自転車競技部のある学校って全国にあるの?

弱虫ペダルの影響で「自転車競技部に入りたい!」という子も増えてきているのでしょうか。自身の印象からすると、高価なロードバイクなどジャンル的にスポーツであっても「大人の趣味」っぽい立ち位置なんですけどどうなのでしょうか。とはいえ、街を走るロードバイクを見ていると、通学で使っている学生もちらほら見かけます。今回はそんな「部」としての角度から自転車のお話をしていきましょう。

自転車競技部がある高校は全国にどのくらい?

自転車競技部が存在する高校が、実際に何校あるのか断ずることは難しいですが、概ね信頼するに値するソースが見つかります。
(財)全国高等学校体育連盟自転車競技専門部という組織があり、
この組織が運営するウェブサイトである程度の情報を拾うことが出来ます。

ちょうど平成28年度5月現在の加盟登録高校の数を確認することが出来ますから参考にしてみましょう。

このデータによれば、全国での登録高校数は241校ということです。
これだけ見てもピンと来る人はそういないでしょう。

そこで、認知度の高い野球やサッカーを比較に見てみましょう。
ともに全国高校サッカー選手権や甲子園など、大きな大会に出場する高校の総数は4,000校に迫るか、あるいは超えています。

なるほど、自転車競技部はやはりまだまだ「ド」がつくほどマイナーなポジションであると言えそうです。

さておき、ではブロックごとの加盟数を見てみましょう。
やはり雪国では冬場自転車に乗れませんから、南に行くほど多くなる傾向にあるのでしょうか?
意外とそうも言えません。
北海道が5、東北が35、関東が58、東海が23、北信越は14、近畿35、中国25、四国16、九州29となっています。

各ブロックごとの人口総数の割合によく似た比率になっていますから、地域や気候差による違いは殆ど無さそうです。

自転車競技部の練習はどんなもの?①

高校の自転車競技部では、主に高校自転車競技4大大会と呼ばれるもののうち、どの大会を目指すのか、あるいは、どの競技を重点的に目指すのかによって、取り組む内容が違ってくることがありそうです。

高校自転車競技4大大会と呼ばれるものとは、
・インターハイ(全国高等学校総合体育大会自転車競技大会)
・全国高等学校選抜自転車競技大会
・ジュニア全日本選手権
・国民体育大会自転車競技

を指します。

すべての大会で主となるのは、バンクと呼ばれる傾斜のついた周回コースを走るトラック競技となっていて、そのトラック競技の中には、様々な種類の競技があります。

一方で、プロサイクリングレースや漫画・アニメなどで見ることが出来るようなロードレースはあまり盛んではありません。
加えて、数日にも渡って数百キロも移動していくようなステージレースというのは存在すらしません。
それは恐らく危険に配慮していると思われます。

プロサイクリングレースでも時折一般車が迷い込んだり、観客、地元の人がコースに入り込んでの事故や、整備されていない路面での落車など、恐ろしい事が起こります。

学生のうちにこのような環境で競わせる事は、やはり憚られるのでしょうね。

自転車競技部の練習はどんなもの?②

さて、それでは練習内容に迫っていこうと思いますが、実のところ練習方法そのものには、学生であることとそうでないことに大きな違いはありません。

現在では、インターネットと携帯端末の普及によって、その時々のトレンドとなっている練習方法を簡単に知ることが出来ます。
効率的な練習方法という意味では、学生の部活と社会人に大きな差は出ないでしょう。

学生しか得られない、あるいは社会人で得にくいのは環境です。
ひとつには、トラックでの走行環境があります。
トラックを一般開放していてかつ、一般人が個人で入場することが可能な場所は極めて少ないため、これを練習場として使うことが出来るのは、学生の特権と言っても良いかも知れません。

また一方で、高校の自転車競技では、前述の通りトラック競技が主流とも言えるため、出場する競技ごとの練習をトラックで行う必要があります。

トレーニングの主だった傾向としては、基礎的な体力作りにローラー練習、ロード練習で総合的な体力を養っていきます。
そして実際に、トラックでチームとして走行を繰り返すことで、作戦や連携を鍛えていくことになります。

