カンパニョーロのシャマルウルトラはヒルクライム向き?

ヒルクライムとはロードレースのひとつで、山や丘を登り、そのタイムを競います。

坂を登るということは重力に逆らって進んでいくわけですから、この競技ではとりわけ「軽さ」が要求されます。

自転車のパーツの中でも特にホイールは、最も軽さを実感できる部分です。

今回はそのホイールでも特にヒルクライム向きと評される、カンパニョーロの「シャマルウルトラ」にスポットを当ててみようと思います。

シャマルウルトラを作っているカンパニョーロとは?

カンパニョーロは1933年創業のイタリアの老舗自転車部品メーカーです。

特にロードバイク部門では日本の「シマノ」、アメリカの「SRAM」と共に市場を寡占しています。

日本にも一定の支持者がおり、2005年にはカンパニョーロジャパンも設立されています。
ただ、徹底した高級ブランド化戦略を採っているため、他のメーカー品よりも、かなり高価な物が多いです。

今回取り上げるシャマルウルトラもアルミクリンチャーの上級モデルとは言え、他社の同クラス製品と比べても1.5~2倍は高価です。

しかし、ホイールに関しては高価でも好評価のものが多く、今回ご紹介していくシャマルウルトラの他にも、「シャマルミレ」や「ゾンダ」などは軽量で、ヒルクライムに使用したとのインプレを良く見かけます。

カンパニョーロはとにかく、まずホイールを交換しようとした場合、大方選択肢に入ってくるメーカーだと言えるでしょう。

ヒルクライム向きのホイールとは?

まずは、冒頭でもお話したように、軽い方が断然有利になります。
これは単純に、重い物を上に持ち上げるよりも、軽い物の方が楽だからです。

また、フレーム本体を別にした場合、自転車のパーツで最も軽さを意識できるのはホイールであるため、ヒルクライムには軽量ホイールが推奨されます。

しかし、単純に軽いというだけでは役不足で、ここに剛性が加わらなくてはいけません。
軽いホイールであっても剛性が低いと横に大きくたわみ、力が逃げるのでペダルを踏んでも進んで行きません。

ですから、ダンシング(立ち漕ぎ)など負荷のかかる乗り方で行うことが多くなるヒルクライムには、低剛性のホイールは結構たわんでしまうので、不向きということになります。

また、体重が重い人は、そもそもホイールがたわむので、より高い剛性の物を選ぶ必要があります。

あとは、ホイールのスポークの素材がアルミの方が剛性が高いので、ヒルクライム向きなのはアルミスポークと言えるでしょう。

では、次項からはカンパニョーロのシャマルウルトラをご紹介します。

シャマルウルトラはなぜヒルクライム向きと言えるのか?

カンパニョーロのアルミクリンチャーホイールの中でも、上級モデルが「シャマルウルトラ」になります。

前後重量1,495gは、かなり軽いモデルに入ります。
また、全体的にやや硬めの剛性になっているのも大きな特徴のひとつです。

ハブに硬く変形の少ないUSB(ウルトラ・スムーズ・ベアリング)が採用されていて、セラミックス製のベアリングがスムーズな回転を生み出してくれるので、漕ぎ出しが軽く、楽に坂を登っていけるのです。

