【予算別】プロが教える!ロードバイクのおすすめメーカー

こんにちは、じてんしゃライターふくだです。

「ロードバイクが欲しいんだけど、おすすめってありますか?」
非常によくある質問ですね。

ただ、ひと口におすすめと言われても、正直困ってしまうんですね。
初心者でも耳にしたことのあるほどの大メーカーの車体というのは、それなりに考えて作られていますから、どれも長所はあります。

ただ、「どういう点を重視したいの?」と聞き返しても、「それが分かれば質問しないよ」と。
実にその通りですね。

特性、長所が分かるほど詳しければ、そんな質問しませんものね。

そこで、今回は初心者でも誰でも買うときの基準として分かりやすい、値段別という形でおすすめのロードバイクを考えてみようと思います。

初心者向けロードバイクはいくらぐらいがおすすめ?

「予算はいくらぐらいなんですか?」

「ええと、どのくらい出すのがおすすめですか?もちろん、可能であれば安い方が良いです」
質問に質問で返すという、よくある話です。

でも、実際、初めて買うものの値段の相場って、分からないのが当たり前です。
まずは、どの程度の値段が、どの程度のロードバイクなのかということから書いていきましょう。

まず10万円ですね。

「え、自転車に10万円?!高いよ!!」
と思う人もいるでしょう。

ただ、新車のロードバイクとしては、10万円は一番最低限の値段だと思ってください。

昨今は、各メーカーが初心者に対して積極的なので、10万円を切る値段のロードバイクもラインナップしているところも増えています。

良心的プライスで有名なGIANT(ジャイアント)からは、2017年モデルの最安ロードバイクは『CONTEND 2』という、税別78,000円の車体がありますね。

大手メーカーとしては、例外的に低価格帯の車体だと思ってもらって良いと思います。
ロードバイクをその値段で作るのは、少し無理があります。

ただ、パーツスペックを見ると、さすがジャイアント。
自社パーツで固めることでコストを抑えることに成功しながら、きちんと変速機などはSHIMANO(シマノ)のクラリスを使用しています。

ジャイアントじゃないと、できない値段帯じゃないでしょうか。
それでも、78,000円でも税込み(8%)にすれば84,240円です。

やはり普通の人からすれば、
「え、自転車で8万円?!高い!!」

と、びっくりする値段かもしれません。

ただ、ロードバイクをある程度知っている人からすれば、
「おお、ロードバイクで8万円!安い!!」

と、びっくりする値段なんです。

世界販売台数上位に入るTREK(トレック)からは、最安モデルは税込み93,000円ですね。
(2018年モデルで、Domane AL2が発売したため、最安は税抜79,000円となりました)

トレックは、なぜか高級メーカーと思っている人もいますが、販売台数も多いですし、資本主義アメリカのメーカーだけあって、非常に妥当な値段設定をするメーカーです。

高過ぎないですし、安過ぎません。
実際、低価格帯の値段設定が得意なジャイアントと、1万円差なので、妥当な値段だと思います。

10万円前後というのは、ロードバイクとして最低限の値段帯です。
それより安くなると、どうしても無理があります。

ロードバイクはフレームを軽量に作る必要がありますし、速度も30キロ程度、原付バイクと同じ程度の速度は簡単に出る乗り物ですから、安全性も非常に重要です。

あまりに安いものは、危険だと考えて問題ないでしょう。

15万円前後は、最安の価格帯のひとつ上ですね。
ある程度、安心できる価格帯になってきます。

20万円は、決して安物ではないという値段帯になります。
この値段帯から、フルカーボンのフレームが出てきます。

30万円以上は、ロードバイクベテランも納得するクオリティの車体の世界になってきます。
レースでも勝ちを狙いに行ける値段帯です。

レースに勝つには、実は肉体的能力でこそ大きな差になりますが、値段では大きな差は出ないのですが。
このことに関しては、後ほど詳しく書きます。

40万円以上のロードバイクは、ロードバイクベテランも満足できるクオリティの世界ですね。
もちろん、初心者が買っても問題はありません。

この値段帯からは、トッププロがレースで使うのと、遜色ない走りをしてくれるものも出てきます。

100万円となれば、たいていのメーカーのフラッグシップ、最上位機種も狙える値段ですね。

ただ、部品などにこだわれば、200万円だって夢じゃない世界です。
この辺りの値段帯の車種を買う人は、自転車趣味を理解してくれない家族からは、白い目で見られる切なさを味わうことになります。

