こんにちは、じてんしゃライターふくだです。
チェーンに油を差さないといけないというのは、みなさん知ってる人も多いです。
ただ、問題は「カセットスプロケット、ギアの方にも油は差さないといけないのですか?」ということです。
どうなんでしょうね。
その他、油ってどこまで差して良いのか?
どこに差すとまずいのか?
今回は、そんな話をしていきましょう。
自転車のスプロケットには注油が必要?①
さて、今回はマニアックな話題です。
正直、この手の話題は苦手です。
というのも、人によってやり方が違うことがあるので、厳密な正解というのがないからです。
ひとつの見解として書いていきますので、ご自身のやり方、本で読んだ方法、どこそこの誰それさんが言ったやり方と違うという点があっても、ご了承くださいませ。
端的に言いますと、自転車のカセットスプロケット(後ろのギアの歯の部分)への注油は、原則として不要です。
カセットスプロケット自体には、チェーンの連結部分のように可動部が無いからです。
ただ、現実には、チェーンへ注油した分の余剰のオイルが、スプロケットにも付着します。
その程度のオイルで十分だろうというのが、私の見解です。
私は、その方法でメンテナンスしてきて、特別問題を抱えたことはありません。
ただ、クロスバイクなどではカセットスプロケットが錆びるといったことが、時々あります。
雨ざらしで外に置いておかないといけない場合は、スプロケットにも、ほんの少し注油してあげるのも良いでしょう。
自転車のスプロケットには注油が必要?②
しかし、中にはスプロケットにも注油・コーティングが必要だと考える人もいます。
これも間違ってはいません。
ロードバイクより、短距離のトラック競技の人に多いですね。
短距離の場合、いかに小さい要素でも、勝敗に直接関わることもあります。
本当に0.1秒でも自転車を速くしたいですからね。
そういう中で駆動系のスムーズさというのは、少しでも良くしたいと思うでしょう。
トラック競技は、そういう点でシビアです。
逆にロードバイクの場合、0.1秒でも速くというのも大事ですが、長いレースの途中での機材トラブルを減らすなどの方に重点があります。
コーティングしないかするかで言えば、もちろんコーティングをした方が、いくらかは有利なのかもしれません。
ただ、ロードバイクでは、その恩恵を感じる人はあまり多くないようで、一般的にはスプロケットの注油・コーティングまでする人は少ないです。
そもそも自転車にとって注油とは?①
そもそも、注油とは、どこにすれば良いのでしょうか。
そもそも、どういう狙いを持って注油するのでしょうか。
これを理解すると、自転車のメンテナンスは上手くなります。
<摩耗を防ぐ>
まず、チェーンの場合、関節部分、動く箇所がたくさんありますね。
動く場所には油を差します。
油を差すことで、動いた際に擦り減ることをできる限り防ぎます。
これはチェーンに限らず、動く場所、こすれる場所、全てに言えます。
<錆止め>
次に、錆び止めを狙っての注油があります。
これは、ハンドル周りのボルトの頭に、軽くチェーンオイルを一滴だけ付けてあげると錆びにくいなどですね。
クロスバイクのカセットスプロケットに軽く油を差すという場合も、こちらの目的が大きいです。
もちろん、チェーンとこすれる際に摩耗するのを防ぐという効果も、いくらかあります。
そもそも自転車にとって注油とは?②
<金属同士の固着を防ぐ>
それから、自転車の金属同士の固着の防止のために注油します。
詳しいことはよく分かりませんが、金属は自由電子をもっていて、違う種類の金属が隣り合うと、くっ付いちゃうことがあるようですね。
また、ステンレスのネジで多い焼きつき(ネジが外れなくなってしまう)は、摩擦によりステンレスが熱膨張してしまって発生します。
もちろん、他の原因もありますが、とにかく金属同士が隣に直接くっ付き合っているのは、危険な状態なんですね。
