一般自転車からの乗り換えにロードバイクという選択もある!

自転車の中で最もスピードが出せるのがロードバイクであり、「人力最速の乗り物」という言われ方をすることもあります。

元々はロードレースの機材として開発された物ですが、現在は市民権も得て多くのアマチュアサイクリストが趣味に通勤にと利用するようになっています。

今回はそんなロードバイクの基礎知識を確認しながら、選び方を考えていきます。

ロードバイクが一般的な自転車と一線を画す部分

ママチャリに代表されるシティサイクルに比べ、ロードバイクは同じ自転車とは思えないような異質とも言える特徴がいくつかありますので、まずはそこからお伝えします。

●高額

自転車というと1万~2万円程度で購入できると考えている方も多いかと思いますが、ロードバイクは安価な機種でも10万円前後になります。

しかもそれは入門モデルであり、売れ筋になってくるのはもっと上の価格帯になりますし、プロがレースで使用するのも基本的には市場に並んでいるモデルでなくてはならないため、100万円を超えるようなものも珍しくありません。

●軽い

一般的なママチャリは15~20kgくらいの重量がありますが、ロードバイクは重くても10kg前後で、軽量が売りのような機種では6kg、7kgのものも珍しくありません。

初めてロードバイクに乗った方が皆口を揃えたかのように言うのは、とにかくペダルを漕ぐ感覚が軽いということです。

●装備品がほとんど付いていない

ロードバイクは極端に言うと、前に進むための機構とブレーキ、車輪にハンドルとサドルしか付いていません。

ママチャリでは当たり前のように装備されているかごやスタンド、泥除けなどはもちろん、法律で装備が義務付けられているベルやライト、防犯上必須と思われるカギも付いていません。

そのため本体の価格に加え、装備品の購入費用も考えて予算を組む必要があります。

一般自転車と比べロードバイクが特異性を持つ部分

前項に引き続きロードバイクの特徴をお伝えします。

●ハンドルの形が独特

ロードバイクが一般的な自転車との比較で、見た目に分かる特異性の最たるものとも言えるのが「ドロップハンドル」です。

水平部分から一旦前に突き出て、そこからさらに下に大きく湾曲するという独特の形ですが、これがロードバイクにとっては最も効率的で走りに適合した形になります。

簡単に言いますと前傾姿勢を取れるので空気抵抗が減ってスピードが上がりますし、持ち手が複数あることで乗車姿勢を色々と変えることができるため、長距離を走っても疲労が分散されて疲れにくくなります。

●前傾姿勢

ドロップハンドルによるものもそうですが、フレームの形状、サドルとハンドルの位置関係などにより、基本的には前傾姿勢で乗ることになります。

ママチャリなどは車上で安定感を求めるために後ろ体重になっていますので、ロードバイク初心者はまず前傾姿勢に慣れることが第一関門と言えます。

●タイヤが細い

ロードバイクは高速で走るために極力抵抗を減らさなければなりませんのでタイヤもとても細く、2.3cm~2.8cmくらいしかありません。

細いためにパンクしやすいというイメージがあるかもしれませんが、細いタイヤは高圧で空気を入れるためにタイヤに張りが出るため、適正空気圧を守っていれば地面からの衝撃でパンクしてしまうようなことは少ないです。

ロードバイク選びの第一歩は?

ここからはここまでお伝えした特徴も踏まえながら、ロードバイクの選び方についてお伝えします。

まずは購入資金が前提になりますので価格のお話からになりますが、ロードバイクの価格はフレーム(本体)の素材とパーツのグレードによって決まります。

一般的な自転車では本体とパーツを分けて考えることはありませんが、ロードバイクはフレーム単体でも販売をしていますし、パーツは多くのメーカーがあるように1つのビジネスとして成立していますので、分けて考えることも大切です。

ただしパーツはほぼ全ての物が交換可能であり、カスタムをしながら期間を掛けて自分なりの1台に仕上げていくのがロードバイクの醍醐味の1つであるため、最初からグレードにこだわる必要はありません。

そのため、初心者が最初に考えるべきはフレーム(本体)の素材にであり、それを予算とすり合わせていく必要があります。

ロードバイクのフレーム素材

前項でお伝えしたように、ロードバイクはまずフレームの素材に注目するところから選択が始まりますので、ここでは主使用されている素材をご紹介します。

●アルミ

ママチャリなどの一般的な自転車では高級なものに使用されますが、ロードバイクでは初心者向けのエントリーモデルや、プロ選手が乗る最高グレードの廉価版などにも使用されます。

丈夫で耐久性があって、メンテナンス性も高いので初心者でも扱いやすいですし、しゃきっとした自転車らしい乗り心地でもありますので、慣れるのも早いでしょう。

またアルミフレームは安い価格帯に集中していますので、最初のスポーツサイクルで少なからず半信半疑の状況では手が出しやすいということもあり、初心者には適した素材と言えます。

