プロが教える!ロードバイク初心者のためのメンテナンス方法

こんにちは、じてんしゃライターふくだです。

ロードバイクという乗り物を所有するうえで、最も重要なことは楽しむことですよね。

そして、楽しく乗るには自転車の調子が良いということは不可欠です。
どこか壊れていて走らないじゃ困りますし、走っても変な音がするなども、走行中には気になりますよね。

ロードバイクのメンテナンスは、とても重要なんです。

でも、ロードバイクのメンテナンスって、なかなか難しいものです。
初心者の方はもちろん、ベテランの方でもメンテナンスに関しての悩みとは尽きないものでしょう。

今回は、そんなロードバイクのメンテナンスに関してのお話です。

ロードバイクのメンテナンスの種類①

ロードバイクのメンテナンスとひと口に言ってはみるものの、布でさらりと表面を拭くだけでも、立派なメンテナンスです。

部品をすべて分解して洗浄・組み立てをするのも、やはりメンテナンスと、実に様々なものがあります。

まずは大雑把に、どういったメンテナンスがあるか理解し、その後、それぞれを詳しく見ていきましょう。

まず、先ほども書きましたが、布で拭く
これだけでも、立派なメンテナンスです。

とにかく清潔に保つことは、部品の劣化を防ぎますし、異変に気付くチャンスでもあります。
特に雨の中を走った後や、ダートや除雪剤の道を走った後では、非常に重要です。

誰にでもできて、なおかつ重要なメンテナンスですね。

次にチェーンの注油です。
チェーンの注油は不可欠です。

いくら値段の高い自転車であろうと、金属部品は錆びます
チェーンは清掃からすべて正しくやろうと思うと結構面倒ですし、人によって細かいこだわりもありますが、最低限はできないといけません。

布で拭いて掃除する、チェーンの注油、この2つはどんなビギナーでも、自分でしないといけないことですね。
決して難しいことではないですが、とても大事なメンテナンスです。

ロードバイクのメンテナンスの種類②

安全上、大事なメンテナンスとして、ホイールのクイックレリースが、きちんと締まっているかの確認もあります。

ホイールがきちんと固定されていない状態で走行するのは、大事故につながる可能性がありますので、非常に重要です。
ホイールの着脱、クイックの使い方については、購入した自転車屋さんで、一度は直接教えてもらうのがおすすめです。

というのも、クイックを締める力加減というのは、直接に教えてもらわないと難しいものだからです。

空気を定期的に入れるのも非常に重要ですね。
誰でもできる簡単なメンテナンスですが、走り心地パンクの防止と、実はとても重要なメンテナンスです。

メンテナンスとは保守・維持といった程度の意味ですので、日々のメンテナンス、個人でする範囲としては、ここまでだけでも良いかもしれません。

単に自転車を拭いて、チェーンに油を差して、ホイールが緩んでいないか、空気が入っているかの確認、誰でもできそうなことですが、一番重要なメンテナンスだと言っても良いと思います。

ここから先のことは、修理の範囲に入ることかもしれませんし、自転車屋さんでお願いする方が良いかもしれません。

ネジ類のトルク確認
緩んでいると危険です。
かと言って、馬鹿力で締めると壊れます。

ディレイラー(変速機)、ワイヤー引き量の調整
いずれも使っていると少しずつズレますので、定期的なメンテナンスが必要です。

各部品の交換

例えばバーテープですね。
バーテープは正直、なければないで何とでもなるのですが、快適性には直結する部品です。

チェーンは注油していても、消耗していきます。
ワイヤーに関しても、劣化があります。

タイヤ、チューブ、カセットスプロケット(後輪のギアの部分)ひいては、内部のベアリングなど。
自転車には、定期的に交換が必要な部品がいくつもあります。

古くなったグリスの入れ替え
自転車には、特に可動部を中心に、様々なところにグリスが入っています。
グリスは摩擦熱ごみの付着などで酸化・劣化していきますので、交換が必要です。

