日本と中国を比較してみよう!自転車の二人乗り!

近くて遠い国、中国。
読者の中には、自転車に二人乗りして、お巡りさんに怒られた経験がある方もいるのではないでしょうか。

一般的に日本では自転車の二人乗りは禁止ですが、お隣の中国では果たして自転車の二人乗りはどう扱われているのでしょうか?
中国での交通事情の無節操ぶりから、タンデム自転車、所謂二人乗り用の自転車の事情まで、たっぷりお話しします。

中国における自転車の二人乗り

中国には、日本で言う所謂原付(原動機付自転車)は、ほとんど街で見かけることがありません。
そのかわりに走っているのが、大量の電動自転車です。
ハブにモーターを搭載し、外付けバッテリーを搭載しているようなものは、外見はほとんど自転車と変わりません。

しかし、日本の電動自転車と違うのは、アシストするのではなく、もはやモーターで自立して動いています。
日本の場合だと、電動自転車のアシスト力は平地で25キロまで、と定められていますが、中国の電動自転車はまったくそんなことはありません。
逆に、原付にそっくりな電動自転車もあります。

何故かそういう自転車にも、クランクとペダルが付いているのは不思議です。
電池が切れたときには、一応自走できるようです。
そして、いずれもナンバープレートをつけていません。
つまり、免許なしで乗れるのです。

そして、これらの自転車には、当たり前のように後ろに人を乗せれるような荷台が付いているのです。
よく二人乗り、たまに三人、ごくまれに子供も含めて四人で乗っているのを見かけます。
そして、中国でロードバイクに乗っている人間にとっては、これらの電動自転車は速度域が被る・ウインカーを出さない・逆走と信号無視あたりまえという点でかなり厄介です。

勿論、モーターが付いていない自転車も沢山走っています。
舗装が日本よりも悪いためか、マウンテンバイクもどきが一番多く走っていますが、それらの自転車にも、ほとんどが人を乗せられる荷台が付いています。

やはり、普通の自転車でも二人乗りは当たり前です。
中国にこれから行かれる方は、音もなく忍び寄ってくる電動自転車にひかれないように注意が必要です。

中国の二人乗り自転車

二人乗り自転車、所謂タンデム自転車は、日本においてはサイクルセンターのような、閉鎖された空間でしか運用できません。
公道を走ることが許されていないわけです。

条例で山形県・長野県・兵庫県・京都府などでは公道走行が認められていますが、例えば、神戸の賑わいのある市街地でタンデム自転車を運用するのは、やはり難しいものがあります。

ほかにも問題があります。

厳密に解釈するならば、京都から神戸に行きたいときに、途中の大阪では自転車を降りないといけないことになります。

日本にもカーボン・チタン・アルミ・クロモリなどの素材で、タンデム自転車を展開しているメーカーがいくつかあります。
しかし、ほとんど話題になることもなく、リカンベントと同じく、マニアックな自転車として扱われてしまっています。

一方で中国はどうでしょう。
中国でも、例えば私が住んでいた広州の中心部では、やはりタンデム自転車を運用するのは難しいでしょう。
しかも、都心部の公道で走らせるのは一応違法です。

走ってはいけない街道が細則で決められていたりするので、その部分は日本よりも進んでいます。
都市の中心部から離れると、非常に走りやすい環境があったりします。

例えば、私の寮から15㎞ほど離れたところに、一周16㎞で、信号もほとんどなく、道も広い大きな中州があります。
そういったところには、タンデム自転車のレンタルサービスがあったり、自分でタンデム自転車やリカンベントといった自転車を運用している人がいます。

私も一度タンデムクロスバイクの後ろに乗せてもらったのですが、平坦の直線だと、一人乗りの同クラスの自転車よりも速いです。

当たり前ですが、一人分の空気抵抗で二人分の馬力で推進できるのですから。
逆に坂やコーナーは、二人の息があっていないと、とてもギクシャクします。

パラリンピックでの二人乗り自転車:日本と中国の比較

パラリンピックは、どうしてもオリンピックよりは報道が少ないですから、知っている方も少ないでしょう。

しかし、私の知り合いの知り合いがリオパラリンピックの自転車の女子・二人乗り自転車・タンデム個人ロードタイムトライアル(視覚障害)で銀メダルを獲得しました。
もともと2014年のロード世界選手権タイムトライアルで優勝していたので、かなり注目の候補ではあったのですが。

