ホイールバランスという言葉について、聞いたことはあるけれど、何の事だかよくわからないという方はいらっしゃるのではないでしょうか。
バランスとは、具体的には何を指しているのでしょう。
見た目のバランス?重さのバランス?
ここではホイールバランスについて、ロードバイクとの関係も含めてご説明します。
ホイールバランスってなに?
ロードバイクの整備のひとつに「ホイールバランス」というものがあります。
そもそもホイールとは、内側にある金属の部分のことを指し、黒いゴムの部分だけを「タイヤ」と言います。
タイヤはドーナツのような形をしていますが、つまりは中が空洞ということなので、芯となるものを入れなければバランスが取れません。
そのため、真ん中にホイールを詰めているのです。
ホイールのデザインは豊富にあるので、自分好みのものを使うことが出来ます。
見栄えを良くしたい人は、ホイールのデザインから変更する人も多いようです。
性能を上げたい場合は、軽いホイールを使います。
話を戻しましょう。ホイールバランスについてですね。
意味はそのままなのですが、この場合のホイールは「タイヤを取り付けた上でのホイール」を示しています。
バランスを取るための必須条件は、最低でも形が真円に出来るだけ近くなっていることです。
しかし、タイヤは少しずつすり減るので、嫌でも形は変わります。
どちらかといえば、重さのバランスを意味することが多いようです。
ホイールバランス①:スタティックバランス
ロードバイクのホイールバランスは、2つのタイプに分けられます。
今回は、そのうちのひとつである「スタティックバランス」についてお話ししたいと思います。
スタティックバランスは、量販店などでも調整可能で、単に「ホイールバランス」とだけ言えばこちらを表すことが多いようです。
このバランスが崩れると、どうなってしまうのでしょうか。
まずは車に付いていない、タイヤは装着済みのホイールを思い浮かべて下さい。そしてホイールの真ん中に1mほどの長さの棒を通して下さい。
この状態だと、自由にホイールを回転させることが出来ます。
しかし何処かが重ければ、重い部分が下に向きます。
つまり回転が止まった時、一部分だけ重くなっていると、その部分は必ず下に来るのです。
ホイールを何度回転させても、同じ場所で止まるようなら「バランスが取れていない」ということになります。
逆にいつも止まる位置が違っていれば、突出して重い部分がなく、上手くバランスが取れている証拠です。
ホイールバランス②:ダイナミックバランス
ロードバイクのホイールバランスには「ダイナミックバランス」というものがあります。
横方向に揺れ動き、目で見ただけで、バランスが取れているのかどうかを判断することが出来ます。
その際は、ホイールが波打つような動きをするようです。
大型トラックなどが通過していった時にホイールを見てみましょう。
激しく揺れ動く様子を確認することが出来ます。
この現象は、ホイールが大きいほどはっきり現れるので、トラックやバスなどの大型車両に多く見られます。
普通車には滅多に発生することがなく、起きたとしても小規模だそうです。
ダイナミックバランスが崩れた場合、安定感がほぼ失われます。
波打つというのは、タイヤがまっすぐ回転していないことを意味するため、ふらついて直進出来なくなる上に、ハンドルも上手くコントロールが出来ません。
タイヤのすり減り具合もおかしくなるでしょう。
ダイナミックバランスは調整しても、すぐにまた安定しなくなります。
あくまでも調整は、一時的な応急処置のようなものなので、早めに交換するようにしましょう。
とはいえ、ホイールを強くぶつけるなど、外部から強い衝撃を加えられない限り、発生することはありません。
ロードバイクのホイールの仕組み
ロードバイクのホイールは、エネルギーを無駄なく地面まで届けて、ブレーキを掛けたら、きちんと停止出来るようにする役割を持っています。
そのため、なるべく真円に近く、ハブ周辺の抵抗力を少なくしなければいけません。
特に真円であるということは重要です。
どんなに脚力が強くても、ホイールが曲がっていてはまっすぐ走れません。
基本的に、ホイールは丸い形をしていますが、真円を維持出来るものは、ほとんどないのです。
それは、ホイールが「リム」「ハブ」「スポーク」によって成り立っているからです。
もちろん、真円が描けるように考えられてはいるものの、スポークがたわむことだけは避けられません。
スポークがたわむとホイールも歪んでいきます。
この歪みが少ないほど、転がりやすくなっています。
自動車の場合は、重りを付けることでバランスを取っています。
これを参考に、ロードバイクにも重りを取り付けるサービスを始めている店舗があるようです。
大事なポイントは、どれだけ真円であるかという点です。
実現するためには、スポークをがちがちに固め、本数を増やし、短くすることがコツと言えます。
ロードバイクのホイールバランスを取ろう①
ロードバイクのホイールは、上手くバランスを取ることが大事です。
これは自分で調整することが出来ます。
そのためには必要なものを揃えましょう。
用意するものは「スタンド」「ガムテープ」「ドライバー」「1円玉」の4つです。
1円玉は何枚か用意しましょう。
まずは、自転車からクイックレリーズごとホイールを取り外して下さい。
そうしたらスタンドに設置します。
そして軽くホイールを回してみましょう。
止まった時、真下を向いているところが最も重い場所ということになります。
何処が重いのかを把握したら、ドライバーの柄で軽くスタンドを叩いて下さい。
すると振動によって、再びホイールが回ります。
これを繰り返して、重くなっている部分を見つけて下さい。
恐らくバルブの近くになるのではないでしょうか。
重いところを発見したら、その位置と、対角線上に当たる真上部分に、それぞれガムテープを貼り付けます。
真上には1円玉も1枚くっつけて下さい。
後は先程と同じようにホイールを回しましょう。
もしガムテープが貼ってある位置が同じであるなら、バランスが取れていない証拠です。
1円玉の数を増やして、再び何度か回します。
1円玉がある部分が真下に来ると、今度は重すぎるという意味になります。
振動を与えても、ホイールが回らなくなるまで続けましょう。
ロードバイクのホイールバランスを取ろう②
ロードバイクのホイールバランスを取るには、まずウエイトの重さを測らなければいけません。
どれくらいの重さなのか判明したら、1円玉を剥がします。
そして、貼り付ける部分をブレーキクリーナーで洗い、こびり付いた脂を落としたら、ゴルフクラブに使う鉛シートを塗装してから、くっつけてやりましょう。
作業を全てやり終えたらホイールを戻します。
そうしたら、試しにワークスタンドでクランクを回してみましょう。
振動がだいぶ減っているはずです。
どのタイヤと組み合わせるかにもよりますが、やはり高級なホイールは、値段相応の性能を備えていることが多いようです。
車体の重量次第では、変化が微妙だと気が付かないかもしれません。
カーボンディープは、リムハイトが高いため、物によってはかなりのウエイトが掛かります。
ワークスタンドに自転車を取り付けたら、アウタートップで回転させましょう。
振動が大きいようならもう一度分解して、調整し直して下さい。
一定以上のスピードを出さないか、ヒルクライムの時にしか乗らないなら、無理にやり直さなくても良いでしょう。
しかしその場合は、ハブに影響が出る可能性があります。
自分では、上手く調整出来ないと思うのなら、専門店に頼めば確実です。
ホイールバランサーを置いてある店もあるようなので、是非活用しましょう。
ロードバイクにとって大切なホイールバランス
ホイールバランスとは、見た目のバランスではなく重さのバランスのことだったようです。
また、自転車屋さんに頼らずとも、自分でホイールバランスを取る方は多くいるようです。
時間や手間がかかりますが、興味のある方はご自分で愛用のロードバイクのホイールバランスを取ってみてはいかがでしょうか。