ホイールの調整
ホイールはリム(外の輪っか部分)、ハブ(真ん中の回転の軸)、スポーク(リムとハブをつなぐ針金みたいなやつ)という3つの部品で構成されています。

ホイール・車輪とは、人類の発明の中でも最も偉大な発明のひとつです。

そして、ロードバイクのホイールとは繊細です。
簡単に壊れることはないにせよ、定期的な調整が必要な部品です。

定期的に自転車屋さんで点検をしてもらうことで、細かいメンテナンスもしてもらえるでしょう。
それでは、順に詳しい内容を書いていきます。

ロードバイクを拭くということ

ロードバイクを拭くのは、非常に重要です。
まず、見た目の問題として大事です。
見た目を馬鹿にしてはいけません。

ロードバイクでは、メンタルの問題は非常に大きいファクターです。
ヒルクライムなど、非常に分かりやすいですね。

身体的能力も、もちろん大事ですが、坂を登るキツさに打ち勝つためには、まずメンタルです。

レースに限らず、フィットネスに使うにしても、やる気がある中でのエクササイズとそうじゃないエクササイズでは、効果が違うことは科学的にも立証されています。

「自分のロードバイクは美しい」
この考えは非常に大事です。

そして、拭き掃除をすることによって愛着も沸き、モチベーションに直結します。

プロ野球のイチロー選手も、道具をとても大事にすることで知られていますが、道具を使うスポーツにおいて道具に愛着を持ち、美しく保つということは非常に重要です。

もちろん、見た目に限りません。

異常の早期発見につながります。
例えば、ボルトが汗で錆びていても、土で汚れていては気付きません。
また、掃除をこまめにすることで、汗で錆びること自体も防げます

拭き掃除の方法は、特に難しいことはありません。
何かしらの布で、から拭きするだけでも構いません。
これだけでも、効果はあります。

可能であれば、水で濡らして固く絞った布で拭くほうが、汚れは落ちます。

また、表面についた油分の汚れを落とすために、洗剤を使うとベターです。

自転車専門店で手に入る、専用の洗剤が間違いありません。
食器洗い用の中性洗剤を薄めて使っても良いでしょう。

あまりに強い洗剤は、塗装がダメージを受ける可能性もありますので、普段の日々の手入れでは使わないほうが無難です。

そんなに簡単に塗装がダメになるということも少ないですが、フレームのダメージは修理不可能ですので、気を付けたほうが良いでしょう。

洗剤で表面の油汚れまでしっかり落としたら、ワックスを塗ると艶も出ますし、汚れにくくなりますし、汚れても掃除が楽になります。

私は、ワコーズのものが気に入っています。

車体を拭くときはホイールを外すと、隅々まで掃除しやすいですね。
拭くだけでは落ちない汚れに関しては、歯ブラシを使うと良いでしょう。
部品の間など拭き取りにくい箇所には、綿棒なども効果的です。

自動車用の傷消しコンパウンドや、「洗剤不要、水だけで汚れが落ちるスポンジ」といった類のものは、基本的には使わない方が良いです。

自転車の塗装は、自動車と比べると薄いですから。
もちろん、自転車屋さんなど詳しい人が分かった上で使う場合もありますが、一般的には使わない方が良いと思います。

ホースなどを使った水洗いに関しては賛否両論ありますが、詳しくない人はやめておいた方が良いと思います。
海外のレースのメカニックなどは、高圧洗浄機でガシガシ洗いますが、プロだからできることです。
仮に内部に水が入っても直せる、あるいは水を入れないように洗浄できるという、前提があってのことだと考えてください。

