ロードバイクに乗っていなくても、それほど自転車に興味がなくてもこの単語は知っている「ツールドフランス」。なんにせよ「すごい大会」なわけです。ざっくり話せばその名のとおりフランスを自転車で走り抜けるレースなのです。今回はツールドフランスについて詳しくみていきましょう。
ツールドフランスとは
ツールドフランスは100年以上の歴史を誇る世界最大の自転車ロードレースで、欧州では熱狂的な人気です。広大なフランス全土を23日間(2日間の休養を含む)かけて21ステージ行われ、その各々に優勝者が出ます。加えてステージすべての総合タイムを競い、最も速い選手が総合優勝者となります。ちなみに団体競技だということをご存知でしょうか。各チーム9人で構成されていて、1人あるいは2人のエースとそれをサポートするアシストにわかれます。ただ、メジャーな賞は個人に与えられるわけです。各チームはこの賞をエースに取らせるために戦略を練り、チーム全員がそのために行動します。個人の賞でも、チームプレイの為せる業ということですね。総合優勝は大変な名誉で、欧州では英雄と言ってもいいくらいの人気となります。
レース設定は、平地でのスプリントや山岳でのヒルクライム、さらには中間スプリントなどの賞を設けるなど、色々な要素を織り交ぜてレースを盛り上げています。前半は平坦なコースで、スピード自慢の選手(スプリンター)がステージ優勝を競います。その後、高低差の激しい山岳コースと緩斜面中心の平坦コースが交ざって、このあたりから総合優勝を競う選手が絞られていきます。終盤戦に入り山岳コースが連続します。第20ステージでは選手一人ずつが同じコースを走ってタイムを計測する「個人タイムトライアル」が行われるのがパターンのようです。最終ステージはゴールのパリ・シャンゼリゼの凱旋門を見ながら周回する名物コースですが、ここでは総合タイムの順位は大きな事故がない限り変えない、という慣例らしく、第20ステージ終了時点のトップが総合優勝、というのがツールドフランス一連の流れです。
ツールドフランスの楽しみ方
どんなスポーツもそうなのですが、漠然と競技の行方を追うだけ(それでも楽しめると思いますが)でなく、事前に注目選手など見つけておくと観戦の楽しみが広がります。これまでの戦績でも、ただ単に名前が気に入っただけでも、ルックスでも、ユニフォームの色であれなんでも良いと思います。何日間にも渡って行われるレースですので、見ているうちに、チーム戦での細かい戦術などもわかってくるかもしれません。チームは9人編成です。その中にはエースがいて、そのエースの総合優勝をかけて他のメンバーがアシストをするわけです。その駆け引きがわかってくると、また違う見え方だったり、好きな選手も変わってくるかもしれません。
ちなみに、総合一位の選手は「マイヨ・ジョーヌ」と呼ばれる黄色のジャージを着用します。最初に主催していた新聞社の色が黄色だったことから、なのだそうです。また山岳ポイントトップの選手は白地に赤い水玉ジャージを着ることになっていますが、これは最初のスポンサーの商品パッケージが赤い水玉だったことからです。ちょっとした豆知識ですね。
ツールドフランスで活躍のバイクメーカー
それではツールで活躍のバイクをみていきましょう。2014年総合優勝を果たしたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)擁するチーム・アスタナ、バイクはスペシャライズド「S-Works Tarmac」また、アシストを評価されたヤコブ・フグルサング(デンマーク)のみに、イギリスのレーシングカーメーカーのマクラーレンとの共同開発によって軽さを追求した「S-Works McLAREN Tarmac」が供給されたそうです。
あとはざっとみていきます。2015年総合優勝のクリストファー・フルームをエースとするチームスカイはピナレロ。AG2R・ラモンディアルはフォーカス、FDJはラピエール、ティンコフはスペシャライズド、モビスターチームはキャニオン、BMCレーシングチームはもちろんBMC、ロット・スーダルはリドレー、チームジャイアント・アルペシンはジャイアントです。まだまだあります!チームカチューシャはキャニオンで、オリカ・グリーンエッジはスコット、エティックス・クイックステップはスペシャライズド、チームユーロップカーはコルナゴ、チームロットNL・ユンボはビアンキ、トレックファクトリーレーシングはもちろんトレック。ランプレ・メリダはメリダ、チームキャノンデール・ガーミンはキャノンデール、コフィディス、ソリュシオンクレディはオルベア、IAMサイクリングはスコット、ボーラ・アルゴン18はカナダのメーカーでアルゴン18というバイクメーカー。ブルターニュ・セシェアンビロンマンはルック、そしてMTN・クベカはサーベロです。ちょっと耳慣れないメーカーもありましたでしょうか。
今年のツールドフランスは!注目バイクメーカー
今年は7月2日に開幕するツールドフランス。今回は史上初めてカトリック巡礼地の
モン・サン・ミッシェル」が選出されました。最近のツールドフランスは空撮に力を入れており、スタッフもその方面を知り尽くした人たちを集めているらしいので、これは旅行気分になれるのでは!と本当に楽しみです。「モン・サンミッシェル」が開幕地、これに加え、第16ステージでは、こちらもツール史上初、スイスの首都「ベルン」に入ります。その他にもみどころたくさんのコース、第12ステージには、「魔の山」ことモン・バントゥの頂上フィニッシュが設けられています。
さて、注目のメーカー(チーム)です。ただいま紹介した山岳コースに自信を見せているのは昨年大会総合2位のナイロ・キンタナ、モビスターチーム。メーカーはキャニオンです。やはり昨年の成績が気になってしまいますよね。いわゆる「ファンタスティック4」と呼ばれる選手、クリストファー・フルーム、チームスカイ、バイクはピナレロ。先ほど名を挙げたナイロ・キンタナ、モビスターチーム、キャニオン。アルベルト・コンタドール、ティンコフ、スペシャライズド。ヴィンチェンツォ・ニーバリ、アスタナ、バイクはスペシャライズド。今あげた中では、アルベルト・コンタドールが今シーズン限りで現役を引退する、と宣言しています。キャリア最後のシーズンとなる今季、ツール王座奪還、そしてリオ五輪でのメダル獲得に全てを注いでいるようです。これは見逃せないシーズン!ツールでの注目にあげておきたいですね!!
まとめ、ツールドフランスで活躍のバイクメーカー
1903年に第一回大会が行われ、途中中断もありましたが、今年の開催で103回目の大会になります。ツールドフランスは、オリンピックやワールドカップに続く規模の大会なのです。今回のお話を踏まえて、観戦するポイントの中にチームや選手のバイクも是非頭に入れておいてください。もちろんホイールなどもチェックしたいところですよね。
レース観戦の注目ポイント、特にバイクメーカーに絞ってお話ししましたが、フランスの美しい景色を楽しむこともまたポイントひとつ。見どころはいっぱいです。今からこの夏の開催に胸を躍らせてしまいます。