みなさんは自転車というと、どんなものを思い浮かべますか?
自転車と言っても、ママチャリやクロスバイク、折り畳み自転車など、いろいろな種類がありますよね。
そんな、種類豊富な自転車ですが、ママチャリやクロスバイクなどのそれぞれの名称の由来は、何なのでしょうか。
今回は自転車の種類別の名称の由来についてお話します。
街乗り自転車「ママチャリ」の名称の由来は?
ホームセンターでも売っていて、街中でもよく見る自転車はママチャリと呼ばれるものです。
そのような名称は、そもそも自転車が俗称としてあったチャリンコを由来です。
そして、ママチャリという言葉は、婦人用ミニサイクルを指していました。
しかし、使用範囲が広がって、最終的には軽快車やシティ車全般を指して、ママチャリと呼ぶようになりました。
つまり、ママチャリというのは、前身となる婦人用のミニサイクルだけを指していたのです。
ちなみにミニサイクルというのは、タイヤが小さいタイプの自転車で、日本では1960年代に登場しました。
当時の女性は自転車を使用していなかったのですが、企業の新規顧客獲得戦略が当たって、婦人用ミニサイクルが大ヒットしました。
それから人気のピークが過ぎて、婦人用ミニサイクルは日陰者になっていきましたが、ママチャリという名称は残り、広く使われるようになったというわけです。
現在のママチャリというと、ハンドルが曲がっていて、乗りやすいようなフレームの自転車を指します。
ママチャリの正式名称は「軽快車」?
自転車の種類の1つに軽快車があります。
他の名称としては、シティサイクルや一般車やママチャリと呼ばれています。
そのような名称から想像できるように、日常生活で使う自転車の種類といえます。
軽快車の特徴としては、荷物積載量や酷使に耐えうる丈夫さというよりは、乗用移動を目的としているので、軽量化が優先されています。
他にも、走行性能を上げたり、操作性を簡易にしたりと、軽快に走行できることに重点を置いています。
それでも、スポーツ用自転車とは異なるカテゴリーとなります。
第二次世界大戦以前の軽快車としては、日米富士自転車の「冨士覇王号」が挙げられます。
冨士覇王号は、既存の実用車を軽量化や簡易化を施した自転車でした。
タイヤの規格をBEタイヤからWOタイヤに変更したり、荷台を薄鋼板プレス成型することで軽量化しました。
その他にも、ハンドルの幅の短縮、ペダル・スプロケット・後輪のバンドブレーキを小型化、サドルが革サドルからテリー型サドルに変更されました。
また、低速でも安定感が増すように、フレームの角度さえも変更されたのでした。
ママチャリなどの総称「軽快車」の歴史
シティサイクルやママチャリのことを、まとめて軽快車という名称で呼ぶことができます。
その日本での歴史は、1960年代から始まります。
戦後復興期以降から、生産台数が増加傾向にあった実用車の人気が弱まりました。
その代わりに軽快車の生産が徐々に増えてきて、1964年には、とうとう軽快車の生産数が上回ることになりました。
それ以来、生産台数は軽快車が上のままです。
1970年代には、フレーム以外の部品が、ステンレス鋼になってさびにくくなりました。
ステンレス鋼以外にも、アルミ合金素材を使用し、軽量化されました。
技術の進歩により、2灯式ヘッドライトやワイヤー式ブレーキが導入されました。
1980年代には、さらに技術が進歩し、サーボブレーキ・内装3段変速機・ベルトドライブも登場しています。
1990年代には、東アジアの新興国から低価格な輸入自転車が目立つようになって、急激な低価格化が起こりました。
そのため国内メーカーは、生産拠点を海外に移して、コスト削減の努力を行うようになりました。
そして価格面だけでなく、機能や特徴の開発も盛んになって、アルミフレームやサスペンション機構、子供乗せ自転車や電動アシスト自転車が普及してきます。
2000年代には、日本工業規格(JIS規格)は、軽快車という名称を廃止して、シティ車という名称を採用することになりました。
スポーツ自転車「クロスバイク」の名称の由来は?
