自転車のハンドルを操作する上で、とても重要となるステムですが、正しい知識がないと、交換やカスタマイズができないですよね。ハンドル操作を左右するので、長さがキーポイントとなってきます。なかなか、専門的に知るきっかけがないと、難しい部分ではありますので、この機会にしっかり確認して行きたいと思います。今回は、そんな自転車のステムの長さに関するお話しです。
自転車~ステムの役割
自転車のステムとは、ハンドルとヘッドを繋ぐ部分のことを言います。
100mm・120mmなどのサイズがあります。
スポーツバイクに乗っているのでも無い限り、あまり気にされた事が無い部分かも知れません。
しかし、このステムという部分はかなり重要で、ハンドリング性能やフィーリングに大きく影響してきます。
具体的には、ステム自体を取り替えることで長さを調節したり、ステムの取り付けに使用するスペーサーを使って高さを調節したり、ハンドルの角度を調整することが可能です。
手で持つハンドル周りだからこそ、それらの調整は微妙なものだったとしても、乗り手が受け取るインパクトは絶大なんですね。
また、スポーツバイクの中でも、特にマウンテンバイクで多く普及しているアヘッドステムというタイプは、パイプ径自体が太めな傾向があり、ここにサイクルコンピューターをマウントしたり、マップやメモなどを貼り付けて使用されることもあります。
自転車は、自動車やオートバイと違って、ものを置けるスペースが殆どありませんから、ステムは貴重なスペースとしても役割を持っているんですね。
自転車~ステムの種類
自転車のステムには、主に2つの種類があります。むしろそれは規格と呼んだほうが的確かも知れません。
というのも、ステムそのものはヘッドとハンドルを繋ぐパーツであるため、ヘッドの規格によってステムの取り付けが可能かどうか変わってきてしまいます。
このヘッドの規格が、現代では少々入り組んだものとなってしまっているため、ステムの交換や取り付けの際には、最低限のヘッド規格を理解しておいたほうが無難です。
詳細については、また別の機会にご説明させて頂こうと思いますが、まずはノーマルヘッド、アヘッドの2つをご紹介します。
ノーマルヘッドは、ママチャリやピストによく使われる規格で、これに使用されるステムはスレッドステム、あるいはクイルステムと言います。
アヘッドと違って、ステムが明らかに細いことが多く、見た目で判別可能です。
特徴として、高さの微調整がし易い反面、耐久性に劣ります。
アヘッドは、剛性向上と軽量化のためにマウンテンバイクで多く採用されるようになり、今やスポーツバイクの大半がこのタイプ、あるいはその発展系のヘッドを採用しています。
ステムのパイプ径が太く、フォークコラムに直接取り付ける形です。
高さはスペーサーを利用して調整するため、微調整に向きません。
後半で、100mmと200mmを比較して見ましょう。
自転車~ステムのサイズの選び方
よく、自転車のフレームサイズを決定するとき、「多少大きい物でもステムを短いものに交換すれば良い」、あるいは「多少小さいものでもステムを長いものに交換すれば良い」という類の発言を、耳にしたり目にしたりすることがあります。
これは言わば次善の策であって、それでベストなわけでも、それがベターなわけでもありません。
なぜなら、ハンドルとフォークを繋ぐステムの長さが変わることの影響は、多かれ少なかれハンドリングに影響してくるからです。
後ほど、120mmにスポットをあてて詳しく見てみましょう。
ハンドリングの特性としては、ステムが短ければシャープでピーキー、即ち操作に直結した動作を体感できるものの、不安定でもあるということになります。
逆にステムが長ければ安定感が出るものの、瞬間的な操作では「ついてこない感じ」があるでしょう。
言うまでもなくどちらが良い悪いと評価することは出来ず、ライダーごとの好みに合わせる事がベストとなります。
すなわち、あなたに合うステムのサイズはあなたにしかわからない、という事なんですね。
ではどのように選ぶべきなのか、と言えば、それはとにかく距離を乗ることにつきます。
ある程度長い距離を乗り込むことで、最も心地よいと感じるポジションを求めていくしかないのです。
ステム100mmと120mm~違いはあるか?
