタイヤにホイールが付いていて、脱着に関してはホイールを付けたままで行う場合は「調整しない」「前輪だけ行う」「4本まとめて行う」の3択です。
店によっては、この中から好きな選択肢を選ばせてもらえるので、予算と見合うものを選び取れば良いかと思われます。
雪が積もる前に冬タイヤへと交換すると、前の年の冬に半年ほど使ったタイヤのホイールバランスを取るようになっています。
仮に100本のタイヤを検査したとすると、ほぼ9割はもう一度調整をしなければいけないという結果が出るようです。
つまり、ひとつの季節を過ごしただけで、あっという間にバランスが崩れてしまうのです。
なるべく全部のタイヤを、無理なら前輪だけでも調整しましょう。
そんなに長距離を走っていないようなら、やらなくても構いません。
ロードバイクのホイールバランスを自分で取る:手順①
バイクのホイールバランスは、自分の手でも調整することが可能です。
用意するものは「スタンド」「ガムテープ」「ドライバー」「一円玉(数枚)」です。
まずは、ホイールをクイックレリーズごと外し、スタンドに取り付けて下さい。
そうしたらホイールを回転させます。停止した位置の真下が重いところとなっているので、止まったらドライバーの柄などを使ってスタンドを軽く叩いて下さい。
こうして揺らしてやるとホイールが回り始めるので、重くなっている部分を見つけやすくなります。これを何回か繰り返しましょう。
重い部分を特定出来たら、その場所と、そこから対角線上に位置するところ(要は真上です)の2箇所に目印としてガムテープを貼り付けます。
また、一円玉を一枚だけ、ホイールの真上にガムテープで貼って下さい。
そしてホイールを回します。
真下の、目印としてガムテープを貼っている部分に何も起きていないようならバランスはまだ取れていません。
一円玉の枚数を増やして、もう一度回して下さい。
振動を与えてもホイールが回らなくなるまで、この作業を繰り返しましょう。
ロードバイクのホイールバランスを自分で取る:手順②
バイクのホイールバランスを取るには、まずウエイトの重さを確認します。
重さが分かったら一円玉を外し、ゴルフクラブ用の鉛シートを貼り付けましょう。
貼りたい場所に手の脂などが付着していると上手くくっつかないので、ブレーキクリーナーで軽く落としておくと良いですよ。
作業が終わったら、ホイールを元の位置に戻してから、ワークスタンドにバイクを設置して、試しにクランクを回してみましょう。
恐らく振動がかなり減っているはずです。
組み合わせるタイヤにもよりますが、やはり質の良いホイールは、性能も優れていることが多いようです。
車体の重さも関係していることがあります。
もしも、振動がまだ大きいようならもう一度調整しましょう。
ヒルクライムの時にしか乗らなかったり、一定の速度以上は出さないようにしているなら、そこまで気にする必要はないかもしれません。
しかし、ハブの回転力にも影響が出るので、やはり調整することは大事です。
自分では不安だと感じるようなら専門店に頼みましょう。
店によっては、ホイールバランサーという専用の機械を置いているところもあるようです。
ホイールバランスを取る際の要点まとめ
バイクのホイールバランスを取る際には、アルミで作られたリムジョイントは、溶接などを行うとバランスが崩れてしまうということを覚えておきましょう。
値段が高く品質の良いリムでも、ウェイトに多少の誤差は見られます。
チューブの厚さが不揃いだったり、バルブの長さが違っているだけでもウェイトは変わってきます。これはタイヤにも同じことが言えます。
コンピューターマグネットなどをスポークに付けていても、バランスは狂うでしょう。
細かいところも、全部まとめて安定させなければならないのです。
バランス対策のひとつとして、鉛で出来た重りを付ける場合があります。
しかし、これでも完璧に釣り合うとは限りません。
たった3g程度の差しかなくても、振動は激しくなりますが、車体の重さとエアによる衝撃の吸収が合わさって、揺れていることを感じない人がほとんどのようです。
ホイールのバランスが取れていれば、スピードを上げた状態で走っていても、揺れが緩和されるので、スムーズに走り抜けることが出来ます。
自分が愛用しているバイクなら、その変化を敏感に感じ取ることが出来るでしょう。
ロードバイクに乗る上でも重要なホイールバランス
ホイールバランスは、自動車やバイクだけでなく、ロードバイクに乗る上でも事故を防ぐために重要なのですね。
自分でホイールバランスを取ることも可能なので、興味のある方はぜひチャレンジしてみてください。
ただ、ご自分では少し難しいので、抵抗のある方は自転車屋さんに相談しましょう。