自転車競技部、インターハイへの道

ここまで競技について述べてきましたが、その前にマイナーな競技として手続き的な部分にも注意を向けておきましょう。

インターハイへ出場するには、まず競技者として自転車競技連盟への登録が必要です。
更に加盟校として登録が必要であり、当然、顧問も必要になります。
自転車競技部が存在する高校へ入部することが出来れば必要のない心配ですが、そうでない場合は、これらを満たすことが出来なければ、大会への出場資格すら持てないのです。

これについては、日本自転車競技連盟競技規則解説に詳しく載っています。
部の設立から、という場合はよく読んでおくと良いでしょう。
出場資格が得られれば、あとは地方大会からエントリーして上位入賞を果たし、ブロック大会への出場資格を手に入れ、そこでも上位入賞を果たして本戦(インターハイ)への切符を手にする、というのは他の競技と同様ですね。
とは言え、やはりマイナーな競技であるがゆえに、地方によってはライバルが少なく、他の人気競技に比べれば、インターハイへの道は少し開けているといえるかもしれません。

自転車競技にかける青春、進学は?

自転車競技はとても熱い競技です。
漫画やプロのレースでそれを知った人もいるでしょう。
学生時代を自転車競技に打ち込む事は素晴らしいことです。
もちろん、自転車競技だけに限ったことではなく、何かに打ち込むこと自体が素晴らしいのは言うまでもありませんが。

しかし、一方で将来への見通し、という面も無視できないかも知れません。
自転車競技に打ち込んだ末に、自転車競技で大学へ推薦入学を狙うというのは現実的でしょうか。
正直なところ、あまり有力な選択肢とは言えないかもしれません。
自転車競技の道で将来も稼いでいこうとするなら、そのために大学を選ぶよりも、例えばロードレースならクラブチームに入会してしまうとか、本場へ飛ぶほうがよほど現実味があるでしょう。競輪なら競輪学校への入学となります。

強豪校への推薦を得るには、インターハイや大きな大会で優勝するほどの実績が無ければ難しいとされます。
その難易度の割には、大学自転車競技から世界で活躍するような選手は中々出てきません。

その理由はもちろん明白で、国内ではマイナー競技であるため、自然と運動能力の高い人は別の種目に流れてしまうからです。

そういうわけで、高校で大きな実績を残しつつも、大学へ入学して自転車に乗りつつ競技者以外の道も模索する、というような稀有なケース以外では、大学に入学するなら一般入試のほうが色々と楽でしょう。

自転車競技部のある大学

現在はなぜか、日本学生自転車競技連盟のページにて加盟校一覧のページが存在しなくなっているため、正確な数字を弾き出すのは難しそうです。
そこで、2016年のランキング記載に選手が載っている大学名を見てみましょう。

ロードランキングでは、首位から順に、
鹿屋体育大学・明治大学・京都産業大学・日本大学・順天堂大学・朝日大学・日本体育大学・法政大学・早稲田大学・同志社大学・慶應義塾大学・立命館大学・駒澤大学…と続きます。

トラックランキングでは、
日本体育大学・鹿屋体育大学・順天堂大学・八戸学院大学・筑波大学…となっています。

鹿屋大学は強豪として名を馳せていますからご存知かもしれませんね。
この大学は九州の鹿児島県鹿屋市にあります。

他の大学を見るとほとんどが関東圏となっています。
強豪校に入学するには関東に目を向けるのが最も効率的かも知れません。
もちろん地方であっても、自転車競技部が存在しないわけではありません。

北日本なら、北海道大学や東北学院大学にも自転車競技部がありますし、東海地方には東海大学、四国にも高知工科大学や徳島大学などがあります。
大学から自転車競技を始めてみようというのも十分に選択肢に含められるでしょう。

学生時代に自転車競技で仲間を作ろう!

自転車はその機材に掛かる初期費用の大きさから、どうしても社会人になってから初めてその世界に触れるという傾向が強くなります。

しかし一方で、自己完結型の趣味になってしまう側面も否めず、どうしても孤独になりがちです。
様々なレースやイベントに出場することで仲間を集める事もできますが、やはり学生時代が「友達で自転車仲間」という稀有な関係を作るのに有利なのは間違いありません。
何より自転車は限りなく老いても付き合い続けられる趣味になります。

そんな趣味となり得る自転車と、その仲間を高校時代に手に入れられたら最高ですよね!