「クロスカントリーのレースなら29インチだね」なんて声を耳にすることがあります。
また、29インチはMTBを街乗りにしたい方にもおすすめらしいのですが、どういうことなんでしょう?
29インチには29er(トゥーナイナー)なんて呼称があるくらいですから、特別な存在なんですね。
メーカーとしてはイーストン・マビック・シマノといったところですかね。
今回は、そんなMTB用のホイールの選び方についてお話したいと思います。
MTB用ホイールについて
MTBが世に出て以来、ホイールは26インチが主力でした。
しかし、2000年代に入ると競技用を中心に別規格のホイールも登場し、クロスカントリーには29er(29インチ)、フォークロスやストリートには、取り回しの良い24インチが使用されるようになりました。
近年は650Bという新しい規格のホイールが登場し、26インチよりひと回り大きく、29erよりも機敏さがあるため、市販レベルではこのサイズが主流になりつつあります。
また、MTBの競技を始め市販においても、現在はチューブレスタイヤが主流となっており、当然ながらホイールもチューブレス対応が中心になっています。
用途によっても、クロスカントリー・ダウンヒル・オールマウンテン用などがあります。
クロスカントリーはスピードを重視するので、幅の狭い軽量仕様になっており、反対にダウンヒルやオールマウンテンは幅が広く、安定性を重視した作りになっています。
さらにはブレーキの種類によっても違いがあり、リムブレーキ用とディスクブレーキ用があるので、注意が必要です。
メーカーとしてはアメリカのイーストン、フランスのマビック、日本のシマノなどが主力となります。
MTBのクロスカントリーに29erが適している理由とは?
ロードバイクのホイールにはツーリング「向き」やヒルクライム「向き」と志向はあっても、明確にジャンル分けされている訳ではありません。
ところがMTBは用途によって、はっきりジャンル分けがされており、シマノなどの商品名にもクロスカントリー用(XC)やダウンヒル用(DH)と記載されているほどです。
とりわけ、クロスカントリーには29インチのホイール、すなわち29erが適していると言われています。
ホイールが大きくなることで、やはり慣性の働きが大きくなり、車輪が転がり続けようとしますから、高速巡航には強いわけです。
また、29erは地面との接地面が大きく、安定しているので、ダンシング(立ち漕ぎ)がしやすい傾向にあります。
そのため、大口径のホイールの弱点とも言える、ゼロストップから回転数を上げるまでのもたつきを解消することができます。
また、岩や木などのギャップを越えやすい特徴もあり、競技性が高いので、レースで多く使用されています。
市販車の主力は650B(27.5インチ)に移りつつありますが、使いこなす乗り方をすれば29erは、まだまだ利用価値のあるホイールなのです。
シマノ29erのホイールでMTBを街乗り仕様に!
MTBは太くて頑丈なフレームにサスペンション、強力なディスクブレーキに太くて、ごついタイヤを装備した安定感が特徴の自転車です。
そのため、スポーツ自転車の中でも、とりわけヘビー級で、ロードバイクの軽量モデルなどと比較すると5~6㎏は重くなります。
その重さから、普段の街乗りには向かないとされ、悪路専門のような言われ方をしてきた時代もありました。
そこで誕生したのがMTBの機能を持ちながら、ロードバイクの要素も取り入れたクロスバイクでした。
しかし今のマウンテンバイクは、29erや650Bの大口径ホイールが主力となり、スピードが出しやすい車体になっています。
特にクロスカントリー用ともなれば、街乗りでも何の支障もなく走れると思います。
その際、通常のブロックタイヤでも十分快適に走れますが、29erにはロードバイクなどの700Cのタイヤを履かせることができます。
したがって、スリックタイヤにすれば、もっと快適な走破性が手に入ります。
(あまり細いタイヤはおすすめできないので、28Cや32Cが良いと思います)
シマノの29erであればリム幅も広いので、適応できると思います。
29erホイールが街乗り仕様になる理由とは
