ピストバイクをご存知ですか?
ママチャリなどの街乗り自転車とも、ロードバイクやマウンテンバイクとも異なる自転車です。
今回はそんなピストバイクの特徴や、ホイールの組み方についてお話しします。
自転車の買い替えを検討している方、次の一台にピストバイクを選んでみてはいかがでしょうか。
ピストバイクとは
ピストバイクとは、トラックレースに使われる専用の自転車のことを指しています。
ロードバイクと似ていますが、ピストバイクだけが持っている、3つの特徴が存在します。
1つ目は「単速ギア」です。
変速機が付いていない、シングルスピードと呼ばれる種類になります。
2つ目は「固定ギア」です。
ギアが空回りすることなく、ペダルを逆回転させればバックすることが出来ます。
ただし、坂道などではペダルを常に漕がなければ走れません。
3つ目は「ピストバイク特有の魅力」です。
ペダルを踏むとその力が直接車輪に伝わるため、力強い感触となります。
単純に移動手段として用いても良いですし、スピードを上げて疾走感を味わっても悪くありません。
ハンドル操作のコツを掴めば、トリッキーな動きも出来るようになるでしょう。
パーツの種類や色も多く、カスタマイズも簡単なので、フレームやホイールの組み方などに個性を出せます。
軽くて頑丈、メンテナンスも楽に行えてしまう、良いところに溢れた自転車なのです。
町中を走ることがほとんどで、短距離を移動することが多い人や、ファッションアイテムのひとつとして取り入れたい人などにおすすめします。
ピストバイクとロードバイクの違い
ピストバイクはロードバイクと似ていますが、ロードバイクには変速機が取り付けられています。
後輪のギアには10枚、クランクには2~3枚ほど付いています。
道が傾いていれば、それに合わせて調節を行い、スピードを出したければ強く踏み込むことで、一気に速度を上げることが出来ます。
ピストバイクは、単速ギアを使っているので、微調整ができません。
そのため、上り坂ではかなりの力を込めなければ上れません。
また、ギアが固定されているので、後輪が空回りしないため、足を止めることが出来ないのです。
このような仕組みになっているので、ペダルを逆に回すと、後輪も同じように逆回転を始めます。
しかし、走っている最中に逆回転させようとすると、やはりある程度の脚力がなければ動きません。
ですが、ピストバイクはホイールの組み方などを自分好みにカスタマイズしやすいという利点もありますし、種類や色のバリエーションが豊富なので、選ぶ楽しみもあります。
また、メンテナンスも簡単に済むため、手間も掛かりません。
スポーツタイプの自転車の購入を考えている人は、ぜひピストバイクも候補に入れておいて下さい。
ピストバイクとロードバイクの違いはギア以外にも
ピストバイクとロードバイクの一番の違いはギアですが、実はもうひとつ、決定的な違いがあるのです。
それは「ピストバイクにはブレーキが備わっていない」という点です。
ピストバイクのギアは固定されているため、ペダルの踏み込みを調節することでブレーキを掛けます。
しかし「ペダルを上手くコントロールすれば止まれるので、ブレーキがなくても大丈夫」という考えは間違っています。
基本的に、車両に分類される乗り物には、ブレーキが付いていなければなりません。
これは、道路交通法によって定められているので、例えピストバイクであっても例外ではないのです。
競輪選手も公道で練習するときは、ブレーキや反射板を取り付けています。
この決まりは購入時にきちんと説明されるので、恐らくピストバイクの使用者で、このことを知らない人はいないかと思われます。
ですが、悲しいことにあまり守られていることはなく、中には、ピストバイクは違法にならないと主張する人もいるようです。
そもそもピストバイクは、公道を走るものではないという結果が、昭和31年に裁判で出されています。
ピストバイクはホイールの組み方などが自由に行えますが、自由だからといって、何をしても良いわけではありません。
決められたルールを守ってこその自由です。
自転車ブームにより、ピストバイクも多くの人に知られるようになりましたが、これを機に法律について見直しましょう。
ピストバイクのホイールの組み方
ピストバイクのスポークホイールの組み方は、大きく分けると2つのやり方があります。
ひとつは「ラジアル組」と言い、スポークを交差させず、放射状に広がっている状態でリムへと繋げています。
スポークを限界まで短くすることが出来るので、そのぶんだけ車体が軽くなります。
トルク伝達があるリアよりも、フロントで主に用いられています。
もうひとつは「タンジェント組」です。
スポークを交差させており、ハブからリムへのトルク伝達が適しているので、揺れなどを抑え込む力が強くなっています。
また、交差についても微妙に違いがあります。
フランジから伸びるスポークを、どれくらいの間隔を空けて交差させるかによって、呼び名と対応するスポークの本数が変わります。
例えば、4つの間隔が空いているのなら「4本組」となりますが、他のスポークと必ず2箇所が交わっているところから「2クロス」とも言われています。
ほとんどの自転車では、タンジェント組が使われていることが多いようです。
色々なパターンのホイールの組み方
ピストバイクのホイールの組み方には、スポークがフランジの外側と内側のどちらから伸びているかによって変わってきます。
左右に2種類ずつ、合計4種類の組み合わせがあり、一般的には内側から外側へ向かっているスポークの方が耐久性はあると言われています。
ですが、用途にもよるので、正しいやり方で組み上げましょう。
・イタリア組
左右どちらも、外側のスポークを使ってトルクを伝えます。
ロードバイクなど、スピードを上げることを目的としている自転車に使われます。
これなら、スムーズに前へ進むことが出来ます。
・反イタリア組
イタリア組とは反対に、どちらも内側から伸びています。
ディスクブレーキが組み込まれた、前側のホイールに使用されます。
・JIS組
コグ付きの方を外側、付いていない方を内側でトルクを伝えます。
ピストバイクのリアなどに使われており、バックをしようとすると、色が付いていないスポークに負荷が掛かる仕組みです。
スポークのパターンが変わることもありません。
・反JIS組
JIS組とは反対に、コグ付きを内側にしています。
この組み方は、滅多に使われることがないです。
上級者向け!ホイールのスポークの組み方
ピストバイクに慣れてきたら、少し難易度の高いホイールの組み方にチャレンジしてみましょう。
その方法を3つほどお伝えしたいと思います。
・タンジェント組+ラジアル組
リアのホイールのうち、コグが付いている方をタンジェント組で組み上げ、反対側をラジアル組で組み上げます。
これなら、ラジアル組のメリットをリアでも受けられるので、双方の良いところを得ることが出来ます。
・モランボン
タンジェント組のスポークを交差させる際、そのままではなく、軽く捻ります。
どの位置のスポークをどれくらい捻るのかは、用途に合わせて変更します。
そうすることで、剛性が大幅に上昇します。
・ダブルクロス
2~4箇所ほどスポークが交差している状態です。
普通、どのように組み上げても、スポークとスポークが押し合っているのは、1本に対して1箇所だけとなっています。
ですが、この組み方は、1本に対して2箇所以上が交わっています。
剛性を上げることが出来ますが、スポークが歪むくらいの負荷が掛かるため、一般的には8本を組み合わせる「4クロス」を使います。
初心者はまず組み替えずに乗ってみよう
スポークの組み方はさまざまで、組み方によって見た目だけでなく強度にも変化があります。
かっこいい組み方に変えたい気持ちはわかりますが、それで強度が下がって自転車の故障に繋がると大変です。
初心者の方は改造や組み立てをするよりまず買った状態のスポークのまま乗ってみることをおすすめします。