少しロードバイクから逸れてしまいますが、マウンテンバイクに関しては、相当頑固に汚れるので、水洗いをしたほうが楽な場合もあります。

マウンテンバイクは汚れる前提で造っていますので、水が入りにくいような造りになっていることも多いです。

ロードバイクの場合、特に日々のメンテナンスでは、ほとんどの汚れは拭き掃除だけで十分でしょう。
転倒などで傷が付いた場合には、ショップで相談するのが良いでしょう。

汚れに関しては自転車乗りとして恥ずかしいことですが、傷に関しては、しっかり乗って使い込んでいる証拠なので、決して恥ずかしいことではありません。

チェーンのメンテナンス

ロードバイクに限らず、チェーンは走りに直結する上に、すぐにオイルも切れますので、メンテナンスする頻度も高い重要な箇所です。

特に注油は、毎回お店でお願いするわけにもいきませんから、自分でメンテナンスできないといけません
チェーンの注油は、汚れや古いオイルを除去して、新しいものを差し余分なオイルを拭き取るという3段階が基本です。

汚れたチェーンの上に、新しいオイルを差しても効果は薄いです。
また、汚れを取らないと、汚れでチェーンが削れ、寿命が早くなります

まず、パーツクリーナーを使って掃除します。
周りに散らないよう、布などを当てて、チェーンにクリーナーを噴射してやれば綺麗になります。

パーツクリーナーはホームセンターで売っている100円のものもあれば、1,000円を超えるものまであります。
選ぶ基準としては、掃除しやすいかということ、そしてチェーンや周辺の部品に対するダメージで考えます。

極端な例ですが、脱脂(油分を洗浄する)能力に関してはトルエンはかなり強力ですが、素材に対するダメージも強いですから、チェーンクリーナーには不向きです。

日本で市販されているパーツクリーナーの場合、パーツをダメにしてしまうようなものは基本的にはないですが、あまりに安いものに関しては不安もあります。

また、安物は噴射力が弱くて使いにくかったり、スプレーをプッシュしていると指先が冷たくなったりなど、使い勝手の悪いものもあります。

やはり、値段には意味があります。

私が自転車店で働いていた頃は、お客様の車体にはワコーズのスーパージャンボを使用していました。
ワコーズは、正直、ちょっと高級ですが、自動車の車検などにも使われるくらいなので信頼性が高いです。

チェーンを外して灯油につけて洗うという方法もありますが、あまりオススメではありません。

ペットボトルなどに外したチェーンと灯油を入れて振るだけで、すこぶるキレイになります。
かなりキレイになりますし、灯油は安いというメリットもありますが、チェーンを切らないといけないので、非常に面倒です。

ミッシングリンクという、チェーンカッターを使わずにチェーンを着脱できる部品を使う人もいますが、原則として、繰り返して使用するのは危険ですからオススメしません。

ただ、確かにキレイになりますし、灯油で機械を洗うのは工場などでもすることです。
頑固に汚れた場合などには、使える方法です。

余談ですが、私自身もアフリカを自転車で旅していたときには、スプレー式のパーツクリーナーなど売っていないので、調理用に持っていたガソリンをペットボトルに入れて、チェーンを洗うこともありました。

ちなみにガソリンは危ないので、やめておいた方が良いです。

チェーン専用のクリーニングマシーンもあります。
たくさんのブラシが内蔵されている器具ですね。

中に洗剤を入れて、チェーンを通してやって使います。
これならチェーンを外さなくとも、相当キレイになります

詳しい使用方法については、メーカーによって違いますので、付属の取り扱い説明書を読んでください。
少しコツはいりますが、特に難しいこともないですし、キレイになるのでおすすめです。

ただ、基本的にはパーツクリーナーをブシューっと吹き付けるやり方で、大抵の場合は問題ありません。

注油に関しては、スプレー式の方が時間が短縮できて楽です。
ただ、液体式の方が不要なところにオイルが飛ばないぶん、経済的ではあります。

使うオイルの種類に関しては、自転車屋さんでオススメを聞くと良いでしょう。
どのメーカーの、どのオイルが良いかは、最終的には好みになります。

長期間持続するかどうか、汚れが付着しやすいかどうか、潤滑性能が高いかどうか。
それぞれに特性があります。

いくつか使ってみて、好みのものを使えば良いと思います。

ただ、チェーン専用のものを使ってください。
有名な話だと、KURE 5-56問題というのがあります。

初心者が、KURE 5-56は安いし万能ということでチェーンに使うけれど、あまり良くないという話です。
KURE 5-56も正しく使えば問題はないのですが、サラサラしすぎていて、すぐにオイルが落ちてしまいます。

