水泳の練習メニューの組み方って?大学選手の場合は?

ここでは、プールでの水泳練習というシチュエーションに限定して、スイムトレーニングするにあたってのヒントを紹介したいと思います。

INTRODUCTION・・・スイムトレーニングで鍛えられるものは。

BASIC・・・スイムトレーニングの前提。

ADVANCED・・・実際に、メニューを考えてみる。

では、大学生の水泳練習メニューの組み方はいったいどうやって決めているのか?
その辺も調べてみました。

大学水泳選手の能力を高めるための練習メニューは?①

大学水泳選手に限らず、水泳に求められる能力は、筋力・生理的順応・技術、それらが3つだと思います。

そのうち、どのような練習メニューにしても、スイミングトレーニングで鍛えられるものは、主に生理的順応です。

水泳によって鍛えられるのは、主に心肺機能や乳酸処理能力です。

まず、練習で有効な指標となるのは、スピードを出せば苦しく、ゆっくり泳げば楽ということです。

当然のことだと言う方もいらっしゃるでしょうが、実際はそれがかなり大切で、スイムスピードを調整するのに使います。

区間タイムを時計などで測って、タイムを調整する、つまりスピードを調整することで身体にかかる負担を設定できるというわけです。

そのため、狙ったトレーニング効果を期待できるようになります。

次に大切なのは、スピードが変化することでエネルギーが切り替わることです。

瞬発力のような爆発的なパワーを発揮するときは、筋肉に蓄えられたエネルギーを使います。

そして、ややスピードを落として泳ぐと、主なエネルギーは体内に蓄えられたグリコーゲンとなり、ゆっくり泳ぐと脂肪がエネルギーになります。

大学水泳選手の能力を高めるための練習メニューは?②

水泳の練習をするのであれば、様々な負荷を与えることが大切で大前提となります。

100mのスプリント専門や1500mの長距離専門だと、その距離だけ泳ぐ練習メニューで十分だと考えがちですが、実際はそうでありません。

たとえば、筋肉に蓄えられたATP(アデノシン三リン酸)・CPというエネルギーは瞬発力を発揮するときに使われて、15秒しか持続できません。

そこでエネルギー源は自動的に次に切り替わり、グリコーゲンを主なエネルギーとして消費していくことになります。

そのときに大切になるのが生理機能が素早くシフトすることで、つまり順応性を高めていくことが水泳のトレーニングで大切になります。

しかし、そのグリコーゲンにしても体重の1%ほどしか蓄積できず、無限と言えるくらい多く蓄えられる脂肪に比べると、かなり少ないと言えます。

体重60kgの人であれば、グリコーゲンは600gで、2400kcalでしかなく、1時間の練習で800kcal消費するので、3時間で枯渇することになります。

また、練習の始めにグリコーゲンが満タンだと言えないことから、もっと早く枯渇すると考えていいはずです。

乳酸の代謝に関しても、高強度のスイムトレーニングから低強度のスイムトレーニングにすることで、乳酸除去が2倍程度の早さになることが分かっています。

それらのことから、大学で合宿などの長時間の練習を行うときは、スピードを出す・スピードを抜くというメリハリをつけることが大切です。

大学生の練習メニューにも使われるトレーニングシステム①

大学生が採用している水泳の練習メニューとして有名なのが、トレーニングシステムテーブルで、それはおそらく最も大学に普及している練習メニューと言えます。

その内容は、いくかに分かれています。

A1(Aerobic-1)は、ウォームアップを目的に行われます。
身体を慣らすための運動なので、運動強度は少なく、心拍数を上げません。

EN1(Endurance-1)は、持久力の向上を目的に行われます。
有酸素運動の強度で、それなりのスピードを出すという泳ぎを反復します。
このような泳ぎ方を、ドリルと呼ぶこともあります。
また、このときにフォームの矯正や確立も行います。

EN2(Endurance-2)は、EN1に続いて持久力を向上させます。
最も重要になるのは、スイムスピードの変化です。
有酸素運動と無酸素運動の境となるスピードで泳いでいくことで、境界が情報にシフト、つまり有酸素運動できる強度が広くなります。
今まで無酸素運動でしか泳げなかったスピードでも、有酸素運動で泳げるようになります。
運動強度としては、30分泳げるスピードの100mあたりの速度からマイナス2秒くらいが良いでしょう。

