自転車乗りのみなさま、ケイデンスとは何かご存知ですか?
ロードバイクなどのスポーツ自転車を愛用していたり、頻繁にレースに参加される人は、ケイデンスについて詳しく知っているかもしれません。
今回は、そんな自転車のケイデンスについての説明と、トレーニング方法をご紹介します。
自転車のケイデンスとは①
自転車に関する用語で、よく耳にするケイデンスとは「ペダルが回る回数」のことを指しています。
1分間に90回転しているのなら「ケイデンスは90である」と言い表します。
これは、ロードバイクにとって非常に重要な数値であり、詳しく分析が行われることもあれば、練習や大会の記録などに載せられたりもしています。
とはいえ、ペダルの回転数など、そこまで大したことではないようにも思えます。
何故この数値が重要視されているのかというと、自転車を漕ぐ際に使った体力と気力は同じでも、回転数の高さによって、身体に掛かる負担に差が生まれるからなのです。
簡単にいうと、ケイデンスが低いと筋肉に、高いと心臓に負担が掛かります。
例えば、ケイデンスが低かった場合、一定量の力を出すためには、高いケイデンスの時よりもペダルを強く踏み込まなければいけません。
大きい力を出すには、それだけ筋肉に溜め込まれている「筋グリコーゲン」というエネルギー源を使う必要があります。
すると、そのぶん負担も増すというわけです。
自転車のケイデンスとは②
自転車のケイデンスとは、ペダルの回転数のことですが、これには高さがあります。
低い場合は、体内にあるエネルギーを使います。
これは、筋肉の中に溜まっているものを消費するため、心臓への負担が軽減されます。
しかし、このままケイデンスを低く保っていると、エネルギー源である筋グリコーゲンは、ひたすら失われていきます。
すると、いざという時に力が出なくなり、強い力でペダルを踏み込めなくなるかもしれません。
高い場合は、踏み込む際の力は少しで済むため、使うエネルギーは脂肪が中心となります。
筋肉は、それほど疲れないので、長時間乗り続けていられることでしょう。
ですが、脂肪を分解するための酸素を送る心臓には、多大な負担が掛かります。
また、ペダルの回転数が増えるので、漕ぐためのエネルギーをペダルに上手く伝えられなければ、無駄に消耗してしまいます。
これでは、疲労が蓄積するだけとなってしまいます。
ケイデンスは、適度にコントロールしてやらないと、身体を疲れさせるだけなのです。
理想のケイデンスとは
自転車の理想のケイデンスとは、一体どれくらいの数値が良いのでしょうか。
ケイデンスは、レースや峠を走った時にチェックすることをおすすめします。
確認してみて、例えば、極端に低い数値が出た場合は、重いギアを踏み込みすぎたのだと考えられます。
走った後で心臓の辺りにキツさを感じて、全力を出したわりにタイムも伸びなかった場合があります。
これは、ケイデンスの上げすぎや、筋グリコーゲンを温存しすぎたなどの理由が思い浮かびます。
このようにケイデンスを調べると、ミスの原因と反省点が見つかります。
一般的には、90rpmが理想と言われていますが、これはあくまでも走り慣れている人達の目安です。
初心者にはかなりキツい数値とされており、個人差もあるので、目安の数値が全員にとっての適度な速さであるとは限りません。
これは初心者でも、トップクラスに位置するプロの選手でも同じことです。
それぞれが出せる速度の中で、自分が最も長く力を発揮することが出来るケイデンスを見つけていきましょう。
自転車の高ケイデンストレーニング
高いケイデンスとは、トルクを掛けないぶん、筋肉への負担を抑えることが出来ます。
すると、自転車のペダルを小さい力で動かすことが出来るようになります。
そうすると、使用する主なエネルギーは、脂肪に溜め込まれているものを使うようになります。
つまり、ケイデンスが高いと筋グリコーゲンの使用量が減るため、運動する時間を長引かせることが可能となるのです。
高いケイデンスを維持するためのトレーニングを行えば、あらゆる効果が期待出来ます。
スムーズにペダルを漕げるようになるので、エネルギーの無駄遣いがなくなります。
身体を鍛えることで筋肉の動きも良くなり、今までよりも、ペダルを漕ぐ速度が上がります。
ケイデンスを高めるとペダルの回転数が増えるので、乗り手の技量が足りなければ、無駄に体力を消耗するだけで速度は上がりません。
これでは意味がないので、ケイデンスと自分自身の技術を向上させるためにも、日頃からトレーニングを行いましょう。
効率良く鍛えるためのおすすめの場所は、ローラー台です。
自転車の低ケイデンストレーニング
自転車のケイデンスのうち、低ケイデンスとは持続力よりも瞬発力をメインとしているため、技術だけではなく生まれ付きの筋力によるところが多少あります。
だからといって、鍛える努力をしなければそこで終わってしまいます。
練習次第では、十分カバー出来るだけの能力を身に付けられるので、低ケイデンスを維持するトレーニングを行いましょう。
60rpm以下のケイデンスでギアを回転させる練習は、基礎的な技術を覚え、それを強化している段階で行うと効果的です。
すると上り坂で加速しやすくなり、レース終盤や重いギアを踏み込む際に素早く反応することが出来るでしょう。
自然と持久力も上がるので、練習場所は、傾斜がきつくない上り坂を利用して下さい。
ちなみにケイデンスは高い方と低い方、どちらを中心に鍛えれば良いのかと、疑問に思う人もいるかもしれません。
スポーツバイクを効率良く操作するには、滑らかな足の動きも、疲れの溜まりにくい身体を作るための筋肉も必要です。
どちらか一方ではなく、両方をまんべんなく鍛えるようにして下さい。
自転車のケイデンスは機材ありき
自転車のケイデンスとは乗り手の技術も大事ですが、それ以上に自転車の装備も重要になってきます。
特にペダル・シューズ・クランクの3つは最も影響を及ぼすと言えるでしょう。
シューズは、足に合ったものでなければいけません。
ペダルは、左右やクランク面までの距離とペダルシャフトの中心からシューズの底までの距離、そして接触している面積の3点が、エネルギーを上手くペダルに伝えられるかということと、ペダルの回転がスムーズに行えるかどうかに関わってきます。
また、クランク長やスプロケットの歯の数が違っていても、回転数は変わります。
さらに、ウィールの回転モーメントと慣性も深く関係してくるのです。
これらを考慮した上で、ケイデンスを決める必要があります。
普段使われる標準的なケイデンスを始め、長距離用やレース用のケイデンスなど、どれも目安の数値こそありますが、最適なものは乗り手によって異なります。
ロードバイクに取り付けられた装備や、路面の状態なども把握しておきたい情報です。
高いケイデンスを保ったままでも気軽に走れるようになったのは、時代とともに走りやすくするための道具が生み出されたということなのでしょう。
個人の技量だけではなく、機材のおかげという点も大きいのだと思われます。
自転車とケイデンス
いかがでしたか?
機材ありき・・・その言葉を聞いて、残念に感じる人は少なからずいると思います。
もちろん練習は大切ですが、質の悪いものでは、レースなどで自分の実力を出すのも難しいですよね。
ケイデンスに限らず、実力を高めるためには、自転車及び部品選びもこだわるべきと言えるでしょう。