KURE 5-56が悪いのではなく、チェーンの注油に使うオイルとしては不向きということです。
ボルトの頭のサビ止めなどに使うなら、KURE 5-56は安いですし、なかなか優秀です。

チェーンには、チェーン専用のオイルを利用するのがオススメです。

オイルを差した後には、余分なオイルを拭き取らないと、ホコリがどんどん付着してしまいますし、ホイールなどにオイルが散ると、ブレーキ面のトラブルにもつながります。

オイルは可動部に入ってくれれば十分ですので、注油後少し時間をおいて、オイルが中に浸透した後は表面部分は乾いた布などで拭き、余分なオイルを取ってしまいましょう。
ゴシゴシ拭き取ってしまいましょう。

ロードバイクのクイックレリース

ロードバイクなどのスポーツ自転車では、車輪の固定にクイックレリースを使用しています。
レンチなどの工具を使わず、手だけでホイールを着脱できるシステムです。

レースではパンクの際、迅速なホイール交換が必要になりますので、このクイックレリースというシステムは、必要不可欠なんですね。

レースに限らず、ホビーサイクリストにとっても工具なしでホイールが着脱できるメリットは大きいです。

余談ですが、元々はパンク修理のためではなく、ギアの変速のために、カンパニョーロ氏が開発したものだそうです。

当時は変速機がなかったため、坂を登るときには、ホイールを外し、左右をひっくり返し、反対側に付けている軽いギアに入れ替えることで、ギアを変えていたんですね。

それまでは、クイックじゃなく、大きい蝶ナットなどを使ってホイールを固定していたようですが、力も必要ですし、寒いときなどに手がかじかむと厄介だったようです。

さて、そんな便利なクイックレリースですが、正しく使用しないと走行中に、ホイールが外れてしまうという可能性もあります。

逆に強く締めすぎると、フレームやホイールの破損にもつながります。
正しい力加減を一度、きちんと覚えておかないと危険です。

力加減は言葉などでは説明できないので、一度、きちんとした自転車屋さんで直接教えてもらう必要があります。

一応、目安としては人差し指1本で、外れてしまうようでは弱すぎです。
逆に人差し指1本で外せない程度に締まっていれば、十分とも言われます。

ただ、あくまで目安ですので、やはり、一度はきちんとした力加減を直接教えてもらいましょう。
一概には言えませんが、力の強い人は強く締めすぎる傾向にありますし、弱い人、特に女性の場合は締めかたが足りない場合があります。

また、締める力加減だけでなく、きちんと奥までホイールがはまっているかも重要です。
斜めにはまっていたり、浅くはまっているのも危険です。

車体を横にしたままだったり、斜めに傾けたまま、ひっくり返したまま、メンテナンススタンドに乗せたままホイールを装着すると、はまりが浅いことがあります。

まっすぐ立てた状態で装着すれば、自転車の自重で奥まで装着しやすいです。
特に後輪については、チェーンのテンションでホイールが奥まで入っていないこともありますので、注意が必要です。

ロードバイクのタイヤの空気管理

メンテナンスには整備という意味のほかに、管理・保持という意味がありますが、タイヤの空気管理も、非常に重要です。

値段の高いタイヤを使っても、適正な空気圧をきちんと管理していなければ、全く意味がありません
空気圧が適正な自転車は、速く快適です。

「週に何回くらい空気入れは必要なんですか?」
と聞かれることもありますが、週に何回ではなく、走行前には毎回空気は確認しないといけません。

「そんなにロードバイクの空気は抜けやすいんですか?ママチャリはそんなに空気を入れなくても良いじゃないですか」
とも言われますが、ロードバイクの適正な空気圧は非常に高いので、どうしても抜けてしまいます

