たまに自転車屋さんに行くと、「チェーンが伸びちゃってるね、引いておくよ」なんて言われたこと、ありませんか?
でも、スポーツ自転車に乗っている人でチェーンテンションのことを気にする人は少ないはずです。
今回は、そんなチェーンのテンション調整についてお話したいと思います。
自転車のチェーンが伸びる?
そもそもチェーンが「伸びる」とは、どういうことでしょうか。
金属製のものが、伸縮したりするものでしょうか。
金属は簡単には伸縮しません…したがってチェーンが伸びるというのは、金属自体が長くなるのではなく、チェーンとチェーンを繋いでいる穴が大きくなって、間が広がっていくことなんです。
そうなるとチェーンが長くなって、たるんでくるので、引き直す必要があるんですね。
ホイールを後ろに引っ張るのですが、工具も要りますし、ちゃんとした方法で行わなければならないので、自転車屋さんに頼むのが良いです。
顔なじみなら無料でやってくれるかもしれませんし、高くても500円くらいだと思います。
しかし、ママチャリなどはチェーンのテンションを気にすることもありますが、スポーツ自転車ではほとんど気にしなくて済みます。
また、ギアがひとつしかない「シングルスピード」もチェーンテンションに気を付けなくてはいけないのですが、なぜなのか次項で詳しくお話します。
自転車チェーンのテンション調整は変速機がカギ!
自転車の構造を思い出していただきたいのですが、チェーンはクランク部分の歯車と後輪の歯車に掛かっています。
この歯車は変速のためのギアですが、これを変速させる仕組みによって、チェーンテンションを自力で調整しなくてはならないかどうかが決まります。
ママチャリなどのシティサイクルは内装型といって、ギアが内部に密封されています。
一方、スポーツ自転車は外装型で、ギアが外に露出しています。
この露出したギアに掛かっているチェーンを、ディレイラーと呼ばれる変速機で掛け替えていくことで変速します。
そして、この外装型変速のディレイラーは、変速という主目的の他にチェーンテンションを調整してくれる機能もあるのです。
ギアには小さい歯車から大きい歯車まであるので、小さいギアに入れたときは当然チェーンが余りますから、それをバネで引っ張って、余らせないようにしています。
そのため、いつも適正なテンションを保ってくれるので、手動で引っ張る必要が無いのです。
一方、内装型変速はディレイラーが付いていないので、手動で引っ張らなければなりません。
同様に、変速しないシングルスピード車も、もちろんディレイラーが無いので、自力で行う必要があります。
テンション調整の必要ない外装変速のデメリット
自転車の構造の違いによって、チェーンテンションの調整の有無が決まることが分かったかと思います。
「だったら調整しやすいように全部外装型にしてしまえば良い」と思う方もいらっしゃると思います。
非常にごもっともなのですが、外装型変速には弱点があります。
まず、外装変速機は「トラブルメーカー」なんて呼ばれるほど、故障や細かいメンテナンスが必要になります。
また、外からの衝撃に弱いです。
ママチャリなどは駐輪場で、よく将棋倒しになったりしていますが、それで変速関係がおかしくなったと言う話はあまり聞きません。
乗っている人や用途を考えると、ママチャリに細かいメンテナンスが必要な部品や、倒れたときにいちいち壊れるようなパーツは合ってませんよね。
ママチャリは大したメンテナンスをしなくても長い期間走れるくらいに、丈夫でシンプルでなければいけないですからね。
対照的にスポーツ自転車は、1ヶ月に1回の点検を勧めているショップもあるくらいなので、もはや別の乗り物という認識が正しいかもしれません。
自転車チェーンのテンション調整の話~チェーンの寿命は?
チェーンは消耗品なので、いつかは寿命がきます。
それはママチャリであろうと、スポーツ自転車であろうと変わりません。
先ほどからお伝えしているように、ママチャリなどは何回かチェーンテンションの調整でホイールを引っ張っている内に、自転車屋さんから交換を勧められるときが来ると思うので、それに従えば良いでしょう。
しかし、ディレイラーが常にテンションを調整してくれるスポーツ自転車はついつい忘れがちなので、走行距離によって定期的に交換することをおすすめします。
チェーンの質によって違うとは言え、ロードバイクなどでは5,000㎞走ったら交換を推奨しているショップが多いようです。
また「チェーンチェッカー」という適正な長さを測る道具があるので、ガンガン走り倒しているような人は使用してみるのも良いですね。
さらには、交換時に質の高いチェーンにするというのも長持ちさせるひとつの手段です。
どんなチェーンにしようか迷ったら、無難にシマノにしておきましょう。
自転車チェーンのテンション調整以外に注意したいこと
自転車のチェーンテンションを注意することはもちろん大切ですが、メンテナンスで長持ちさせることも可能です。
チェーンのメンテナンスと言えば、何と言っても「注油」です。
チェーンは歯車との摩擦によって削れてしまい劣化しますので、摩擦を減らすために注油します。
定期的に注油してあげれば、寿命も相当変わってきますから、必ず行ってください。
その際は必ずチェーン専用を使い、間違ってもグリスなどの固い潤滑油は使ってはいけません。
チェーンにホコリや異物が付着して、ヤスリのようになりますので、余計に削ってしまうことになります。
また、乗り方に注意することで、チェーンを長持ちさせることもできます。
チェーンに大きな負荷が掛かれば、それだけ摩耗して削れてしまいます。
急加速をせず、徐々にスピードを上げるようにしたり、立ち漕ぎを避けることでチェーンの摩耗を防ぐこともできます。
チェーンのことを考えて、乗り方まで変えるのは中々難しいことですが、こんな風に考えてみると自転車に対する接し方が変わってくるのではないかと思います。
チェーンが落ちてしまうこともある
さて、チェーンのテンション調整とは直接関係ないかもしれませんが、多段式の自転車の場合は、チェーンが脱落してしまうトラブルがあります。
チェーンが落ちても、外装変速ならギアがむき出しになっていて、簡単にはめ直すことができるので、故障ではないのですが。
然るべきギアに合わせてチェーンを掛け直し、クランクをゆっくりと「正転」させれば大抵は、はまります。
テンションが掛かり過ぎている場合は、ディレイラーのテンションプーリーを軽く押せば少し緩むので、チェーンが掛けやすくなります。
これが先ほどから話しているディレイラーの持つテンション調整機能なので、外れていなくても一度やっておくと勉強になって良いかもしれません。
さて、チェーンが脱落してしまう原因ですが、主にはディレイラーの故障とチェーンの伸びですね。
普段から乗っている感覚で変速が遅いとか、かっちりと決まらなくなったと感じたら確認するのが良いと思います。
チェーンが脱落したまま、少しでもクランクを回すと、フレームが傷付く可能性大なので、くれぐれも注意してください。
チェーンは消耗品です
チェーンのテンション調整を手動で行うかどうかは、自転車の種類によって違いますが、摩耗して劣化していくことは避けられません。
伸びきったチェーンはなるべく早く交換するべきであり、また交換すると走りが大きく変わり、効果を実感できるので楽しくなると思います。