我々の目には見えなくとも、金属と金属の間にうっすらした油の膜が少しでもあるだけで、トラブルを防げる可能性はグッと上がります。
過度な注油は自転車に良くない?①
「油って凄いですね!何でもかんでも油を塗っとけば間違いないんですね?!」
と思いますよね。
これが世に言う『何でもかんでも5-56現象』です。
機械とかの動きが悪くなったら、何でもかんでも5-56を注油しとけば間違いないというやつですね。
でも、当然ですが、解決するとは限りません。
何でもかんでも油を差しておけば良いように思う人も多いのですが、現実問題として、それじゃ上手くいかないのです。
まず、油には種類があります。
先ほど出てきたKURE 5-56は、使う用途によっては便利ですが、自転車の場合は、あまり出番がありません。
もちろん、KUREが悪いわけでも、5-56が駄目というわけでもないです。
例えば、チェーンにKUREを注油するなら、KUREのチェーン専用のルブリカントが出ているので、そちらを使うべきです。
粘度だったり、浸透性だったり。
粘度と言うとベタベタかサラサラかですね。
浸透性はネジの間にでも、スルスル染み渡ってくれるかどうかですね。
油とひと口に言っても、いろいろ性格があるんです。
適した油を適した箇所に使いましょう。
どの油を、どこにどういう用途で使えば良いか分からない場合はメーカーホームページを開くと、ある程度、使用用途などを解説してくれています。
直接、問い合わせても良いかもしれません。
どこのメーカーが良いというのに関しては、好みの問題です。
自転車の場合、フィニッシュライン・ワコーズ・シマノの純正オイルやグリス辺りが人気でしょうか。
過度な注油は自転車に良くない?②
種類だけじゃなく、量も塗り過ぎは良くないです。
チェーンにベタベタに油を塗って、そのまま使っていくと、チェーンが真っ黒になります。
余分な油は拭き取ってあげないと、どんどん汚れを吸着してしまいます。
「オイルが汚れを呼ぶ」とか言いますね。
この「汚れを呼ぶ」というのは、重要なポイントです。
仮に、チェーンに強力なベタベタのグリスを塗りこんでしまえば、確かになかなか油切れにはならないかもしれませんが、どんどん埃がくっ付いてしまいます。
また、ベタベタのグリスでは、チェーンの隙間までは届いてくれません。
チェーンの注油に使う場合には、浸透性・潤滑性という要素が大事です。
逆に、ネジの頭を油膜で覆って錆止めしたいという場合には、浸透性は必要ありません。
埃を呼びにくいサラッとしたオイルを、ほんの少し付けておけば十分です。
また、サラサラとベタベタだと、サラサラの方が早く流れてしまいます。
ベタベタの油が必要なところに、サラサラの油を差してはいけません。
ベタベタの上にサラサラを差すと、ベタベタが一緒に溶けて流れだしてしまいます。
チェーンオイルがホイールのハブの中に流れこむと、中のベタベタのグリスが流れ出て、ダメになってしまいます。
サラサラ、ベタベタと、ちょっと紛らわしいですが。
サラサラの油、例えば、チェーンオイルをチェーン以外の箇所に使うなどの場合は、注意しないといけません。
また、注油の前には、綺麗に掃除しておくことをオススメします。
ゴミが付いたまま自転車を走らせると、そのゴミが研磨剤(磨き砂)のようにチェーンなどを削ってしまいます。
ゴミたちは油にくっ付いているので、パーツクリーナーで古くなった油ごとしっかり流して、乾かして、新しい油を差すというのが一番です。
まとめ「注油の原理を理解する」
油について、あれこれお話して来ました。
油のこと、何となく分かりましたか?
まあ、詳しい油の組成なんかは分かる必要はありませんが、どういうところにはどういう油を使うか、そこで油がどういう働きをしてくれるか。
そういう原理を理解できると、自転車の整備は楽になります。
まあ、基本的には、チェーンの洗浄注油とフレーム拭きの2つだけして、あとは定期的にお店に点検に持っていけば問題ないです。