イタリアの老舗自転車ブランドビアンキは、現在もプロチームに機材を提供しています。
その一方でおしゃれな自転車というイメージがあり、街乗りのクロスバイクも日本で大人気です。
しかし、辛い評価も目立つので、何か受け入れられない理由もあると思われます。
そこで今回は、ビアンキのクロスバイクについて確認してみます。
ビアンキのクロスバイクは縮小傾向か
ビアンキのクロスバイクは2018年モデルになり、縮小傾向にあります。
2017年は3シリーズで9機種ラインナップされていましたが、2018年は2シリーズ6機種となっています。
内1機種は電動アシスト付きなので、ノーマル仕様は5機種になりました。
長年にわたって中心的存在であった【CAMALEONTE(カメレオンテ)】シリーズが、電動アシストを含む2機種に減少しました。
私の記憶している限りでは、新しいシリーズが出る度に高い評価を受けていましたので、縮小されたのは意外でした。
しかし、クロスバイクの世界はスピード化の波が大きくなっており、MTB寄りのカメレオンテはその波に飲み込まれてしまった形です。
一方の【ROMA(ローマ)】シリーズは、2018年も前年に引き続き4機種での展開です。
その内3機種にディスクブレーキが搭載されるなど、スペックのグレードアップがなされました。
明暗分かれる形となった両者ですが、カメレオンテの人気は相変わらずと聞いています。
評価が分かれるビアンキの象徴「チェレステ」
ビアンキの評価を良くも悪くもしているのが、象徴である「チェレステ」カラーです。
多くのボディカラーに採用し、別のカラーの車体には必ずどこかに挿し色として入るほどのこだわりぶりです。
昔のイタリアの王妃の瞳の色をモチーフにしたとも言われる、緑ががった青色です。
また、職人がその年のミラノの青空をイメージして色を調合しているともいわれ、毎年色が違うという話もあります。
定着度は世界に広がっており、日本でも街中でチェレステカラーのスポーツ自転車を見ると、ビアンキだなと思ってしまうほどです。
しかし、色は好みが分かれますので、チェレステはビアンキを選ぶ理由にもなれば、拒否する理由にもなります。
その典型的な例が、クロスバイク「ローマ」のチェレステカラーホイールです。
ホイールのリムがチェレステに塗られているわけですが、これに対して「やり過ぎ」「くどい」という否定的意見が多くなっています。
確かに派手で目立つ色ですので、こういった意見も理解できるところがあります。
ビアンキのクロスバイクの評価を落とした「重大事故」
ビアンキのクロスバイクの評価は、チェレステカラー以外にも性能とは直接関係のない部分で厳しくなったことがあります。
テレビのニュースにも取り上げられたので覚えている方もいるかもしれませんが、ビアンキは2008年に起きた事故で多額の賠償を支払っています。
その事故とは、ビアンキ名義のクロスバイクのフロントサスペンションが折れたため、ハンドルがすっぽ抜けて乗っていた男性が落車してしまったというものです。
男性はその際に顔面を強く地面に打ち付けられ、全身マヒが残る大けがを負いました。
このことでビアンキはかなりの痛手を負いましたが、金銭面以上に信頼を失ったということが大きかったのです。
事故を起こしたクロスバイクはビアンキの直接の製造ではなく、当時の代理店が企画・開発し、さらに別のメーカーが製造したものでした。
ビアンキはライセンス契約、いわゆる名義貸しの状態だったのです。
しかし、世間はそんな詳しい事情は知りませんので、ビアンキのクロスバイクが重大な事故を起こしたというイメージになってしまいました。
ただし、現在はその代理店との契約も終了していますし、別メーカーに依頼するOEMも信頼できる委託先と聞いていますので、安全性が劣るわけではありません。
ビアンキはクロスバイクにディスクブレーキ搭載のこだわりがある
様々な面が評価の対象になり、賛否両論があるのは人気メーカーである宿命とも言えますので、悪評を過剰に気にする必要はありません。
しかし、個人的に気になるのは、ビアンキがクロスバイクに対して、ディスクブレーキのこだわりを持っている点です。
ディスクブレーキは自動車にも採用されるほどの強い制動力と、天候や路面に左右されず常に安定した制動力を維持できるのがメリットです。
そのため、オフロードでしっかりと制動しながらコーナーを攻めていくMTBには、必要なブレーキです。
また、最近はロードバイクにも搭載されていますが、これはドロップハンドルですと強いブレーキを掛けづらいという理由があります。
さらに、パワーがある車体はスピードが出過ぎるので、強い制動力が必要です。
このようにディスクブレーキが搭載されている機種の用途や背景を考えると、クロスバイクには必要性を感じないんですね。
元々リムブレーキの中でも制動力が強めの「Vブレーキ」が標準装備ですから、それ以上の制動力が必要なのかが疑問です。
クロスバイクに必要なのはロード用コンポなのか?
ビアンキのクロスバイク「ローマ」シリーズの上位モデルには、ディスクブレーキが搭載されています。
クロスバイクにディスクブレーキの必要性は前項でお話した通りですが、これも様々な意見があります。
ローマの上位モデルは、クロスバイクとしては高額な部類になります。
これはディスクブレーキも一因ですが、ロードバイク用のフルコンポということもあります。
苦言ばかり呈するようで恐縮ですが、これに関してもオーバースペック感が否めないでしょう。
ロードバイクほどスポーツライクな走りが期待できないクロスバイクに、高性能のコンポは不必要かもしれません。
それならば、もう少しタイヤやホイールのグレードを上げた方が、よほどロードバイク並みの走りができるでしょう。
フルコンポでも価格が相応というのなら高く評価できますが、その分だけ高額になってしまってはもったいないです。
ビアンキのクロスバイクで評価が高いのは?
ビアンキのクロスバイクに対して、辛い評価ばかりご紹介しましたが、フレームに関しては評価が高いです。
ローマは全体的に飾り気がなさすぎるくらいのすっきり感ながら、剛性をしっかり確保する太いヘッドチューブがバランスの良さを感じます。
アルミフレーム特有のシャキッとした反応の良さも評価が高いので、おすすめしたい1台です。
しかし、上位モデルはここまでの話のようにおすすめできないので、残るは最廉価モデルの「ローマ4」になります。
フロント3速リア8速はクロスバイクとして十分ですし、Vブレーキも十分な制動力です。
個々のパーツを見ればどれも必要十分なもので、ローマのフレームの良さの邪魔になるようなことはありません。
そのため、私はローマシリーズなら「ローマ4」で十分満足していただけると確信しています。
これはカメレオンテシリーズの「カメレオンテ1」にも言えることで、オーバースペックになっていない点に好感が持てます
そのため、ビアンキのクロスバイクは、むしろエントリーグレードに妙味ありと考えて良い思います。
ビアンキのクロスバイクは良いフレームだからこそ辛い評価もする
今回はビアンキのクロスバイクを、個人的な意見も踏まえて評価させていただきました。
フレームはとても良いものですが、上位モデルにはオーバースペックが否めず、コスパに疑問が残ります。
その点でエントリーグレードがおすすめになってきますし、評価が高いのも事実なのでご一考ください。