皆さんは自転車の防犯登録が義務化されていることをご存知でしょうか?
登録しなくても罰則が無いため今のところは努力義務ですが、法律で登録しなければならないと定められているのは事実です。
また義務うんぬんを考えるだけではなく、防犯登録には明確なメリットがありますので、これを機にぜひあり方を再確認していただきたく、今回は防犯登録についてお話しします。
自転車の防犯登録の流れ
冒頭でもお伝えしたように自転車の防犯登録は義務化されていますので、まずは再確認の意味も込めて登録の流れからご説明します。
防犯登録は自転車屋やホームセンターなどの販売店が登録所になっているため、自転車を購入する際に行うことになるのが一般的です。
自転車にはシリアルナンバーのような固有の「車台番号」が振り分けられており、その車台番号と自転車の特徴、所有者の住所、氏名などを記載した登録用紙が自治体の各管理団体に送られます。
所有者にはその控えと防犯登録の番号が印刷されたステッカーが交付されますが、現在は義務化されていることもあり、自転車の任意の場所に販売店がステッカーを貼り付けてくれることが多いと聞いています。
この情報は各団体がデータベース化した後に警察に送られ、一定期間保管をされます。
これにより万が一盗難などがあった場合に防犯登録番号を記載した被害届を提出すれば、所有者の特定ができるため、発見、返還の可能性が高まりますし、ステッカーがはがされていたとしても車台番号から割り出すことも可能になります。
なお防犯登録は有料であり自治体によって金額が違いますが、おおむね400円~600円の範囲になります。
自転車の防犯登録には「防犯」効果があるのか?
自転車の防犯登録の流れは前項でお伝えした通りですが、その目的は多岐に渡ります。
本来は盗難防止を目的としていますが、これは犯人側に防犯登録によって盗難後に追跡されやすくなる、いわゆる「足が付く」可能性を感じさせる抑止力があるかと思います。
前項でお伝えしたようにステッカーをはがしても車台番号がありますので、防犯登録のデータが残っていれば、例えば中古買取店やオークションに出した場合に盗難が発覚する可能性があるわけです。
また盗難した自転車に防犯登録がされている場合、もし犯人が新たに防犯登録をしようとしても同じ車台番号で2つの防犯登録はあり得ないため行うことができませんので、そもそも転売などは難しくなります。
こういったことが世間に広まっていくことで、盗難の抑止力になるという考え方があります。
ただし、この制度はどちらかというと本来の防犯目的よりも、盗難後に警察が車両の特定や捜索、所有者への返還をスムーズに行うためという見方をされています。
自転車の防犯登録が有意義とされる理由
自転車の防犯登録が義務化されて約25年経ちますが、自転車盗難は依然として窃盗の中でもダントツに件数が多く、防犯登録に防犯の効果は無いとまでする意見もあります。
しかし様々な事例や筆者個人の体験も踏まえると、防犯登録の意味は大きいと言えます。
自転車の盗難事件が多いということは、日々どこかで捜索が行われている可能性があるわけで、その一環として職務質問が多く行われています。
特に防犯登録のステッカーが貼られていない自転車はその対象になりやすく、自分の自転車だとしても盗難届が出ているものかどうかの照合が行われるため、長時間引き留められるような事例もあります。
また筆者は以前地元で購入した自転車を転勤先の違う都道府県で乗っていたところ、それまで地元では職務質問など受けたけたことが無かったのですが、1か月に2度も受けることになりました。
違う都道府県で防犯登録をした自転車を乗っていても何ら問題は無いのですが、それだけ防犯登録を元にして捜索が行われている証ということなので、発見に至る可能性は防犯登録をしていないよりは高いはずです。
そして防犯登録がされていない自転車が盗難され、もし放置された状態で発見されたとしても、所有者が特定できませんので連絡が来ません。
こういったことを考えますと、防犯登録をする意味は十分にあると言えるのではないでしょうか。
防犯登録のやり方
自転車の防犯登録は所有者の義務であり、自転車販売者の義務ではないため、購入時に必ず行われているかどうかは保証できないところがあります。
