世界最大の自転車メーカーと言われているのが、台湾の「giant(ジャイアント)」です。
ラインナップの豊富さに加え、他の追随を許さない高品質・低価格をモットーとしており、「コスパのgiant」の代名詞があります。
ロードレースにも機材を提供していますが、街乗りのクロスバイクにも定評があり、幅広い層に支持を受けています。
今回はそんなgiantのクロスバイクを見ていきましょう。
クロスバイクはスポーツ自転車の中で最も低価格
giantのクロスバイクの話をする前に、クロスバイクについて簡単に説明させていただきます。
クロスバイクは、スポーツ自転車の入門編的な位置付けであり、価格やジオメトリがママチャリからなどもスムーズに移行出来るようになっています。
現在は高級なものも増えてきましたが、価格はおおむね5~10万円の範囲内です。
クロスバイクは元々、MTBを街乗りにできないかというコンセプトから始まったと言われています。
MTBにロードバイクの要素を加えながら街乗り車にしている経緯があるので、どちらかと言えばMTB寄りのスペックになります。
そのため、特徴はフラットバーハンドルであり、フロントが3速、太めのタイヤとなります。
また、ジオメトリ(フレーム形状)が、スポーツ自転車の特徴である前傾姿勢がきつくならないように設定されています。
しかし、最近はクロスバイクのスピード化が進んでおり、ロードバイクと同じ700cのホイールを履くものがほとんどです。
クロスバイクは価格は安いが走りは本物
クロスバイクの特徴をざっとお話しましたが、何もいじったりせずノーマルな状態では街乗り車としての要素が強いと言えます。
ママチャリ同様、生活の足として使用する人が多いということです。
スポーツ自転車はレースの機材という側面が強いので、市場に出回っている完成車でも浮世離れした価格のものが少なくありません。
コスパが売りのgiantですら、ロードバイクのハイエンドモデルは100万円を軽く超えます。
そういった点からも、クロスバイクは求めやすい価格になっていますので、気軽に入っていけます。
しかし、価格は安いですが、走りはママチャリとは大きく一線を画します。
ママチャリしか経験のない人がまず最初に驚くのは、その圧倒的なスピードです。
車体が軽くなり、車輪の口径が大きくなり、ギア比が上がるので、まるで別の乗りものと表現する人が多いです。
それでいてタイヤは28cくらいが一般的なので、極端に細くなく安定感があり、クッション性も高いので乗り心地がソフトです。
趣味というよりは移動手段として、しかしママチャリよりも速く走りたいという人には最適の自転車です。
giantのクロスバイクはコスパが高い!
giantのクロスバイクに【ESCAPE R3】という機種があります。
しっかりとデーターを把握しているわけではありませんが、恐らく日本では最も多く販売されているクロスバイクでしょう。
「コスパのgiant」という異名は、このバイクのためにあるのではと思えるほどの低価格・高品質です。
giantはこのバイクを、基準や指標という意味でクロスバイクの「ベンチマーク」としていますので、相当な自信が伺えます。
定価が5万円なので、コストダウンのためのパーツも見られますが、あからさまではなく最低限のカットに留めてあります。
そのため、アルミフレームとしては軽量な部類ですから、スピードも十分に堪能できます。
フロント3速リア8速は標準的ですが、軽い方のギアが充実していますので、坂道が多い場合などは嬉しいところです。
通勤などの生活の足に加え、サイクリングなど趣味で乗っても満足できる1台です。
クロスバイクはこういうものだという認識をさせてくれる、正に最初の1台に相応しい「ベンチマーク」モデルです。
クロスバイクのスピード化
クロスバイクはMTBとロードバイクの融合がされていますが、先述した通りスピード化が進んでいます。
スピード化というのは、どちらかと言えばロードバイク寄りになっているということです。
メーカーによっては、「フラットバーロード」というカテゴリーに分類し、クロスバイクと一線を画している車種もあります。
名前の通りフラットバーハンドルですが、ハンドル以外のスペックは普通のロードバイクと全く変わらないというものです。
クロスバイクに慣れてきた頃に、横からロードバイクに颯爽と駆け抜けられたりしますとロードが欲しくなるものです。
そのため、将来を見据えてドロップハンドルにさえすればロードバイク化できる、フラットバーロードを選んでおく手があります。
しかも、ロードバイクに比べれば低価格なのも魅力です。
giantにもフラットバーロードがありますので、のちほど紹介します。
また、フラットバーロードがおすすめなのは、ロードバイク用のホイールを使用できる点です。
スポーツ自転車のホイールの中でも、ロード用は群を抜いて高性能です。
しかし、フレームの仕様上の問題で、クロスバイクには何らかの細工をしないとロード用のホイールが転用出来ません。
一方、フラットバーロードはジオメトリもロードそのものですので、ロード用のホイールがそのまま使用できます。
後から気付くことになるのですが、これがとてつもなく大きなメリットになります。
giantのフラットバーロード
それでは、giantのクロスバイクの中で、フラットバーロードと呼べるものを紹介します。
【ESCAPE RX 1】参考価格:¥100,000
先ほど紹介した機種の上位モデルになりますが、スペックはほぼロードバイクです。
ブレーキだけがMTB用のVブレーキを使用していますが、ドライブトレインはシマノ「ティアグラ」のフルセットです。
フレームもロードバイク仕様なので、ホイールの交換も可能です。
重量が10kgを切りますので、クロスバイクとしてはかなり軽量ですから、ドロップハンドル化の価値があるフレームです。
STIレバーを使用するにはブレーキの交換が必要ですが、その他は交換無しでロードバイク化が可能です。
衝撃吸収性に優れたカーボンを、フロントフォークとシートポストに採用しているので、ロングライドでの疲れの軽減も期待できます。
たとえgiantでも価格が安いクロスバイクはブレーキに注意
giantに限ったことではありませんが、クロスバイクは全体的に価格が安いのでコストダウンされているパーツがあります。
パーツ自体の価格が高いクランクセットやホイールは致し方ないとして、問題なのはブレーキです。
ブレーキは単体で購入したとしても、そこまで高価なものではないですが、なぜかコストダウンのターゲットにされがちです。
ブレーキは命を預けるものですから、いざというときに効きませんでした、では話になりません。
そのため、特に5~7万円くらいまでのクロスバイクでは、真っ先にブレーキを交換した方が賢明です。
交換するにあたっては、「シマノ」製がおすすめです。
本体とレバーで3~4,000円も出せば十分なレベルですので、ぜひ検討してください。
クロスバイクはスピード化している
今回はgiantのクロスバイクを確認しながら、クロスバイク全体についてお話しました。
クロスバイクには確実にスピード化の波が来ており、街乗り専門のイメージから脱却しつつあるところです。
その中で、giantはさすがに豊富なラインナップだけあり、バランスをきっちり保っています。
入門編的な機種もありますので、スポーツ自転車最初の1台にぜひ検討したいメーカーです。