非常にざっくりですが、自転車の値段の相場感覚とは、こういった具合です。

ただし、ロードバイクは輸入品ですので、為替相場で値段が変わります
円高の年に発表されたモデルであれば安く買えたり、円安であればいくらか高かったりします。

近年はメーカー側も、為替で大きく値段が変動しないようコントロールしていますが、やはりいくらかは値段が変わります。

また、メーカーによっては、この値段相場より少し高いところもあります。
生産台数・販売台数が少ないメーカーは価格を抑えるのが難しく、特にヨーロッパメーカーは、少し割高になるメーカーもありますね。

なので、一概に値段だけで分類するのは難しいのですが、ざっくりとした値段感覚だけでも分かっていると、選ぶときの基準になると思います。

最終的に購入する際は無い袖は振れませんので、その人の予算次第になります。
ですが、可能であれば、買うのを3ヶ月遅らせてお金を工面してでも、ワンクラス上の値段帯のものを購入した方が後悔しにくいと思います。

それでは、順に各値段帯でのおすすめのロードバイクをみていきましょう。

10万円前後のおすすめのロードバイクメーカー

10万円前後の価格帯では、正直、各メーカーともに値段を切り詰めて最低限のところで作っているので、大した差はないと思ってもらって良いと思います。

メーカーの特色など、出せる余裕はないでしょう。

ロードバイクとしての性能は、さほど期待はできませんが、それでもやはりロードバイク、細いタイヤで軽やかな走りを楽しむことは可能です。

通勤・通学などタウンユースに使うには、良い値段帯だとも言えます。

去年のモデルで、色などの理由で人気が出なくて、売れ残りのSALE品なんかを狙って、ワンクラス上のものを考えても良い値段帯です。

ただ、型落ち品はサイズが合わないことも多いので、今回はとりあえずは、新車の値段で考えていきます。
中古車に関しては、中のパーツの状態も分かりませんから、やめた方が良いと思います。

値段重視なら、やはりジャイアントが良いんじゃないでしょうか。
安いと思います。

ただし、安いジャイアントはスポーツ用品量販店なんかでも販売していますが、そこで買うときは気を付けてください。

スポーツ用品店の店員さんは、スポーツ用品店の自転車コーナーの当番になった店員さんであることがあります。
そういった場合、後から修理などのアフターケアで、非常に困ることがあります。

買うお店さえ気を付ければ、ジャイアントは悪くないと思います。

ただ、10万円ってロードバイクとしては最低ラインの価格ですが、MacBookが買えてしまうお値段です。
決して安い買い物ではないですよね。

初めての人にとっては、決意を固めて買う値段だと思います。

「安い買い物じゃないから、安さだけで選びたくない」
という人は、トレック辺りが無難じゃないでしょうか。

まあ、どの価格帯でもトレックは何かと無難なのですが。
高過ぎない安過ぎない、性能面、特に乗り味の安定感に関しては評価の高いメーカーです。

まあ、私もプライベートの車体がトレックだからというのもありますが、トレックは何かと間違いないです。
自動車で言えばトヨタみたいなものです。

とりあえず間違いないというのが、トレックです。

我らが日本のブリヂストン・アンカーでも良いでしょうし、お洒落なイタリアメーカー・ビアンキでも良いでしょう。

ただ、謎の全く聞いたこともないメーカーなどは、やめておいた方が良いですね。
10万円という値段帯では、謎の得体のしれないメーカーなんかもあります。

きちんとした自転車専門店なら、そういうメーカーの自転車は置かないでしょう。

後の修理なども含めて、きちんとした自転車専門店で購入するのが最も重要です。
この値段帯のロードバイクを買うユーザーは、ついつい少しでも安売りしているものを、という理由で安い量販店に走ってしまいやすいのですが、気を付けてください。

