今回はアメリカを代表する自転車メーカーである「トレック」のマウンテンバイクを特集します。
ツール・ド・フランスを7連覇した選手に機材を提供していたことで一躍世界にその名を知らしめたメーカーですが、マウンテンバイクはどうでしょうか。
最新モデルのご紹介も含めて、トレックのマウンテンバイクの実力を確かめていきます。
トレックとは?
トレックはアメリカ・ウイスコンシン州で1976年に創業された自転車メーカーであり、現在もウイスコンシン州に本社、工場が置かれています。
北米で1700店にも上る販売代理店を通じて販売を行っており、日本をはじめとするアジアの子会社やヨーロッパの代理店を含め世界90か国以上でトレックのバイクが販売されています。
革新的な技術開発をすることでも有名であり、創業9年後の1985年には世界で初めて宇宙航空産業の力を活用し、アルミフレームの「2000」を開発しています。
また、現在も使用されている「OCLV(超高密度圧縮、超低空隙率)カーボン」は、宇宙航空産業で使用されていたものをしのぐとまで言われるトレックの独自技術です。
OCLVカーボンを初めて使用した完全自社製造のカーボンフレーム「5500」は、当時のロードバイクフレームの最軽量になったほどです。
そして、1993年にはマウンテンバイクの産みの親とも言われる人物が設立した「ゲーリー・フィッシャーマウンテンバイク」を買収し、マウンテンバイク飛躍の足掛かりをつかみます。
さらに、1999年から2005年にかけてツール・ド・フランスを7連覇した選手が乗っていたバイクとしてその名が広まり、元々性能は高評価されていたところに知名度も追いついた形になりました。
残念ながらその偉業は選手のドーピング問題により取り消されてしまいましたが、トレックのバイクの評判が落ちることは無く今日に至ります。
トレックのマウンテンバイクの特徴
ここではトレックのマウンテンバイクの特徴についてお話しします。
トレックのマウンテンバイクの最大の特徴はラインナップの多さであり、プロユースから初心者向けのエントリーモデルまで幅広く取り揃えています。
マウンテンバイクは競技や乗り方で様々な対応モデルがありますが、トレックでは大手メーカーらしく、トレイル、クロスカントリー、ダウンヒルにオールマウンテンとほぼ全てのジャンルを網羅しています。
また、フルサスとハードテイルのバランスも良いですし、街乗り仕様も評判がよいモデルが多いです。
そしてトレック全体に言えることですが、車体が非常に頑丈な上に国が定めている安全基準以上の厳しいテストを行っているため耐久性にも優れています。
ときには厳しい環境で乗ることになるマウンテンバイクにとっては頑丈で耐久性のあるフレームはこの上ないメリットであり、トレックを選ぶ大きな理由になるはずです。
トレックの代表的フルサスペンションモデル
それではここからトレックのマウンテンバイクの代表シリーズをご紹介していきます。
《Supercaliber》
2019年のワールドカップに投入され新モデルで、サスペンションのトラベル量が前100mm、後ろ60mmというフルサスペンションにしては少なく、近年ハードテイルに流れつつあるクロスカントリーレースにおいてその座を取り戻すべく開発されたモデルと言われています。
リアサスペンションはフレームと一体型になっている「IsoStrut(アイソストラット)」の技術により、ショックの吸収をしつつ、ハードテイル並みのリジット感も実現されており、レースでも自然な乗り味が定評になっているモデルです。
《TOP FUEL》
上記のSupercaliberが新導入されたように、クロスカントリーレースの世界ではフルサスペンションが主流になってきています。
その意味でも見直されてきた存在がこのTOP FUELであり、クロスカントリーに必要な速さとハンドリングに加え、下りでも楽しめる走破性も加味されたバイクになっています。
また、グリップをひねるだけでサスペンションの動きを操作できる「TwistLocデュアルリモートロック」や、ワンタッチでサドルの高さを調節できる「ドロッパーシートポスト」を装備しています。
そのため、様々な路面状態や地形にスピードを落とすことなく即座に対応できる仕様になっています。
トレックの代表的ハードテイルモデル
前項に引き続き、トレックのマウンテンバイクの代表的シリーズをご紹介します。
《Procaliber》
軽量なクロスカントリーカテゴリーのフロントサスペンションのみの「ハードテイル」モデルです。
世界を驚かせた衝撃吸収システムである「IsoSpeed」の技術を投入し、ハードテイルらしいロスのないペダリングを確保しつつ、縦方向のしなりを増やし地面からの振動やトレイルを走る衝撃はしっかり吸収してくれます。
フレームサイズによってホイールサイズを変えることでフィット感を大切にしていますし、簡単にサスペンションの動きを制御できるリモートロックアウト機能やOCLVカーボンなども使用しており、コスパの高いシリーズとしても人気があります。
《Marlin》
トレックのマウンテンバイクの入門モデルで、街乗りマウンテンバイクとしても非常に人気があります。
入門モデルではありますが、軽量なRockShoxのサスペンションや、フレームにワイヤーを内蔵するルーティングなど上位モデルの技術もしっかり踏襲されており、初心者以外の方も満足のいく仕上がりになっています。
入門モデルとうことでサイズが豊富ですし、キャリアやキックスタンドを取り付けられるマウントを備えていますので、導入しやすいモデルとも言えます。
トレックのマウンテンバイクの看板モデル!
