トレックのロードバイクでも特に軽量を売りとしているのが、「Emonda(エモンダ)」シリーズです。
フラッグシップモデルでは総重量6kgを切る破格さであり、他のモデルでもエモンダの冠さえ付いていれば、クラス最軽量レベルであるというコンセプトがあります。
その中でも今回はコスパに優れていると言われる、アルミフレーム車「エモンダalr5」をご紹介します。
トレックのロードバイクの製品名の見方
トレックのロードバイクは3つのモデルが主となり、それぞれにグレードや女性専用車があるというイメージです。
現在のロードバイク界の1つのトレンドであるエアロロードの「Madone(マドン)」、長距離走行向けの「Domane(ドマーネ)」。
そして、今回ピックアップする「Emonda(エモンダ)」は、色々なレースの種類に対応する「総合レーシングバイク」というふれこみです。
それぞれにフレーム素材やパーツのレベルでグレード分けされており、同じシリーズながら価格差が100万円以上あります。
マドンは全てカーボンフレームですが、ドマーネとエモンダは、カーボンとアルミがあります。
モデル名の後ろに「ar・alr」が付くのがアルミフレーム、「sl・slr」が付くのがカーボンです。
その後ろに付く数字はカーボン、アルミ通しでグレードを表しています。
エモンダシリーズは最上級が「9」、最下級が「4」となりますので、「エモンダalr5」はエモンダシリーズのアルミフレーム車で、下から2番目のグレードになります。
エモンダalr5は重いホイールが付属していながらクラス最軽量レベル
エモンダalr5は下から2番目のグレードとお伝えしましたが、アルミフレーム車は「alr6」「alr5」「alr4」の3機種ですので、アルミではミドルグレードとなります。
エモンダは先述通り、全てのグレードにおいてクラス最軽量がコンセプトですから、もちろんalr5もかなり軽量な部類です。
公表されている重量は56サイズで8.47kgですが、このクラスのアルミフレーム車で9kgを切るのはかなり大変なことです。
なぜかと言いますと、このクラスのロードバイクでは、フレーム以上にホイールの重量が嵩むためです。
ホイールは単価が高いので、定価16.6万円のエモンダalr5には上質なホイールは使用できません。
ホイールはグレードが高くなるにつれて軽量になっていきますので、グレードの高くない物は重くなります。
まして、エモンダalr5のホイールはトレックの手組みであり、その性格上さらに重量が嵩みます。
ですから、その重いホイールが付属していながらこの重量でまとめていますので、少なくとも重量面では他社ライバルに差を付けていると言えるでしょう。
エモンダalr5はトレックのフレーム成型技術を結晶したロードバイク
トレックの「エモンダalr5」はアルミフレームで最軽量レベルを目指すために、「ハイドロフォーミング」というチューブの特殊加工技術を用いています。
筆者は科学に弱く理論は今一つ分かりませんが、とにかく複雑な加工をして無駄をそぎ落とすことで軽量化を図っています。
また、フレームはチューブのつなぎ目(溶接)部分が乗り心地に影響を与えるのですが、このつなぎ目がほとんど目立ちません。
カーボンフレームのような滑らかなラインが出ており、これがレースモデルでありながら乗り心地のよさが評価される要因の1つです。
そして、軽量のフレームはどうしても剛性が低くなってしまい、ペダルを漕いだ力が分散してしまいがちです。
しかし、その点では各箇所でフレームの厚みに変化を持たせ、応力が伝わる箇所の剛性はしっかりと確保しています。
とにかく、フレームだけでもこれだけの高い技術が集結されており、しかもジオメトリはプロライダーに提供されている最上位モデルと同じです。
プロが乗っているものと同じ形状のロードバイクを、10万円台で購入できると考えれば、それだけで十分にコスパが高いと言えるでしょう。
トレックのエモンダalr5はコンポに妥協がない!
トレックのエモンダalr5は、組み合わされているパーツにもコスパの高さを感じさせてくれます。
特にコンポの、シマノ・105のフルセットはポイントが高いです。
前述したとおり、エモンダalr5の定価は16.6万円です。
この価格帯であれば、特に105を搭載していること自体は特筆することではないですが、フルセットというところが重要です。
コンポの中でも特にコストが掛かるのはクランクですので、ここは価格を下げるために別メーカーの物が使われてもおかしくありません。
シマノ製のクランクは変速性能に優れていますし、駆動系のパーツはメーカーを統一することで性能がより引き出されます。
その意味でも、エモンダalrはクランクまで105を採用しており、安定した変速性能を確保していると共に、トータル的に性能が高いということになります。
また、この価格帯でリア11速のため、ロードバイク初心者にもおすすめです。
エモンダalr5はホイールのレベルを上げたい!
ここまでトレックのロードバイク「エモンダalr5」をご紹介してきましたが、改めてコスパの高い1台であることが確認できました。
ただ一点だけ気になるのは「ホイール」です。
先ほども少し触れましたが、このレベルのロードバイクではホイールのグレードは期待できません。
しかし、エモンダalr5は優れたホイールを装着するだけの価値があるフレームです。
単純な話ですが、重い物を回すよりも軽い物の方が脚に掛かる負担は少ないので、ホイールを交換すると「ギア○速分軽くなる」のような言われ方をします。
また、軽くなれば空気抵抗が少なくなりますので、加速力が違ってきます。
このようにホイールは交換した効果が実感しやすいので、最初のパーツ交換に推奨されることが多くなります。
あくまでも実測値ですが、エモンダalr5付属のホイールは前後計で2100gを超えています。
これを1500〜1600g台のホイールにすると、総重量が8kgを切りカーボンフレームも真っ青の超軽量アルミロードになります。
1500〜1600g台のホイールはミドルグレードの物に多く、市場価格では5〜9万円のゾーンです。
さすがに少し高価ではありますが、他のパーツを細かく交換するのであればそこを集約してホイールに投資するのが、一番幸せかもしれません。
エモンダalr5はどんな方に向いているロードバイク?
では、最後にトレックのエモンダalr5は、どんな方に向いているロードバイクなのかを考えてみましょう。
まず、「総合レーシングバイク」ですから、レースでの使用になります。
特に坂の上りに設けられたコースで行われる「ヒルクライム」では、何より軽さが優先されるので、この機体は武器になります。
また、用途がそれほど固まっていない方にも向くバイクです。
レーシングジオメトリながら乗り心地にも配慮がありますし、レース仕様にありがちな剛性が高すぎてガチガチに硬いわけでもありません。
そのため、レース志向が薄い方でもなじみやすいので、用途や目的は別として、まずは「ロードバイクが欲しいんだ」という方にも向いています。
そして、7種類のサイズが用意されており、特に小さいほうのサイズが充実しているので、小柄な方や女性がサイズ選びに迷わないで済むのも大きなメリットです。
トレックのエモンダalr5は自信を持っておすすめできる1台
今回はトレックのロードバイク「エモンダalr5」をご紹介しました。
アルミフレームとは思えない美しい造形美と、高い技術が駆使されたフレームはクラス最軽量に仕上がっています。
レーシングジオメトリながら乗り心地にも配慮されており、105のフルコンポもポイントが高いです。
惜しむらくはホイールですが、ここはのちのカスタムの楽しみとしましょう。