ロードバイクなどのスポーツ自転車は、サイズ選びが非常に重要です。
そのサイズ選びの参考になるのが「適性身長」ですが、全メーカーが明示しているわけではありません。
また、極端に言えばA社のSサイズとB社のLサイズが同じくらいの大きさということもあるので、サイズ選びが余計に難しくなります。
イタリアの老舗ビアンキも適正身長を明示していませんので、どうやってサイズ選びをしたら良いのかを考えていきましょう。
ロードバイクのサイズは何を表すのか?
ロードバイクやクロスバイクは、フレームの大きさがサイズになっており、「40」などの数字や、S/M/Lなどで表されています。
ビアンキを例に取りますと、ホームページの製品説明にはサイズが47/50/53などと表記されています。
この数字の意味は、フレームの「シートチューブ」の長さであり、単位はcmです。
メーカによっては、別の箇所の寸法がサイズになっていることもありますが、おおむねシートチューブ長です。
単位はミリ表記のメーカーもあります。
シートチューブ長を含む、各チューブの寸法が記載されているのが、「ジオメトリ表」です。
自転車の設計図のようなもので、ここにサイズごとの適正身長が明示されていることもありますが、ビアンキは明示していません。
ビアンキのロードバイクにはサイズが5~7種ありますが、欧米のブランド全体の特徴として小さいサイズが少ないです。
意図的に小さいサイズを製造していたり、女性専用モデルを用意しているメーカーもありますが、全体的には大きめです。
ビアンキのロードバイクのサイズ選びは試乗がベスト
ロードバイクのサイズ選びで最も重要なのは、ジオメトリ表を読み解くことです。
そのため、ジオメトリ表がない、もしくは詳しくないロードバイクは購入しない方が賢明です。
今回は、ジオメトリ表の見方を説明していきますが、適正身長も含め机上のサイズ選びは、あくまでも大まかに当たりを付ける作業です。
実際には、店舗で色々と相談して、実機にまたがってから判断してください。
ネット通販全盛時代に「時代遅れ」と言われるかもしれませんが、ロードバイクは通販をしていないメーカーの方が圧倒的に多いです。
自分たちの伺い知れない所で製品がやり取りされれば、トラブル時のリスクは大きいですし、対応の遅れにもつながります。
何よりスポーツ自転車はブランドイメージが大切なので、信頼や信用を失うのは絶対に避けたいことです。
ビアンキは通販とは関係ありませんが、過去にブランドイメージを大きく傷つける事故がありましたので、なおさら販売体制には慎重になっています。
そのため、基本は対面販売なので、実店舗での購入になります。
ビアンキは適正身長が明示されていない!ならばどこを見るのか?
ではここから、ロードバイクのジオメトリ表の見方を説明していきます。
ジオメトリ表でまず見ていただきたいのは、「トップチューブ」の長さです。
トップチューブはフレーム上端の横に伸びているチューブのことで、ハンドルとサドルの大まかな距離を示す指針になります。
現在のロードバイクはトップチューブがサドルに向かって下がっている、「スローピングスタイル」が主流です。
しかし、スローピングですとチューブの長さを測っても、ハンドルとサドルの距離よりは短くなってしまいます。
そのため、トップチューブが地面と水平に付いていると仮定した寸法である、「水平換算」の長さが記載されています。
「ホリゾンタル換算トップチューブ長」と、記載されている場合もあります。
ここが長いとサドルがハンドルから遠い位置に付いていることになるので、乗車したときに前傾が強くなります。
逆に短いと上体が起きてきますので、楽な姿勢になりますし、呼吸がしやすくなって長時間の走行にも対応出来ます。
この長さから適正身長が割り出せれば、ビアンキのように明示されていないメーカーであっても、理想的なサイズに近付けるはずです。
トップチューブ長から適正身長を割り出す
前項では、ジオメトリ表の再注目ポイントとしてトップチューブ長を上げました。
ここから適正身長を割り出していきますが、ここはネットの力を借りたいと思います。
私が以前から参考にしている、トップチューブ長から適正身長を割り出している表があります。
現在所持しているロードバイクもこれで適応しましたし、知人何人かもこれでほぼ大丈夫でしたので多くの人に適合すると考えられます。
その表をビアンキのロードバイクのジオメトリ表と照らし合わせて、適正身長を割り出していきます。
対象とするバイクは、アルミフレームのミドルグレード【IMPULSO(インプルソ)】です。
カーボンフレームに負けない美しい造形美がセールスポイントで、衝撃吸収性が高く、楽な姿勢で乗れるエンデュランスモデルです。
サイズは440(mm)~570までの6種類あり、トップチューブの長さは最大で50mmの差があります。
ビアンキのロードバイクのトップチューブ長と適正身長を照合する
それではビアンキのロードバイク「インプルソ」のトップチューブと、適正身長の表を照らし合わせて表示してみます。(TT=トップチューブ)
サイズ TT長(mm) 適正身長(cm)
440 510 160±5
460 520 165±5
500 525 167.5±5
530 535 172.5±5
550 550 180±5
570 560 185±5
あくまでも目安ですが、これでイメージは付きます。
まず気になるのは、やはり小柄な人には厳しい設定ということです。
日本人女性の平均身長は154cm(2017年)ですから、女性に合うサイズもない可能性が出てきます。
もちろん目安なので、フィッテイング次第では適応の可能性がありますから、あきらめないでください。
また、同じ適正身長が、何サイズかにまたがっていることが分かります。
例えば、170cmジャストの身長の人であれば、460/500/530の3サイズが対象になっています。
トップチューブ長の差は、460サイズと530サイズで15mmあります。
15mm=1.5cmですから大した差ではないように思いますが、実際に乗ってみると大きな差であることが分かります。
こういったこともあるので机上だけでは決められず、実際にまたがってみて試すしかありません。
適正身長が複数のサイズにまたがっている場合は?
前項で紹介した表を参考にサイズの当たりを付けますが、適正身長が何サイズかある場合は、小さい方を選択する方が乗りやすいと言えます。
ロードバイクのハンドルの、取り付け位置を決める要素のひとつに「ステム」があります。
ハンドルをフレームに支持するパーツですが、突き出しの長さが様々なので、それによっても乗車ポジションが変わります。
完成車の場合はステムの突き出し長が決まっていて、ビアンキのインプルソでは460サイズが70mm、530サイズで90mmです。
20mmということは、先ほどお話したトップチューブの差よりも大きいことになるので重要なのがお分かりいただけると思います。
いわゆる、トップチューブとステムを合わせれば最大で35mmの差があり、さすがにこうなると適正身長だけでは解決しない話です。
最初に大きめのサイズを選んで、後からステムの長さで距離を詰めて調整する場合は、短いステムを使用することになります。
しかし、ステムが短くなるとハンドルの反応が鋭くなりすぎて、段差などではその都度ハンドルが持っていかれる感覚になります。
細かいハンドリングが必要な場合には操作がしづらくなるので、できればステムは少しゆったりめの方が良いです。
そのため、後々のことまで考えると、小さい方のサイズを選んでおいた方が調整がしやすいことになります。
ロードバイクのサイズ選びは何よりフィッテイングが重要
今回は、ロードバイクのサイズ選びを考えてみました。
ジオメトリ表のトップチューブ長から目安の適正身長を割り出して、当たりを付けてから試乗するという流れがベストかと思います。
特に最初の1台は細かいところまでフィッテイングした方が良いので、できれば専門店、または親身に相談に乗ってくれる店舗で購入したいものです。