タイヤのチューブには目に見える穴などはなくとも、空気が通れる程度の隙間が分子レベルで見ればあります。
高圧になるほど、その隙間から空気が逃げてしまいます。

適正な空気圧は、タイヤごとに指定があります。
大抵、タイヤの側面に表示がありますね。

例えば、私の今使っているBontrager(ボントレガー)のR3というタイヤでは、90-125PSI/6.2-8.6BARとなっています。

PSIとBARに関しては、どちらも圧力の単位です。
距離で言うところの、メートルとマイルの違い程度のものです。

自分の分かりやすい数字で読めば良いです。
とりあえずは、指定空気圧内であれば問題はありません。

空気圧は高い方が転がりは良いですが、地面からの突き上げがダイレクトに伝わり、乗り心地が悪くなる傾向にあります。
また、カーブや下りでは、コントロールしにくい傾向にもあります。

ヒルクライムなどでは、少しでも抵抗を減らして、軽やかに車輪が回ってくれると楽なので、高めに設定した方が良いとされています。

空気圧が低い場合は、その逆です。

路面からの衝撃がマイルドになりますが、走りは重くなりやすいです。
ただし、カーブなどでのコントロールがしやすいです。

また、段差や石を踏んだ際に、リム打ちパンクをするリスクが上がります

マウンテンバイクでは、しっかり路面をとらえてカーブや下りをコントロールしたいので、低めの空気圧が好まれます

ロードバイクでも下りに不安がある人は、少し低めの空気圧を試してみるのも良いかもしれません。

また、乗車する人の体重によっても違います。
軽い人なら、低い空気圧でも問題ないです。
重い人が低い空気圧で乗っていると、パンクしやすいですね。

要はタイヤの潰れ方によって、路面との設置面積が変わり、それが走り味に影響するんですね。

好みがありますので、タイヤに記載されている指定空気圧の真ん中から始めて、少しずつ空気圧を調整して好みの圧を探すと良いでしょう。

指定空気圧は、正確にはタイヤメーカーが、「この空気圧の範囲内であれば、タイヤが外れることなく、安全に使用できる」と示している数字です。

安全のため、指定空気圧内で使用するのが原則です。

ディレイラーのメンテナンス

ディレイラー(変速機)のトラブルも、ロードバイクでは多い問題です。
大きく分けて、2種類の原因があります。

・転倒などで外部からの力が加わりディレイラー本体、あるいはディレイラーハンガーが変形している場合

この場合は、自分で修理するのは難しいですので、自転車屋さんに持っていきましょう。
自分で修理する場合には、ある程度の知識と専用のディレイラーハンガー修正工具が必要です。

・ディレイラーの動作を制御するワイヤーが伸びてしまって、本来の動作ができていない場合

この場合は、ワイヤーを張り直すことで解決します。
伸びたぶんを張ります。

リアディレイラーであれば、ディレイラー本体に付いているワイヤーテンションアジャスターを回して調整します。

アジャスターを緩めると、ワイヤーが張られます。
ただし、アジャスターで調整できるのは限界があります

その際には、ワイヤーを固定しているボルトをヘックスレンチで緩め、改めてワイヤーをはじめからセットします。

フロントディレイラーのワイヤーテンションアジャスターは、ディレイラー本体には付いていません。
アウターワイヤーの途中や、アウターストッパーに付いている場合が多いです。

ワイヤーを張る際には、少しずつ張って、ディレイラーがきちんと作動しているか確認します。
ディレイラーが、きちんと作動するところまで張れば、メンテナンス完了です。

一気に張ってしまうと、張りが足りていないのか、あるいは張りすぎたのか分からなくなってしまいます。

また、基本的には張っていく方で調整します。
これはワイヤーに限らず、ホイールのスポークテンションでも同じです。

ギターなどの弦楽器の調弦でも同じですが、張っていく方で合わせないと、すぐにズレてしまいやすいんですね。

ディレイラーには、プラスドライバーでイジれるボルトも付いていますが、こちらは基本的には最初のセットアップのときにイジるだけで、あとはイジる必要は滅多にありません。

