今回のテーマであるジャイアントtcr2は、アルミロードバイクのエントリーモデルの人気車として長年ラインナップされてきましたが、2015年からは姿を消しています。
コンセプトは新車種に引き継がれていますし、その名が完全に消えた訳ではありませんが残念ではあります。
そこで今回は、tcrの歴史を振り返り、ジャイアントのロードバイクを見ていきたいと思います。
ジャイアントのロードバイク事情①~tcr2を振り返る
ジャイアントは自転車業界において「コスパのジャイアント」と呼ばれているように、とにかく同じ値段ならジャイアントを選んでおけば、まず間違いないと言われるほど、信頼されているメーカーです。
その中でも人気の高かったアルミフレーム・ロードバイクのtcr2ですが、2015年にラインナップから外れました。
その前年、最後の登録となった2014年のスペックを確認してみますと
・アルミフレーム
・カーボンフォーク
・車重9kg
・コンポ:シマノ・ティアグラ(リア10速)
・価格:120,000円
エントリーモデルとしては、カーボンフォークにティアグラのフルセットは上々の組み合わせですし、アルミフレームで総重量9kgは、エントリーの域は超えていると思います。
人気だったのも頷けるスペックですが、この年に販売が開始されたtcr0という姉妹機は、プラス15,000円でリア11速のシマノ・105を搭載していました。
恐らく、このtcr0に人気が流れて、tcr2はお役御免となった模様です。
なお、tcrは2017年現在ジャイアントの「トータルレースバイク」との位置付けで、カーボンフレームで850,000円もするハイエンドモデルから、アルミの中位レベルまで幅広いラインナップで展開されています。
ジャイアントのロードバイク事情②~tcr2の後継機
ジャイアントの戦略を察するに、tcrはロードバイクの中位~上位クラスに統一、エントリークラスに新モデルを投入したということだと思います。
実際にtcr2と共にエントリーモデルの位置付けだったtcr0、tcr1も2017年からはラインナップされていません。
しかし2017年には、tcr2とそっくりのスペックで完全に後継モデルだと思われる「CONTEND SL 2」がラインナップされています。
今ロードの主流となりつつある700×25Cのタイヤを履いているのが進化した証だと思いますが、その他はアルミフレームにカーボンフォーク、シマノ・ティアグラのフルセットに9.0kgと重量まで同じです。
価格も115,000円ですから、ほぼ一緒で、これがtcr2の後継と判断して間違いありません。
CONTENDシリーズにはリア8速のシマノ・クラリス搭載モデルと、リア9速のソラ搭載モデルもあるので、SL2が完全なエントリーモデルという訳では無いですが、コスパの高さなら断然SL2をおすすめしたいと思います。
ジャイアントのロードバイク事情③~他メーカーとの比較
ここまでtcr2などのロードバイクについてお話してきましたが、ではここでジャイアントの自転車は本当にコスパが高いのか、他の自転車メーカーと比較してみましょう。
まずは、ジャイアントと同じ香港に拠点を置く自転車メーカー「メリダ」のロードバイクとの比較です。
対象はアルミエントリーモデルとします。
ジャイアント:CONTEND 1(2018 NEW)¥95,000
・カーボンフォーク
・コンポ:シマノ・ソラ(リア9速)
・車重:9.4kg
・付属品:ベル
メリダ:SCULTURA 100 ¥93,900
・カーボンフォーク
・コンポ:シマノ・クラリス(リア8速)
・車重:9.4kg
・付属品:ベル
かなり似通ったスペックですが、ジャイアントの方が1グレード上のコンポを搭載しています。
リア変速が1段違うだけで使えるギアが2つ多くなりますので、変化は大きいです。
ジャイアントのCONTEND 1は2018年モデルなので、来年メリダが意識して寄せてくるかもしれませんが、現時点ではジャイアントに軍配を上げても良いと思います。
ジャイアントのロードバイク事情④~ヨーロッパメーカーとの比較
