ロードバイク通勤はトレーニングになるか?

こんにちは、じてんしゃライターふくだです。
「ロードバイク通勤って、トレーニングになるの?どうしたらトレーニングとして有効なの?」
というご質問をいただきました。

通勤でせっかくロードに乗っているなら、トレーニングにもなってくれると嬉しいですよね。
今回は、そんなロードバイク通勤とトレーニングのお話しです。

漠然と通勤しているだけでもトレーニングに①

「せっかく毎日の通勤をロードバイクでするなら、トレーニングになって速くなれると良いのになぁ」
だれもが思うところでしょう。

はてさて、トレーニングの歴史とは長いようで短いようで、長いようなよく分からないものです。

つい数十年前まで「ロードバイクのプロになろうと思えば、1日何km乗るかが一番大事」
と言われていた時代もあったそうです。

今の複雑なトレーニング理論で考えると、ちょっとびっくりするような話です。
もちろん、距離を乗るのはベースを作る上で大切という理論は、今も変わりません。

しかし、今は漠然と距離を乗るより、質が大事というのが主流の考え方です。

科学技術の進歩により呼吸の酸素濃度をリアルタイムで計測したり、血中の成分の濃度を測定する等の技術が進むことで、トレーニング理論は大きく進化してきました。

一見キツそうなトレーニングよりも、楽そうに見えるトレーニングの方が効率が良いこともあるなど。
あれこれ新発見があったわけです。

水分補給などが、分かりやすい例かもしれません。

かつては、精神力を高めるために練習中に水など飲んではいけないと、多くのスポーツで根性理論がありました。

その後、危険なので水はこまめに飲みましょう。
喉が乾いてからでは遅いので、その前にこまめに飲みましょうと変わりました。

それから、今度は『低ナトリウム血症』というワードが現れました。
水分だけ補給しても、汗などで塩分は放出されます。

結果、水を飲み過ぎると血中のナトリウム濃度が下がり危険である、水は飲み過ぎてはいけない、喉が乾いたら適宜飲むくらいが丁度良い、そういう理論です。

そんな風にトレーニング理論は日々変わっていきます。

でも、昔と全く変わらないというポイントも中にはあります。

もちろん、今現在も時代はどんどん進んでいます。

漠然と通勤しているだけでもトレーニングに②

昔の「距離を多く乗れば乗っただけ速くなる」という理論で言えば、通勤ロードバイクも漠然と走るだけでもかなり良いトレーニングになりそうです。

でも、実際のところはどうなのか?と言いますと。
いくらかはトレーニングになります。

それでも、同じ時間・距離をトレーニングとして専門的に乗った方が、効率は良いと言えます。

どういう目標でトレーニングをするのかということでも、「すごく効果がある」「いくらかは効果がある」「しないよりはマシ」と評価が分かれるところです。

当然ですが、全く意味がないということはありません。

ロードバイク通勤の許可が出ない?

「ロードバイク通勤でも、何かしらトレーニング効果があるということは分かるんだけど、会社がなかなか許可してくれなさそう」
そういう人も、少なからずいると思います。

当然と言えば当然です。
仕事前に趣味のトレーニングで体力を使うことを喜ぶ会社は、日本企業では多くないでしょう。

海外であれば、勤務時間外にどんな方法で通勤しようが、仕事さえしっかりできれば評価するという国もあるかもしれませんが。

日本では通勤も勤務の一貫で、趣味の遊びをするんじゃないという考えは多いでしょう。
(通勤時間の給料は払ってくれないんですけどね)

会社に黙ってロードバイク通勤をするというのは、現代日本の社会人として、少々問題と見られる場合が多いでしょう。

さらに市街地の走行ではトレーニング効果も薄いということになると、高いレベルでのトレーニングを狙う人は、出勤前に朝練は別で時間を作ってする、ということになりがちです。

