自転車での交通事故で不幸にも命を落としたケースの約6割が頭部の損傷であり、その内の6割がヘルメットをかぶっていれば助かったかもしれないというデータがあります。
ヘルメットをかぶっていれば必ず頭部を損傷しないとは言い切れませんが、かぶっていれば助かった命があるという部分は強調すべきではないでしょうか。
そして、それはもちろん子供であっても同じことであり、まして子供のヘルメット着用は法律で努力義務と定められていますのでなおさらです。
そこで今回は子供用ヘルメットの選び方やおすすめをご紹介します。
自転車に乗る際に子供にヘルメットを被せるのは保護者の努力義務!
2008年の道路交通法の改正により13歳歳未満の児童、幼児が自転車に乗車する際は、保護者がヘルメットをかぶらせるように努めなければならないという努力義務が規定されています。
これは児童、幼児が運転する場合はもちろんのこと、子供乗せ自転車などに同乗させる際も含まれます。
努力義務なことから罰則等は無く、かぶっていなくても警察官に注意を受けることはあり得ますが、逮捕や違反切符を切られることはありません。
しかし、法律うんぬんの以前に冒頭でもお伝えした自転車での死亡事故の内、半数を大きく上回る原因が頭部損傷であることを考えれば、大切な自分の子供を守る意味でヘルメットは必須かとも思います。
自転車に乗りたての子供は不安定で転倒もするでしょうし、もし子供乗せ自転車でバランスを崩して子供が落車をしてしまったら頭から地面に突っ込んでいってしまってもおかしくありません。
子供は胴体と頭のバランスで見ると頭のほうが重く、転倒、落車をしたときに頭から落ちる確率が高いため、頭部を守るためにへルメットが必要なのです。
子供用の自転車ヘルメットの選び方で最優先となる要素
自転車乗車時に子供にヘルメットをかぶらせる重要性は理解していただけるとありがたいですが、ひとくちにヘルメットといっても多くの種類がありますので、ここからは子供用ヘルメットの選び方についてお話しします。
まず最優先しなければならないのは、子供の頭にヘルメットをフィットさせることです。
ブカブカであごひもも緩んでしまっているようですと、転倒時に地面に叩きつけられる前に先に脱げてしまいますから、全く意味を成しません。
そのため、まずは子供の頭に合ったサイズを確認しなければなりませんので、頭囲を測ってみましょう。
ヘルメットのサイズは帽子と同じく外周の大きさで示されていますので、頭囲を測る際はおでこと後頭部の最も出っ張っている部分を、耳のすぐ上をメジャーが通るようにして測ってください。
これを目安にサイズを把握してからお店に出向いて試着をしながら決めるのが最善の方法なのですが、それができない状況もあり、ネット通販などで購入することもあるかと思います。
その際は頭囲に合ったサイズを選ぶのはもちろんのこと、ある程度までサイズの調整が効くアジャスター付きのものがおすすめです。
初めての子供用ヘルメットはなるべく軽量なものを選ぶ
大人でもヘルメットをかぶると重さを感じ首に負担があることが分かりますが、特に小さな子供は想像以上にヘルメットの重量が負担になると言います。
そのため特に1~3歳くらいの子供で初めての自転車ヘルメットになる場合は、なるべく軽いものを選んであげるようにしてください。
あまりにも軽すぎると強度が心配になりますので、200g前後を目安に選んでもらうと良いでしょう。
また、ヘルメットは内側のスポンジやパッドをプラスチックやカーボンなどのシェルで覆う構造になっていますが、2~3年も使用していると内部は汗や湿気で劣化しますし、外側のシェルもひび割れやへこみが目立ってきます。
頭部を守る部分が劣化してしまっては安全性が下がりますので、ヘルメットは消耗品であると考えなくてはいけません。
子供の成長は早いため、ヘルメットが寿命を迎える前にサイズが合わなくなって買い替えるケースが多いとは思いますが、そこまで長く使用できるものではないことも覚えておきたいところです。
ヘルメットは子供が気に入るものと安全基準をクリアしていることも大切
ここまでお伝えしたサイズと共に重要になるのが、子供が気に入るものである必要があります。