次はヨーロッパに拠点を置くメーカーと比較してみますが、ジャイアントのtcr2の後継機と目される、「CONTEND SL 2」と比較したいと思います。
まずイタリアの老舗自転車メーカー「ビアンキ」ですが、CONTEND SL 2と同レベルのロードバイクは以下になります。
「VIA NIRONE 7 PRO」¥128,000
・アルミフレーム(合金)
・カーボンフォーク
・コンポ:シマノ・ティアグラ
ビアンキには昔から固定のファンがいるので一概には言えませんが、もしメーカーにこだわりが無いのであれば、安いCONTEND SL 2の方をおすすめします。
次はドイツの新興メーカー「フェルト」の同レベル車です。
「F85」¥128,000
スペックはほぼ同じなので省きますが、タイヤが23Cと細めです。
ただこちらは、ブレーキが前後ともティアグラで統一されている分、少しだけジャイアントやビアンキよりも優位ではあります。
115,000円の「CONTEND SL 2」と価格差13,000円です。
その範囲で、ブレーキを1グレードないし2グレード上の物に交換することが可能なので、そう考えればコスパは、やはりジャイアントではないでしょうか。
ジャイアントのロードバイク事情⑤~tcr2からカーボンフレーム車へ
ロードバイクの最初の1台としてtcr2を選ばれ、今も大切に乗っている方は大勢いらっしゃると思います。
パーツをカスタマイズしながら、自分らしい1台に仕上げていくのもロードバイクの醍醐味ですから、長く大切に乗っていただきたいと思います。
さて、ここまではアルミフレームを採用しているロードバイクを見てきたのですが、プロのロードレーサーはほぼ全員がカーボンフレーム車に乗っています。
一点集中型の衝撃に弱いなどのデメリットはありますが、その軽さは他の素材の追随を許しません。
また、金属ではありませんので、有機的な造形が可能となり、適度な剛性になるとも言われています。
ただ、フルカーボンのロードバイクは高価です。
コスパのジャイアントでも190,000円程度が最低価格だったと思いますので、上を見たら途方に暮れてしまいます。
ロードバイクのどこにお金を掛けるかは個人の価値観の違いですが、カーボンフレームともなると、それに合わせてコンポやホイールのグレードもどんどん上がるので、完成車もそれなりの値段になってしまいます。
ロードバイクの走行性はフレームとホイールが命という人がいますが、私も賛成です。
それだけに、1度はフルカーボン車に乗ってみたいというのは良く分かります。
そこで、最後にジャイアントから個人的にコスパに大変優れていると思う1台をご紹介したいと思います。
これがコスパ最強ジャイアントのカーボンフレーム車!
【TCR ADVANCED 1 KOM】¥240,000
ジャイアントはカーボンフレームのエントリーモデルという位置付けにしているようですが、この価格でこのスペックは驚きです。
まずコンポですが、シマノの上位グレードアルテグラを採用しています。
この価格帯のカーボンロードバイクでアルテグラを搭載しているのは、他にはあまり無いと思います。
ましてアルテグラは、2017年フルモデルチェンジを果たしますので、来年以降新しいモデルが搭載されるかもしれないと考えるとワクワクしますね。
さらには総重量7.7kgですから、アルミフレーム車と比較して1~1.5kg軽いということになります。
加えて、ギアが11-32Tのワイドレシオなので、本格的にヒルクライムを始めようと思っている人にも、おすすめできると思います。
tcr2などのアルミエントリーモデルからの乗り換えでも気後れすることなく、カーボンフレームを楽しめる1台だと思います。
改めてジャイアントの凄さを見た!
久しぶりにジャイアントについて色々と調べてみましたが、改めてコスパ最強は伊達じゃないと思いました。
すでに2018年モデルが何台か発表されていますが、どれも相変わらずの名車だと思います。
今回はロードバイクだけでしたが、今後はクロスバイクやMTBもぜひ検証してみたいと思います。