それさえ気を付けていれば、あとは見た目の好みで、選んでしまって良いと思います。

15万円前後でおすすめのロードバイクメーカー

10万円前後のモデルも決して悪くはないものの、やはりロードバイクとしての最低限というクラスです。
15万円前後となると、いくらか安心もできます。

ピナレロなどの高級メーカーも、買える値段になってきます。

ただ、やはりピナレロは、この値段帯の車種『PRIMA』(税抜き143,000円)でも、部品はシマノのソラというものを使っています。

一般的に、この価格帯では、もうひとつ上のグレードのTIAGRA(ティアグラ)という部品で組まれているものが多いです。
低価格帯の上手いジャイアントでは、さらにワンランク上のパーツである、105を搭載しているモデルもあります。

パーツで考えるなら、ジャイアントです。

それでも、この値段帯もやはり、まだメーカーによって、大きな特徴が出るというほどの値段帯ではありません。
ですから、色と見た目だけで決めてしまっても良い値段帯とも言えます。

部品のグレード、クラスなどで見ればジャイアントが優秀ですが、ロードバイクって最終的にはフレームが命です。

部品はその気になれば、後からでも変えられますが、フレームは変えられないんですね。

「部品はソラでちょっとしょぼいけど、フレームの見た目がとても気に入ったのでピナレロが欲しい!」
という人は、ピナレロが正解だと思います。

ピナレロの『PRIMA』は、この値段帯とは思えないカッコよさがあります。
ONDAフォークがぐっと心惹きます。

ONDAフォークとは、うねうねしているピナレロ特有のフォークです。
ひと昔前は、100万円クラスの車種にしか搭載されていなかったものです。

今は逆に、最高クラスの車種にはONDAフォークは使われておらず、恐らく見た目以外に特に意味がないのでしょうが、それでもやはり見た目がかっこいい。

15万円前後とは思えない、貫禄があると思います。

フレームの性能面で言えば、ジャイアントの『TCR SLR』トレックの『Emonda ALR』飛び抜けて良いと思います。
この2種は、アルミとは思えないほどに軽いです。

尋常じゃない軽さ、カーボンに勝てるアルミと言っても良いと思います。

Cannondale(キャノンデール)の『CAAD 12』も、この2台と並ぶ名車ですが、15万円前後の価格帯ではラインナップしていません。
もう少し良いパーツを搭載して、20万円前後というワンクラス上の価格帯になっています。

あとはサイズですね。

ピナレロは、やはり高級メーカーです。

もちろん、昨今は初心者にも手の届きやすい価格帯の車体も作ってこそいるものの、メインはツール・ド・フランス(世界最高峰の自転車レース)で勝利している『DOGMA』という、最高級の自転車を販売してナンボという部分はあります。

特にここ近年、ピナレロの『DOGMA』は、ツールで非常に素晴らしい成績を残し続けていますから、人気も非常に高いです。

そうなると、低価格帯のものは在庫が少ない、サイズも多くストックしていないという可能性が出てきます。
これはピナレロに限らず、ヨーロッパ系のメーカーは、昔からサイズの在庫不足ということが少なからずあります

サイズがない場合には、諦めるしかありません。
しばらく待って入荷するなら待っても良いですが、半年近く待つなら、その間に別の車体でお気に入りを探して、半年自転車に乗って楽しんでいる方が良いと思います。

乗っていれば、愛着も出てきます。

自分の正しい自転車サイズは、身長だけでは分かりません

手足、上半身の長さなどから計算する方法と、実際に車体があれば乗って、店員さんが横から見てサイズが合っているか判断するという方法があります。

計算して出す方法は、やはり数字には安心感みたいなものがありますよね。
ただ、実は数字だけで計算するのは難しいのです。

可能であれば、実際の車体もまたがらせてもらうと良いと思います。

数字で計算せず、店員さんの目分量でサイズを確認する方法は、案外、信頼できる側面もあります。
実際にまたがっているのを見れば、自転車屋さんの店員であれば、間違ったサイズかどうかぐらいは、すぐ分かりますからね。