上記のように、スリックタイヤに履き替えたとすれば、クロスバイクをも凌ぐ乗り心地も期待できると思います。
ですが、それほど重量が変わるわけではないので、建物の階段などで持って歩かなければならないような場合には、少し苦労はしますね。
しかしオフロード用の特性を活かせば、地面の凸凹や工事中の砂利道なども、全く気にすることはありませんし、歩道との段差など気にせず乗り上げても、サスペンションが衝撃を吸収してくれるので安心です。
さらには山道を走る自転車ですから当たり前ですが、MTBには42Tなどの超軽ギアがあるので、坂道走行はとても楽です。
29erくらいの大口径になると、スピードに乗ったら中々落ちないという高速巡航性があります。
また、サスペンションをロックアウトできるので、舗装された直線を長い時間走るようなロードバイク的な走りも可能ではあります。
重いですが。
雨の日でも今のMTBは、ほぼ全車ディスクブレーキですから制動力が落ちる心配もありませんし、とにかく街乗りに向く要素は、数え切れないほど多くあると言えます。
では次項で、具体的にシマノのホイールをご紹介します。
おすすめのシマノ29erホイール
では、ここではシマノの29erホイールをご紹介します。
MTBのホイールを選ぶ際に注意しなければならないのは、サイズは当然のことながら、チューブレスタイヤに対応しているかどうかと、ディスクブレーキ専用なのか、リムブレーキにも対応しているかどうかです。
タイヤはチューブレスが主流、ブレーキも新車はほぼ全車ディスクブレーキですが、中にはカンチレバーブレーキやVブレーキを搭載しているものもあるので、確認してから購入するようにしてください。
ではご紹介しましょう。
【WH-M9020-TL-29】参考価格:フロント¥65,000 リア¥80,000
最高グレードのコンポーネント「XTR」モデルのフレームになります。
リムにカーボンラミネートを施し、アルミリムと同様の耐久性と軽さを実現しています。
スルーアクスル(フロント15㎜、リア12㎜)を使用することで剛性と強度を高めていますし、また地味ですが、煩わしいディスクブレーキのローターのクリアランス調整が楽になるのも、大きなメリットです。
おすすめのシマノ・コンポ搭載の29erマウンテンバイク
では最後に、シマノのコンポを搭載した、おすすめの29インチホイール車をご紹介します。
【CENTURION(センチュリオン):BACKFIRE PRO 100.29:XC】:参考価格¥85,000
ドイツの老舗自転車メーカー・センチュリオンの29erエントリーモデルです。
エントリーモデルとは言え、シマノ製のコンポを搭載し、全てのモデルに油圧式ディスクブレーキを搭載しています。
フレームに取り付けられる専用のスタンドが付属していますので、街乗りとしても十分使えます。
【GT:KARAKORAM COMP】参考価格:¥79,000
MTBのパイオニアとも言うべきアメリカのGTのエントリーモデルです。
こちらもブレーキと変速機周りにシマノコンポを配した、走行性能の高い1台です。
【KONA(コナ):HEI HEI DL 29】参考価格:¥500,000
こちらは最初の1台という訳にはいかないでしょうが、いつかこんなバイクに乗りたいという、憧れも込めてご紹介させていただきます。
GTと並び、MTBならコナと言われるくらい、品揃えが豊富なブランドです。
29erに軽量カーボンフレームを合わせたクロスカントリートレイルバイクです。
いまや中級クラス以上のMTBには標準装備になってきたドロッパーポストがありますから、下りでの安定性はもちろん、平坦な路面でもロードバイクのポジションに近づけることも可能なため、街乗りでも十分活躍してくれるでしょう。
MTBホイールの主流は650Bに移っている!
今回は29erを中心に取り上げてきましたが、ホイール単体は種類も価格帯も多くありましたが、市販の完成車に29erを探すのが困難でした。
やはり、現在の主流は650B(27.5インチ)に移ってるなと感じました。
しかし29erは特別なものですし、扱い方によっては、街乗りの最強車になる可能性を秘めていることが分かったのも、大きな収穫でした。