ベアリングとは自転車の回転する部分に使われている、摩擦を減らして回転をスムーズにするための金属部品にことです。
自転車においては、クランクの付け根や(BB)ペダル、ホイールのハブやハンドル周りにも使われています。
また、リアディレイラーを操作するプーリーにもベアリングが使われています。
今回は、シマノ・アルテグラを例に取り、ベアリングについてお話していきます。
アルテグラのBBのベアリング性能
ロードバイクの中で、まずコンポーネントのグレードによってベアリング性能に差が出るのは、BB(ボトムブラケット)ではないでしょうか。
BBは、フレームの前三角と後ろ三角の下側の結合部分です。
この結合部分にBBユニットを装着して、クランクとフレームを繋ぎます。
当たり前のことですが、車輪へ伝わる力はクランクを回すことによって発生する訳ですから、この部分は「自転車の心臓部」と呼ばれるほど大変重要な部分です。
アルテグラは2017年フルモデルチェンジを果たしましたが、旧モデルの6800系の頃からBBに関しては評価が高かったです。
モデルチェンジされた現在では、6800系のBBは通販サイトで2,000円を切るような価格で販売されている、お値打ち品ながら、「ギア1枚分走りが変わる」と言われています。
私は科学に詳しくないですが、何でも中に入っているベアリングとシードルが接触していないので、回転が軽くなっているそうです。
また、ベアリングの周りに散りばめられている小さな玉があるのですが、これがかなり小さいことによって摩擦が減り、良く回転するようになると言います。
ベアリングのメンテナンス方法
アルテグラのBBは安価なので、試す価値は十分あると思います。
では、ここで各パーツのベアリングを点検する一環として、メンテナンスについて触れておきたいと思います。
自転車に限らず、回転する部品をスムーズに動かすためには、潤滑油が必要不可欠になります。
そのため、自転車のベアリングにも定期的な注油が必要になります。
ですが、自転車のベアリングは普段は隠れた部分にあり、メンテナンスには、ある程度のパーツの分解が必要なため、簡単には注油できないことになります。
そこで、長持ちする油を使用する必要があり、使われるのが粘着性の強い「グリス」という潤滑油になります。
粘着性が強いので、水分などで流されにくく耐久性があるために、ベアリングには最適という訳です。
また、フレームに圧入しているシートポストやフロントフォークなどの固着防止にも、グリスが使われます。
逆に普段から露出しているチェーンなどにグリスを使用すると、汚れや石などが付着してチェーンがヤスリのようになって、フレームを傷付ける原因になるので使用しないでください。
アルテグラのリアディレイラーにもベアリングが使われている!
リアディレイラーは後ろ用のギアの変速機のことで、2つのプーリーと呼ばれる歯車が付いています。
1つめの上に付いている歯車は「ガイドプーリー」と言って、次のギアにチェーンを動かすためのものです。
2つめの下に付いているのは「テンションプーリー」と言って、チェーンの張りを調整して、常にたるまなくする役目を担います。
シマノのコンポではアルテグラと、ハイエンドモデルのデュラエースのプーリーにベアリングが使われています。
しかも先ほど説明したBBにも使われている、シールドベアリングなのに加えて、小さい玉が散りばめられているボールベアリングなので、摩擦が少なく回転性能が高いです。
そのため、変速が素早くカチッと決まる感じになるのです。
リアディレイラーを交換すると、かなり費用が掛かりますが、プーリーの交換なら2,000円~3,000円程度です。
リア11速のコンポを搭載しているロードバイクなら、プーリーだけグレードアップしてみても良いと思います。
アルテグラのホイールを分析してみる
アルテグラはロードバイク用のコンポですが、同名でホイールも販売しています。
価格や重量から見ると上位グレードとまでは言えませんが、他メーカーの同価格帯のホイールと比べても高評価なものです。
ホイールも回転する物ですから、もうお分かりのようにベアリングが使われています。
何と言っても凄いのは、以前はデュラエースのみに採用されていたデジタルベアリング調整システムを導入することで、ほとんどのカップアンドコーンハブに見られる、ダブルロックを不要にしていることです。
これにより、六角レンチ1本でハブのベアリングが調整できるという、画期的なシステムをこの価格帯のホイールに投入してきました。
こういったところは、さすが世界のシマノですね。
また従来通り、ラチェットリングを密閉しており、ラチェット音は非常に静かなので、音を好まない人にはおすすめのホイールと言えます。
アルテグラのペダルはどうか?
さて、次はペダルの話ですが、ロードバイクの完成車のほとんどで、ペダルは別売りです。
ペダルはロードバイクの中で唯一足の力が直接加わる部分なので、自分の足によりフィットした物じゃないといけないという観点からです。
ペダルも回転する部分ですから、ベアリングが使われています。
しかも一番酷使する部分ですから、ベアリングのメンテナンスも重要になってきます。
クランクに装着する部分のシャフトにベアリングが付いていますが、非常に小さいので、ボールを失くさないように、丁寧にメンテナンスしましょう。
ペダルには大まかに分けて2種類あり、靴とペダルを金具で固定する「ビンディングペダル」と、普通のノーマルペダルになります。
アルテグラやデュラエースはビンディングペダルですが、ペダル自体が高価ですし、専用の靴も必要なので費用的には、おすすめとまでは言えません。
アルテグラでペダルに12,000円~14,000円、専用靴はピンきりですが、最低でも5,000円程度します。
上位グレードの物ですから、さすがに良く回りますし耐久性も高いので、熟練してくれば選択肢には入れたいですね。
パーツを上位グレードにしよう!
さて今回は、ロードバイクの様々なパーツをご紹介してきたわけですが、今回は比較的安価に手軽にカスタマイズできるパーツが多かったと思います。
ロードバイクのコンポは進化していますので、その分1セット丸々の交換となると費用は、アルテグラで約9万円、デュラエースに至っては20万円するわけです。
しかし、今回ご紹介してきたBBやリアディレイラーのプーリーは、アルテグラやデュラエースにしても数千円でできるカスタマイズです。
しかも上位グレードというのは、シールドベアリングなどに代表されるように、細かいながらも性能が格段に上がるような細工を施されているので、互換性があるのなら積極的に交換したいものです。
今回ご紹介したパーツの他にも、アルテグラのブレーキ本体は約1万円しますが、ブレーキシューだけなら1,000円程度です。
しかも、ブレーキシューの交換は、効果も抜群と言われている有名なカスタマイズなのです。
こういった細かい部分に目を向ければ、フルセット交換ができなかったとしても、徐々にではありますが、性能を高めていくことが可能なんですね。
ベアリングはとても大事です
自転車には、様々な部分にベアリングが使用されていますね。
また、走行性能を左右するパーツが多いので、なおさらグレードを上げたいですし、メンテナンスも小まめに行う必要がありそうです。
そして、ベアリングのメンテは決して難しい作業ではありませんので、臆せず行ってください。