ベストとしては数字で計算して、実際の車体もまたがらせてもらってと、両方してくれるお店が一番良いと思います。

きちんとしたお店で購入すれば、サイズで失敗することは滅多にないでしょう。

お店によって得意なメーカーなどもありますから、行ってみて接客などを総合して気に入ったお店があれば、そこで相談しておすすめを聞くのが、一番良いと思います。

20万円前後のカーボンのロードバイク

20万円前後となると、みなさまの大好きなフルカーボンの車種が手に入るお値段になってきます。
現在では、プロのレースでは、全てフルカーボンのロードバイクが走っていますね。

カーボンと言うと、炭素繊維ですね。
飛行機などにも使われている、軽量で強い素材です。

また、しなりもあるので、路面からの衝撃を吸収してくれるので、走っていて非常に楽です。
さらに溶接跡がなくつるりとした表面が非常に美しいですね。

ただ、フルカーボンは繊細でもあります
転倒などの衝撃で壊れるという、リスクも出てきます。

もちろん、アルミのフレームでも激しい転倒時には破損のリスクがありますが、カーボンはより繊細なので、注意が必要です。
それでも、この値段帯となると、やはりフルカーボンの車体が欲しいという方が多いでしょう。

この価格帯でフルカーボンを購入する場合、大手メーカーがおすすめです。

ジャイアント、トレック、キャノンデール、SPECIALIZED(スペシャライズド)が世界4大メーカーなどと呼ばれます。
販売台数が多いんですね。

ブリヂストン・アンカーは日本のメーカーなので、やはり安心です。
あとはビアンキやFELT(フェルト)、MERIDA(メリダ)といったメーカーが、日本では比較的手に入りやすいと思います。

ピナレロ、コルナゴ、LOOK(ルック)、TIME(タイム)、BMC、サーベロなどのメーカーも、非常に良い自転車を作るメーカーですが、20万円前後の価格帯ですと、ちょっと微妙な気がします。

あくまで私個人の感覚ですが、やはりもう少し上の値段帯のレースマシーン、高級車が強いメーカーですね。

販売台数=在庫の厚さ=日本人の体形でも乗れるサイズが手に入りやすい、という面がありますし、値段などの面でも有利です。

詳しい人なら、生産台数の少ない渋いメーカーを狙うのもアリですが、初心者の場合1台目は大手メーカーを狙う方がオススメです。

ただ、あくまで一般論です。
例外はあります。

例えば、家の近くに気に入った自転車屋さんがあり、そこの店長さんが自信を持って、旧モデルになり値下げしたピナレロをオススメしてくれ、予算も合うならバッチリです。

きちんとした自転車屋さんであれば、サイズが違うものを無理に売り付けたりしませんし、信頼して良いでしょう

自転車屋さんによって取り扱えるメーカー、在庫を多く持っているメーカー、得意にしているメーカーが違います。

自分の家から遠くない自転車屋さんで相談してみて、そのお店のおすすめのメーカーを選ぶというのが、一番間違いないです。

そう、1台目からフルカーボンの車体を買う場合最も注意しないといけないことが、やはりお店選びです。

アルミのロードバイクの場合、最悪、近所の全国チェーンの自転車屋さんに持って行っても、それなりにメンテナンスしてくれます。
フルカーボンとなると、それが難しくなります。

フルカーボンは繊細ですから、自分のお店で買ったわけじゃないどこで買ったか分からないどんな組み付けをしているか分からない正体不明のものは嫌がられます

実際には、10万円のロードバイクも100万円のロードバイクもメンテナンス・カスタムっていうのは、基本は同じです。
むしろ、値段が高い車種の方が部品やフレームの精度が良いので、調整は楽だったりします。

ただ、本当にぶっちゃけた話なんですけど、どこで買ったか分からない得体の知れない高級車をイジるのは、嫌なんですね。

極端な話ですが、すでに壊れている車体を持って来られたら怖いですよね。
一見すると分からないような壊れ方で、簡単なタイヤ交換の修理を依頼されたとします。

タイヤを外した瞬間、元々壊れていたところがポキンと音を立てて外れてしまったら、プロとして修理を受けている以上、弁償することになります。

あるいは、盗難車かもしれませんよね。

実際には、そこまでひどいことは滅多に起きないでしょうけど、責任を持って修理をするのがプロショップです。
高額でどこで手に入れて来たか分からない車体に対して、責任を負うのは非常に怖いんですね