そうは言っても、そういう人は少ないです。
朝は眠いんです。

それに、結局出勤前にロードバイクに乗るということに変わりないので、事故のリスクや仕事の分の体力を使うという、社会人的デメリットは同じです。

何とかコツコツ頑張ってロードバイク通勤の許可をもらえるようにして、通勤の中で効率の良い方法を探したいところです。

ロードバイクのトレーニングとは

さて、何とかロードバイク通勤の許可をもらったとして、せっかくなのでトレーニングに良い方法で走ろうということになったとします。

それにしても、そもそもロードバイクのトレーニング的な走り方とはどういったものでしょう。

いろいろな理論がありますが、一般的にはATを高めるということがよく言われます。

ATとはフルネームで言うとAnanerobic Threshold 「無酸素性作業閾値」という厳かな名前が付いています。

運動には2つあります。

小さいパワーだけれど、長時間できる有酸素性の運動(作業)と、大きいパワーだけれど、一定の時間内しか持続できない無酸素性の運動というものです。

ATは、これの切り替わるゾーンのことを言います。

散歩をしていて、ゼーゼーと息が切れるということはありませんよね。
軽いサイクリングでもそうですね。

ただ、あるポイントを越えると、ゼーゼー言うようになりますよね。

ATとはあのゼーゼーする辺り、ゼーゼーポイントとでも言っておくと、分かりやすいかもしれません。
ゼーゼーポイントが高くなれば、自転車は速く遠くに長く走れるというイメージは分かるかと思います。

全く余談ですが、自然界の動物の中でも人間ほど長時間、ある程度高いパフォーマンスの運動を継続できる生物は少ないそうです。

実際に通勤ロードバイクに取り入れてみる

AT関連の能力の向上を狙ったトレーニングには、様々な種類があります。

恐らく通勤で取り入れやすいのは、「信号インターバル」と「簡易マフェトン理論」あたりでしょう。

信号インターバルは、信号で停止してから走り始めの何秒かだけ全力で漕いで、あとは脱力します。

信号が少ない道であれば、ある程度脱力したら、また何秒か全力というように工夫しても良いかもしれません。

ただ、事故にはご注意ください。

簡易マフェトン理論は、有酸素系のベースを底上げするのを狙ったトレーニング理論である、マフェトン理論の通勤バージョンです。

マフェトン理論の基本は、ターゲット心拍=(180-年齢)として、最初の15分でゆっくりそこまで上げていき、最後の15分ゆっくり安静時心拍まで戻すというものです。

ただ、ターゲット心拍をキープするのは、市街地の信号の多い道では難しいでしょう。

それでもポイントは15分間掛けてゆっくりアップすること、ダウンすること、それから180-年齢というターゲット心拍を越えないようにするということです。

通勤ですので、細かく心拍を上げていくところまではできなくても、急に上げない、ターゲット以上に上げないという2点だけなら、簡単に行なえるでしょう。

ゼーゼー言わない範囲、つまり有酸素運動のゾーンでのみするんです。

「え?トレーニングなのにゆっくりなの?!」
そうです。

有酸素運動のベースを作りこむトレーニングですから。

ちなみに、低強度トレーニングではテストステロンという筋肉パワーアップホルモンが出るだとか、結構難しい理論も関係しているようです。

通勤に掛かる時間がちょっと長くなるかもしれませんから、急ぐ朝じゃなくて帰り道に取り入れると良いかもしれません。

あるいは時間を長く取って、ロードバイクで優雅にマフェトン出勤なんかも良いかもしれません。

マフェトントレーニングは、とにかく継続が重要なトレーニングです。
効果が出るまでに、半年以上かかると言う人もいます。

しかし、継続すればタイムの向上はもちろん、怪我の防止など非常に広範囲で効果が高いとされる理論です。
何より通勤に使いやすいです。

ちなみに、マフェトン理論でのターゲット心拍=180-年齢の数字は、個人の運動能力に合わせて少々上下させても良いとされています。

ゼーゼー言わないというのがポイントです。

心拍数でATを見るときには、HRTという数字を測定する方法もありますが、マフェトン博士の180公式が、簡単にゼーゼーポイントの目安を知ることができるので、お手軽です。

まとめ『通勤は安全運転で』

最後のほうは、何だか小難しいトレーニング理論なんかの話も出ましたが。
基本的には、毎日適度に運動することは体に良いです。

通勤以外で毎日運動するって、結構難しいです。

1週間だけでも毎日、軍曹さんのブートキャンプを続けるのも大変です。

通勤の場合、継続がしやすいという特性があるので、継続することで効果が得られるようなトレーニングを考えると、効果が高いかもしれません。