自転車に慣れてくると色々なパーツを交換したくなるものです。
ホイール・サドル・ハンドルなどに加えて、コンポ-ネントを丸々交換なんてこともあります。
そして究極とも言えるのがフレームの交換です。
家を例に取れば、パーツの交換は部分的なリフォームですが、フレームの交換は家の半分くらいを建て替えるイメージです。
それだけに、大がかりで費用も覚悟しなくてはいけないと思うのですが…検証していきたいと思います。
自転車のフレームを交換することとは?
まず、大前提として今回の自転車のフレーム交換の話は、ロードバイクやマウンテンバイクなど、スポーツ自転車を対象にしています。
理由は、ママチャリなどのシティサイクルはフレーム交換の工賃で安い新車が買えてしまいますし、フレームを補修部品とは考えていないので、単体での入手が困難だからです。
では本題に戻りまして、自転車に限りませんが何かの部品を交換するとなった場合、その理由は主に以下の2つになります。
1つめは、交換を迫られる事情が発生した場合。
2つめは、自分の欲求を満たすための交換です。
前者は故障・劣化・寿命などで修理もできず、交換しなければ、本体そのものが使いものにならなくなってしまうということです。
後者は現状のままでも使用は可能だけど、性能や見た目を向上させるための交換です。
これを自転車に当てはめてみると、前者はタイヤやチェーン、ブレーキシューなどの消耗品、あとは一般的に故障が多いと言われる変速機周りが該当しそうです。
一方、後者はハンドルやサドル、ホイールなど、寿命はあっても交換するほどの故障は考えにくく、快適さを求めてのカスタマイズになるパーツが当てはまると思います。
フレームは、どちらかというと後者になるかと思いますが、寿命も気になるところではあります。
そこで次項では、フレームの寿命について考えてみたいと思います。
自転車のフレームの寿命はどのくらいだろう?
一般的なスポーツ自転車のフレームに使用されている素材は、アルミ・クロモリ・カーボンの3つになります。
一概には言えませんが、まず最初の1台としてのエントリーモデルのフレーム素材は、圧倒的にアルミが多いはずです。
アルミは価格が安い割には丈夫で軽いので、スポーツ自転車のフレームに良く使われます。
アルミフレームの寿命は一般的には5,000kmで剛性が落ち始め、20,000kmくらいで動かなくなるとも言われています。
どこを寿命として考えるかは個人差もあるでしょうが、仮に5,000kmとした場合、年間1,000km乗る人で寿命は5年ということになります。
アルミに比べて、強い金属のクロモリのフレームを使っている人の中には、20年間交換なしで同じフレームを使い続けているなんて猛者もいます。
カーボンは自転車を倒してしまったときに縁石やガードレールなどの突起物に激突するような、一点集中型の衝撃に弱く、横に裂けてしまう可能性があります。
また、紫外線による塗装の劣化は、他の素材に比べて顕著かもしれません。
しかしそれ以外には大きな欠点は無く、素材としては強いのでアルミよりも長い期間、初期の効果を持続してくれると思います。
そのことから考えると、アルミフレームは寿命による交換も視野に入れなければいけませんが、クロモリやカーボンは寿命の判断が難しいということが言えます。
自転車のフレーム交換か?完成車か?