キャパシティーといって、ディレイラーの最大動き幅を調整するネジと、Bテンション調整ボルトというものです。
これらのボルトのおかげで、どんな車種・フレーム形状・サイズが違う車体でも、ディレイラーは作動するわけです。

ただし、最初の取り付けのときに正しく調整すれば、基本的には滅多にズレるものではないので、イジる必要はありません

プラスドライバーのネジなので、ついつい初心者の人もイジってしまいやすいのですが、触らないようにしましょう。

ディレイラーのワイヤーテンションが調整できれば、ブレーキのワイヤーテンションも、基本的な原理は同じなのでできるでしょう。

ワイヤーのメンテナンス

ディレイラーのところでも書きましたが、ロードバイクに限らず、自転車のワイヤーは伸びて劣化していきます。

また、雨や空気に触れることアウターワイヤーと擦れることで、表面のコーティングが劣化していきます。

ですので、全く乗っていなくても時間が経過することで、劣化していく部品です。
使う頻度が高いほうが、早く劣化します。
屋外での保管、雨ざらしでの保管では、寿命は劇的に短くなってしまいます

ワイヤーは劣化がある程度の段階になれば、交換が必要です。
切れるまで使っては事故になりますので、定期点検の際にワイヤーが心配であれば、見てもらって交換しましょう。

目で見て異常が分かるほどであれば、交換が必要です。
目で見て異常が分からなくとも、ワイヤー張り量を何回も調整したワイヤーはかなり伸びているので、交換した方がベターです。

ワイヤー交換は新しいワイヤーにした後、張り量を調整できないといけませんので、初心者の人には少し難しいかもしれません。

まずはディレイラー、ブレーキのワイヤー張り量の調整を練習して、自信が付いてからワイヤー交換に挑戦するのがオススメです。

新品のワイヤーは最初、初期伸びといって、すぐに伸びてしまいます
初期伸びのぶんを調整すれば、ある程度安定してくれます。

これを「馴染みが出た」などと言ったりします。

ワイヤーの動きをスムーズにするために、オイルなどのケミカルを使用するというメカニックもいますが、シマノのワイヤーにはコーティングがされているので、基本的には必要ないでしょう。

もちろん、シマノからもケーブルグリス(SIS-SP41用グリス)が販売されていますから、使う必要があるときもあります。

ワイヤー部に限らず、グリスを使うデメリットとしては、とにかくホコリが付着してしまうということに尽きます。
必要以上のグリスは、デメリットになってしまうんですね。

きちんとしたメカニックがワイヤーにグリスを使う場合には、そういったデメリットも踏まえた上で、グリスを使って得られるメリットが大きい場合です。

グリスを使った方が良いかどうかは、メカニックによって判断が変わります。

私は、グリスは最小限で使うべきだと考えています。
ゴミの付着というデメリットもありますし、無駄なグリスは使う必要がないと考えるからです。

知人のメカニックには、とにかく多く使うべきだと言う人もいます。
多く塗った方がグリスの届く範囲が広く安心だし、不要な分は拭き取れば良いという考え方です。

それはそれで納得できます。
どちらが正解ということはありません。
それぞれに、きちんと理由を持ってやっています。

そういう細かい点では、メカニックによって、あるいは店によってポリシーが違うこともあります。
これが、自分の馴染みの自転車屋さんを作っておいた方が良いという理由です。

自分の信頼できるお店、メカニックのやることなら信頼できます。
点検のたびに違うお店に行くと、全く方向性の違うやり方のメンテナンスを受けることになる可能性もあります。

前回の状態が分かっている、どういう使い方をするか知っている、好みを知ってもらっている、そういうお店、メカニックに頼むのは大事です。

ホイールのメンテナンス

ホイールのメンテナンスは、自転車の調整の中でも一番難しい部類に入ります。
リム(外側の輪っか)、ハブ(中心の軸)、スポーク(リムとハブをつなぐ針金のような金属の棒)の3つから構成されています。

