今回は、自転車のハブの玉押し調整とグリスアップをご紹介します。
安価な部類に入るホイールのハブには、加工精度がそれほど高くないカップとボールが入っていることが多いです。
そのため、こすれ合って磨かれ、当たりが付く過程で研磨粉が多量に発生します。
少量のグリスでは吸収しきれずに異常磨耗が発生し、使用不可の状態になったりします。
今回は、メンテナンスをすることで長持させる方法をご紹介します。
自転車ホイールのハブをグリスアップ方法①
ハブのグリスアップで大切で難しいのが、玉当たりの調整です。
自転車ホイールのハブをグリスアップする方法です。
用意するものは、以下のものです。
・ハブスパナ
・ロックナット(玉押しのサイズにあったもの。前13mmと後14mm、前15mmと後16mmなど)
・グリス
・ウエス
たとえば、DURA ACE 7700フリーハブの場合、前ハブは左でも右でもどちらかの玉押し、ロックナットの締め合わせを解除します。
リアハブのスプロケット側の玉押しは、反スプロケット側で作業します。
ロックナットと玉押しをハブスパナで緩めます。
ハブシャフトからロックナット、ワッシャ、スペーサー、玉押しをシャフトから外しましょう。
ウエスを下に敷き、ボールをなくさないよう、車輪を持ち上げ、シャフトを抜きます。
ダストキャップがついている場合には、ダストキャップを外します。
左右に入っていたベアリングは摩耗の程度が違うこともあるので、左右のボールをできるだけ混ぜないようにしましょう。
自転車ホイールのハブをグリスアップ方法②
自転車ホイールのハブをグリスアップする方法の続きです。
ボール、玉押し、玉受けを掃除、点検します。
ボールに傷がついている場合には、同じ玉受けのボールは全部交換することになります。
傷のついているボールだけ新しいボールに変えると、他の磨耗しているボールと大きさの異なるボールが混じってしまうので、ベアリングの機能が損なわれてしまいます。
反スプロケット側の玉受け部分とスプロケット側の玉受け部分です。
玉押しは、シャフトに固定されているので、玉押しの真下の一ヶ所に体重、地面からの衝撃があります。
不均等な侵食があっても交換しましょう。
左右の玉受けにグリスを盛ります。
ボールを左右のグリスの中に並べます。
シャフトについたままの玉押しにグリスをつけ、差し込みます。
ボールが落ちないように、車輪をひっくり返します。
分解した玉押しにもグリスをつけ、シャフトにつけます。
スペーサ、ロックナットとネジ込みます。
玉押しを左回し、ロックナットを右回しで締めていきます。
ロックナットと玉押しをしっかり締め合わせて終了です。
難しい玉出し調整のコツ!
自転車のホイールのハブ等にのグリスアップをし、最後の仕上げの玉押しの調整は、難しいといわれるのですが、丁寧に作業すれば、間違えることはありません。
ベアリングとカップの中を洗浄し、カップにグリスをいれ、ボールベアリングを並べます。
片側は、玉押しとナットを固定し、シャフトにグリスをつけ、ハブに差し込みます。
玉押しの調整は、表裏つながっているので、片側だけやります。
片側は、だいたいのところで固定し、反対側の玉押しを締めていきます。
その場所で、玉押しの専用工具の板スパナで固定します。
玉押しの上にナットを締め付けます。
しっかり強く締めます。
玉押し側は動かないよう、固定させましょう。
ナットで強いトルクをかけると調整できなくなります。
そのときの対策法は2つあります。
1つは、ナット側を固定し、玉押しを回します。
もう1つは、ナットを緩めて、もう一度玉押しを調整します。
調整した後に、気持ち0.01ミリくらい、玉押しを緩めるとナットを締め付けても、ちょうどいいところになります。
自転車のホイールのハブのメンテナンスを怠ると
自転車のホイールのメンテナンスを怠ると大変なことになります。
ロードモデル用のホイールは、シールドベアリングが主流になり、メンテナンスフリーになってきました。
ですが、シマノのホイールは、エントリー用の500番台のホイールから7000番台のデュラエースまで、全てがカップアンドコーン方式を使っています。
この方式は、長く使おうと思うのであれば、最低1年に1回は、メンテナンスが必要になります。
もし、自転車のホイールのハブのメンテナンスを怠ると、トラブルを起こす可能性があります。
専用工具のハブスパナが必要ですが、開放して、清掃して新しいグリスをつける作業だけです。
メンテナンスをしないでいると、何らかの異物がベアリングとコーンの中に入り、コーンを削ってしまいます。
ベアリングもそのまま放っておくと、傷がつきハブも回転しなくなります。
そして、そのまま使い続けていくと、ハブ本体のカップ側もダメージを受けて、最悪の場合には、ハブ本体も交換になります。
高性能ハブグリス『モチュールテックグリス』をご紹介!
高性能ハブグリスのモチュールテックグリスをご紹介します。
モチュールテックグリスは、デュラエースグリスよりも、高性能なピンクグリスよりも優れたグリスです。
このモチュールテックグリスを自転車のホイールのハブに塗ると、ホイールの回転が軽くなります。
リアのフリーハブに使うと、より効果的で、ペダリングを止めた後の空転時間がよく伸びます。
ハブを分解して、グリスを塗るのは大変ですが、モチュールテックグリスを使うと、ハブの回転は確実に上がります。
ハブの回転性能を維持するために、定期的にメンテナンスしましょう。
モータースポーツでの経験によってできたモチュールテックグリスなので、ベストパフォーマンスを維持できる期間が長いです。
モチュールテックグリスは、ピンクグリスとベストパフォーマンスを維持できる長さは、ほとんど同じです。
しかし、回転性能の差に違いがあり、モチュールテックグリスのほうが、とても良く回るようになります。
たっぷりグリスが必要なカップアンドコーンに使用するのも効果的で、同じく回転の軽さや伸びが感じられます。
『モチュールテックグリス』の使用方法
性能が優れているグリスの中には、塗布しても、すぐには本来の性能が発揮できないことがあります。
その理由は、馴染むまでに時間がかかるためです。
そのため、使用前より自転車のホイールのハブの回転が重くなるということがあります。
ピンクグリスも同様に、塗布してから、馴染むまでの回転の重さが問題でした。
ですが、モチュールテックグリスは、塗布直後でも高い回転性能を発揮することができ、馴染むと、もっと回転がスムーズになります。
グリスは塗る量が適切でないと、性能が発揮できず、塗りすぎてしまうと、かえって回転性能が落ちてしまうこともあります。
グリスがデリケートだという面で、初心者には難しいところです。
ですが、モチュールテックグリスは、多く塗りすぎても回転性能が大きく変わることはなく、神経質にメンテナンスする必要はありません。
モチュールテックグリスは効果の出が早く、回転性能が安定しています。
ハブグリスを塗り直すときは、洗浄をして、古いグリスをきちんと落としてから、新しいグリスを入れましょう。
洗浄にはモチュールチェーンクリーンがおすすめです。
自転車のハブメンテナンス
今回ご紹介したように、ハブのメンテナンスは自転車の回転を上げ、ペダルを軽くする効果があります。
しかし、ハブのメンテナンスは、行われていない方も多いのではないでしょうか?
自転車の様に、構造が単純で回転が多いものほどグリスの交換が必要であり、定期的にメンテナンスしてあげる必要性があります。