そもそも、そんな高級な自転車を購入したのに、わざわざ別のお店で修理するなんて怪しいと思われます。
何かしら問題が起きたので、別のお店に来ているんじゃないかと思われるかもしれません。

もちろん、引っ越しなどでやむを得ない事情があれば問題ないのですが。
買ったお店で修理するのが良いというのは、そういう背景があるんですね。

別に意地悪で「他店で購入した自転車の修理はお断りしています」ということを言っているわけじゃないんです。

ですから、初めてのフルカーボンのロードバイクのおすすめはズバリ、近所のお店で相談してオススメされた1台なんですね。

それでも、おすすめメーカーを一応挙げるとすれば、ジャイアント、トレック、キャノンデール、スペシャライズドの4大メーカーか日本のブリヂストン・アンカーでしょう。

もちろん、すでに信頼できる自転車屋さんを知っているなら、そのお店で相談して決めればいいと思います。

20万円前後のアルミのロードバイク

20万円前後の予算ですと、カーボンが欲しい人のほうが多いのですが、昨今は高級アルミも人気があります

15万円前後のおすすめのところでも書いたのですが、トレック、ジャイアント、キャノンデールがカーボンに勝てるほどの、素晴らしい高級アルミの車種をラインナップしています。

この3車種は本当に良いですね。

ジャイアントはまだ乗っていないのですが、トレックの『Emonda ALR5』、キャノンデールの『CAAD 12』は実際に試乗して、
「ああ、これは凄いな、ヒルクライムレースなんかだったら、下手なカーボンよりバリバリ登れるな」
と、確信するほどに、よく走りました。

特にキャノンデールのCAADシリーズは、昔から軽量アルミロードバイクを旗印に頑張ってきているだけあります。

「アルミのカーボンキラー」という、謳い文句も納得できるほどの良いフレームです。
軽量アルミの大御所ですね。

私の個人的な思うところでは、現行モデルの『CAAD 12』がすごいのは、前のモデル『CAAD 10』より、あまり軽くしてない点です。
「軽量アルミ」なのに、進化させたのは重量じゃなく乗り味なんです。

前モデルの『CAAD 10』も、非常によく走る良いロードバイクだったんですけど、ちょっと不安定さと言いますか、アルミ特有の突き上げる硬さがありました。
なので、「マイルドな乗り味」とは縁遠いロードバイクだったのですが、現行の『CAAD 12』は非常に乗りやすくなっているんですね。

アルミのCAADが、こんなに乗りやすく快適になったのか、と感動しました。
もちろん、CAADシリーズの持ち味である軽さ、走りの良さは健在です。

最初のホイールが、MAVIC(マヴィック)というのも嬉しいポイントです。

唯一の欠点は、ホリゾンタルフレーム、トップチューブ(またがった時に股の下にあるフレームの部分)が地面と平行になっているんですね。

見た目はかっこいいんですが、手足が長くない日本人の場合、フィッティングしづらいことがあるという、デメリットがあります。

トレック、ジャイアントはスローピングフレーム、トップチューブが斜めになっているので、フィッティングがしやすいんです。

トレックの『Emonda ALR』については、さすがのトレックです。
『CAAD 12』の快適さにも、負けず劣らずです。

トレックというメーカーの特徴は、とにかく快適性ですね。
乗車したときに楽なんです。
すべてのモデルで共通して、快適さがあります。

私も構造力学など詳しくはないのですが、どうもトレックというメーカーはジオメトリー、フレームの各部の長さのバランスや角度なんかが非常によく造られているらしく、それが乗ったときの快適感につながっているようです。

アルミのEmondaが出るまでは、トレックはカーボンが得意なメーカーというイメージでしたが、『Emonda ALR』の完成度は素晴らしいですね。

ジャイアントの『TCR SLR』は乗っていないので、深く言及しにくいところですが、ジャイアントなので間違いないでしょう。

初心者の人で、ジャイアントのことを安物で悪いメーカーと思っている人もいますが、ジャイアントの高価格帯のものは非常に良いんですよ。
コストを抑えて作る技術、ノウハウも持っているので、同じ値段であれば、ジャイアントの方が性能的に有利な場合が多いです。