お店に置いてある自転車で、用途がよく分からないと言われているのが、クロスバイクです。
ママチャリは、日常的に使う自転車なので使い方が分かります。
ロードバイクは、レースなどに出る自転車や速く走れる自転車ということで理解していると思います。
では、クロスバイクはどのような用途があるのでしょうか。
クロスバイクとは、オンロードもオフロードも走行できる自転車です。
クロスバイクの開発は、マウンテンバイクの感覚を残しつつ、舗装道路での快適性を強化した自転車にしたいということで行われました。
ロードバイクは、舗装された道路を走行するためのオンロード専用自転車で、舗装されていない道(オフロード)を走行するようにはできていません。
しかし、クロスバイクなら舗装されていない道も走行できます。
クロスバイクは、ロードバイクとマウンテンバイクの走破性を持っているのです。
新しい自転車のため、発売当初はクロスオーバーバイクやCATなど、様々な名称があって定まっていませんでした。
しかも日本では、独自にトレッキングバイク・フィットネスバイク・スピードバイク・アーバンバイク・コンフォートクロスというように、様々な名称でメーカーでも名称が定まっていなかったようです。
現在では、クロスバイクという名称で共通しつつあるのですが、英語圏ではハイブリッドバイクやトレッキングバイクとも呼ばれている自転車なので、名称に注意してください。
「ミニベロ」ってどんな自転車?名称の由来は?
ママチャリが普通のタイヤの大きさとして、それよりも小さいタイヤサイズを採用している自転車があり、ミニベロと呼ばれています。
ミニベロは、小柄な車体でかわいい見た目だったり、タイヤが小さいため、漕ぎ出しが軽く街乗りに適しています。
タイヤサイズが小さいので特徴的ですが、見た目はともかく、ミニベロという名称の由来を知らないという方も多いと思います。
ミニベロの名称は、フランス語から来ています。
フランス語では、自転車のことVELO(ベロ)と言います。
小さい自転車、ミニとベロ、ということでミニベロという名称になりました。
折りたたみ自転車でも、タイヤが小さいとミニベロと呼ぶことがありますが、折りたたみ自転車はフォールディングバイクと呼ぶことがあります。
ですので、折りたためないタイプで小さいタイヤの自転車を、ミニベロと呼びます。
タイヤは小さくても、上位モデルのミニベロになると、走行性能はクロスバイクに近いものになります。
そしてタイヤが小さいから重心が低く、安定感のある自転車として利用できます。
「ピストバイク」ってどんな自転車?
ピストという自転車、その名称は、元々は「走路」を指していた言葉である「ピスト」を採用したもので、ピストを走る自転車という意味です。
トラックレースに使用される競技用自転車で、ママチャリのような普通の自転車と異なる仕様となります。
見た目や構造は、ロードバイクと似ているところも多いのですが、単速ギア(シングルスピード)・固定ギア・ブレーキなし、その3つがピストの特徴です。
固定ギアというのが、ママチャリと一番異なる仕様だと思います。
ママチャリならペダルを逆回転させると空転できますが、ピストだと空転せず、タイヤが逆回転します。
そして、坂道でも空転できないため、足を止めることができず、ペダルを回し続けないといけません。
そこはさすが競技用というところでしょうか。
トラックレースという競技なら、坂道を気にする必要はありません。
そして、ブレーキなしということなのですが、それで止まれないということではありません。
固定ギアでペダルをゆっくり回すと、タイヤがゆっくり回るということなので、ペダルがブレーキの代わりとして機能するということです。
徐々にペダルの回転を弱めることで、徐々にピストは減速します。
そこもやっぱり競技用だといえるでしょう。
トラックレースなら、突然止まる必要がないので、ブレーキをつける必要性がないということです。
種類いろいろ、由来いろいろ
いかがでしたか?
自転車はいろいろな種類があり、名称の由来もいろいろでしたね。
ミニベロのベロが英語のvelocityではなく、フランス語のveloだったのは、知らなかった人も多いのではないでしょうか。
自転車はパーツが多いので、パーツの名称の由来も調べてみると面白そうですね。