自転車に乗っている時に、チェーンからカタカタ音がすることや、頻繁にチェーンが外れることはありませんか?
そういったトラブルの場合はチェーンが伸びて、全体的にたるみが出ているのかもしれませんので、事故が起こる前に早めに対処したいものです。
そこで今回は自転車のチェーンのたるみの原因や修復方法についてお話ししていきます。
自転車のチェーンにたるみが出る仕組み
自転車にとってチェーンは地面に接しているタイヤと並ぶほど消耗度が激しい部分であり、清掃や注油などのメンテナンスが叫ばれるのも当然のことです。
どんな自転車でも走行中は必ずチェーンが動いていますので、ギアの歯車とこすれます。
そして、変速機が付いていれば、歯車の間を横に、斜めに動きますので消耗は激しくなるばかりです。
チェーンは回転するローラーの部分を内側のプレートで左右から挟み込み、外側からもプレートでピン留めする仕組みになっています。
そういった構造の物が100組以上繋がってできているわけですが、上記のようなこすれにより、ピン留めをしている周りが摩耗してすき間ができてしまいます。
すき間ができるとチェーンの1コマずつが横にズレていき、長く伸びたように見えるので、この現象をチェーンの場合は「伸び」と呼びます。
例えば1コマで0.1mm伸びが発生したとすれば、0.1(mm)×100=10(mm)、1cmもズレてしまいます。
さすがに全体で1cmもズレてしまえばたるみが出て、普段は当たらないチェーンガードなどに接触しますし、チェーンが外れてしまうこともあります。
外装式変速機は自動的にチェーンのたるみが調整される
前項ではチェーンにたるみが出る仕組みをご説明しましたが、チェーンのたるみはトラブルに繋がりますので、当然ながら調整して修復しなければなりません。
ただし、チェーンのたるみを自力で修復しなければならないのは、変速機が付いていない自転車と、内装式変速機の場合になります。
ロードバイクやMTBなどのスポーツバイクでは、後輪にギアが複数枚、外に露出する形で取り付けられている外装式変速機が主流になります。
外装式はギアにチェーンを掛け替えることで変速を行いますが、掛け替えを行う機械を「ディレイラー」といいます。
チェーンは大きなギアに必要な長さに合わせられているので、小さいギアに入れた時にはチェーンが余ってしまい、そのままではたるみが出てしまいます。
それではギアチェンジがスムーズに行えませんので、ディレイラーにはたるみが出ないようにチェーンを引っ張る機能が付いています。
そのため、ディレーラー付きの自転車は、チェーンのテンションが常に一定に保たれているはずですので、自力での調整は必要がないことになります。
しかし、変速機がないものや、内装式変速の場合はディレイラーがありませんので、たるみがある場合は自力で引っ張らなければなりません。
自転車のチェーンのたるみの修復はチェーン引きの機能を使う
ここでは、自力で自転車チェーンのたるみを修復する方法をご紹介します。
チェーンのたるみですが、どこかに接触しているなどしていれば分かりやすいですが、そういったことがなくても、長年使用していれば発生している可能性はあります。
見えている部分を指で上下に揺らしてみて、2cm以上動くようであればたるみが出ている可能性がありますので参考にしてください。
ママチャリなどには後輪に「チェーン引き」という機能があって、後輪を移動させることでチェーンを後ろに引っ張り、たるみを修正する仕組みです。
チェーン引きは左右に2ヵ所付いている自転車もあれば、片側の場合もあります。
両側に付いていれば左右の間隔を見ながら調整できるので目安があって分かりやすいのですが、片側だけですと調整が難しいので自転車屋さんにお願いする方がよいかもしれません。
工賃ですが、チェーン引きであれば500円前後のところが多いと聞いています。
自転車のチェーンのたるみ修復方法
それでは自転車のチェーンのたるみの修復作業をご説明します。
必要な工具は10mmと15mmのレンチ、プラスドライバーで、作業は車輪やブレーキを固定しているねじやボルトを緩め、チェーン引きのナットを締めていくことになります。
まずブレーキを固定しているねじをプラスドライバーで緩め、ナットを10mmのレンチで緩めます。
この時には少し移動できればよいだけですので、外す必要はありません。
次に車軸を固定している真ん中のナットを15mmのレンチで左右両方とも緩めますが、ここも外してはいけません。
あとは車軸よりも少し奥にあるチェーン引きのナットを調整していきますが、後輪を後ろに引っ張るにはナットを締める必要がありますので、10mmのレンチで時計回りに回します。
チェーンの張り具合を見ながら、タイヤとの間隔が左右均等になるように交互に調整していき、チェーンが上下に1cmほどしか動かなくなったらOKです。
あとは緩めたボルトを締め直して、調整は終了です。
自転車のチェーンはメンテナンスで摩耗を防ぐ!
前項でお伝えした自転車のチェーンのたるみの修復ですが、作業自体は難しくないとは思うのですが、決して頻繁に行いたい作業ではないですね。
チェーンの伸びはお伝えしたように摩耗によって起こりますので、清掃や注油などのメンテナンスをして極力摩耗させないということも必要です。
真っ黒になったチェーンをよく見かけますが、あれはチェーンの元の色ではなく、油に汚れがまとわりついてドロドロになっているのです。
その状態で走っていれば、大切な衣服を汚してしまうこともあるでしょうし、そうなればほぼ潤滑効果もないのでさらに摩耗が進みます。
また、付着している汚れはギアとのこすれで発生した金属のカスや、砂利などの硬いものもありますので、そのままの状態で注油しても十分な潤滑効果は望めません。
そのため、定期的にチェーンを清掃して注油することが必要になり、それがチェーンやギアの摩耗を防ぐことになりますので、伸びを遅らせることもできるわけです。
自転車のチェーンは消耗のサイクルが早いと心得る!
ここまでお伝えしているように、ディレイラーが付いていない自転車であれば、チェーン引きを行えばたるみが取れる可能性が大きいです。
しかし、ディレイラーが調整を自動で行ってくれる外装式変速では、チェーンのたるみが目立ってきた時点で、放置できないほど伸びてきた可能性があるため、寿命が来たと考える必要があります。
実際に触ってみて大きく上下に動いてしまう場合は、変速がスムーズにいかないですし、チェーン落ちが連続してもおかしくないくらいの状況です。
また、チェーンが伸びてきますと、今までにはなかったような擦れ音や、振動が起こる場合がありますので、そういった場合も確認してみる必要があります。
そして、チェーンは金属製なので自然に劣化をしていきますし、サビもありますから、いずれは交換が必要になります。
交換の頻度は走行距離や保管状況などにもよりますが、非常に細いチェーンを使用しているロードバイクなどは1年に1回などとも言われていますので、割と消耗のサイクルが早いと考えておくべきでしょう。
チェーンのたるみを放置してはいけない!
自転車のチェーンのたるみは「伸び」が原因であり、異音や揺れ、そしてチェーン落ちなどのトラブルに繋がってしまいます。
特にディレイラーがついていない自転車は自力で修復しなければならず、後輪を移動させてチェーンを後ろに引く作業を行います。
また、ディレイラー付きの外装式変速機にもかかわらず、チェーンにたるみが出るというのは末期症状である可能性が高いので、交換も視野に入れてください。