ノバテックのホイール【スプリント】の評価は?実力は?

ノバテックは、自転車大国台湾の自転車部品メーカーです。

前身のメーカーが多くのブランドにハブを提供して有名となり、その高い技術力を生かして1989年に自社ブランドのノバテックを設立しました。

ハブに強いメーカーということで、当然のごとくホイールも製造しています。

中でも、アルミリムのスプリントの評価が高いようなのですが、実際にはどうなのか検証してみたいと思います。

ノバテックはどんなホイールを展開している?

ノバテックは、1971年10月にハブメーカーとして誕生した「JOY industrial」が、その前身になります。

多くのメーカーやブランドにハブを提供し、その技術の高さは世界的に評価されていました。

1989年にノバテックとなってからも、カーボンホイールが台湾自転車輸出協会の最優秀製品に選出されるなど、高い技術力を誇っています。

日本代理店はACTION SPORTSで、現在の製品展開は確認できた限りでは、ロードバイク用のアルミ、カーボンリムホイールに小径の20インチホイール、そしてハブとスポークの単品販売といったところです。

種類は少ないですが、楽天やアマゾンにも手組されたホイールがラインナップされていますので、全くのマイナーという訳でもなさそうです。

ノバテックのホイールは全体的に軽量で、のちほど他のメーカーの物とも比較しますが、スプリントなどはアルミクリンチャーで1,400g切ってます。

ノバテック・スプリントとはどんなホイール?

では、まず今回のテーマでもあるノバテックのホイール「スプリント」をご紹介します。

スプリントはアルミリムのノーマルハイトモデルで、現在のロードバイクの潮流である、C17ワイドリム化も果たしています。

クリンチャー・チューブレス兼用モデルと、チューブラーモデルもありますので、全てのタイヤに適合します。

クリンチャー・チューブレス兼用モデルのスペックは下記の通りです。

重量:F・595g R・775g 計1,370g

リム高:23.4mm

リム幅:21.3mm

スポーク:F・20 R・24 ステンレス ダブルバデッド

シマノ8S~11S対応カセット、カンパ用別売りあり

価格:89,800円

特徴は、何と言っても重量でしょう。
価格的に同レベルのホイールと比較しても、全く引けを取らない軽さです。

スポーク数が多いので、剛性が高くなりすぎるかもしれませんが、そこはステンレスなので、ある程度の乗り心地はキープできています。

軽量化に、ひと役買っているダブルバデッド加工も見逃せません。

ノバテック・スプリントのインプレまとめ

ノバテック・スプリントのユーザーさんの声を見てみますと、やはり軽さを指摘する声が多いですね。

少し大げさな表現だとは思いましたが、友人に借りて走ってみたところ、ギア2個分軽いなどというインプレもありました。

確かにリムがノーマルハイトで、これだけ重量が軽いと、漕ぎ出しは相当軽くなるでしょうね。

坂の上りでも軽く感じたし、ケイデンス維持したまま1~2km速度が上がった感覚を持たれている人もいます。

また、個人的にはスポークの本数からして、少し硬めの乗り心地を想像していたのですが、思ったよりもバランスは取れているようです。

このホイールより、もう少し上級グレードのカンパニョーロのシャマルや、フルクラムのレーシングゼロなどと比較して、ロングライドの優位性を説いているインプレも見かけました。

カンパやフルクラムは全体的に剛性が高いので、簡単に善し悪しを決める物ではないでしょうが…

ただ厳しい意見も見られ、軽量ホイールの泣き所でもある、高速域での維持に関しては辛い評価が多かったです。

あとはチューブラーモデルがあるので、そこに対する評価は高いですが、比較対象が限られているので、何とも言えないところです。

カンパ・シャマルミレとスプリントを比較する

ノバテック・スプリントの価格は先ほどご紹介しましたが、9万円前後の価格帯には他メーカーのライバルホイールが目白押しです。

さて、今回はホイールの王道メーカーであるカンパニョーロ製と比較してみますが、価格から見て上位グレードとの比較になるでしょう。

となると「ユーラス」が一番近いのですが、あえてここは、アルミリム最上位モデルの「シャマルミレ」と比較してみたいと思います。

現在、ほぼどの通販サイトを見ても10万円を切る価格で販売されているので、価格差もそれほどかけ離れているわけではありません。

では、シャマルミレのスペックを見てみましょう。

重量:F・638g R・821g 計1,459g

リム高:F・24mm R・28mm C17ワイドリム

スポーク数:F・16 R・21 アルミ

先ほども少し触れましたが、カンパのホイールはG3スポークパターンのおかげもあって剛性が高いので、たわみやブレは本当に少ないのですが、硬さが残ります。

短距離の坂道などは一気の加速でこなせますが、ロングライドとなると、少し足にくると言う人もいるでしょう。

シャマルミレはリムハイトも少々高めで、加えてアルミスポークなので、余計に高剛性なんですよね。

ただ、ハブにセラミックベアリングを使用していることもあり、とにかく良く回ります。

ですから、スプリントとの比較では高速巡航ならシャマルミレが優位、ロングライドで乗り心地重視、またはヒルクライムならスプリントがおすすめということになります。

ノバテックのおすすめホイール

ノバテックのアルミリムホイールには、スプリントの他にセミディープリムの「JETFLY」があります。

公式発表は1,435g、リムハイト32mmでワイドリム化までしていることを加味すれば、やはりかなり軽量ですね。

カンパの同じセミディープリムの「シロッコ」に比べれば、300g近く軽量ということになります。

スプリントとスポークの本数が同じですので、リムハイトのぶん剛性は高めですが、気になるような硬さは感じませんし、高速巡航性はむしろ、こちらの方が優位です。

スプリントとの価格差は約2万円ありますので、少しコストカットしている可能性はありますが、セミディープを探している人は、選択肢に入れても良いホイールだと思います。

また、こちらもチューブレス対応ですので、タイヤを選ばないのが嬉しいです。

ノバテックのホイールの実力はどうだったのか

ここまで、ノバテックのホイールをスプリント中心に見てきました。

スプリントに関しては、アルミリムとしては軽量中の軽量ですから、一番のおすすめ用途はヒルクライムでしょう。

ヒルクライムにはパワーロスを極力少なくすることが必要なので、ある程度剛性は求められるのですが、余りにも高すぎると今度は硬すぎて疲れるだけです。

なので、スプリントはそのバランスが上手く取れていると感じます。
もちろん、デメリットが無いわけではありません。

30km/h、35km/h辺りから維持が難しくなってきますし、ハブで名を馳せたメーカーにしては、今ひとつ回りの良さが体感できないところはあります。

ハブの良さを伝えているようなインプレも見かけないので、そこは少し残念かなと思います。

しかし、カンパやシマノに比べれば大分マイナーな存在ですが、今回の検証を通して、ただのマイナーメーカーで終わらすのは惜しい実力の持ち主なのでは、とも思いました。

今回詳しくご紹介できなかったカーボンホイールはもっとマイナーな存在ですが、90mmのスーパーディープリムがあったりします。

また、メーカー完組のミニベロホイールは、完成車を手掛けていないメーカーとしては、極めてレアな存在ですから、ミニベロユーザーの方は注目してください。

メジャーに負けないノバテック!

正直に言いますと、今回の検証をするまではノバテックのホイールは何台か見かけた程度で、詳しい知識はほとんどありませんでした。

ですから、今回意外な実力(失礼かな…)に驚きましたし、必ずしもそうだとは思いませんが「ロードバイクは軽さが正義」な部分だけで考えるなら、真っ先に選択肢に挙がるメーカーだということですよね。