ヒルクライムは、山道や坂道を自転車で駆け上っていくことです。
スポーツ自転車初心者には、難しそうな印象を与えるヒルクライムですが、コツを覚えることで、初心者でもヒルクライムができるようになります。
そこで今回は、ヒルクライムにおける自転車走行のコツや、山梨県にある大菩薩峠ヒルクライム・ホッチ峠ヒルクライム・甘利山ヒルクライムのコース別攻略法についてご紹介します。
ヒルクライムでの自転車走行のコツ
ママチャリなどの一般的な自転車に乗ったことのある方は多いのではないでしょうか?
ママチャリで坂を登るときは、立ち漕ぎで一気に上ろうとしていませんでしたか?
街中の坂であれば、これでも問題なく登れますが、ヒルクライムの坂となると、ペース配分が大切になってきます。
ひとつめのコツは、ペース配分です。
初心者は、コースや自転車車種に関係なく、ペース配分を考えずにヒルクライムをしようとしがちです。
ヒルクライムは長距離の山登りですので、ペースを考えて登って行くようにしましょう。ペース配分が上手くいくと、コースによっては、休憩なしで登り切ることができます。
体力のある前半はついつい飛ばしたくなります。
ですが、ヒルクライムは、後半のほうがキツくなります。
前半でも飛ばしすぎずに息が上がらない程度に漕ぎ、後半のことを考えて体力を残しておきましょう。
「ゼェゼェ」と息をしてしまうペースにならないようにするのがコツです。
ふたつめのコツは、ハンドルの持ち方です。
ロードバイクで平地を走る場合は、空気抵抗を抑えるために、ハンドルの下を握って走行しますが、ヒルクライムではハンドルの上を持って走るのがポイントです。
上を握っていたほうが、上体が起きるので呼吸が楽にできます。
ヒルクライムは峠を走るので、交通量は多くないです。
登りなので速度も出ず、急ブレーキの必要がありません。
その他にも、ハンドルを手前に引きつけやすいメリットもあります。
下を向かないように前を見ながら走るのも、タイムを上げるコツです。
ヒルクライムでは自転車走行中の呼吸が大切①
ふたつのコツがわかったところで、次にヒルクライムで重要になるのが、呼吸の仕方です。
自転車走行中は、たくさんの酸素を吸いたいので、しっかりと息を吐くようにしましょう。
簡単そうに感じますが、実践してみると逆に苦しいと感じるほどです。
普段何気なくしている呼吸を、意識して行うので、呼吸筋が鍛えられてきます。
この呼吸法をして、呼吸筋が鍛えられるまで、3ヶ月くらいはかかります。
この呼吸法ができるようになれば、ヒルクライムのコースも楽に登ることができます。
呼吸法は、2回吐いて1回吸うという方法があります。
吸う1回は、大きく吸うことがポイントです。
息を吸うことを「スー」、吐くことを「ハー」とするとわかりやすいのですが、通常の呼吸は「スー・ハー」になります。
自転車走行中は、「ハー・ハー・スー」にするということです。
2回目の「ハー」は、お腹に力を入れて「ハー!」と腹式呼吸で吐きます。
吸いたいところで吐かないといけないので、かなり苦しいですが、吸うときには大きく吸うことができます。
この動作が呼吸筋を鍛えてくれます。
クランク1回転で2回吐き、クランク半回転で1回吸うというのが、ヒルクライムでのおおよそのリズムです。
ヒルクライムでは自転車走行中の呼吸が大切②
ヒルクライムのコースでの自転車走行中の呼吸が分かったと思います。
どこが鍛えられるのかを知ることで、より意識して取り組めるので、呼吸とはどういったものなのかをみていきましょう。
人の呼吸は、肺呼吸ですので肺で行います。
肺自体に筋肉がないので、周囲の筋肉が肺に空気が出入りできるように、伸びたり縮んだりしています。
吸うときには、首すじの『胸鎖乳突筋』や『斜角筋』といった首の筋肉や、肋骨の間にある『外肋間筋』や『横隔膜』を使います。
吐くときには、外肋間筋より身体の内側にある『内肋間筋』や腹筋群を使い、これらの筋肉の圧によって、吐き出します。
腹式呼吸を行うと横隔膜や腹筋群などを多く使うことになりますので、これらの筋肉を鍛えると換気能力が上がり、酸素が全身に回るようになります。
この呼吸法を覚えると2つのメリットがあります。