さらに高剛性のアルミスポークが、ハブとホイールのねじれを抑えて、パワーをしっかりと伝えてくれます。

また、スポークの組み方にも特徴があり、空気抵抗の影響を最小限に抑えるように設計されています。

このように、ヒルクライムに重要な要素である「軽さ」と「剛性」のバランスに優れているのが、シャマルウルトラがヒルクライムに適していると言われる理由なのです。

カンパニョーロの位置付けとしては、アルミクリンチャーモデルの最上位は「シャマルミレ」ですが、性能としてはほとんど変わらず、わずかに40g程度重いくらいです。

カンパニョーロのシャマルウルトラ以外のホイールも見てみよう

カンパニョーロにはシャマルウルトラ以外にも、ヒルクライム向きのホイールがありますので、ご紹介していきます。

【シャマルミレ】

カンパニョーロのアルミクリンチャーモデル最上位の位置付けとなるのが、シャマルミレです。

まず、他のホイールと明らかに違うのは、真っ黒なリムです。
他のホイールはリムがシルバーなんですが、プラズマ電酸化処理をすることで、黒くなっています。

プラズマ電算化処理をすると硬くなるので、薄くしても剛性が落ちないメリットがあります。

なので、リムの軽量化が図れ、2017年モデルより少し増量しましたが、アルミモデル最軽量はキープしています。

その他はシャマルウルトラと同じで、アルミスポークにUSBベアリング採用で、ヒルクライム向きなのは間違いないところです。

【ゾンダ】

グレード的にはシャマルシリーズよりは少し落ちますが、完成車からの履き換えで真っ先に候補に挙がるホイールのひとつだと思います。

そもそもが軽量を売りにしている訳ではないのに、1,500g台は、かなり軽い部類に入ります。

さらにスチールスポークでありながら、剛性も上手い具合に加味されているので、とてもバランスの良いコスパに優れたホイールだと思います。

シャマルウルトラとフルクラムのレーシングゼロを比較してみよう!

では、ここではシャマルウルトラと、よく比較されるフルクラムの【レーシングゼロ】をご紹介します。

重量やパーツ構成まで似通った構成となっていますが、それもそのはずで、フルクラムはカンパニョーロの子会社になります。

シャマルウルトラに比べ、剛性が高い構成になっているので、軽さと言う点では少し劣るものの、ダイレクトに反応するので加速性の高さは、まさにレース向きと言えます。

また、その剛性の高さは、回した分だけ前に進む感覚をもたらせてくれますし、ヒルクライムのダンシングにおいては、たわまずに漕いだ力を確実に推進力に変えることができるので、非常に有利になります。

従って、シャマルウルトラが軽い走りを売りとするのに対して、レーシングゼロは力強さが売りとなっています。

どちらが優れているというのは用途によって違いますので、一概には言えませんが、走りを楽しみたいならシャマルウルトラ、自分の限界に挑戦してレースで勝ちたいならレーシングゼロといったところでしょうか。

ヒルクライム向きのおすすめタイヤとは?

ここまでホイールの話をしてきましたが、当たり前のことながら、自転車はホイールの上にタイヤを履かせないと走れません。

そこで最後に、ヒルクライムにおすすめのタイヤもご紹介しておきたいと思います。

こちらもホイール同様「軽さ」が重視されるのは言うまでもありませんが、タイヤにはレースで使う「決戦用タイヤ」が存在します。

普段の街乗りや練習には、耐久性やパンクしにくい物が必要とされますが、決戦用はその用途に特化しているため耐久性は低く、レースに2,3度使用したらダメになる可能性はありますが、そのぶん効果は抜群です。

ここでおすすめとしてご紹介するのは、ヒルクライム向けの軽量決戦タイヤということになります。
ぜひシャマルウルトラに装着していただきたいと思います。

【コンチネンタル Grand Prix Supersonic スーパーソニック700c】参考価格:¥6,000

かなり薄目のタイヤですがグリップ力が強く、耐久性も他の軽量タイヤと比べれば向上しています。

23Cで150gは他の追随を許さない超軽量で、最初の決戦タイヤとすれば、これを選んでおけば、まず間違いありません。

なお、価格は通販サイトによって大きく違うので、あくまでも参考程度としてください。

【パナレーサー RACE L EVO3】参考価格:¥4,700

国産メーカー・パナレーサーの最軽量タイヤになります。

トレッド下部に耐貫通パンク素材が配してあるので、ヒルクライム以外でも安心して使えます。

シャマルウルトラはヒルクライムを楽しむのに最適!

今回はヒルクライムの観点から、シャマルウルトラをご紹介してきました。

軽さと剛性のバランスでいえば、やや軽さ寄りのため、坂を軽快に登って行くには良いホイールであると思います。

そのため、ヒルクライムを楽しみたい人に向いていると言えます。
【趣味の世界においてのハイエンドモデル】と言えば、分かりやすいかもしれませんね。