ただ、ジャイアントの致命的な弱点は、サイズ展開が少ないことなんですね。
XS、S、M、MLの4種類しかサイズがないんです。

トレックなんかだと、その間にひとつずつサイズがあるくらいです。
サイズ間の差が、ものすごく大きいんです。

パーツの交換でフィッティングを調整すれば何とかなる範囲ですが、私個人としては気になるポイントです。

軽量アルミロードバイクの長所は、値段の割に、すごく走りが良いということに尽きます。
特にヒルクライムでは、素晴らしいと思います。

欠点は、やはりアルミはカーボンと比べると、路面からの振動や衝撃の吸収性は良くないので、長時間走るロングライドでは少し不利になります。

また、アルミでここまで軽量にしているので、ものすごく薄いです。
カーボン並みか、それ以上に繊細です。

30万円以上でおすすめのロードバイクメーカー

30万円以上のロードバイクとなると、各メーカー、非常に良い車体を出していますね。
特に40万円辺りからは性能だけでいえば、プロの選手でも、かなり満足できるレベルの車体も少なくないんじゃないでしょうか。

実際には、40万円ではプロがレースで使う車体は買えませんが、走っていて気持ち良い、一流の自転車の乗り心地を体感できるレベルにはなってきます。

特に大手メーカーを中心に、この値段帯からは、本当によくできた車体が出てきます
ヨーロッパメーカーの場合もう少しお金を出した方が良いかもしれません。

30万円以上となると、車体の保証をしてくれるメーカーというのも、魅力のひとつになってきます。
ジャイアント、トレック、キャノンデール、スペシャライズドの大手4大メーカーには、カーボンフレームに関して保証があります

ただ、割と揉めることもあります。
破損の原因によって、保証の範囲に入るか入らないかなど。
年度によって、突然に保証内容が変わることなどもあります。

例えば、トレック、ジャイアントともに、カーボンリプレイスメントという保証があります。
カーボンフレームが破損したら、購入店舗に持っていけば、新品のフレームを特別割引価格で購入できるというものです。

この「特別割引価格」というのが曖昧で、年によって変わったりすることがあります。

それでも、全く保証のないメーカーと比較すると、やはり安心はありますので、不安な人は購入の際に保証の話を聞いてみても良いかもしれません。

保証に関しては、販売店を通してメーカーにお願いする形になりますので、メーカー直営店やワンブランド専売店など、メーカーとのつながりが強いお店の方が有利に保証を受けやすい場合もあります。

また、この価格帯では、メーカーの個性もかなり出てきます。
スペシャライズドの『TARMAC』は硬くてガシガシ走るとか、キャノンデールなら軽さを重視するとか、トレックはしなやかで乗り心地が良いだとか、メーカーによる違いが出てきます。

ただ、「硬いから良い」とか「しなやかで楽」というのは、あくまで人によって感じ方に差があります。
硬いと踏んだときの反応が良く、シャキシャキと坂を登ってくれるというのは、かなり多くの人が認める事実なのですが、数値化したりするのが難しい部分です。

さらに昨今は、各メーカーとも技術の進歩で欠点の少ないバランスの良い車体を作っていますので、あくまで目安程度に考えても良いと思います。

ただ、性能面ではなく、修理などの交換部品のストックの問題などは、メーカーによって大きく差があります。
特に上位モデルになるほど、専用部品などを使っている場合が増えますので、後の修理の問題は重要になってきます。

また、構造の問題としても、非常にメンテナンス性の悪いメーカーなども出てきます。
例えば、ワイヤーの取り回しが非常に複雑だったり、難しい車種が出てきます。

「ハイエンドモデルとは、あくまでレースに勝つためのもの。一般ユーザーにとっての使い勝手の良さについてはあまり考えていない」
といったような車体も、中にはあります。

小さいメーカーや、マニアックなメーカーに多いですね。
具体的なメーカー名は出しませんが、梱包がまずくて、お店に到着した時点で傷が付いていることが多いようなメーカーもあります。