二人でトルク・重心移動・姿勢・ケイデンスなどをぴったり合わさなければ進まないタンデム自転車競技は、個人的には普通のロードレースよりも面白いと思っています。
また、タンデム用のロードバイクやTTバイクも非常に格好いいです。

一方で中国の方はどうでしょうか?
北京パラリンピック、そしてそのあとのパラリンピックでも、タンデム自転車競技に選手は送り込んでいますが、まだメダルには手が届かない様です。
世界選手権での成績もまだ芳しくありません。

まだヨーロッパ、そして日本と比べても、中国の自転車競技の裾野は狭いように思えます。
まだまだロードも、道路では邪魔者扱いです。

しかし、もともとが世界一の自転車生産国ですし、中国では一度火が付いたブームは急激に広がります。
自転車自体は、誰もが使っていますし、レンタル自転車ビジネスも日本よりも盛んです。
やがては、パラリンピックの自転車競技の世界でも、中国人が活躍していくことでしょう。

これから二人乗り自転車はどうあるべきか?日本の事情

一人乗り用の自転車に、二人や三人で乗るのは論外として、もっとタンデム自転車やそれ以上の人数が乗れる自転車が活躍できるフィールドを増やすべきだと考えています。
しかし、日本でも中国でもそれを妨げる事情はたくさんあります。

例えば日本では、前述のように都道府県ごとに違います。
ですが、同じ都道府県にも狭い所もあれば広い所もあるわけです。
県ごとに運用できるかできないか決まってしまうのは、安全上もよくありません。

また、スポーツ自転車の聖地といえるような場所が出来上がっていく一方で、各地の河川敷などでは、自転車排除の動きが広がっています。

例えば、東京の友人から聞いたのは、多摩川や荒川といった定番のサイクリングコースで速度制限や排除が進んでいるようです。
確かにロードで集団走行など行うと、暴走族のように見えてしまうのは仕方のないことです。

二人乗り自転車を普及させようと思うならば、まずは普段乗るような一人乗り自転車で安全と周辺に気を使いつつ走っていく必要があります。
二人乗り自転車は、もっとスペースを取ってしまう訳ですから。

視覚障害者のために、もっとタンデム自転車の公道走行を認めていこうという動きもありますが、現状では不幸な事故を増やしてしまうだけだと思われます。

これから二人乗り自転車はどうあるべきか?中国の事情

一方で中国はどうでしょうか。
近くの川沿いや公園などでは、よく並列の二人乗り自転車のレンタルをやっています。

そして、中国はなんだかんだいっても、日本よりも広いので、都心を少し離れれば良い道が広がっています。
東京や大阪だと、どこまでいってもなかなか広くて走りやすい道にたどり着かないですから。

青海(せいかい)や新疆(しんきょう)といった、西のほうでも、次々と大規模なロードレースが開設されています。
中国はその広い土地と、自転車の最大生産国であるという強みから、一番大きな自転車競技大国、サイクリング大国に成れるポテンシャルを秘めています。

生産国であるということは、自前で自転車の仕様変更や低廉化、改造ができるということです。
タンデム自転車の世界でも、これから世界を引っ張ってくれることを期待しています。

まとめ:中国の自転車業界はまだまだ成長する

自転車の生産は兎も角、サイクリング、自転車競技の面では、中国ははっきり言うと発展途上です。

しかし、世界は中国が色んな分野で世界を抜き去っていく姿を目の当たりにしてきました。

IBMがLenovoに吸収されたり、カーボンフレームの生産を一手に引き受けたりと、枚挙に暇がありません。
中国の二人乗り自転車、そして自転車の二人乗りを、これからも観察していこうと思います。