一概には言えませんが、子供にとって自転車に乗る際のヘルメットは邪魔に感じるものであり、かぶる理由は「親がかぶりなさいと言うから」「周りの子もかぶっているから」といった、あまり自主的とは言えないことです。
そのため少しでも自主的にかぶらせるためには、子供にかぶりたいと思わせることが重要であり、それには子供が気に入ったデザイン、色、キャラクターなどが必要になります。
まだ幼児の内は別ですが、ある程度自己主張ができるような年齢になっているのであれば、デザインや色など見た目に関しては子供に任せて、親は静観でよいでしょう。
また、頭部を守ることが大前提のヘルメットでは安全基準を満たしているというのも重要な要素です。
日本ではSG(Safe Goods)マークが有名であり、厳しい安全基準をクリアしたヘルメットのみに付けられています。
また、SGマーク付きの製品は欠陥によって人身事故が起きてしまった場合に、1億円までを限度とする対人賠償責任保険が付いてきます。
事故に関わる被害者の方への対応、事故の調査、損害賠償の措置までをSGマークを発行している「製品安全協会」が行ってくれますので、国産ならSGマーク付きにしておくのに越したことはありません。
そして上記のことから、海外製品もその国の安全基準を満たしている製品がおすすめであることは言うまでもありません。
初めての購入におすすめの子供用自転車ヘルメット
それではここからおすすめの子供用の自転車ヘルメットをご紹介します。
【OGK(オージーケー)カブト:PINE】
ヘルメットやカゴなどの自転車の周辺パーツの製造では、日本でも群を抜く評価を受けているメーカーです。
こちらのPINEは対象年齢が1~3歳、230gという軽量であり、しかも無地ですのでカスタマイズがしやすいということもあり、初めてのヘルメットに適しています。
もちろんSGマーク付きで安全基準もクリアしています。
【ジョイパレット:カブロヘルメットV】
アニメの人気キャラクターがプリントされた子供用ヘルメットで、もちろんSGマークも付いていますし、サイズが豊富なため、対象年齢も1歳~5歳と幅広く対応します。
ジョイパレットは同じキャラクターもののペダルなし自転車の販売も行っているため、セットで購入するのもよいでしょう。
またキャラクター部分が目立つだけではなく機能的にも優れており、インナーパッドが取り外せるので丸洗いできますし、あごひもは脱着が簡単なワンタッチバックル仕様ですので、子供が自分で装着することができます。
洗練されたデザインの子供用自転車ヘルメット
前項ではどちらかというと子供でも幼児の初めてのヘルメットに適したものをご紹介しましたが、ここでは補助輪も外れ1人で乗る子供用のヘルメットをご紹介します。
【ブリヂストン:エアリオ】
ブリヂストンはタイヤメーカーというイメージが強いかと思いますが、ブリヂストンサイクルという自転車ブランドもあり、オリンピックに出場したこともある車体を作るなど、自転車部門にも非常に力を注いでいます。
その子供用ヘルメットの代表格であるエアリオは、ロードバイク用並みに通気性に優れ、脱着が可能なバイザーやダイヤルでサイズが調整できるアジャスターが付いた、本格的なスポーツヘルメットです。
対象年齢は5歳からですが、56~60cmサイズは大人でもかぶれるサイズですから、親子お揃いでツーリングなどもよいかもしれません。
【BELL(ベル):ZOOM2】
ベルは世界で初めて自転車用のヘルメットを開発したアメリカの老舗メーカーです。
自転車競技用のヘルメットを中心に開発されており、こちらの子供用ヘルメットにも通気口から虫が入るのを防ぐバグネットやダイヤル式のアジャスターなど、その技術がふんだんに盛り込まれています。
アメリカのメーカーですが国内のSG規格を通っており、当然ながら安全性も高いヘルメットです。
自転車に乗る子供にはヘルメットをかぶらせる!
子供が自転車に乗る際のヘルメットの着用は保護者の努力義務であり、大切な子の頭部を守るという観点からも必須と言ってよいでしょう。
何より大切なのは万が一の際に頭部をしっかり守ってくれることですから、子供の頭にフィットすることが最優先です。
また、自分からかぶりたいと思わせることも意識して好きなデザイン、色を子供に選ばせてあげることも重要です。