●カーボン

アルミなどの金属とは違い、繊維であるカーボンは何と言っても軽いのが最大の特徴であり、高速走行に向いています。

また衝撃吸収性が高いので振動や衝撃が乗り手の体に伝わりにくく、長距離を走っても疲れが出にくいため、プロのロードレーサーが使用するのはほぼカーボン一択です。

ただし、カーボンフレームのロードバイクは高額であり、最低でも20万円前後はしますし、ある程度のグレードになってくると30万~50万円になってきます。

●クロモリ

鉄をベースに鋼が合成された合金で、カーボンやアルミよりも随分と以前からロードレースに使用されてきた素材です。

衝撃吸収性やクッション性があって、アルミやカーボンにはない独特の乗り心地ですから、アルミやカーボンを経験して一周回ってクロモリにたどり着くというイメージであり、玄人向けの素材ではあります。

また鉄がベースなので重いですし、価格もカーボンよりも安いとは言え、アルミフレームよりは少し高いので、初心者にはおすすめできない部分もあります。

ロードバイク購入と同時に必要な装備品

さてロードバイクのフレーム素材が決まればあとは予算とのすり合わせですが、冒頭の項でもお伝えしたように装備品がほとんど付いていませんので、予算を組む段階で何を付けるか考えておかなくてはなりません。

以下に必要となる装備品をまとめておきますので、参考にしてください。

●ライト

ヘッドライトは夜間や見通しの悪い場所での点灯が法律で義務付けられていますし、ロードバイクは反射板が付いていないので尾灯も必要になります。

●ベル

自転車は軽車両であり、標識がある場所では警報を鳴らす必要がありますので、ベルも必須です。

●カギ

ママチャリのような簡易的なものではなく、ワイヤーやチェーンロック、U字ロックなどが必要で、それも複数用意して二重、三重ロックをする必要があります。

●泥除け

必須ではありませんが、通勤や通学などで天候や路面状況にかかわらず乗るのであれば付けておいたほうがよいです。

泥除けの付いていないロードバイクで雨の日や濡れた路面の上を走って自宅に戻り、服を脱いだときに背中にびっしり泥汚れが付着していて初めて泥よけの恩恵に気づくというのが、ロードバイクあるあるの1つです。

●スタンド

ひたすら走ってどこにも寄り道せずに自宅と目的地を往復するような乗り方なら停車しないため不要ですが、そんな乗り方は中々できませんので、あったほうが賢明です。

●ヘルメット

自転車に着用の義務はありませんが、自転車での死亡事故の原因の多くが頭部の損傷であることを考えると、かぶっておくのに越したことはありません。

●空気入れ

ロードバイクはタイヤの中の空気量が少なく抜けてしまうとすぐに空気圧が低下しますので、最低でも1週間に1回程度は空気を入れなければなりません。

そのため最初から専用の(仏式バルブ用)空気入れを購入しておく必要があります。

なお装備品の費用ですが、ピンキリとは言え総額で2~3万円は見込んでおいたほうがよいでしょう。

ロードバイクを扱う主要自転車メーカー

ロードバイクは世界中の自転車メーカーが扱っており、それこそ星の数ほどありますので、やみくもに探すのでは中々自分に合う1台にたどり着くのは難しいです。

そこでご提案したいのは、ある程度メーカーを絞り込み、その中でカタログやホームぺージを見て機種を選ぶという方法です。

そのため、最後になりますがロードバイクを扱うメーカーの中で、特に初心者におすすめのモデルが充実しているメーカーをご紹介します。

《GIANT(ジャイアント)》

台湾に本拠を構える世界最大の自転車メーカーであり、ロードバイクでは現在の主流のフレーム形状「スローピングスタイル」を開発したメーカーでもあります。

普及率が高すぎて人とかぶってしまう可能性はありますが、安定感は抜群であり外せないメーカーの1つです。

《MERIDA(メリダ)》

ジャイアントに次ぐ台湾第2位のメーカーで、特にフレームの加工技術においては世界トップクラスの評価を得ています。

長い間マウンテンバイク中心の販売体制であったためロードバイクは後発ですが、世界のロードレースでも注目を浴びるようになり飛躍的な伸びを見せているところですので、1番旬なメーカーと言っても良いでしょう。

《Specialized (スペシャライズド)》

アメリカを代表するレーシングメーカーであり、世界のロードレースを舞台にいくつもの輝かしい実績を残しています。

また女性モデルに力を入れていることでも有名であり、専門店にも多くの女性スタッフが在籍していますので、女性は筆頭候補として視野に入れてみてください。

《Bianchi(ビアンキ)》

イタリアの自転車メーカーで、明るい水色の「チェレステカラー」がシンボルです。

現存する世界最古の自転車メーカーであるためその実績も申し分なく、常に革新を求めるメーカーでもありますので古臭さはありません。

事前にある程度の情報を入れてからお店に出向く!

ロードバイクは自転車の中でもかなり特異性がありますので、最初に選ぶ際には考えることや注意点が多く、悩むこともあるかと思います。

そのため、まずはメーカーから決めていき、機種を大まかに選択したら、ロードバイクはほとんどのメーカーが対面販売を基本としていますので、お店に行って相談してみることです。

しかし、何も知識がない状態でお店に行くよりは、自分の意志が反映される程度の情報は持っておくほうが納得のいく買い物ができるはずです。