ここでは、ひとつ例を挙げながら、完成車とフレーム交換の関係についてお話します。
例に挙げるのは世界最大の自転車メーカー、「ジャイアント」のロードバイクです。
完成車:【TCR ADVANCED SL 2 KOM】参考価格:¥390,000
フレーム単体:【FS TCR ADVANCED SL】参考価格:¥280,000
完成車はカーボンフレームの初~中級モデルといったところで、コンポにシマノの上級グレード【アルテグラ】を採用しています。
価格差は11万円ですが、シマノのアルテグラのコンポ一式はアマゾンなどの通販サイトでも約9万円します。
となると、あと2万円でその他の部品が手に入らなければ、完成車よりもコストが掛かってしまうことになります。
しかし、アルテグラのコンポに安価なホイールやサドルは似合わないので、2万円ですべてを揃えるのは不可能と言わざる得ません。
もちろんフレームのみの交換で、今のロードバイクに搭載されているパーツをそのまま使うのもアリですが、同じフレームでも何年かのスパンでモデルチェンジをしますから、今の部品が全て適合するかは分かりませんし、消耗品の交換やお店に頼む場合は工賃も発生するので、限りなく完成車の価格に近付くことになるでしょう。
自転車のフレーム交換のメリット・デメリット
上記の例を考えてみると、あらかじめ、ある程度のパーツが揃っていて新しく購入する物が少なければ、価格的にはギリギリ完成車を上回らないで済むかもしれません。
しかし、熟練者の方で何度も何度もパーツのカスタマイズをしてきている人は別ですが、完成車を購入しパーツを1度も交換したことのない人が、フレームだけを換えることにメリットがあるとは思えません。
なので、初めて買い替えるような人は、完成車を購入した方が断然お得ですし、多くのメリットを享受できるでしょう。
フレーム単体を購入するメリットがあるとすれば、何台もロードバイクを所有している人が、1台分くらいのパーツが余っていて、なおかつ自分で組み上げられるのであれば、完成車よりも安くなることくらいでしょうか。
それでも、すべてのパーツが新しいフレームと互換性があるわけではないので、ある程度の費用は掛かります。
いずれにしてもフレーム交換は、スポーツ自転車初心者にとってのメリットは少ないでしょう。
自転車のフレーム交換を考える前に
事故などによる修復不可能なほどの破損は別として、自転車のフレーム交換を思い立った理由が性能面や見た目の問題であるならば、他の部品のカスタマイズを考えてみてはどうでしょうか?
例えば、ロードバイクならスピードを上げるようなカスタマイズは、変化した実感を感じ取りやすいので効果的です。
その意味で、おすすめはホイールの交換です。
ホイールは自転車のパーツの中で、最も空気抵抗に左右される部分なので、ここを換えると劇的な変化が生まれます。
価格はピンきりですが、フレーム交換を視野に入れているくらいの資金計画なら、相当な上位グレードのホイールが履けますよ。
また軽量化という観点から見ると、サドルやシートポストの交換もおすすめです。
フレームの素材をアルミからカーボンにするなんてことには到底かないませんが、ある程度の実感はできます。
しかもフレームに比べれば、1/10程度の費用で交換が可能ですから、気軽なカスタマイズでもあります。
さらには、コンポーネントを上級モデルにすることも考えてみましょう。
こちらもフレーム交換の予算なら、シマノの上級コンポを搭載することができます。
フレームを交換するなら自力でやってみよう!
ここまでお話してきたことでお分かりかもしれませんが、自転車のフレーム交換というのは、ハードルが高いことのように感じます。
価格面・パーツの互換性・組み立てなど初心者からすれば、未知のことが多すぎてしまいます。
また、一からロードバイクを組み上げた経験を持っている人でも、完成したものを必ず自転車屋さんにチェックしてもらうほうが安心です。
それでも、やはりフレーム交換に挑戦したいという人は、交換する前に今の自転車を解体して、再組立てしてみることをおすすめします。
解体することで、パーツの意味や互換性を理解できると思いますし、再度組み立てることで各種ケーブルの張り方やフレーム交換の予行練習にもなります。
厳しい意見かもしれませんが、逆にこれくらいできないと、フレーム交換を考えるほどのレベルでは無いと思います。
もしそのレベルでは無いのなら、もう少し経験を積んでパーツをカスタマイズして、自転車の構造に対する理解を深めてからフレーム交換を考えても遅くはないと思います。
自転車は奥が深い!
今回は自転車のフレーム交換について考えてきました。
しかし、改めて自転車はカスタマイズしがいのある物だと思いますね。
自転車のフレーム交換は、車で例えるならエンジンやタイヤだけを残して、ボディをそっくり入れ替えることですから、まずあり得ませんよね。
それだけに、色々と試行錯誤しながら自分だけの1台に仕上げていくのも、自転車乗りの醍醐味ではないでしょうか。