大学生の練習メニューにも使われるトレーニングシステム②

多くの大学で採用されている水泳の練習メニューをご紹介します。

EN3(Endurance-3)は、心肺機能向上を目的に行います。
運動強度を上げて過負荷にすることで、心臓や肺を鍛えて、有酸素運動能力を向上させます。
この練習でエネルギー源は、脂肪から主にグリコーゲンに切り替わります。
疲労が非常によく溜まるので、休憩は長めにとったほうが良いかもしれません。

AN1(An-aerobic-1)は、乳酸除去能力向上を目的に行います。
一本目は追い込んで、二本目は軽く泳ぎ、乳酸の代謝を高めます。
身体が疲労に強くなることが目的で、結果として筋肉の動きが良くなります。
追い込むので、休憩は長めにとったほうが良いです。

AN2(An-aerobic-2)は、スピード向上を目的に行います。
もう肩が上がらないと感じるくらい追い込みます。
イメージとしては、後先を考えないダッシュです。
休憩は8分以上することをオススメしますが、休憩が長すぎる練習は難しいので、練習の最後に行うと良いでしょう。

AN3(An-aerobic-3)は、反応速度の向上を目的に行います。
できる限り速く動かすことを意識して行うことは、心拍数を上げるという要素がなく、これまでの練習とは異なる練習だと思います。
ストローク回数を極限まで速くすることを意識すると良いでしょう。

心肺機能を上げるのに水泳の他、自転車もおすすめ

ロードバイクは、以前に比べれば、一般にも普及して取り組みやすくなりました。

しかし、むやみに漕いでいるだけでは、なかなか心肺機能は強化されません

速く漕いだとしても、すぐにバテてしまうことでしょう。

そこで、20秒間全力で漕いで、それから1分間ゆっくり漕ぐことを10セットから20セットほど繰り返す、インターバルトレーニングをオススメします。

インターバルトレーニングというのは、マラソン選手や水泳選手など、プロ選手から大学生まで、色々な人に取り入れられている練習メニューです。

全力を発揮することから、かなりきついトレーニングになりますが、その分スピードとスタミナの向上を望めます。

しかし街中では、ロードバイクに乗って20秒の全力の走行は難しいでしょうから、近くのサイクリングロードに行って、行なうと良いでしょう。

周りに人がいないか確認してから始めましょう。

水泳以外でも!自転車で心肺機能を上げる方法

心肺機能を高めるには、心拍数を上下させることを繰り返すのが良いと言われています。

そのため、一定のペースで自転車走行したり・泳いでいたり・走っていたりしても、心拍数は高くなっても、高いまま一定なので、心拍数を向上させるトレーニングになりません。

ロードバイクに関していえば、長距離走れるコースに通ってしまいがちで脚を止めることがないので、なかなか心拍数は上下せず、心肺機能はなかなか向上しません。

1番簡単に心拍数を上下させるのは、脚を止めることです。

運動してから心拍数を高めて、脚を止めることで心拍数を下げて、それによって心肺機能を高めるトレーニングと同じように心拍数を上下させます。

街中であれば、信号が多いところを走れば良いでしょう。

できれば、信号が青になって再び走り始めるといったときに、なるべく心拍数を高めるために速く走ることで、トレーニング効果が高まります。

心拍数を上下させることは、インターバルトレーニングといって、プロ選手や大学生の練習メニューに採用されている練習方法です。

ランニングにしても水泳にしても、プロ選手たちは全力を出してから、軽くするということを繰り返しています。

しかしそれではきついので、できる限りの効果を得るということで、信号で脚を止めてから速く走るといった練習をオススメしています。

水泳はトレーニングに最適

水泳は、全身を使うだけではなく、心肺機能の向上なども期待出来て、とてもおすすめのトレーニングです。

心肺機能を高めるスポーツでは、自転車もおすすめです。

水泳の場合、重力の力が少なくなるので、お年寄りでも怪我のリハビリなどでも無理なくトレーニングできますね。