それではここから、トレックのマウンテンバイクのおすすめ機種をご紹介します。
【Supercaliber 9.7】
・参考価格:¥592,900(税込)
ニューモデルの中でも最も注目されている、Supercaliberシリーズの最廉価モデルです。
最廉価モデルとはいえ、Supercaliberの核である「IsoStrut」はもちろん搭載されていますし、OCLVカーボンを使用したフレームは上位モデルと同じものですから、十分にトレックの最新技術を堪能することができます。
【Top Fuel 9.8】
・参考価格:¥642,400(税込)
Supercaliberが新時代のフルサスペンションマウンテンバイクなら、Top Fuelはマルチな使い方ができる王道のフルサスペンションモデルです。
こちらはシリーズのニューモデルとなるカーボンフレームのミドルグレードで、サスペンションのトラベル量が前後100mmからフロント120mm、リア115mmに変更され、走破性が重視されています。
またヘッドアングルを寝かし気味にし、リーチを伸ばした形状にすることで安定感や操作性を向上させ、ドロッパーシートポストを装備し様々な地形や路面状況に対応します。
トレックのマウンテンバイクでコスパの高いおすすめモデル
前項に引き続きトレックのマウンテンバイクをご紹介します。
【Fuel EX 5】
・参考価格:¥280,500(税込)
近年フルサスペンションが見直されてきていることを考えると、この入門編は非常に貴重なモデルになります。
フレームサイズによってタイヤサイズを変えるこだわりや、ドロッパーシートポストや1×10のコンポなど、これから本格的に山に入ってトレイルをしていくための十分な装備もされています。
【Roscoe 7】
・参考価格:¥152,900(税込)
2.80インチという太いタイヤが採用されたハードテイルモデルで、限定販売が好評だったため、2020モデルから定番シリーズに昇格しました。
エアスプリングを使用し、ロックアウトが可能なサスペンションやドロッパーシートポストなど地形や路面状況に合わせた走りができるため、初心者からベテランライダーまで幅広くおすすめしたいモデルです。
【Marlin 7】
・参考価格:¥85,800
初心者向けのエントリーモデルで、スタンドやキャリアのマウントも付属している、街乗りにも対応するマウンテンバイクです。
ただし、トレックはクロスカントリーレースにも出れるスペックと紹介しており、マウンテンバイク本来のオフロードでも活躍してくれるはずです。
使いたい用途、走りたい場所に応えてくれるのがトレックのマウンテンバイク
マウンテンバイクはレースや走り方に合わせて専用設計されている機種が求められるものですが、トレックならその期待に十分応えてくれるラインナップになっています。
トレンドが回帰しつつあるフルサスペンションに対してはニューモデルの投入で応える一方、スピード系や街乗りのハードテイルもしっかり進化が見られます。
近年スポーツサイクルはロードバイクが主役の座についていますが、これを機にマウンテンバイクもぜひ見直してみてください。