また、最近はインターネット通販などで自転車を購入する方も増えていますが、購入すると同時に防犯登録も受け付けているサイトなら問題ありませんが、上記のように販売店の義務ではないため防犯登録を受け付けていないサイトもあります。
そのため今一度ご自分の自転車が防犯登録をされているのかを確認し、されていない場合は購入から年月が経っていても行うことができますので、行うようにしてください。
防犯登録は「自転車防犯登録所」に指定されているお店であれば受け付けてくれますが、中には自分の店で購入した自転車しか受け付けてくれないところもありますので事前に確認をしてください。
なお、ホームセンターや大手サイクルチェーンは、比較的どんな状況でも受け付けてくれるところが多いと聞いています。
登録に必要なものは以下の通りですので、揃えて登録所に持っていきましょう。
●身分証明書(免許証や健康保険証)
●自転車の保証書、販売証明書など、販売店名や製品名、車台番号の記載があるもの
●登録料
●登録する自転車本体
新規以外に自転車の防犯登録を行うケース
自転車の購入は新車だけとは限らず、ネットオークションや知人から譲り受ける場合もあります。
防犯登録は所有者を特定する目的があるため、所有者が変わる場合は防犯登録をやり直す必要があります。
その場合にはまず譲渡する側に防犯登録の抹消をしてもらった上で、新たに自分が登録を行うことになります。
その際に必要なのは前登録者の登録用紙の控え(登録カード)ですが、無い場合は「譲渡証明書」に双方の氏名、連絡先を記載し捺印したものでも代用できます。
あとは前項でお伝えした方法にしたがって新規登録を行ってください。
また引っ越しなどで住所が変わる場合も、住所変更の手続きをしておくほうが何かと利便性はあります。
同じ都道府県内に引っ越すのであれば住所変更手続きのみで済みますが、新規と違い必ずしも防犯登録所でできるとは限らず、自治体によっては警察署や交番で手続きをしなくてはならないところもあるので、ホームページなどで確認してください。
また他の都道府県に引っ越す場合も住所変更のみでも有効ですが、先ほどの筆者の職務質問の例もそうですし、データの管理が都道府県ごとの管轄になっているため、何かあった際の照合や連絡に時間が掛かる可能性があります。
そのため自転車を乗る都道府県が変わる場合は、旧住所での登録を一度抹消し、新たに登録をやり直し、新しいステッカーを自転車に貼ることが推奨されています。
自転車が盗難にあったらあきらめずに被害届を出す!
先ほども触れましたが、防犯登録に実際の防犯効果がどのくらいあるのかは判断が微妙ですし、登録している自転車が盗難後に必ず見つかる保証はありません。
しかも義務とは言え罰則のない努力義務のため、全ての自転車が登録されているわけではない現状もあります。
しかし所有者を特定するというシステムはしっかりと機能しているため、登録していない自転車に比べれば発見され、自分の手元に戻る可能性が高いのもまた事実です。
そのため自転車を万が一にも盗難された場合はあきらめずに盗難届を出すのが賢明です。
実際に盗難された場所から100キロ以上離れた場所で見つかった自転車が、防犯登録していたおかげで所有者と連絡がつき手元に戻ったという例もあります。
また筆者が職務質問された際ですが、かなり詳しく質問され、照合もされたため、相当時間が掛かった覚えがあります。
筆者は住所変更をしていなかっただけですが、これが防犯登録をしていない自転車であると盗難車である疑いが掛けられることにもなりますので、さらに面倒なことになるのは明白です。
そのため義務うんぬんと言う前に、自分にとって有益になる可能性があることを理解して防犯登録を行ってください。
自転車の防犯登録を行う意味は大きい!
自転車の防犯登録は本来の目的である盗難防止に加え、所有者を特定しやすくすることで、盗難や放置された自転車を発見、所有者にスムーズに返還するという目的があります。
固有の車台番号は容易に消せるものではないため、現状の連絡先などがしっかり登録されていれば転売やオークションに掛けられにくいこともあります。
自転車はカギをかけていても盗難される可能性があるため、少しでも発見されて手元に戻る可能性がアップするのであれば防犯登録をする意味も大きいでしょう。