傷に関しては、特に日本人は非常に気にするのですが、外国人はあまり気にしない人も多いらしく、日本で販売する台数が少ないメーカーは注意が必要ですね。

大手メーカーの場合には、そういう困ったことは、ほとんどありません
あったとしても、納車前に確認して返品交換の対応を、すぐにしてくれる場合が多いです。

小さいメーカー、マニアックなメーカーでは、そういったデメリットやリスクはあります
もちろん、すべてのメーカーではありません。
小さくても、きちんとしているメーカーはあります

それでも、30万円以上のロードバイクとなると、自分が欲しいと思ったものを買うのが一番だと思います。
生きている間に何回も買うものではないですから、欲しいものを買うことがおすすめです。

ただ、あまりみんなが乗っていないマニアックな車体、メーカーを買うときには、デメリットやリスクがあることは理解している必要があります。

ロードバイクのレース向き、ロングライド向き

メーカーによる走りの違いは数値化などが難しいのですが、同一メーカーの中で「レース向き」と「ロングライド向き」という具合で2種類以上の車種がある場合は、これは注意した方が良いです。

自分の用途と逆のものを買うと、後悔することがあります。

ジャイアントなら「RACE」と「ENDURANCE」、ピナレロなら「RACING」と「GRANFONDO」と、メーカーによって使っている言葉は違いますが、意味合いは同じです。

「レース向き」といった意味の車種は、簡単に言えばホイールベース(前後のホイールの間隔)が狭く、フロントフォークの角度が立っています。
ハンドル操作がクイックで、シャキシャキした走りになります。

登りなんかは、こちらの方が有利だとされています。
昔ながらの正統派ロードバイクの走りと言っても、良いかもしれません。

「ロングライド向き」の車種はホイールベースを広く、フロントフォークは寝ています。
まったりとした乗り味になり、直進安定性が良いので長時間乗っていて楽です。

下りの安定感が良いので、プロのレースでも下りが苦手な選手は、こちらの車種を使うこともありますので、レースに使うことも不可能ではありません。

「レース向き」でも「ロングライド向き」でもレース、ロングライドは可能です。
ただ、乗り味は明確に違います。

初めての1台の場合、どちらが良いかは非常に難しいところですが、ほとんどの人は「ロングライド向き」の方がおすすめです。

というのも、レースをしない限り、楽な乗り味の車体の方が乗っていて楽しいです。

購入してからレースにハマる人もいますが、年間に何本もレースに出て勝ちを狙うようになる人は確率としては、とても低いですし、そこまでハマった人は躊躇なくレース専用の車体を新規に買い直します。

ほとんどの人が週末のロングライドや、レースと言っても年に何回か友人・知人と旅行がてらホビーレースを楽しみに行くといった具合でしょう。
それなら、乗り心地が快適な車種の方が楽しいと、私は思います。

ただ、ツール・ド・フランスを見るのが好きで、あの選手と同じ車種が欲しいという人や、昨今では漫画のキャラクターの使っている車種が欲しいという人もいます。

すでに何かしら理由があって「レース向き」の車体が欲しいという場合は、もちろん問題ないと思います。

あくまで「ロングライド向き」という車体の方が比較すれば、いくらか楽なだけであって「レース向き」という車体が、どうにもならないほど、しんどいわけではありません。

また、メーカーによっては「レース向き」の車種の方が力を入れて作っているという場合もありますので、そういう場合は「レース向き」の方が良い場合もあります。

例えば、ジャイアントは「ロングライド向き」の車種はDEFYですが、プロの選手が使っているのは、あまり見かけません。

トレックの『DOMANE』や、スペシャライズドの『ルーベ』なんかは「ロングライド向き」のジャンルに入る車種ですが、プロの選手もレースで使っています。

やはり「レースでは選ばれない車種」っていうのは、ちょっと思うところありますよね。
その辺りはメーカーによって事情もありますので、お店の人と相談してみると良いでしょう。

メーカーによっては、プラスで「エアロ系」という種類もあります。
トレックの『MADONE』、ジャイアントの『PROPEL』などの空気抵抗の工夫をした車種ですね。

フレームがぺちゃんこになったような形をしていて、風の抵抗を受けにくくなっています
正直、エアロ効果に関しては、趣味で乗っている限りは、性能的な恩恵はないと思ってもらって結構です。

