グリス切れ直前がハブにしても、ベアリングにしても一番よく回転するのをご存知ですか?
ハブの場合、「ギューン」というような機械音が強くなってきたら、グリスアップした方がいいです。
今回は、自転車のベアリングをグリスでメンテナンス方法をご紹介します。
自転車のグリスの特徴と性能
自転車のグリスは、粘り気が少ないほどベアリングの精度が上がります。
しかし引き替えに、耐久性は落ちてしまいます。
ですが、造りによっては、そうならない場合もあるのです。
例えば、「NC-100」というグリスは、ほとんどのシールドベアリングのハブに効果を発揮してくれます。
粘り気は控えめなものの、金属への働きは抜群で、あっという間に滑らかさを取り戻すことでしょう。
ただし、密閉されていない部分に使うと飛び散るので、何処に塗るのかはしっかりと見極めて下さい。
テックグリスと相性が良いのは、アメリカンクラシックやカップアンドコーンのハブです。
粘り気が強いのにベタつかず、何処に使ってもスムーズに回転させることが出来ます。
水気に強いのも嬉しいですね。
特にアメリカンクラシックに対しては、これしか使わない方が良いと言えるくらいの最適さです。
万能に使えるというなら、デュラエースグリスも同様ですが、よく粘るせいで回転が重くなります。
そのおかげで飛び散ることはまずないので、天気が悪い時にはうってつけと言えるでしょう。
値段も最も安値です。
自転車ベアリングのグリス入れ替え方法①
自転車のベアリングのグリスが切れた場合、同じ銘柄のグリスを使いましょう。
違うものを混ぜ合わせると、何らかの悪影響が起こります。
ベアリングに傷などがなければ、交換する必要もありません。
ベアリングの種類によっては、高品質のグリスが付属されていることもあります。
ただし、回転が重くなることもあるため、場合によっては粘り気の少ないグリスに変えましょう。
グリスを塗り直すなら、まず針や爪楊枝などの尖ったものでゴムシールを剥ぎ取り、付いているグリスを拭き取りましょう。
完全に取り除くには、空き瓶にパーツクリーナーを注ぎ込んで、そこにベアリングを突っ込みます。
ですが、これは時間が掛かるため、フィルタークリーナーを使ってベアリングを回しつつ、刷毛でグリスを溶かしてやると良いでしょう。
回転する際の音を聞いて、シャーシャーと滑らかに回る音がしたら、グリスは全部抜けたことになります。
後はベアリングを水で洗い、水分と手の脂を取るために、パーツクリーナーを吹き付けてやればオーケーです。
自転車ベアリングのグリス入れ替え方法②
自転車のベアリングにグリスを塗り直すには、一旦引き抜かなければなりません。
まずは、ハブのシャフトを取り外します。
17mmのメガネレンチと13mmのスパナを使い、表記されている矢印の通りに回すとナットが取れます。
後はシャフトを押せば、抜き取れるはずです。
もし抜けなかったら、反対側のナットも外しましょう。
両側のナットを外した場合、再び取り付ける時には左右対称となるように調節して、ナットとナットの間隔は10cmにして下さい。
いよいよベアリングを抜き取ります。
ベアリングプーラーを取り付ければ抜くことが出来ますが、造りによっては抜けない可能性があります。
その場合は、専用のアタッチメントを使い、打ち抜くやり方に変更して下さい。
アタッチメントを装着したら、反対側にある穴にボルトを差し込み、ハンマーで軽く叩いてやりましょう。
もう一方のベアリングも、同じように叩きます。
ボルトは、アタッチメントの真ん中に当たるようにしましょう。
加えた力の比重が均等だと、ベアリングが傾かずにすんなりと抜き取れます。
プーラーを使うよりも、打ち抜きの方が簡単かもしれません。
自転車ベアリングのグリス入れ替え方法③
自転車のベアリングに塗り込んだグリスが多すぎたら、ウエスで拭き取って下さい。
ベアリングを回せば、内輪の周囲を囲むような形で、余分なグリスが押し出されてきます。
これを放置するとゴムシールに付着してしまい、上手くベアリングが回らなくなります。
接触タイプならともかく、そうではないタイプを使っている場合は意味がなくなるので、押し出されるグリスが尽きるまで、きちんと拭きましょう。
グリスの量が適切になったら、ゴムシールを取り付けます。
ちなみにこれは、ハブの内側に付いているグリスがゴムシールにくっついてしまっても、外すことが出来ません。
そこで、ひとまず片側だけに取り付けるようにしましょう。
カンパは、接触するタイプのベアリングを使っています。
グリスの塗り直しを行うとき、うっかりグリスがゴムシールに触れた際の抵抗力を、少しでも軽減するために、片方だけにしかゴムシールは付いていません。
どんなタイプなのかは、製品によって異なるため、チェックしてみて下さい。
自転車ベアリングのグリス入れ替え方法④
自転車のベアリングにグリスを塗り直したら、圧力を掛けて入れ直してやる必要があります。
そのためには「ボルト」「ナット」「ワッシャ」「スペーサー」を用意しなければなりません。
これらは、ベアリングとボルトの隙間を減らすために組み込むもので、上手く組み付けられるように中心となって、他の部品を支えてやるためのものです。
ワッシャも、厚みがあるものを選びましょう。
手順としては、最初に両側のベアリングを手で押し込みます。
続いて、スタッドボルトをベアリングの穴に差し込み、スペーサーを入れましょう。
先にスペーサーを入れてしまうと、ハブの中に落ちてしまう可能性があります。
また、ベアリングが傾いているとスペーサーが入らないので、ベアリングはまっすぐ押し込めて下さい。
ワッシャとナットを取り付けたら、手でナットを回してやりましょう。
これで仮止めが終わりました。
ベアリングはメガネレンチを使い、両側から締め付けることで差し込みます。
奥まで入ったと感じたらそこで止めて、ナットとワッシャだけを外しましょう。
最後にホイールを傾けて、スペーサーを抜けば作業完了となります。
回転が速くなる!?セラミックベアリングとは??
自転車のベアリングの回転率を上げるには、グリスをきちんと塗り直すということが挙げられます。
もうひとつは、セラミック製のベアリングを使うことです。
窒化けい素セラミックスによって作られたベアリングは、今までのベアリングよりもずっと軽く、擦り切れることも滅多にないくらいの頑丈さを持っています。
さらに高速で回転した場合、ボールやローラー(セラミックスと鋼を組み合わせたものです)と金属を焼き付けて固められるので、高温でも問題なく使えるという点が魅力となっています。
機能面に長け、安心して信頼を置くことが出来るベアリングとして、あらゆる機械に用いられているようです。
また、ファインセラミックスが使われているものは、酸やアルカリ、海中でも腐食することがありません。
高温に晒しても、硬さや耐久性が変わることはなく、熱膨張も滅多に起こることがないと言われています。
磁界の中ですら物ともせず、それどころか電気が発生することを防ぎます。
通常のベアリングより軽く、強度も優れています。
ボールも軽いため、回転時の遠心力を減らせるという利点も備えています。
グリス塗布直後は回転性能が落ちる
今回は、ベアリングのグリスの入れ替えをご紹介しました。
注入直後は、回転性能がかなり落ちます。
グリスがなじむまでの100キロ~200キロは我慢しましょう。
100~200キロ走れば、グリスが馴染んで、よく回る様になります。
自転車は、メンテナンスすることで長持ちするので、定期的にメンテナンスしてあげましょう。