前項でも述べたとおり、自転車のステムは短いほど操作性がクイックになっていきます。
120mmよりは100mmの方がハンドリング性はクイックである、ということになるでしょう。
ただし、ステムの長さそのものとしては、100mmを超えることから、一般的には長めであると言って良いでしょう。
ある程度スピードを求める走りとポジションを求めるのなら、100mmほどのステムを使用してみるのも悪くない選択です。
もちろんフレームサイズを蔑ろにするわけにはいきませんが、120mmほどの長さのステムを使うとすれば、体もかなり出来ていないと辛いだけになってしまうかも知れません。
ステムが長くなるほど、ハンドルは遠くなり、前傾姿勢が深くきつくなっていきます。
高速領域では、空気抵抗低減の恩恵が得られる期待がありますが、前傾姿勢を支えるだけの筋力、心肺機能が無ければハンドル操作すら、おぼつかなくなってしまいます。
ロードバイクは、サドルが高くハンドルが低く、そしてステムが長いほどカッコイイとされる傾向がありますが、自分が乗る際にはフィーリングを最優先にすべきです。
ステム120mm~長い?短い?
自転車のステム長さでは、120mmがよく使用されるサイズであることは確かです。
これは、プロのサイクリストたちが長めのステムを使っていることから、それが合理的なのであろうだとか、かっこいいなどと巷のサイクリストが真似している側面もあるでしょう。
もちろん、プロのサイクリストがそのようにしている理由は合理的だからです(中には止む無く長いステムを使用するサイクリストもいます)。
一般的にハンドル重心は、ホイールの地面接地点に近いほど良く、ハンドリング性としては最もバランスが取れていると言われます。
ホイールの地面接地点は、ハブ軸の真下ということになりますから、ハンドル、とりわけブラケットの位置がハブ軸の真上に来ると良いことになります。
フレームによって、トップチューブ長やBB真上からハンドルまでのリーチは変わってきますが、概ね120mm前後のステムでハブ軸真上までハンドル重心を持ってこられる事が多いため、120mmサイズのステムがよく使用される傾向があります。
しかしそれは、「プロのサイクリストが、超高速領域で心地よく感じられるハンドリングを実現するための長さ」であるとするなら、極めてライトなホビーサイクリストやサンデーサイクリストにとっては長すぎるということになるでしょう。
シリアスに速度を求めるのでなければ、もう少し短いステムの方が姿勢もアップライトで心地よいと感じられる人も多いかもしれません。
ステム120mm~お勧め
120mmという長い自転車のステムを使おうとするのであれば、それはスポーツな走りを求めての事以外に無いでしょう。
せっかくそんなシリアスな走りを求めるのであれば、ステムにもそれなりの精度、耐久性を求めていきたいところ。そこでステムのオススメメーカーをご紹介いたしましょう。
まずは、超精度の代名詞ともいわれるTHOMSON。
ハンドルバーやシートポストでも有名なこのメーカーは、航空機のパーツなども作っているだけあって金属を削り出して作るパーツの精度は抜群です。
例えば、よくある「いつの間にかシートポストが少し低くなっている」というケースは、シートクランプの締付けが緩かったのでなければ、シートポストのパイプ精度が低い事が考えられます。
真円に近く無いため、力が掛かってしなったり、衝撃を受けるたびに僅かずつズレていってしまうのですね。
THOMSONのパーツでそのような事が起こることは滅多にありません。ハンドルバーとステムもTHOMSONのセットで揃えられれば拘りが伝わりますね。
国内メーカーNITTOも良いですね。
やはり金属チューブの加工に長けたメーカーで、競輪用のハンドルを手掛けることで有名です。
NITTOのクロモリステムなどはスレッドステムを彷彿とさせるノスタルジーが感じられて良いかも知れません。
ステム選びはフレームサイズと合わせて複合的に!
自転車はパーツを替えることによってサイズの微調整をすることが可能な乗り物です。
その中でも、サイズの微調整を行うための代表的なパーツがステムです。
だからこそステムで調整をしがちではあるものの、あくまでもそれは間に合わせの側面が強いことを忘れていはいけません。
ベストなポジションはフレームサイズ、ジオメトリ、ステム長および角度の複合的な要素の掛け合わせで決まります。
可能な限りフレーム選びと一緒にステム長も決定しておきたいものですね。