ロードバイク初心者の人でも簡単にできるのは、リムを磨くことですね。
リムは、ブレーキのカスや地面からの砂ぼこりなどで汚れています。

リムを拭くだけで、ブレーキの効きは良くなります

ハブは分解して、洗浄、グリスアップが可能です。
ハブの中にはベアリングがあり、それによってスムーズな回転が実現しているのですが、ベアリングにはグリスが必要です。

グリスは劣化しますので、定期的に分解して新しいものと入れ替えなくてはいけません。

これは難しいですね。
できるとベテランという感じがしますね。

工具は高くはないので、一般の人でもできないこともありませんが、一般の人は覚える必要はないと思います。

自分でメンテナンスするのが好き、機械好きという人は自己責任でやってみても楽しいと思いますが、ホイールのトラブルは、事故にもつながるのでオススメはしません。

メーカーごとに分解の仕方が違います。
興味のある人は、自分の使っているメーカーのやり方だけ覚えても良いかもしれません。

ハブの構造は基本的には2種類です。

・カップアンドコーン

シマノ、カンパニョーロなどが採用している構造です。
分解するとボールベアリングがころころ出てきます。
全てのベアリングを掃除して、グリスアップが可能です。

・シールドベアリング

MAVIC(マヴィック)やDT SWISS、American Classicなどが採用している構造です。
(厳密に言えばAmerican Classicに関しては、ラチェットの構造が特殊なので、注意が必要です)

10個前後のベアリングが、ドーナツ状の金属部品で合体しています。

これがシールドベアリングです。
シールドベアリングはそれ以上は分解できませんので、まるごと新品に交換という形になります。

あくまで私の個人的な印象としては、シールドベアリングの方がノーメンテナンスでも長く使えると思います。
カップアンドコーンの方がメンテナンスの頻度は高くなりますが、細かいメンテナンスがしやすいですね。

どっちが良いということもありません。

各メーカーのポリシー・得意な技術・コストの問題などによって違うだけです。
シールドベアリングのメーカーの方が多いですね。

ただ、シマノ、カンパニョーロという2大メーカーが、カップアンドコーンを採用しているのを考えると、やはりどちらにもメリットがあるのでしょう。

一応、ハブにもメーカーによって、違いがあるということだけ覚えておくと良いと思います。

スポークは張り量、テンションの調整が必要になります。
すべてのスポークの張り量のバランスが良くないと、ホイールは成立しません

ワイヤー同様に、使っているうちに伸びてきますので、テンションの調整が必要になります。
もちろん、ワイヤーほど細くないので頻度も高くはないですが、転倒などの衝撃、外部からの力で調整が必要になる場合もあります。

振れ取り台とテンションメーターを使い、リムがキレイに回るように調整します。
感覚、慣れが必要で難しい作業です。

ホイールのメンテナンスは難しいので、自転車屋さんにお願いするのが間違いないでしょう。

まとめ「メンテナンスの基本は拭く、チェーンの注油、タイヤの空気入れ」

自転車のメンテナンスをすべて解説するのは、非常に難しいです。

ただ、ユーザー個人が自分でできないといけない最低限のメンテナンスは、拭き掃除とチェーンの注油、そしてタイヤの空気入れでしょう。
あと、クイックレリーズの確認ですね。

いずれもベテランの人は当たり前のようにやりますし、できて当たり前のようなところもありますが、初心者の人には最初は大変だと思います。

初心者じゃなくとも、きちんとできていない人もいくらかはいると思います。
「完璧にできないといけない」と気負わず、「小まめにやってあげないといけない」と思うことが大事だと思います。

小まめに繰り返しやっていれば、段々と簡単にできるようになってきます。
やってしまえば、案外、簡単だったりします。

難しいメンテナンスに関しては必要な頻度が低いので、お店にすべて任せてしまって問題ないと思います。
お店に任せる方が間違いないですし、高い特殊工具など買っても、人生で何回使うか考えると微妙なところです。

もちろん、自分でイジれたら楽しいです。
ただ、整備不良は事故につながります。

時速40km以上で走れる乗り物の整備をするという自覚を持つことは、とても大事です。