・換気効率が上がる
・体幹が強くなる
通常の呼吸では、肺の60%ぐらいしか換気できないのですが、80%の換気ができるようになりますので、20%ほどの換気効率が上がる計算になります。
腹式呼吸はインナーマッスルをとても使うので、インナーマッスルは強化され、体幹も強くなります。
体幹を強化すると、姿勢の保持が楽になります。
呼吸法を変えるだけで、いろいろなメリットがあるのです。
大菩薩峠ヒルクライムのコースや攻略法
山梨県にある大菩薩峠ヒルクライムは、スタートはJR中央本線の塩山駅、ゴールは大菩薩峠の登山口というコースです。
走行距離は、約16kmです。
標高差1,185m、勾配の平均は7.3%、最大勾配は9%のコースです。
スタートが駅ですので、人の生活感の感じられるところから、自然へと向かっていくので、その風景の移ろいを楽しむことが出来ます。
【コース概要】
駅を出発したら、国道411号線へ
⇒国道411号線(青梅街道・大菩薩ライン)をひたすら走る
⇒途中、県道207号線に分岐するY字路があるので、右側の橋がある道へ
⇒『大菩薩峠』や『雲峰寺』と看板のあるところで、県道201号線へ
⇒雲峰寺前を過ぎ、ゴールまでひたすら漕ぎましょう
このコースのポイントは、雲峰寺前の急坂です。
スタートから8.5kmまでは勾配6%弱の緩やかな坂なので、余裕を持って自転車を漕ぎましょう。
その後の8km弱は勾配9%の急坂ヒルクライムになるので、ペース配分をしっかり考え、ゴールを目指しましょう。
4月の中旬から下旬にはエドヒガン桜が満開になりきれいなのですが、厳しい急坂には覚悟が必要です。
また、ゴールに近くなると細い山道になりますので、対向車や登山客には気をつけましょう。
ホッチ峠ヒルクライムのコースや攻略法
山梨県にある、ホッチ峠を登るホッチ峠ヒルクライムのコースは、韮崎駅からスタートし、スタート直後からの坂道を走るコースです。
走行距離は、約11.5kmです。
標高差733m、勾配の平均は7.4%、最大勾配は12%のコースで、難易度は高めです。
【コース概要】
・韮崎駅から、県道27号線(昇仙峡ライン)をひたすら登ります
・中央自動車道の韮崎インターチェンジを過ぎると車の通りが少なくなる
・10%ほどの勾配の急坂が続き、途中で勾配が緩くなったりするので、リズムが狂いやすい
立ち漕ぎと座り漕ぎを上手く使い分けて、足に負担をかけ過ぎないように注意しましょう。
集落を通るので、車通りの激しいところは注意して、自転車を漕いでください。
集落を通り過ぎると道が狭くなるので、対向車に注意しましょう。
途中では通学路や見通しの悪いカーブがあり、下り坂になるところもあるので、減速しましょう。
甘利山ヒルクライムのコース
山梨県にある甘利山の甘利山駐車場を目指す、甘利山ヒルクライムは、韮崎駅からスタートします。
先ほどのホッチ峠と反対方向へ進みます。
走行距離15.8kmで、3つのコースで一番長いです。
標高差1,146m、勾配平均9.6%、最大勾配は13.5%で、難易度は高めです。
【コース概要】
・直線や急なカーブ、急坂などバラエティーに富んでいる力試しにおすすめのコース
・スタート直後の橋を渡ると、コース最大勾配の13.5%という急な坂が待つ
・最大勾配後、少し緩やかで10%ほどの坂が続き、5~8%という緩い坂道が続く
・10km手前のつづら折りを越えたら、ゴールまで一直線になる
甘利山の広河原駐車場がゴール地点なのですが、このあたりはレンゲツツジやアヤメ、ヤナギランなど夏の花の群生地です。
10%前後の勾配の坂が続くコースですので、自転車を漕ぐペースを保って走行できます。
登りの勾配が急ということは、下りももちろん急ということです。
帰りは、事故に気をつけて下りましょう。
ダンシングのタイミング
ママチャリ時代の流れで、立ち漕ぎが良いと思っている方は多いかもしれません。
しかし、実際は座り漕ぎ(シッティング)で登った方が速いです。
ダンシングは疲れて息が上がりますし、足も使うので基本的にはオススメしません。
なので、基本的にはシッティングで漕ぎ、急勾配で登れない場合だけダンシングすることをオススメします。