レースで使う場合も、エアロを取るよりは軽さを取ったほうが、効果的な場合が多いでしょう。
ただし、タイムトライアルでは抜群の効果を発揮します。

エアロモデルは値段も高くなりがちですし、重量的デメリットもありますし、乗り心地も硬くなりやすく、正直、メリットに比べると微妙なところが多いです。

ただ、エアロはかっこいいです。
かっこよさは大事です。

「プロの選手は、かっこよさのためだけにエアロのロードバイクに乗るの?」
と言う疑問も出てきますが、プロの場合は少し話が変わります。

プロの場合は、重量制限があるので、軽いロードバイクにはオモリを付けて走らないといけないので、意味がないんです。

オモリを付けるなら、そのぶんで車体をエアロ形状にした方が良いわけです。
微々たる差にせよ、プロのレースでは微々たる差の積み重ねが勝敗を分けます。

また、プロの場合、相当な速度を出し続けますから、空気抵抗も大きいので、エアロの恩恵もそれなりにあるんですね。
単純に、車体提供してくれているメーカーに乗れと言われれば、乗るしかないという事実もあるのでしょうが。

ただ、エアロフレーム専用部品を使っていたりワイヤーの取り回しが複雑な場合が多いので、自転車屋さんで修理やメンテナンスする際に日数がかかる場合もあります。
あまり一般の人に、おすすめする要素はありません。

ただ、繰り返しになりますが、かっこいいですし、ロードバイクにとってかっこよさは重要です。

まとめ「ロードバイクはお店選びが一番大事」

予算別におすすめのロードバイクをみてきました。

どこのメーカーの何が良いという形ではなく、予算ごとに気にするべき点、注意するべき点を書いてきました。

やはりロードバイクを購入するに際して、一番大事になるのは車種よりもお店です。
そして、自転車屋さんというのは、お店によって取り扱っている車体メーカーが違います。

具体的におすすめのメーカー・車体を限定してしまうと、家から近い良い自転車屋さんで取り扱っていないということがあり得ます。

例えばですが、私個人のおすすめでは、トレックの『EMONDA SL5』という車体があります。
30万円前後で105を装備している車体ですが、非常にフレームが良く、30万円という値段で抜群の走りをする車体です。

軽いのでレースもこなせて、ロングライドをするにも安定感があり、乗り心地も快適です。

しかし、例えばの話ですが、近所にトレックを取り扱っているお店はないけれど、ブリヂストン・アンカーなら取り扱っている自転車屋さんがあるという人もいるでしょう。

そのお店なら修理するときも近くて便利ですし、一度行ってみて話をしたら印象も良かった。
そういうときに、トレックを取り扱っている遠くのお店まで無理して行って買うべきかどうか、という問題です。

もちろん、一度は行くべきだと思います。

そこで話してみて、「やはり近所のお店のほうが、店員さんの感じも含めて良かったな」と感じるのであれば、近くのお店で相談して、ブリヂストン・アンカーを買う方が良いんじゃないかと私は思います。

特に初心者の人、メンテナンスに自信のない人は、なおさらです。

もちろん、少々遠くても向こうのお店の方が気に入ったという人は、そちらで購入すべきでしょう。

自分でひと通りメンテナンスができる人、ある程度詳しくて自信のある人なら、メーカー直売の通販でCANYON(キャニオン)なんかも良いかもしれません。

しかし、一般的にはほとんどの人がメンテナンス、修理など自転車屋さんにお願いすることになると思いますから、車種よりもお店を優先して選ぶのが良いと思います。

気に入ったお店で、どうしても気に入った車種が無い場合は、思い切って相談してみるのも良いかもしれません。

系列店や親しくしているお店から取り寄せてもらえたり、あるいはその車種を取り扱っているオススメのショップを紹介してもらえる可能性もあります。

安くない買い物ですので、気になることは、どんどん質問してみると良いと思います。
そういう質問がしづらいお店は、後々修理のときも相談しづらい可能性がありますから、少し考え直してみた方が良いかもしれません。

予算ごとの特徴、注意することを何となくでも頭に入れておいて、あとは何件かお店を回って、店員さんと相談して決めるのが良いと思います。